(何だか男の人が多いよ〜・・・)
ココは人があふれる満員電車の中。
こずえは「実際」の男性が怖い。
でも、彼女はその外見とは裏腹に、頭の中では妄想の彼氏と様々なことを繰り広げている。
(こんなときは彼氏が人混みに紛れてコッソリ・・・ってダメだよ!)
と、こんな具合に。
そんな妄想の最中、こずえのスカートに男の手が触れる。
(えっ・・・?た、たまたま触れただけだよね?)
そう思ったのも束の間、その男はその短いスカートの中に手を入れ、
舐めるようにいやらしく彼女の太股を撫で回してくる。
(い、いや!まさか、ホントに痴漢だったなんて・・・!)
男性が怖いこずえには声を上げるなんてとても出来なかった。
ぶるぶると恐怖で震えるこずえ。
男の手が彼女の柔らかな肢体を這い回るたびに、
びくん、と反応する。
(怖いよ・・・!)涙がにじんでくる。
逃げようにも足がすくむ上に、人が敷き詰めあっていてとても動ける状態ではなかった。
(こんなことされてるところを誰かに見られたら!)
こずえは「助けて欲しい」と「でも痴漢されているところを見られたくない」という
ジレンマに揺れ、結局びくびくと怯えるだけだった。
何も抵抗してこないこずえに味をしめたのか、男の行動は更にエスカレートしていく。
なんと彼女の下着の中に指先を入れ始めたのだ。
いきなりの行動にこずえは思わず、
「ひゃあっ・・・!」
と甘い声を漏らしてしまう。
こずえは自分自身でもこんな声が出てしまうとは思わなかった。
「痴漢されている」、それはとても屈辱的なこと。
それなのに、「感じてしまっている」ような声が出てしまったことは、とても恥ずかしいこと。
それを認めたくないこずえは、(びっくりしただけ・・・びっくりしただけだよ!)と
自分自身にひたすら言い聞かせていた。
だがやはりこの声は、明らかに痴漢側に「感じている」と思わせてしまう結果となった。