「あのさ」  
「あの、」  
 ……  
 おれも、真っ赤になってうつむいてしまう。ちらと見ると、東城も真っ赤。  
「ほら、は〜や〜く」  
 湯の中から、さつきがけしかける。  
「はやかったらだめじゃ、わ、うそ、あたしなにいってるんだろ」  
 西野がパニック状態。  
「え、え…」  
 こずえちゃんも、湯のせいだけじゃなくのぼせているようだ。  
 でも、どうしていいかわからない。熱い頭に、衝撃を受けたような脈動を感じる。  
 体全部が心臓になってしまったようだ。  
 なにか、消え入るような、東城の声。なにをいったのかわからないけど、ドクン、と心臓が口から飛び出しそうになる。  
「ほら、じれったいなぁ、いつまでもお見合いラブラブしてないで」  
 と、背中を押され、さつきとぶつかるように…ゼロ距離。  
 
「淳平くん、何をしたいの?」  
 え?  
「東城さんは?」  
「あ、あたしは…、抱きしめて欲しい、あ…愛して、ほしい」  
 消え入るような声が、口に触れるように響いた。  
「お、おれは…」  
 言っていいのだろうか、していいのだろうか。東城に、みんなに軽蔑されないだろうか。  
 東城が、頭をそっと寄せてきた。  
 ふわっと、いい香りがおれを包む。  
「いい」  
 東城の声。甘い息。  
 いとしさが、はっきりと熱い塊になって胸につきあげ、おれはぎゅっと東城をだきしめていた。  
 熱い! やわらかいのはもちろんだけど、それ以上に。  
「あ…あったかい…」  
「いいなあ」  
 そっと背中をまさぐる。そして、東城の整った顔が目を閉じ、アップで目の前にある。  
 ぎゅっと唾液を飲み込むと、そっと顔を寄せ…ちゅ、と触れるように口づけた。  
 初めてのような衝撃。体がもう、溶け合ったように感じる。すごく東城を近く感じる。  
 
 胸にやわらかい感触が弾むのを感じた瞬間、マグマのようなものがふき出してきた。  
 首に腕を回し、強く唇を押しつける。  
「!!」  
 東城のこわばりに、何かが切れた。もう、考えられない。  
 強く吸う。離さない。息が苦しくなるまでキスを続けた。  
 ぷは、と一瞬離し、あらためて…目を開けたまま、見つめあいながらキス。  
 ぐっと、舌を差し入れた。左手で背中を、お尻をまさぐると、びっくりしたようにまた東城の体がわななく。  
 温もりと柔らかさ、絡み始めた舌の感触に、狂おしいものを感じる。  
 次第に東城の肩から、腰からこわばりが抜けてくる。腰が密着する。  
 思うさま口内を蹂躙し、唾液を味わい、離すと粘性のあるよだれが東城の胸に落ちた。  
「東城…」  
「あ、あの…おねがい、名前で呼んで」  
「綾!」  
 もうためらいもなにもなかった。強くキスし、そのまま唇をあご、頬に落とす。  
 耳たぶにキスし、軽くかむと東城の体に震えが走った。  
「ここ?」  
 何度か耳にキスを繰り返しながら、肩を抱いて隙間を作り、右手で胸を持ち上げた。  
 柔らかい! 想像以上に。弾力があり、温泉で少しぬるっとした、手に吸いつくような餅肌だ。ぐっと力を入れると、好きなように形を変える。  
 がまんできず腰を落とし、赤ん坊のように乳首に吸いついた。  
 ほわっと、温泉につかるようなぬくもりが体の芯から広がる。乳の味なんてないけど、柔らかくはっきりした感覚が、たまらなく吸ったりなめたりすると安らぐ。  
 顔をうずめるように、夢中で乳房にキスの雨を降らせ、舌や指で乳首を転がし、吸いひっぱり、いじめた。  
「あ…ん、もう、あ、だ…は、う…」  
 悲鳴のような声が上から漏れてくる、それもまた心を麻痺させる。  
 
