「ここじゃ、集中できないね……」  
ざわめきの酷い教室内、いつもの指定席。  
並んで座っていた向井こずえが、困ったようにそう言った。  
「別に、周りなんて気にする必要ねぇだろ」  
ぶっきらぼうに言ってしまうのは癖のようなもので、悪意は無い。  
それでも、彼女はびくりと体を震わせると、もじもじと俯いた。  
「……ごめんなさい」  
ぽそりと呟かれた声に、右島は盛大にため息をつく。びくりとこずえがまた  
体を震わせたが、あえて無視して辺りをじろりと一瞥する。  
授業の始まる前の教室では、教科書を広げているのは彼らだけだった。  
Bクラスなんだから、という妙な諦めムードの漂う教室内では、確かにやる気は出ないだろう。  
おまけに初夏だというのにクーラーのない今日室内はむっとするような熱気で  
「……じゃあ、静かなところでするか」  
「え?」  
 
呟くと、こずえがこちらを見あげた。  
子犬のような眼差しに思わず「うっ」と胸の中で呻くが、表情には出さない。  
そのままぶっきらぼうに、右島は呟いた。  
「……俺の部屋、週末来るか?静かだし、クーラーも有る」  
突然の申し出に、こずえは驚いたように目を見張る。  
「でも……家族の人は?」  
「姉貴は旅行だし、親父は単身赴任。母親は同窓会っつってたっけな」  
「そうなんだ」  
言ってしまってから、右島ははた、と気付く。  
無人の男の家だと解ってて、彼女――極度の男性恐怖症なのだ――が、来るはずがない。  
「…………」  
案の定、困ったようにまた俯く彼女に右島は慌てて(多分、表面上は何も動揺は見せていないだろうけれど)  
「……イヤだったら別にいいんだぜ。俺は勉強さえ出来ればいい。図書館でも、どこでもな」  
「…………」  
その言葉に、彼女は何故か弾かれたように顔を上げた。その顔色を見て、右島は訝る。  
戸惑いと躊躇と――期待?頬が紅潮している。まさか、と右島はすぐに否定した。  
「……じゃあ、お邪魔しちゃおうかな」  
不思議に思っている右島(勿論無表情)に気付くわけでもなく、照れたように笑いながら、彼女はそう言った。  
 
「お邪魔しまーす……」  
手に提げていたケーキの包みを手渡すと、こずえは靴を脱いだ。  
玄関のチャイムが鳴らされてからすぐにドアを開けたのだが――正直、彼は見とれてしまっていた。  
髪型はいつものポニーテール。ただ、服が違っていた。  
見慣れた制服姿ではなく、それは、初めて見る私服姿だったのだ。  
(可愛いじゃねぇか……)  
こげ茶色の短いスカートにサンダル。上半身は、薄手のカーディガンとキャミソール。  
七月に入り、蒸し暑くなってきたためか、彼女の顔は少し火照っているように見える。  
「……上の突き当りが俺の部屋だから」  
素っ気なくそれだけ言うと、右島はさっさと背を向けるとケーキを冷蔵庫に入れるため、台所へ向かう。  
はーい、とこずえの声がした後で、軽い足音がゆっくりと階段を登っていった。  
 
「飲めよ」  
「……ありがと」  
ウーロン茶を入れたコップを載せたお盆を持って部屋に入ると、こずえはまだ座っておらず、  
部屋の中央辺りに立ったままきょろきょろと辺りを見回している。  
男の部屋が珍しいのだろうか。  
「あー……おいしい」  
こくこくとウーロン茶を半分飲み干して、こずえが笑う。  
口元からこぼれたウーロン茶が、そのまま顎を伝って首筋に流れるのを見て、  
ごくん。  
思わず生唾を飲んでしまうが、こずえは気付かないようでさっさと足元のローテーブルの前に座る。  
「あたし、課題持ってきたの。  くんが問題解く間にやろうと思って」  
こずえは、三年の夏間近だから先生も気合充分で、宿題多いんだ、最近――  
そう言いながら手際よくテーブルに自分の課題と塾で使っている教科書を並べていく。  
 
