PART.1
撮影開始1ヶ月前を丁度迎えたシナリオ会議の席上で担当製作プロデューサーから耳を疑うようなプランが突然提出された。
既に仕上がっている脚本に新たに追加改良という名目で別のライターを迎える方向にある事。
またその最有力候補としてあの売れっ子作家である東城綾が今回参加してくれるかもしれないというのだ。
文壇の若手恋愛小説作家の中でも独自の存在感を築きあげつつあり、またビジュアル面でも慶法大時代から「巨乳女子大生作家」の
触れ込みで当時から青年誌などでグラビアまで組まれるほど注目を浴び遂には在学中に国内大衆小説の賞としては最高峰である
直林賞を受賞する程の人気、実力とそれに比例した知名度を既に誇っていたのだ。
そして何よりも今回の東城綾の脚本参加が実現すれば監督・真中淳平との夢のコラボレーションとして話題には事欠かないであろう。
何しろ東城綾は今回の新人監督・真中淳平の泉坂高校の映画部時代のれっきとしたシナリオ担当でもあったのだ。
映画部時代の真中ー東城ラインのコンビで計3作の自主作品が製作されその内の第3作目に至っては東城綾自身が主演まで兼ねた。
ちなみに第2作目のヒロインは現在の真中淳平の妻・真中つかさであった。
これらの事を含めれば映画の宣伝効果はかなりの物が期待できるはずだ、それが会社側の主張であった。
「そんな事こっちに相談なく勝手に話を進めて・・・・第一東城、いや彼女の考えはどうなってるんですか?!」
突然の話だし監督である自分に何の相談もなくいきなりの事だ、真中のこの主張も至極当然であった。
ところが当の東城綾自信は今回の件について大変前向きに考えているのだという。
彼女の意思がそういうことであればつまりもうこの話は決まりつつある、ということなのだ。
所詮新人である真中には残念ながらまだそこまでの事を強く発言する権限は望めず会社側の提案を了承する以外に選択肢はなかった。
いや、東城と一緒に仕事する事自体嫌なわけでもなくむしろ彼女が再び自分のパートナーとしてこの作品を支えてくれるって事は
いわば俺たち泉坂コンビの記念すべき再結成じゃないか・・・・それに製作面では美鈴もいる・・・・最高の人的環境と言っていい。
思えば東城はあの時俺に出した手紙でこの事を予期するようなことを書いていた。既にプロデューサーから話があったんだろうな・・・。
しかし元々の脚本家の立場はどうなってるんだ?大丈夫か?ちゃんと話はついてるんだろうな?・・・・。
宣伝効果を思い浮き足立つプロデューサーを尻目に真中はどこか素直に喜べない疑問を感じ複雑な面持ちを浮かべていた。
別の理由でそれは製作スタッフの一人、外村美鈴も同じ思いであった。
彼女もまた真中と綾の二人の過去と彼女の例の本の事を知っていたから。
先輩たちの間で何も無ければいいけど・・・・。
まあ余計な心配でしょうけど、と思いつつどうも二人の事が気になってしまう美鈴であった。
6年ぶりくらいだろうか、東城綾とこうやって再会するのは・・・・・・。
映画会社の一室で二人は数年ぶりの懐かしの再会を果たした。
高校時代の時と同じで彼女のシナリオが俺の映画に色彩と物語と感動を与えてくれるんだ・・・・。
そんな過去と未来の点在してるであろう希望の点を彼は結果としての事実と絶対的確信で都合よく線にしていた。