 不自然な体勢で脚が疲れ、もう一度立って抱きしめると、もう東城は立っていられないように、おれに体をあずけてきた。  
 いい匂いがふわっと体をだきしめる。目がとろんとして、いつもの東城とはまるで違う。  
「綾…」  
 ささやき、キスし、それで気がついた。  
 石の床に横たえるのは痛いだろう。脱衣所も木の床で、ふとんになるものはない…おれは東城を一度離し、後ろから抱きしめて両の乳首をつまみ、乳房を交互に持ち上げ、掌で弾ませた。  
「え…?」  
 強く、お尻のわれめにすりつけられる熱い強張りに、東城の体がまた凍りつく。  
「欲しいんだ、すごく、すごく、好きだから」  
 ささやきながら耳にキスし、体を前に傾けさせると手を壁につかせた。  
「ずっと、たぶん、屋上ではじめて会ったときから」  
 これだけは、他の誰の耳にも入らないように小さくささやいた。  
 そして腰をつかんで持ち上げ、狙いをあわせ…  
「お、おねがい、真中くん!」  
 消え入るような、かそけき悲鳴。  
 一瞬心臓をつかまれるような恐怖を感じ、体が止まった。  
「あ、あの、はじめて…だから、優しくして。いつも…さんとするときみたいに…」  
「してない」  
「え、じゃ、さつきちゃんとは」  
「全然手ェ出してくれない、真中ってば」  
 さつきが憮然として答えた。  
「おれも、初めてなんだ…」  
 なんだかものすごく情けなく感じる。  
「あ、そ、そうなんだ。で、でも、あたしも、その…」  
 すごいプレッシャーがかかる。あれほど激しい炎が鎮まりそうだ。  
 
「淳平くん、考えすぎることないんじゃない? そんな難しくないよ、それに、うまくやらなきゃならないなんてないんじゃない? すくなくともあたしのときは、失敗しても気にしないで好きにしてくれていいよ」  
「あ、あたしも…好き、だから」  
 西野と東城の言葉に、どこか気持ちが楽になって…いとおしさがぐっとこみあげてきた。  
「リラックス、しようよ」  
 そう呼びかけると、後ろから抱きついたままそっと胸をまさぐる。今度は優しく、なでるように。  
「やっ…あ、っ」  
 小さく声が次々に漏れる。こっちのほうが気持ちいいのか?  
 乳首を軽く爪の先で引っかき、じらすようにもてあそぶ。  
 右手で優しく全身をなで、ひざやふともももじっくり味わい、濡れた繊毛を軽く、羽をなでるようになでてみた。  
「い、ふっ、ぁふぅ、ま、…」  
 体がびくびくっと反応する。  
「見せて…」  
 と、おれは東城を壁にしがみつかせたまま、後ろにしゃがみこんだ。  
「あ、おねがい、、そ、それ、見ないでぇっ、お、…」  
「かわいいよ、どこもかしこも…」  
 すごくきれいなお尻が、つんと立っている。  
 
 陶然となでまわし、もんでみた。胸とは違うが、すごく柔らかくてすべすべで、これも飽きない感触だ。  
 そして、その下…お尻の穴があることに、びっくりした。写真とは違う、生身の女なんだ…  
 ぶるっと小さく震える。ひくひく動いている。  
 そして、その赤黒いひだはそのまま、まっしろな膚とは微妙に違う、なまめかしい赤っぽい色で前に伸びている…  
 ごくり、と息を呑む。  
 温泉のせいかもう花開き、ひくひく、と震える秘肉。別の生き物みたいだ、おれの肉棒みたいにわかりやすくない。  
 おれはそっと東城のひざの間に手を入れ、そっとひらこうとした。  
「あ…ああ…」  
「開いて、見せて」  
 沈黙、そして…ゆっくりと力が緩み、半歩足が動いた。  
 おれもそこに、優しく触れてみる。  
「ああっ!」  
 東城の悲鳴、わななき。  
 明らかに、温泉とは違うぬめりを感じた。  
 そっとつまんで広げ、中をまさぐってみる。ここかな? 少しだけ、指先を入れてみる。  
「はぅっ、ふ、ああ…」  
 なまめかしい声、激しい反応。指に、温泉のようにしみでる蜜が絡む。  
「ここ?」  
 と、前に見つけた小さな肉の突起に触れると、がくがくっと東城の脚が震えた。  
「あっ、いた…うっ」  
「こら真中! そこは一番敏感なんだから、すっごく優しくしなくちゃダメ!」  
「ご、ごめん」  
 さつきの横槍にふっと気がつき、そっと、そうっと触れてみる。  
「っ…は、ふ…」  
 十分な反応に、すごく満足できる。  
「もう、いいかな…」  
 