「……右島くん?」  
いつまでも突っ立ってる右島を、不思議そうにこずえが見上げたので、おもわずはっとする。  
だが相変わらずの無表情のまま、右島は自分の机の上に纏めておいた教科書とノートを乱暴にガラステーブルに置く。  
こずえがびくりと震えたが、気にせずどっかりと座り込んだ。  
それほど大きくない、ガラス板の乗ったローテーブルの正面に右島、その正面ではなく  
斜め横にちょこんと座って、こずえが右島の教科書をぱらぱらとめくる。  
「この間の例題の途中からだよね。5番まで終わったら教えてね」  
そう言いながら、細い指が教科書の問題部分を示す。  
「途中で解らないところがあったら言ってね。あたしにもわからないかもしれないけど」  
あは、と照れたように笑ってから、こずえは自分の教科書とノートを開いた。  
 
クーラーの音と、窓の外から聞こえる近所の子供の遊ぶ声だけが響く。  
彼はとりあえずあまりこずえを見ないようにして、教科書の例題を見つめる。  
……が。  
(うっ)  
教科書の下――つまり、ガラス板越しに見えているのは、  
女の子特有の正座を崩したような座り方をしている、こずえの脚。  
細い脚なのに、どこかむちむちとしたその脚が無防備に、  
そしてさらに、その付け根――三角形のゴールデンポイントが、ちらりちらりと覗いている。  
(……気付いてねぇのかよ!)  
驚きながらこずえの横顔をそっと盗み見るが、どうやら彼女の視点からだと、  
広げた自分のノートと教科書でそれが見えない状態になっているらしい。  
「……解らないところ、あった?」  
ぎしりと動きを止めてしまっている右島の様子に気付いて、こずえがこちらを向く。  
まともに視線がかち合ってしまい、右島は咄嗟に俯く――視線の先にはゴールデンポイント。  
「あ。ここ、あたしも引っかかったんだぁ」  
彼のシャーペンが偶然式の途中を指していたためか、こずえがずい、と身を乗り出す。  
「ここはねぇ、まず分母を有理化しないといけなくって――」  
自分のシャーペンで彼のノートに式を書くために、こずえがさらに身を乗り出す。  
その拍子に、閉じていた彼女の膝が開いた。――見えた。  
(いちご!!!!)  
 
「きゃあっ!?」  
がしゃん、と思わず身体を仰け反らせたせいで、テーブルに置いてあったこずえのコップが派手にひっくり返る。  
「わ、悪い……!」  
「だ、大丈夫だよ、コップも割れてないし」  
「そっちはどうでもいいんだよ!」  
怒鳴られて、こずえがびくりと怯えたようになる。  
右島は咄嗟に怒鳴ってしまったことに対して自己嫌悪を抱きながら、  
「上着だ上着!染みちまうぞ!」  
「へっ――ああっ!?」  
言われて初めて気付いたのか、こずえは悲鳴を上げた。  
カーディガン――薄いクリーム色の肘の辺りに、ウーロン茶がたっぷりと染みこんでしまっている。  
「脱げ!」  
「えええ!?」  
彼の突然の発言に、こずえは悲鳴のような声を上げる。だが右島は構わずに、  
「染み抜きしねぇと落ちないだろうが!」  
「は、はいっ!?」  
突然命令されてこずえは心底驚いたようだったが、ほとんど反射のように慌ててカーディガンを脱ぐ。  
「貸せ!」  
「はいっ!」  
こずえが差し出したカーディガンを引っ手繰ると、彼はどたどたと乱暴な足音を響かせながら階段を駆け下りていく。  
しん――とひとり取り残された部屋で、こずえはしばし呆然としたあと、  
「……ふふっ」  
あんなに慌てた彼を見たのが初めてだったので、なんだかおかしくなって、ちょっと笑ってしまった。  
 
