おれは床に荷物を投げ出し、へたりこんだ。
半ばおぶっていた向井こずえが、小さくうめいて濡れた床に座る。血は止まっているようだ。
「助かったぁ〜」
と、泥だらけの北大路さつきが深いため息をついた。
「うん」
肩につかまった、西野つかさの声も震えている。
「なんか、思い出すね」
と、東城綾がつぶやき、はっと言葉をとめた。そのままへた、と背中にもたれかかってくる。
震えが伝わる。皆疲れ、氷雨に濡れ、冷えている。
いつもといえばいつものこと。合宿というか一足早い卒業旅行というか、天地の別荘となるとろくなことがない。
まず西野が…途中経過はどうでもいい、なんとか四人とも助けて迷いに迷い、山奥の小屋にたどりついた。
「これから、どうしよう…寒い…」
と、西野がつぶやいた。
「あ、ほら真中!」
と、さつきが呼んだ。それで外に出ようとして、この小屋が崖のような岩場にある、無人の温泉の脱衣所だとわかった。
「ほら、結構あったかいよ」
「ほんとだ」
岩の隙間からしみでるようにちょろちょろ流れる湯が、湯船にあふれている。ぬるめだけど十分。胴震いするほど冷えた体、半ば感覚を失った手に痺れるような心地よい痛みが走る。
「あまり人がこなくなったんじゃない? でもたまに入る人はいるみたい」
「ああ」
洗い場の隅にある桶も結構きれいだし、石鹸も残っている。湯も赤く不透明だが、アオミドロのようなよどみはない。
「みんな、温泉!入ってあったまろうよ!」
回復したさつきの大声。
みんなが顔を出し、顔がぱっと明るくなる。
「ありがたいな、寒かったから」
「服もここに、一応干せるね」
「うわ〜、素敵!」
「でも…」
四人の目が、おれを見る。
「じゃ、ごゆっくり!後で入るよ、それまでに火と…」
「いいよ、一緒に入ろう?」
さつきが、腰に手を当てておれを見つめた。
濡れたスカートが脚、腰にぴったり張りついているのを、急に意識してしまう。
「いいよね、みんなも。」
おれはあえぐように、開いた口がふさがらなかった。
「ぅん」
「あたしは…いいよ、真中くんさえいいのなら…」
「あ、うそ、真中さんといっしょにお風呂?そんな、うれしい…じゃなくって、あの、その」
「みんないいみたいね。だから、ほら早く脱がなきゃ冷えちゃうよ」
と、さつきがジャケットを脱ぎながら、脱衣所に向かった。
「あのさぁ、向こう向いて脱いでくれない?」
と、西野がいたずらっぽく微笑みかけてくる。
「あ、ああ、ってマジでいいのかよ!」
「いいよ、とにかく早く服脱がなきゃ、体が冷え切っちゃうから。」
「脱いだら渡して、ここに干しとく」
おれはもう、心臓が喉から飛び出しそうだった。疲れ、冷え切った体が一気に火照る。
とにかく後ろを向き、東城をかばった腕の傷に巻いていたバンダナをほどき…幸い血は止まっていた…、濡れてまとわりつく服、かじかんだ指に苦戦しながら脱いでいく。後ろでも、みんなが服を脱ぐ…悪戦苦闘する気配がある。
去年もこんなことがあった、東城がこんな感じで…。
パンツも脱ぐのか、と思うと非常に恥ずかしかった。でも…仕方がない。
頭にかぶっていたタオルをハチマキのように目隠しにし、バンダナで下を隠して手探りで出ようとした。
いきなり、何かものすごく柔らかい、ちょっとひやっとしたもりあがりに触れる。
「あっ…」
向井の小さな悲鳴が上がった。
「そ、そんな、いきなり…」
「こら真中!」
と、さつきの声と同時に尻を蹴られた。
「ほら、こっち。」
ともう一方の手を、柔らかく冷えた細い指の手が取る。
「東城?」
黙って洗い場に導かれ、石鹸と湯の入った桶を手渡される。
「あのさ、向こう向いててくれるか?」
「洗ったげようか?」
と、さつきの声。
「それは勘弁…」
本当は洗って欲しい気もするが…
「そんな、まるで○ープみたい…」
向井の慌てた声。
「それにしても、これってイジメ?」西野の不満気なつぶやき。「なんでみんなそんなすごいのよ。あたしだけ貧相じゃない」
「そんな、でも腰のラインなんて西野さんすっごくきれいじゃない」
「イヤミでしかないんだけど」
「そんなことない、顔はあたしはせいぜい五十点だけど、つかさちゃんは百点満点」
「東城さん…それ、極悪非道なイヤミ? 本気だったらもっと悪いんだけど」
なんか険悪な雰囲気だが、どうしようもない。
「真中くん、どう思ってる?」
助けてくれ!