 もう一度後ろから抱きしめ、乳房を両手で寄せるように弾ませた。  
 こく、とうなずいた、同時に肩を叩かれる。  
「真中、ちゃんと使って」  
 さつきがコンドームを手渡してくれた。  
 そうだな。  
「あ、…サンキュ」  
 練習どおりつけると、ぐっと…さっきまさぐったそこに、先端を触れさせてみる。  
「ま、真中くん…」  
「優しく、ね。怖いんだから」  
 西野…いや、今は東城のことだけ考える…  
 ぐっと、そっと…と、にゅる、といきなり先端部が呑みこまれた。  
 ぶるっと震えが走る。さっきの口みたいな気持ちよさ…いや…熱い!  
「…んっ…」  
 痛みをこらえる東城の声に、われに返った。  
「い、痛い?」  
「だいじょうぶ…」  
 だいじょうぶじゃないだろ、その消え入るような声は。  
「おねがい、思い切って…」  
 …いとしい!  
 胸がはちきれそうになって、おれは思い切って腰を突き刺した。  
「あ〜っ!!」  
 乙女の悲鳴。  
 
「はあ…はぁ、はぁ」  
 激しく息をつき、痛みに耐える。正直こっちも痛いぐらいの締めつけを感じている。  
 でも、  
「だいじょうぶ? 痛くない?」  
「だいじょ…っ、ぶ、真中くん、大好き」  
 長い髪を乱し、振り向いた目に、涙が浮かんでいる。バカだ、おれは…痛くないわけないじゃないか。  
 どうしてもっと優しくできなかったのだろう。東城にとっては一生の思い出になる、大切な初体験なのに。  
「ごめん、な」  
「ううん! あたしこそ」  
 唇をふさぎたかったが、この体勢では届かない。  
「なにやってるのよ! 真中の初めて取っちゃって、うらやましいったらないわよ!」  
 さつきがかけてきた声に、はっとわれに返った。  
「ごめんね、さつきちゃん…真中くん…、動いて」  
 だいじょうぶか、とかいいのか、とか言わないほうがいいのだろう。さつき、ありがとな…  
 おれはおそるおそる腰を引いて、そうっとまた押し込んでいった。  
 まだ…きつい、抵抗がある。  
 そっとおおいかぶさり、優しく指で乳首を責めた。  
 タイミングを合わせて、ゆっくりと出し入れをはじめる。  
「っ…ん、真中くん…」  
 
 少し、東城の声に艶が混じってきたようだ。気持ちいいのかな?  
 そう意識すると、いきなり気がついた…出し入れするたびに、おれ自身をものすごく優しく、強く抱きしめ、強い刺激で包んでくれている。すごくやわらかいのに、強烈に締めつけてくる。熱が伝わってくる。  
 乳房を揉むと、もうとろけるような柔らかさで心根のやさしさを感じる。  
 息がどんどん甘くなってくる。  
「あっ…ううっ、恥ずかしいよう、見られて…」  
「気にするなよ、今は…」ぎゅっと胸をつかんで抱き寄せ、上体を起こして耳に口づけ、「二人の世界」と小声でささやいた。  
 同時に、きゅきゅうっと強烈な締めつけが答える。  
 もう、止まらない!  
 激しくピストン運動を繰り返し、東城の柔らかな女体を、好きな子と一つになった感覚を存分に味わう。尻肉が腰を打つ音が響く。  
 にちょっ、ぱん、ぐ…ぱんっ!  
 音と感覚、東城の黒い髪…匂い…声…もう…  
 限界はすぐにやってきた。あっけなく。  
「ああっ…」  
 東城の背中に震えが走った瞬間、おれも一気にぶちまけた。  
 どくっ、どくっと熱いのが走り抜ける…頭が一瞬真っ白になる。  
 いつものオナニーとは比較にならない快感だった。  
「はぁ…はあ、はぁ…」  
 激しく息をつく東城にふとわれに返り、あわてて抜くと崩れそうになる体を起こし、ぎゅっと抱きしめた。脚に伝わる血が痛々しいし、処女の証に改めて驚きに似た感慨を感じる。  
 
「だいじょうぶか?」  
「うん…だいじょうぶ…ありがとう、真中くん…」  
「と、綾…好きだ」  
 と、キスをする。ずっとこのままこうしていたいのが正直なところだ。  
 が、東城は  
「もう十分幸せ。次はさつきちゃんの番だよ、ごめんね、みんな…」  
 と、おれを押しのけるようにして、湯にすべりこんだ。  
 