「……染みにはならなさそうだ」  
がちゃりとドアを開けながら、そう言って――右島は部屋の中のこずえを見て目を丸くした。  
「……ありがとう」  
はにかむように笑う彼女の上半身は、キャミソール一枚だった。  
カーディガンを脱ぐように命じたのは右島だし、それは当然のことだったのだが、それでも動揺していた。  
ピンク色のキャミソール。胸元はもともとそういうデザインではないのだろうが、おそらく彼女の胸が大きすぎるのがいけないんだろう。妙に胸元を強調するようなレース使い。  
くらくらと眩暈を覚えて、思わず後ずさる。  
「……どしたの?」  
きょと、とこちらを見上げる彼女に力なく頭を振ってから、右島はローテーブルの前に腰を下ろす。  
見ると、教科書やノートにかかってたウーロン茶は彼女が拭き取ってくれたようだ。  
「悪かった」  
ぼそりと呟くと、彼女は明るく笑う。  
「ううん。いいの」  
「……怖がらせてるつもりもねぇんだけどよ」  
「……へ?」  
突然関係の無いことを言い出した右島に、こずえがきょとんとする。そんな彼女を横目で見ながら、  
「……俺ってこういう奴だし、不器用だから、困らせるつもりはねぇんだけどよ。迷惑ばっか掛けちまってるよな」  
もともと勉強を見てくれるよう頼んだのも、それは相手が彼女だったからだ。  
ほとんど成り行きで引き受けてくれて、彼女は不満も何も漏らさなかったが、  
やはり自分の勉強時間を割いてまで自分の勉強を見てもらうことに、少しずつ罪悪感のようなものを覚えていた。  
そして、脅すようなかたちで怯えさせて無理矢理勉強を見させていることにも。  
だが、  
「そんなことないよ!」  
「……え?」  
きっぱりというのが聞こえて、彼はこずえの方を見た。  
彼女は――怒っていた。  
 
ぷんぷん、という擬音が背後に浮かび上がりそうな表情で彼女は叫ぶように、  
「そりゃ、初めはすっごく怖かったしどうしようって思ったけど、右島くんどんどん勉強できるようになっていくし、  
あたしも教えながら楽しいし、それに、すっごく嬉しいし!」  
「向井……」  
「そりゃ、ちょっとまだ怖いし、いつまで経っても同じところばっかり間違えるのにはうんざりするけど」  
「おい……」  
唸るように言うと、彼女ははっ、と気付いて首を振ってから、  
「でもでも、あたしはヤじゃないよ!……それに、」  
ちらり、とこちらを上目遣いに見てから、こずえはもじもじと手を合わせて、  
「右島くんがイヤだったら、誰もいない家になんか……来ない、よ?」  
じ、と上目遣いで、こちらを見るこずえに、彼の中で何かが崩れたような気がした。  
「! むぅっ……!」  
ほとんど衝動的に、  
「んっ……ふ、」  
彼女の腕を引き寄せると、彼は彼女にキスをしていた。  
かたん、ともう何も入っていなかったコップが転がる音。  
薄目を開けたまま、驚くほど近くにある彼女の顔を見る。  
長い睫毛のかかった瞳は伏せられて、心なしか潤んでいるように見える。  
柔らかい口唇をむさぼるように重ねていると、彼女の手が彼の胸の辺りを押す。  
「ぷはっ……」  
まだ片手を掴まれた状態で無理矢理口唇を引き離すと、こずえは荒い息のままこちらを見上げる。  
「……いきなり、なんだから」  
抗議するような口調。だけど、その目はとろんとしていて、  
「一応、ファーストキスなのに」  
恥ずかしそうに言う彼女に、どうしようもないほどの感情を覚えて、  
「ひゃっ!」  
もう一度引き寄せて、口唇を重ねた。  
 