「真中、見たい? あ、すごいな…」
いきなり耳元でさつきの声。同時に、背中に何か…ものすごく柔らかくて、ぷにょっというかボインというか…
あわてて洗っている欲棒を手で隠し、桶を手探りしたがない。
「ほら」
と、肩から優しく湯が流れたが…それがとんでもなくなまめかしい感触で、思わずうめいてしまう。
「気持ちいい?」
「いいな、北大路さん…」
そしてさつきに背中を押され、湯船に足を踏みいれた。そういえば、あの険悪な雰囲気は消えている。サンキュー、さつき。
「失礼します…」
「いらっしゃい」
「どうぞ」
「そんな、そんなこと…」
肩まで十分つかれる。なまめかしい感触の、ちょっとぬるっとした温泉の暖かさがふわっと体を包む。
「ああ…」
思わず声が漏れた。
「ホント、いいお湯…」
耳元の至近距離からさつきの、おれを誘うときの艶を帯びた声。
心臓がはねあがる。
「でもほんとうにありがとう、助けてくれて」
と、東城のしんみりした声。
「そうね、真中くんがいなかったら…」
西野の声は、まだすこし震えていた。
「あ、そうでした! ありがとうございます」
「あたしも、感謝してる。」チュッ、と頬にキスの感覚。同時に、腕に柔らかいものが…「全く不覚だったわ」
そのまま、しばらく無言。まわりにどんな光景があるのかを考えると、体が爆発しそうだが。
「真中」
と、さつき。
「見たい?」
びくっ。え、え…
「いいよ、目隠しなんてしなくても。あたしたちだけなんだから」
「うん、無理しないでいい…」
「あたしだけ貧相で悪いけど」
「も、もちろん…」
ちょっとまて、本気か?
「おい、待てよ…嫁入り前の娘が、そんな…」
「だぁ、だから…、だからいいの!」
と、目隠しが乱暴に取り去られた。
目の前には…残念といえば残念、湯が不透明だからほとんど見えていない。
「ね、だからいいの。」
と、さつきがいたずらっぽく微笑んだ。
だが、この状況では異様に艶っぽい。
みんなの顔も火照っていて、すごく艶っぽかった。
でも、まったくなにも見えないわけじゃない。
肩の丸い線、首筋の白さ、湯に浮かぶ白くまるい影…十分刺激的な光景だ。
よく見ると、その底に薄白く別の曲線も浮かんできそうだし、浮かんでいる白い…の先端…
おれの右隣でさつきは、ポニーテールをほどいてのびのびと手足を伸ばしている。
浮いてるよ、なんてボリューム。先が、見えそうだ。
正面には東城と西野。東城は手で胸を隠しているが、隠しきれるボリュームじゃない。
西野はまだ、ちょっとむくれながら目が合うと微笑みかけてきた。かわいすぎる。
そして左に、ひざを抱えるように座っている向井は何かぶつぶつつぶやいている…なんて表情だ、怖いぐらいだ。
「淳平くん」
と、突然西野が身を乗り出し、おれの肩をつかんだ。
形のいい、白い乳房が…先端の赤い乳首が、もろに目にとびこむ。でも、それより目を見てしまう。
「我慢してるんでしょ?」
ほてった顔が、至近距離。
と、のどが鳴るまもなく右腕をつかまれ、右の脇腹から足をやわらかい感触が包む。ついで、右手がとんでもなく柔らかく、弾力のある感覚に押し当てられる。
さつきの脇から抱くように腕を回し、ぐにゅっとゆがむ、手に余る巨乳をつかんでいた。
視界の右を、髪と横顔がおおう。
「え…」
「うわ…」
東城と向井に見られているのが、信じられない。
むっと、西野の顔がちょっと怒ると…それもまた可愛い…唇がやわらかい感覚でふさがれた。
でも、震えている。まだ寒いのか…それとも、さっき危なく死にかけた恐怖が?