「かなわないなあ、東城さんには…」  
 苦笑しながらさつきが、東城とハイタッチをした。  
「真中」  
「さつき」  
 にこっ、とすごく魅力的な笑みを浮かべる。  
 あらためてごくりと喉が動いてしまう、ダイナマイトボディ。  
 そして引きこまれるような、魅力のある瞳。  
 いつも怖かった…でも、今だけは、暴走して傷つけることを恐れなくていい。何も考えず、溺れていいんだ!  
 それでも、正直びびってしまう。  
「真中、洗いっこしよ」  
 と、さつきが石鹸を手渡した。  
「ほらぁ」  
 
「ほらぁ。この前はなにもしてくれなかったけど、今度は、がまんしなくていいよ」  
 ………………………………  
 よし!  
 おれは石鹸を手でこすり、そのままさつきの胸に手を伸ばした。  
 さつきも石鹸のついた手で、おれの胸に手を置く。  
 むにゅっと持ち上げると、さっきとはまた違う…手からあふれるようなボリュームが、ぬめって伝わってくる。弾力のある脂肪の塊が、おれの手から弾んで飛び出そうとする。  
 それを追いかけるように、泡立てながらこすった。激しく、そしてそうっと、緩急をつけて。  
 手のひらに、つんと立った乳首を感じる。東城とのセックスを見て、感じていたのか。  
 ひきしまったわき腹に手を回し、肋骨を一つ一つ確かめると、さつきが泣きそうな目で抱きついてきた。  
「真中!」  
 激しく唇を吸ってくる。おれも強くキスし、舌を強引にねじこんだ。  
 抱きしめると、胸でぼいんぼいん弾み、石鹸で潤滑されて生き物のようにうごめく乳房の感触がたまらない。  
 腰を落として石鹸を拾い、もう少し泡立てて背中を、そしてお尻を円を描くようにゆっくりまさぐる。  
 あちこち押したりもんだり、マッサージするようにする。  
 キスの合間に、銀の糸でつなげながら顔を見ると、うるんで狂おしいほどかわいく、艶っぽかった。  
 さつきの背中に回り、座って抱きしめる。さつきも素直に身を任せつつ、一瞬でも唇が離れるのが我慢できないように、おれの首に腕を上げて首をねじり、キスを求めてきた。  
 おれも激しく舌をからめ、応える。  
 この胸、キス、飽きない…でも、引き離すように左手でほかの、体中をまさぐる。  
 焦らすようにヘアを触れ、泡立て、それからじっくりとふとももを責める。  
 四つんばいにさせてふくらはぎ、足の指を丁寧に洗ってやる。  
「まなかうっ!」  
 悲鳴に近い、かすれるような声。ぞくっとする。  
 
 もっともっと…  
「まなか、あたしも、あたしも」  
 と、さつきがおおいかぶさってきた。背中をまさぐり、もどかしそうに泡まみれの体をすりつける。  
 二人、子供が泥んこ遊びするみたいに戯れ、互いの性感帯を探っていった。  
「真中、楽しいね」  
「ああ」  
「やっぱり、合うね」  
「さつき!」  
 ぎゅっと抱きしめて洗い場に押し倒し、ぐっと長く堂々とした脚を広げた。  
「ん」  
 恥ずかしげに一瞬顔を背け、そしておれの顔をじっと見つめてきた。  
「いいよ、好きなだけ…」  
 ごく、っとつばをのみこんだ。  
 東城のとは、見る角度もだけどちょっと違う…花弁が多く、色が薄めだ。  
 いろいろなピンク色。  
 その一つ一つのひだに泡をそっと重ね、こすり、つまんで探検を始める。  
「ああっ、真中、あっ、ううっ、あンっ!」  
 腰が左右に揺れ、お湯や石鹸とは違う蜜があふれ、手にねちゃっと絡む。  
 そして、上の…小さな宝石を探り当てた。  
「ん! ずっと、こうしてほしかった、ああっ!」  
 ちょっと細長いつぼみを、そうっと…やさしく…  
 もどかしく、おれは自分とさつきに湯を浴びせて、そこに吸いついた。  
「ああ、だめ、きたな…」  
「洗ったよ、それにさつきに、汚いところなんてない」  
「くぅ…っ、あ、…な…」  
 いつもと全然違う切ない声。圧倒されるような、女。  
 たまらないほどのいとおしさにつきあげられ、体中にキスの雨を降らせた。乳首を唇で噛むようにはさみ、強く吸い上げ、ひっぱる。舌でなめ転がし、音を立ててついばむ。  
「まなか…もう、きて…だいじょうぶ、安全日だから…」  
「あ、だめ! オギノ法だけじゃ安全じゃないの、使って」  
 と、西野がコンドームを渡してくれる。  
 

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