それくらい東城綾の才能とその存在がきっときっと自分を奮い立たせ力を発揮させてくれるのだ、と思えるのだ。
そうだ、その想いがあったから俺はあの世界放浪の旅に出たんだ・・・・。
アメリカのハリウッドを皮切りにアメリカ横断、南米ブラジル、アフリカ大陸にヨーロッパ、そしてアジア・・・・。
4年間彼をそこまでの原動力として突き動かしたのも全てあの運命の数学ノートだった。
中学3年の時偶然彼女の落としたあのノートを拾い読んで俺の世界観は一変した・・・・。
なんて凄いんだ、なんてイマジネーション豊かな世界なんだ、これを一冊のノートに彼女は活字だけで表現している。
話そう、いっぱい話そう。この小説がどれだけ素晴らしいかを、そして俺の将来の夢を・・・・。
フラッシュバックのように今、真中の脳裏は様々な想いと記憶が交差していた。
「・・・・そういう事で真中君、いえ監督。それに皆さんもどうか宜しくお願いします。お役に立てますようしっかり頑張ります」
ハッと我に返る真中。
それが照れと微笑みが混じった東城綾による新しい脚本家としての挨拶の締めの言葉だった。
我に返った真中はそのまましげしげと彼女を見つめる。
それに気付いたのか彼女は少し恥ずかしそうな様子であった。
ああ、東城、・・・・なんて綺麗なんだ・・・・。
真中がそう思うほど東城綾は本当に見とれてしまいそうになるくらいに美しかった。
滑らかで肩の下くらいまである長い黒髪、端正な顔立ちと薄紅に輝く唇、そして細く締まった体ながらも服の上からでも
充分に認識できるくらいのふくよかな大きな胸の膨らみ・・・・。
あの頃と同じ優しげで少し照れた少女の面影を残しながらもこの10年で東城綾は恐らく自分でも気付いていない位の
艶やかな大人の女の色気を静かに、だがしっかりとその外面から醸し出していた。
それはまるで自分がこの世で最も愛する愛妻・つかさが霞んでしまうくらいかもしれない・・・・・。
そんな考えを断ち切るように、
「こ、こちらこそ。・・・東城、また宜しくな・・・」
辛うじてそう挨拶するのが精一杯な真中だった。
その日約半日ほどかけた合同のシナリオの打ち合わせも終了しプロデューサー主導による一席が設けられる事になった。
参加者は真中、綾、美鈴にプロデューサー、角倉ら数人の製作スタッフと現場スタッフらである。
そして綾と同じ共同ライターという形になった本来の担当脚本家はそんな気分じゃない、と欠席を表明し帰っていった。
綾はなんだか申し訳なさそうにし彼に対し頭を深々と下げた。
彼女のシナリオを読み真中は思う。
・・・やはりプライドが傷ついたんだろうか・・・・でも仕方がないさ、実際後から参加の東城がそれを修正していくようなもんだから。
綾によって執筆された追加・修正の恋愛シーン等々はどう見ても前任者以上の説得力と表現力を兼ね備えたものであった。
脚本家の経験で言えば彼女は前任者よりもずっと劣る。
彼は本業が脚本書きの生粋のシナリオライターだ。
綾といえば何しろ高校時代の映画部での脚本体験があるくらいなのだ。
しかし彼女の天性の文学的才能だろうか、そんな経験の差をすっかり帳消しにしてしまった感すらがあった。
・・・こういってはなんだがやっぱり東城に参加してもらって良かったんだ。このシナリオならば、絶対いける!