だとしたら…おれは、そっと西野の腰を引き寄せた。
正直なことに、右手はそのやわらかい感覚を味わっているのだが。
いつしか、舌を互いにからませていた。空が甘い、赤い霧に包まれるようだ。
そして、ふっと西野が離れ、さつきが立った。目の前に、ハート型のくいっと立った尻が水滴をまとう。
四人とも、目顔だけで話すと…つくづく女子は、なぜ目顔だけであれだけ話せるのだろう…東城と向井も立ち上がった。
「淳平くんも、立って」
立ってます。いや勃ってますから…おっぱいが八つ…
「見せっこしよ、真中…もう、恥ずかしいなんて、五人ともあっちにポイして」
体中真っ赤になった向井がうつむいたまま、かすかにうなずく。
向井の、子犬のような印象の柔らかな肩の曲線。そこから、おへそを覆うように組んだ腕の上に、ぽわっと焼きたてのメロンパンのようなふくらみが二つ。腕でかえって強調されている。
先端にはイチゴジャムに彩られ、意外と大きなさくらんぼが絞りだされるように存在を主張している。
少し引っ込み気味にした腰、ぴったりと寄せたひざ、滑らかな女の子の線を描くふとももと、その間の濃い翳り…
「うわぁ」
「いいよ、一人一人、じっくり見て」
西野の裸体は、おれに呼吸を許さなかった。
むしろ芸術といったほうがいい。何も隠さず、歯を食いしばるように口をちょっと突き出し、後ろ
に腕を回している。
大理石のように輝く、しみ一つない肌。ミロのヴィーナスを思わせる完璧な均整。
くっきりとした鎖骨の線、さっき胸に弾んだ、弾力のある乳房と小さくかわいい乳首。
きゅっとしまった、それでいて少女の清らかささえ残す腰。
対照的に不思議な豊かさをもった下腹部…まさにヴィーナスの丘というべき盛り上がりと、目を奪
う濡れた薄いヘア。
すらっと無駄なく伸びた脚の美しさもすごい。
この世にこんな美しいものがあったなんて。いくつかの映画のタイトルが頭を回るが、あの馬の躍
動より…赤い荒野より…こんな美少女映画でも見たことがあるだろうか…
「すごい…きれいだ…」
「ありがと、でも」
「本当よ、ものすごくきれいなの!とりかえられるなら喜んでとりかえる、本当よ!」
東城の興奮気味な声に、そっちを向いてしまう。
改めてなんだか照れるよう。
「ごめん!」
見えてしまった裸体に、体がすくむ。
「ん、いいよ…いやじゃないなら…」
「いやどころか、」
いやだとしたらそいつはホモか真性ペドだ。
「じゃ、拝見します」
と、おれも首まで熱くなって、あらためて視線を向けた。
ほてった顔もきれいで、濡れた髪が肩からかすかに腕に流れている。
ほっと、鎖骨から前に伸びる坂。やわらかく、そして豊かに張り出し、頂点には輝くようなピンクの小さな干しぶどうとルビーをあわせたような乳首があり、そこから白く美しい球面で下に流れる。
透ける静脈が美しい模様…下乳のつついたら破れそうな柔らかな線…
深く、底が見えない谷間に体がかっと熱くなる。
あまりに美しい乳房に、目がつぶれそうだった。
隠していた手を外し、どうしていいかわからない、顔を覆いたそうに軽く握っているのが可愛い。
かすかに浮く肋骨がまたすごい。
しどけなく流れる柳腰、中央の深くくぼんだおへそ…呼吸が一瞬詰まったのが分かる。
そして、目が下に流れるとあくまで柔らかな曲線。浮き出る骨盤から、膜が張るように薄い三角地帯、深い闇…
「あっ」
小さな、なんともいえない声が漏れる。苦しいぐらいに…恥ずかしいのか…
「じゃあ、メインディッシュ。思う存分ごらんあれ」