口唇を押し付けるように何度も重ねると、息が出来なくなったこずえがかすかに口を開く。  
そこに、右島は自分の舌をねじ込んだ。  
「んむぅ!」  
こずえの目が見開かれて、驚いたように薄く目を開けたままの彼を見る。だがまっすぐに見つめ返されて、恥らうようにすぐに目を伏せると、そのままされるがままになる。  
いつの間にかこずえの手が右島の背中に回っていた。  
右島は舌をこずえの口の中に這い回らせる。揃った前歯をかすめて、その裏の上あごまで舌を伸ばす。  
ざらざらとした感触と、こずえの喘ぐ声と息遣いが近い場所で聞こえる。  
「はふ、」  
荒く息をつくこずえの舌も、次第に自分の口の中を動き回る右島の舌を追いかけるようにたどたどしく動く。  
「んん……」  
ぎこちなくこずえの舌が右島の舌に触れる。それを待っていたかのように、少し口を開けると  
こずえは息を荒げながら、背中を掴む手にさらに力を入れる。  
「んはっ……」  
ちゅる、と唾液の糸を伸ばしながら、ひとつの生き物のように重なり合っていた口唇が離れる。  
「……右島くん、」  
こずえの目が完全に潤んだ瞬間、  
「ひゃ!」  
右島は急に立ち上がると、こずえを抱き上げた。まるで荷物を持ち上げるような気軽さだ。  
お姫様抱っこのままこずえは右島にしがみつこうとするが、その間も無く、彼女はベッドの上に着地する。  
しゃっ、と右島がブラインドを引く。出窓からの光が途絶えるが、もうひとつの擦りガラスの窓から充分に光は入っているので、明るさはさほど変わらない。  
「いいのか?」  
「え?」  
押し殺したような声で右島が聞く。こずえははにかんだように聞き返してから、  
「……うん。平気、だよ」  
それだけ、呟いた。  
 
答えたのと殆ど同時に、右島の口唇が再び降り注いでくる。  
右島が手を伸ばす。柔らかいこずえの髪を纏めていたゴムに触れると、そっと引っ張る。  
はらりとこずえの髪が落ちる。髪を下ろしたところは初めて見るが、言葉を失うほどに――可愛い。  
ますます胸の中の衝動が強まるのを覚えながら、右島はこずえの口唇をむさぼる。  
重ねた瞬間に滑るように入り込んできた舌を絡めるようにこずえの舌がうごめく。  
そのまま器用にキスを続けながら、少しずつ体重を掛けると、こずえの体がベッドに沈む。  
キャミソールからこぼれそうなくらい豊満なその胸にそっと触れると、こずえが身体をこわばらせる。  
「痛くはしねぇから」  
それだけ言うと、こずえは笑って見せた。やはり平気とは言ったものの、怖いのだろう。  
その目が少し怯えているように見えた。  
「うん……」  
こずえが嬉しそうに呟くのを聞いてから、口唇を重ねる。  
今度は少し口唇に重ねただけで、右島はゆっくりと口唇をずらした。そのまま頬を舐めるように舌でなぞり、  
彼女の華奢な耳に口付ける。  
「んっ」  
今までとは違う感覚なのだろう、こずえは少し仰け反るように身体を揺らす。  
そのまま、ピアスもなにもついてない耳たぶを甘噛みしながら、手は体の線をなぞるように滑らせていく。  
「あう!」  
する、と耳の穴にまで舌をねじ込むと、こずえはさらに身体を強張らせる。  
同時に伸ばしていた手が豊満な胸に触れて、そのままさらに滑ると、キャミソールの裾から右島の手が侵入する。  
「ひゃ!」  
驚いたようにこずえが身体を動かすが、右島は構わずに耳の愛撫を強める。すぐにこずえは金縛りにあったようになる。  
するすると手を伸ばし、硬いものに触れる。ブラのワイヤーだ。  
(ん?)  
右島はその感触に違和感を覚えつつも、指を滑らせる。そして谷間のあたりに触れたときに、気付く。  
(フロントホックか)  
こずえのブラジャーは、背中ではなく前の部分にホックがあるタイプだった。  
ぱちん、と慣れた仕草でホックを外す。ホックの構造自体は背中のタイプと同じだ。  
ぷるん、と締め付けから開放された胸が揺れる。剥がすようにカップを避けて、右島の手がそこに触れる。  
 