それは真中への自信へとも繋がっていったのだった。
若き美人作家と一緒に仕事が出来るからかプロデューサーらは上機嫌ではしゃぎ回っていた。
脚本家の件もあるというのに正直空気を読めれていない感は否めない。
そんな中で真中、綾、美鈴らは同じ席で各々のつもり話で内々で盛り上がる。
綾からは改めて手紙の事等々で迷惑をかけたことへの謝罪がなされたが酔った真中はそんな事は笑って受け流す。
「ねえー、東城せんぱーい、ところでまだ結婚しないんですかあ?先輩クラスならホント男の人たち放っとかないでしょうに」
かなりの赤ら顔で美鈴は綾に絡んできた。
実は美鈴は2年前に京都の同志谷大学時代の彼氏と結婚し実社会では映画製作者としての夢を家庭共々育んでいる最中だった。
結婚により姓は変わっていたのだが仕事ではそのまま旧姓名を名乗っていた。
ちなみに彼女の旦那はどこかしら真中淳平を彷彿とさせる雰囲気を醸し出しているという。
綾はそんな美鈴の問いかけを軽く受け流しながらも一瞬その眼が真中へと向けられたのだった。
あんまり遅くなったら女房が心配するから、と言い訳しながら3次会の宴会は辞退する真中にそれじゃああたしも、と
他のスタッフらの手を逃れた綾までもが後を追うように抜け出してきた。
そして真中に良ければ一緒に少し歩きながら酔いを醒まして帰りませんか?と夜道の散歩を誘ってきた。
東城は全然酒を飲んでないじゃん・・・真中は軽くツッコミを入れる。
真中は二人きりということでやや躊躇するとこもあったが結局それ以上深く考えずに綾の提案に従うのだった。
酒席での話の続きやまだ喋れなかった諸々の事を語り合うがやがては無言になりそのまま黙ったまま暫く並んで歩いていた。
そしてふとある大きな建物の門の前で綾が足を止めた。
・・・・ああ、ここは確か三田の慶法大・・・・そうか東城の母校なんだ・・・・馬鹿だった俺には無縁の名門私学の雄よ・・・・。
何となく感慨に浸る真中。
自分も大学に行こうと頑張ってた時期があったんだ・・・・そもそも東城にまで家庭教師してもらってたんだよな・・・・。
「・・・・ここがあたしと天地君が4年間過ごしたキャンパスライフ・・・・」
それは酒と感慨に心地よく酔った気分でいた真中を一気に現実に引き戻すに充分過ぎる一言だった。
・・・東城と天地・・・俺にはつかさ・・・そして今はこうやって東城と二人きりで・・・。
気が付けば真中の顔をマジマジと見つめる綾の姿がそこにはあった。
どれくらいの時間、互いの顔を見つめあってただろうか。
先に静寂を破ったのは綾の方だった。
「天地君とは学部も同じ文学部だった・・・あたしは彼が同じ慶法大志望だと聞いていたからそれほど驚かなかった。
それでも大学で改めて再会した時ちょっと緊張しちゃったかな?彼の方から、お互い大学でも一緒に頑張りましょう、
って言ってくれて・・・・喫茶店で二人で話してた時にキスされそうになったからそれで・・・」
天地と喫茶店にいる時にキスされそうになった?・・・そんなことがあったのか・・・それにしても何でそんな話を俺に?・・・。
混乱していく真中、綾はそのまま静かに話を続けた。
「あたしが唯ちゃんに頼まれて真中君の家庭教師みたいなのやらせてもらった時の事憶えてる?。
・・・・あたしが真中君の寝込みを襲うようにキスした時の事」
勿論だ。あの雪の降りしきる青都大の受験日。
前日突然唯が俺の元を訪れ俺と東城の仲を詰問し激しく責めた・・・・西野さんという恋人がいながら淳平は東城さんを
押し倒しすようにして東城さんも背中に手を回してお互いに抱き合っていた、と。
「淳平なんかバチが当たればいいんだよ!いっつも女の子の気持ちもてあそんで傷つけてばかり!」
・・・・唯からそう責められた翌日の俺の受験は散々な結果だった。
そしてその雪の降りしきる中、家の前でつかさと東城の二人が待っていた。