さつきの声に、そちらに目を向けた…息を呑み、歯ががちっと音を立てた、それが妙に恥ずかしかった。
「すっ…げえ…」
バスケットボールのようなボリューム感は日本人離れしている。
画面が消えても砂嵐のようにオッパイばかりが目に残る、とハワード・ヒューズの問題作を評した…という薀蓄も吹っ飛ぶ。
それでふと顔を見ると、信じられないほど可愛いことがあらためてわかる。
でも、やはり胸に目が戻ってしまう。ブラックホールのような引力だ。
他もきれいだけど、とにかく…
中心の小さな、ピンクの乳首も、小さめで少しぽつぽつが目立つ乳輪…
右乳の下にかすかに浮かぶ小さなほくろもすごくセクシーだ。
「やっと、本気で見てくれたね…どう、真中?」
見上げたさつきの目には、ちょっとした勝利感と小さな真珠が浮かんでいた。
すべてがすごく美しく感じ、いとおしさがあふれそうになった。
*解説*
早川書房「ハワード・ヒューズ」より
「アビエイター」で描かれた問題作「ならず者」について、検閲側の判事のコメント(ヒューズ本人は百万ドルの宣伝だと喜んだ)
「ジェーン・ラッセルのオッパイは、あたり一面の夏の砂嵐のように、スクリーンからはみだしている。どこを見ても、それしか目にはいらない。それは、彼女が画面に登場した瞬間からそこに姿を見せ、画面から消えても、まだそれだけはそこに残っていた」
「で、誰がいちば」
「だめ!」
さつきの口を、東城がふさいだ。
「いまだけは、それはなしにしようよ」
つぶやく西野が、少し悲しげに微苦笑している。
「あたしなんて…ぜんぜん…」
と、向井が落ちこんでいる。
「いや、そんなことないって!じゅうぶん可愛いよ」
甲乙なんてつけられない。みんな本当に素敵だった。
「ぷはっ、ふぅ、じゃあそれはなしにして、真中のも見せて?」
さつきがにこっと微笑みかけてきた。
「え?」
「これだけ見せたんだから、ちゃんと見せてよね」
…………………………
恥ずかしいが、確かにその通り。
「見たいの?」
「見たい」
と、さつきが即答し、興味しんしんでおれの裸を見つめている。
東城も、西野も。
こずえちゃんも…いや、こずえちゃんは顔を手で覆って、指の間から見ながら、何かつぶやいている。
「そう、そして強引に押さえつけられ、目の前にそそり立つ肉塔をつきつけられて…しびれたように体は、おずおずとそれに口づけ、舌を這わせて、強引に喉奥に押しこまれ、吐き気に耐えながら必死で口全体でご奉仕し、熱い樹液が…」
「わ〜っ!」
「ちょ、ちょっと向井さん!やめてよ!」
必死で西野がこずえちゃんの口を押さえた。こずえちゃんはもう、半分崩れている…
「真中」
突然、さつきの白い目。
「そういうこと、してほしいの?」
…………………………
「いいよ、男の子だもん。わかってる」
と、東城が首まで真っ赤になり、最後は聞き取れないほどの声で、そしてひざまずいた。
「やっぱり男の人って…」
戻ってきたこずえちゃんが、震えていた。
「でも、淳平くんは信頼できるよ。いつだって、あたしを大切にしてくれた。欲情だけで手を出すことはなかったもの。それがあっても、ちゃんと自分を抑えられる優しさがあるんだから、それで十分じゃないかな」
西野がにこっと笑う。
「そう、ですね」
「というわけで、見せて」
さつき…忘れてなかったのか…
逃げ場はなさそうだ。
妙にドキドキする中、湯船のへりに座って、そっと脚を開く…みっともない話だ。
でも、みんな食い入るように見ている。
「ふ〜ん」
「………」