「! ……やぅ……」  
困ったように身体をくねらせるが、こずえの力など程度が知れている。押さえ込む必要もないほどの弱い力なので、右島はこずえの胸の中心に立ったそれを、指先で摘む。  
「きゃっ!」  
こりこりと摘み続けると、こずえのそれはどんどん硬度を増していく。  
「はぁっ……!」  
揉みしだきながら、右島は口唇を耳元から首筋に這わせて、鎖骨の辺りをぺろりと舐める。  
「あっ……」  
顔を真っ赤にさせて、こずえがうめく。  
そこでいったん右島は顔を上げると、こずえのキャミソールの裾を掴んで、上にあげた。  
ずるずると上がっていくキャミソールの下からは、クーラーのきいた部屋なのに、  
じんわりと汗ばんで紅潮したこずえの肌が露になっていく。  
「両手挙げろ」  
「はい……」  
こんな時でも、こずえは従順に手を上げる。胸を隠そうと一瞬手をやるが、右島に見詰められて観念したのか、おずおずと両手を挙げる。  
「…………すげぇ」  
思わず声が漏れる。こずえは恥ずかしそうに俯いた。  
こずえの胸は、真っ白だった。白い胸は豊満なのに、垂れることなくハリがある。  
真ん中の桃色の突起は左側だけツンと尖り、右はまだあどけなさを残したままだ。  
「これじゃ不公平だよな」  
「へ?……あうっ!?」  
ぼそりと呟いた右島にきょとんと首を傾げかけたこずえだったが、すぐに目を閉じて身体を仰け反らせることになる。  
右島の口唇はまっすぐにこずえの胸に降りると、桃色の突起を吸い込む。ちう、という音にこずえが声を上げた。  
 
舌先でちろちろと突起を愛撫すると、すぐにそれはピンと立つ。それでも愛撫はやめないで、吸いながらちろちろと舌先で蛇のようにそれを突く。  
「あっ……やぁ、あう……」  
空いた手で、左の突起も愛撫する。こりこりと指先で弄ぶたびに、こずえの体がぴくぴくと揺れる。  
(おまえ、本当に初めてなのかよ)  
つい疑問に思う。初めてにしては、こずえは感じ過ぎているような気がする。だが、初々しい表情とか、それらはまるっきり初めて体験するようなそぶりにも見える。右島にはよく解らなかった。  
(別にどっちだっていいさ)  
こずえを抱けるのだから、それでいいと思う。  
する、と右の突起を愛撫していた手を離す。するりと手を滑らせて、片手でこずえのスカートのチャックを下ろしてボタンも外す。もう片方の手でこずえの腰を浮かせるようにしてスカートを脱がせると、そこには苺模様のパンティーが鎮座している。  
(17歳でいちごパンツかよ)  
内心で思うが、こずえらしいといえばこずらしいと思う。右島がいちごパンツに手を触れようとすると、  
「待っ、て……」  
はぁはぁと荒い息のまま、こずえがこちらを見ている。  
「あたしだけ脱いでるの、ずるいよぉ……」  
両手で胸を隠しながらこずえが涙目で言う。いまさら隠しても……と思いながらも右島は、  
「悪い」  
素直に謝ると、むくりと起き上がってTシャツを一気に脱ぐ。  
こずえが恥ずかしそうに右島を見ているが、気にしないでベルトにも手を伸ばし、ズボンをさっさと脱ぐと適当に放り投げる。  
「……これでいいか?」  
「うん。……でも、恥ずかしいね」  
自分で脱ぐように言っておきながら、これだ。  
恥ずかしそうに目を伏せながらいうこずえにどうしようもない愛しさの衝動を覚えて、右島はすぐにこずえの上に重なった。  
口唇を重ねる。こずえはもう慣れたのか、自分から舌を差し込んできた。  
だが右島は少しだけその相手をすると、軽いキスだけに留めて、意識を手に集中させる。  
 