つかさは俺にマフラーをかけてくれてそのまま姿を消してくれて俺と東城は公園で話し合ったんだ・・・・。
唯の指摘した通り互いに抱き合っていた事、その前に寝顔の俺に東城がそっとキスした事、驚く俺に東城はずっと
真中君の事が好きだったがもうこれで諦める決心がついたという事、これからはもっと前を向いて進んでいけると告げた。
そして俺たちは別れたんだ・・・・。
ベンチの前で東城の後ろ姿を見送りながら俺はずっと泣いていた、涙が止まらなかった・・・・。
お互いがもっと早くお互いの気持ちに気づいていればきっと俺たちは・・・・・。
翌日東城からあの小説の続きが送られてきたその日、俺はつかさと別れる決心をしたんだ・・・・。
綾が話を続ける。
「あたしの処女作品が出版された日に書店でそれをまとめ買いしてくれる天地君と偶然出会いそれから二人で喫茶店に
入って天地君はあたしにキスしようとしてあたしはそれを払いのけて外に飛び出した・・・・。天地君はこう言ってた。
偶々なんだ、 僕よりも真中が君に出会ったのが早かっただけなんだ、僕ならば君のその眼鏡姿を見ても君の素顔を見抜いた。
君の才能だって見抜けれた、偶然なんだよ・・・・そう言ってた・・・・。怖かった。でもあたしはそれでも真中君の事が・・・・。
あの日天地君にされそうになった事を思い出しながらあたし真中君に・・・・」
そこまで言って綾は一呼吸置いた。
天地を拒絶した東城は自分から俺にキスを・・・・そして俺は寝ぼけた状態で東城を・・・・。
改めて事の経緯を知ることになった真中に綾が続けた。
「真中君があたしに覆いかぶさった時真中君は西野さんの名前を言ったの・・・・。ああ、あたしと西野さんを勘違いしてだ、と。
そして、ああもう駄目なんだとも思ったわ。どう頑張ってもあたしは西野さんに勝てないんだと。でも同時にこうも思った。
それでもいい、西野さんの替わりでもいい、本命の立場じゃなくてもいいから真中君のそばにいたいと思った・・・・。
受験当日の唯ちゃんの泣きながらかけてきた電話が無ければ多分あの別れの決心がつかなかったと思ってる。
これがいい機会なんだ、もういろいろ理由をつけて二人の仲に入り込んだら駄目なんだ、って・・・・。
あの小説のラストは最初からああするように決めてた・・・・でもずっと変更しようとも考えてた・・・・。
真中君が懸垂で 西野さんに告白した時からずっと、ずっと悩んでた・・・・」
黙って話を聞き入っていた真中がやがて尋ねた。
「・・・・それで、それで大学に入ってからの東城と天地は・・・・一体?・・・・」
今度は真中に背を向ける形で綾が再び話を続ける。
「大学時代の天地君は相変わらず女の子の注目の的だった。何かにつけいつも女の子が近づいてきたんだけど
天地君は笑顔を絶やしながらそれを明確に拒絶していた・・・・そして隣の席であたしにそっとこう呟いた。
"僕はもう君の事しか見ないから・・・でも僕からはもうアプローチはかけない。それで君に迷惑をかけたくないから。
ただ僕はずっと待ち続けることにするよ、いつか君から僕に振り向いてくれる時を"・・・・そう言ったわ。
どうしてなのかは今でも分からない、でもそれからしてあたしの気持ちは天地君に向かっていった・・・。
大学1年の秋くらいからあたしたちは傍目からも恋人同士といっていい間柄になってたわ。他の女の子たちももう
天地君には近づかなくなった。・・・時々彼女たちがすれ違い様あたしの悪口みたいなの言ってたのを憶えてる・・・。
あたしも最初の頃は期待の新人みたいな感じで騒がれて雑誌とかにグラビア風の写真とか撮られたりして弟なんかが
それをわざわざあたしに見せたりして凄く恥ずかしかった・・・・。
でも学生時代は基本的に学業に専念させてもらったし小説も余裕が出来た時しか書かなかったし、それからの取材も
基本的にお断りさせてもらうようにしたので次第に沈静化してくれてそれからは大学生活も過ごしやすくなった。