「へー」
「きゃーきゃーきゃー」
なんかすごく興奮してる、女の子が集団になると怖いな…
「で、どうしてほしい?」
いきなりさつきが、にまっとわらって見上げた。腕でもろに爆乳を強調しながら。
「乳首がそっとカリ首をくすぐり、男は喜悦にあえぎ声を上げる…そして四つの巨大な肉の塊が、左右から欲棒を包み込んで…」
「だからそれはやめてって!」
ええと、ええと…そりゃ、そりゃ…いや、
「だから、おれ…みんなそれぞれ好きなんだ、だから嫌な思いさせてまで、気持ちよくしてもらおうなんて思ってない! ずっと、そういう対象として見ないように頑張ってきたつもりなんだ…」
「真中…」
「真中くん…」
「淳平くん…」
「真中さん…」
それぞれの潤んだ目がおれを見上げ、そして…みんながまとめて抱きついてきた。
「そうだよね、でもその優しさって残酷よ。あたしはこんなに好きなのに、抱いてもらうだけでよかったのに、真中、真中」
と、強く吸うキスをしてくるさつき。
「あ、この傷、あたしをかばったときの…」
傷に手を触れ、おずおずと顔を寄せて唇を触れる東城。痛みと心地よさが背筋を震わせる。
西野も、別の傷に舌を這わせてきた…
一度抱きついてからぱっと離れ、おずおずと、まるで子供が猛犬に触れるように、こずえちゃんがおれの肩に触れた。
もう、頭にあの赤い闇…
「やばい、ぷぁ、あ、もう…どうなるか…」
「いいよ」
「いいわ」
「いい」
「いい…です」
四人の声が重なる。
「もう、我慢しなくていいよ、好きにして。難しいこと考えないで」
「うん、一度ぐらい、じゃなくて…好き」
「あたしも大好き。だから、全部あげる。二人きりのほうがよかったけど、それじゃ勇気が出なかったかもしれないから」
「優しく、してください…」
本当に、本当に我慢しなくていいのか?でも…あ〜っ…抑えが…
突然、背骨を電気の龍が走り抜けた。いつしかむさぼるように舌を絡めていた、さつきの柔らかな唇。わずかに下を見ると、東城と西野が左右から、おれのいきりたつものに口づけたようだ…
「くちゅ、ちゅ、ち…真中?」
うっとりと大人のキスを味わっていたさつきが、おれの反応に気づいて下を見た。
「あ、二人ともずるい!」
「ご、ごめんね」
「じゃあ、いっそ…」
四人が目顔で示し合わせ、そのままおれを湯から担ぎ出した。
「大丈夫、真中、さっきちゃんと洗ってたよ…」
「あ、あのさ」
「黙ってて」
西野の言葉に、なんとなく自分に発言権と言うか人権はない気がしてきた。
四人とも目が…
仰向けに横たわり、肉塔を屹立させているおれを囲み、ひざをついて体を倒した…目の前に、東城と西野の尻が、ふとももが!
それだけでもすごい眺めだ。どっちもすごく柔らかそうで、形が…と、また!あの、電気の龍が背骨を走る。断続的に、交互に。
下を見下ろすと、さつきが…こずえちゃんが、そっとおれのいきりたったものに唇を触れた。
「いいって、そこまでしなくても、恥ずかしいんゅあっ!」
ぞわっと敏感な部分をなめあげた舌に、言葉が裏返る。
「気持ちいい? あたしは、真中が、ちゅっ、気持ちよければいい」
「あ、あたしも…大丈夫、よね…」
「ああ…ついにこんなときが…はぁ」
あちこちから唇が、舌が這い回る。
西野の可愛い唇が、亀頭をくわえ、かすかに歯が触れて痛みが走る。
「うっ」
「あ、ごめん! ええと向井さん、どうやればいいの?」
「え、あ、その」
「だから、その妄想どおりにやってみてよ」
「あの、ええと…こう、」
!!!!!!