「あっ!」  
するりと右手がこずえのいちごパンツに滑り込む。もぞ、と指先にこずえのささやかな茂みが触れる。  
「だめっ……!」  
反射的にだろう、こずえが叫ぶ。だが、次の瞬間には、右島はもうそれを捉えている。  
ちゅぷ、と指が入り込む。  
「ひゃああっ!?」  
こずえがビクン、と身体を跳ねさせた。右島の指は、こずえの蜜つぼのほんの表面に触れたに過ぎないのだが、  
それでもそこが充分に潤っていることはすぐにわかった。  
「だめ、じゃねぇだろ。濡れてるぜ」  
「……そんなこと、ないもんっ……」  
「ああ?」  
健気に否定するこずえに、右島は半笑いを浮かべたままいちごパンツから手を抜くと、  
「ほら。見ろよこれ。おまえの汁でぬるぬるだ」  
「……っ」  
「ちゃんと見ろよ、向井」  
目を背けるこずえに、右島は指を突きつけるようにする。だがこずえもかたくなに顔を振ると、  
「違うもんっ……」  
「ふうん」  
右島はあっさりとこずえの顔から指を離すと、そうつぶやく。あっさりと引き下がったのが不思議だったのか、  
こずえがこちらを見つめている。  
その視線を無視するように、  
「じゃ、直に見て確認させてもらうぜ」  
有無を言わさずに、こずえの秘所を守る最後の砦を引き下ろす。  
 
「やぁっ!」  
こずえが慌てて、露になった茂みを隠そうと手を伸ばす。だが右島は片手で簡単にその手を掴むと、  
「どこが濡れてんのかな」  
つぶやきながら、秘所に顔を近づける。  
こずえのそれはあまり毛が多くなく、かすかに散らばっている程度だ。年のわりには少ないかもしれない。  
そのまま茂みに顔を突っ込むようにすると、こずえはびくんと身体を跳ねさせる。  
「これじゃよく見えねぇな」  
ぱ、とこずえの手を離すと、右島は一瞬でこずえの両膝の裏を押し上げて、強引にM字に開脚をさせる。  
「やだぁ!そんなとこ、見ないで!!」  
「……だって、濡れてるかどうか確かめねぇと」  
露になったこずえの秘所は、右島が見たどれよりも綺麗だった。  
汚れていないという表現がまさにぴったりなそれに、思わずため息をこぼす。  
「んあっ」  
吐息がかかっただけなのに、こずえは身体を仰け反らせた。どれだけ敏感なのだろうか?  
「さてと、確認しねぇと」  
右島は露になってひくひくと痙攣しているそれに口唇を近づけると、無造作にぺろりと舐め上げた。  
「きゃうっ!!」  
こずえが今までに無いほど、激しく仰け反る。それに構わず、右島は二度、三度と蜜つぼを舐め上げた。  
「ひあっ!や、ああっ!!」  
その度に、びくんびくんとこずえの体が跳ねる。そして右島の舌先には、滴るような甘い蜜。  
ぺろり、ぺろりと焦らすようにわざとゆっくり舐め上げる。こずえの声は裏返り、蜜つぼからはどんどん蜜があふれてくる。  
「やっぱ濡れてると思うんだけどなぁ」  
「んん……はうっ……」  
息を荒げて何もいえなくなっているこずえに、右島は意地悪そうな笑みを浮かべると、  
「まだ濡れてないって言うのかよ?……これでも?」  
そう言って、じゅる……と音を立てて蜜を吸う。こずえが声にならない悲鳴を上げた。  
 