そして忘れもしない、大学3年の時の大学祭のあの夜あたしは天地君に抱かれた・・・・天地君の部屋で・・・・。
今でもよく憶えている。彼は、"僕が高校3年の時予言した通りになったでしょ?綾さん。僕はこうなることをずっと信じてた" と。
それからは自然に二人の半同棲生活が始まった。天地君は家事なんかも良く手伝ってくれたしあたし自身も料理やら
なにやらと何とかそれなりに世間一般並みの女らしさは身につけていけた。それまでは実家から大学に通っていたから。
そうしてなんだか小説を書ける心境になってきて大学4年の時に出した作品であたしなんかが直林賞を受賞させてもらった。
あれは幻想風に暗かった頃の自分に決別する話を書いたもので彼に見せた時面白い、って褒めてくれて嬉しかった。
そして22歳で大学を卒業してから暫くして泉坂の部活の同窓会でみんなと久しぶりに再会できた。・・・凄く懐かしかった。
北大路さん、外村君、小宮山君、美鈴ちゃん、ちなみちゃん、黒川先生、そして真中君・・・・。そして後で・・・後悔した・・・」
「・・・後悔?」
綾はその問いに直ぐに答えようとせず暫くして意を決したかのように語り始めた。
「・・・・・4年ぶりの真中君の姿を見てずっと封印していた感情が一気に蘇っちゃった、・・・・のかな?
4年ぶりに会った真中君は逞しさとあの頃以上に輝いていた瞳をしていたよ。あたしが知っていた以前の真中君よりもずっと。
憶えてる?一緒に泉坂コンビで世界制服しちゃおうね、っておどけていった言葉?自分では冷静なフリはしていたんだけど
内心はもう激しくあなたに揺さぶられていた・・・あれから家路に着いた時ベッドの上で無意識で自分で自分を慰めてた・・・・。
あなたの事を想いながら・・・・あなたの名を呟き涙を流しながら自分の熱く疼く部分を慰めていたの・・・・」
その時俺は一体どんな顔をしていただろうか?・・・・真中は心の中でそう呟く。
真中に背中を向けながら綾は秘めていた想いの丈を全て吐き出そうとしているかのようだった。
「天地君とは5年間交際したけど結局別れた・・・・。その原因は全てあたしのせい。彼は最後の別れの言葉で
"綾さんにとって僕は結局あいつの代わりだったのかな・・・?いやそれでも良かったんだ・・・。
でも結局代わりにすらなれなかった訳だ・・・・"。
そう言ってあたしの元から去っていったわ・・・・。いつまでも涙が止まらなかった。でもその後姿を黙って見送るしかなかった。
あの時の真中君のように・・・・。あのエッセイにも書いたけどあの時を境にあたしは元の東城綾に戻っちゃったみたい・・・・。
適わない恋と分かっていながらずっと好きな人の事を思い悩み果ては大切な人をも傷つけてしまう馬鹿な女に・・・・。
その人にはもう相思相愛の人がいて自分などが入り込む要素など全くないと分かっているにもかかわらず・・・・」
それが長かった東城綾の告白の全てであった。
そしてくるりと真中に振り返りどこか無理をした作り笑顔を向けた。
「ごめんなさい、こんなつまらないお話聞かせてしまって・・・・。今喋った事は全部デタラメ、もう忘れてください。久しぶりに再会出来た
真中君を困らせちゃう為のあたしの作り話だから・・・・。でも長々こんな馬鹿な事喋って、嫌われるような事喋って何やってんだろう・・・・。
本当にごめんなさい・・・・。それじゃあまた次の打ち合わせでお会いしましょう。真中君の映画のためにも頑張っていいお話書くね・・・・。
それじゃあ、さようなら。・・・・お休みなさい」
一方的に綾は別れの言葉を告げてそのまま足早に真中の元から立ち去っていった・・・・。
・・・東城・・・今、確かに泣いていた・・・作り笑顔で誤魔化しながらでも確かに泣いていた・・・・。
真中は彼女を追いかける事も声を返す事も出来ずしばし呆然とその場で立ち尽くしていた・・・・。