こずえちゃんの意外と厚みのある唇の、あったかくぬるっとした感覚…そして優しく、先端を舌がなぶる!
「うわっ…」
「気持ちいいんだ…ちょっと貸して」
と、今度はさつきが強引に割りこみ、一気にくわえた。
「ぅぷ、は」
一度出して、
「負けないから…」
と、口をすぼめて吸いつく。
「うぅ」
下半身がどろどろに溶けて、電気の塊になって吸い出されるようだ。
なんて気持ちよさだ…天国…
「じゃあ、今度は東城さんの番ね」
「う、うん…初めてだから、下手だと思うけど、ごめんね」
と、東城の濡れた長い髪が覆うようにかぶさり…
なかなか…始まらない…っ!!!
突然、息の隙をつくように快感が走る。
舌のちょっとざらっとした感覚、ぬめぬめとした唇の内側、頬の内側、たまにかすかに当たる歯…
「う、ぅは、」
「気持ちいいんだ、真中…」
「はぁ、う、あ、な」
他にも舌が、唇が、指が…うわ、たまらない…
「も、もう」
盛り上がり、せりあがる射精感。
「っ!」
声もなく、噴水が四人の顔に炸裂した。
「きゃあああっ!」
こずえちゃんの悲鳴、
「あ…」
あらためておびえたように座りこんだ東城とさつき、放心状態の西野…
なんとなく、初めて気がつく。みんな、さつきだって本当はすごく純情な、いい子なんだ…なのに、おれがはぐらかしてばかりいるから、エスカレートして…申し訳ない…
「ごめん、みんな」
「あ、いいの、びっくりしただけ」
と、さつきが微笑む。
「うん、男の子って、こうなるんだね」
「本と現実とじゃ大違いね」
西野と東城がささやきあう。
「あ…あ…想像と、違う…本当に熱い…」
向井はすっかりおびえている。
「大丈夫?」
と、東城があわててこずえちゃんを洗い流した。
「どうしよう、…真中、…」
さつきが何か、いいたくてためらっている。
その目から、一筋二筋涙がこぼれた。
「さつき? どこか、目にでも入った?」
「ううん、ちがう、ごめん、真中、大好きなの、大好き、でも、でも、…ごめん、こわい、恥ずかしい、」
「淳平くん…あたしも。大好きだけど、みんなで勢いでこんなことしちゃったけど、…」
西野がさつきの顔を洗い、いたわりながら、責めるような目でおれを見た。
謝る…わけにはいかない。西野の、東城の、さつきの、こずえちゃんの気持ちを踏みにじりたくない。おれの気持ちも、誰に対しても…嘘じゃない。
「好きだ、だから傷つけたくない、それに今は」
「選べない、わかってるわよ」
と、西野が寂しそうにつぶやいた。
「さっきなんか結局、四人とも離さずに助けちゃったもの…離してって言ったのに」
「真中くん」
東城が、真剣な目で聞いてきた。
「真中くんは、どうしたいの? 今みたいなこと、もっとして欲しい?」
!!…そりゃ、あんな気持ちよかったことは生れて初めてだ。でも…
大切にしたいから、手は出さない? でも、かえって傷つける…いや、その“傷つける”ばかり考えてるからかえって悪いんだ、東城は…おれがどうしたいのか聞いている。
言っていいのか? おれの素直な気持ち、欲望を…
「いいよ、いって」
さつきが立ち直り、おれに目を向けた…真剣な目。
なぜこれまで気がつかなかった? おれに向ける目が、いつだって真剣だったことに。
ぐっとつばをのみこむ。
「一人、ずつ、ゆっくり知りたい」
口から絞りだすように…口がかわいていくのがわかる…
四人が同時に、はっきりうなずいた。
「順番は、じゃんけんでいいよ」
と、西野がいって、すばやく決めた。東城、さつき、こずえちゃん、西野の順。