「ごめっ……ごめんなさいっ、もう……だめぇ!」  
こずえは泣き出しそうな声でそう叫ぶ。  
だが右島は構わずに、さらに強い力でそこを吸い上げた。  
「あっ、ああ、ああああああっ!!」  
次の瞬間、ぴゅう、とこずえの秘所から蜜があふれ出す。  
それはぴう、ぴう、と断続的に噴き出してから、止まる。  
それを見届けてから右島はにやりと笑うと、  
「やっと認めやがって。意外と意地っぱりだな、おまえ」  
おもしろそうにそう言ってから、こずえの膝の裏を押さえていた手を離す。  
くにゃりと力を失った膝がぶつかり、こずえの体がぐったりと弛緩する。  
右島は身体を起こすと、放心状態のこずえの目元に口唇を寄せる。ほんの少し、涙が溜まっている。  
「……いじわる」  
泣き出しそうな、それでいて満ち足りたような顔でこずえが呻く。右島は苦笑すると、  
「おまえ見てると、なんでだかいじめたくなる」  
「……なにそれ。ひどいよぉ」  
むう、と膨れるこずえに、右島は軽くキスをしてから、  
「もっと気持ちよくしてやる」  
そう言って、顔をこずえの下腹部に近づける。  
再び膝の裏を押しやると、こずえはもう抵抗しなかった。軽い足がすぐに開かれる。  
今度は、蜜の滴るそこではなく、右島は膝の裏を押さえていた手を離すと、こんもりとしたこずえの秘所の肉を広げる。  
「あった」  
ぷっくりと立った桃色の粒。それはこずえの蜜を全身に浴び、ぬらぬらといやらしく光っている。  
「ここはどうかな」  
「え、――ひあああ!」  
つぶやいてからすぐに、粒を舌でぺろりと舐め上げる。こずえの体がびくっと跳ねた。  
先ほど蜜つぼを吸い上げた時とは少し違う反応だ。  
「やぁ、ああ、だめ、そんなぁ、んあああっ……!」  
 
こずえの脚ががくがくと震えている。  
少し顔を上げると、こずえが顔を仰け反らせていて、表情が見えなかった。  
ただ口が大きく開いているのが、解る。  
ぺろぺろぺろ、と飴を舐めるように執拗に舐め上げるたびに、こずえが泣き出すような声を上げる。  
膝が力を失って閉じそうになるのを押さえながら、すでに肉を掻き分ける必要もなく、  
ピン、とそこに存在している粒を、右島はひたすら舐め続ける。  
「向井、ちゃんと膝開いとけよ」  
顔を上げてそう言うが、返ってくるのは悲鳴のような声だけだ。  
「だってっ……みぎ、しまくんっ……そんなの、無理だよぉっ!」  
がくがくと仰け反るように震えるこずえの体を支えながら、右島はひたすら粒を舐め続ける。  
こずえの身体はもうずっと震え続けていたが、右島はこずえの前兆が近いことを悟る。  
そして――舐めていた舌を引っ込めると、思い切り、その粒を口に含んで吸い上げる。ちゅう、という音。吸い上げながら口の中の舌で、激しく絡めるようにして舐めると、こずえの体がいっそう激しく揺れて、  
「ひあああっ! だめっ……だめだよぉ、もう、だめぇぇぇっ!」  
ほとんど悲鳴のように声を上げて、がくんっ、とひときわ大きくこずえの体が跳ねる。  
「ふっ……!ああ、あああああっ……!!」  
がくん、とこずえの体が突っ張る。背中が完全にベッドから浮いている。  
膝と腕を伸ばさないブリッジのような姿勢に仰け反ると、スローモーションのようにこずえの体がベッドに沈んだ。  
ぴうぴう、と先ほどよりも多く、蜜つぼから蜜がこぼれだす。右島は一瞬、こずえが失禁したかと勘違いしたほどだ。  
 

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