いちご100%  

帰ったら西野に電話しよう。  
そう合宿の時思って、今に至る。  
久しぶりに西野へかけるなぁ。あ〜、やべぇ。緊張してきた。  
後ろでは母さんが爆笑してる。何がそんなにおもしろいんだ?  
そう思いながらボタンを押す。そして、聞き慣れたコール音が耳に届く。  
「あれ?西野出ないなぁ…。」  

 
 

キスは握手と同じ…か。  
そんなのわかんない。したことないし。  
でもあたしは――――淳平くんに…。  
そう思ってやめた。あたしはこれ以上淳平くんに求めない。  
だって、だってさ、淳平くんは東城さんが好きなんでしょ?  
それとも、あのポニーテールの娘かな。  
あたしには何にもない。胸だって大きくないし、  
東城さんみたいに素直でいい娘でもない。  
淳平くんだって、あたしなんかより、  
東城さんみたいな娘の方が好きだよね。きっと…。  
そう思うと、自然と涙が溢れ出る。  
ばかっ、何で泣くの?しっかりしなさい、つかさ。  
そう自分に言い聞かせる。  
これ以上淳平くんに求めない、これ以上淳平くんに求めない、  
これ以上淳平くんに求めない、これ以上………――――  
だけど…それでも…。溢れてくる、この思い。  
「淳平くん…。好き…。」  
そう、囁いた。  
その時、聞き慣れない着メロが鳴った。  

 
 

真中は少なからず混乱していた。  
『会いたい』  
そう、西野は言った。とりあえず今は全力で走るしかない。  
泣いているように聞こえた。それは、あの時の東城を思い出したからかな。  
嫌だった。これ以上誰かの泣き顔を見るのは嫌だった。  
それが自分の所為ならなおさらで。  
とにかく、西野の家へ急いだ。  

だけど…  
「走ってきてくれたんだ。ありがとう。」  
そう言って西野は笑った。拍子抜けした。  

「それで、これは何?」  
「これ?知らないの?いちごのショートケーキだよ。」  
わざととぼけてみる。ホントに奇跡みたい。  
まさか淳平くんと過ごせるなんて。つい、嬉しくて。  
でもやっぱり知らなかったんだね。当たり前だけど。  
「今日は、あたしの誕生日なんだもん。」  
あ、やっぱり。予想を裏切らないよね。そのリアクション。  
そんな淳平くんがすっごく好き。優しいよね、ホントに。  
え?何?  
「欲しい物言って!欲しい物!!」  
……………え?  
欲しい物?  
「なんでもくれるの?」  
何でも…くれる?  
だったら………―――  
『キスなんてのは握手と同じだよ』  
ふと、あの男の台詞が浮かぶ。  
何でもくれるなら…だったら…だったら…。  
そう思って止める。もう、さっき決めたでしょ?  
「じゃあ…握手してくれる?」  
だって、これが―――多分。  
「多分、今はこれがあたしが淳平くんに望んでいい、せいいっぱいだから………。」  

西野が何を考えているのか分からない。  
だけど、だけど…。  
気が付けば手を差し出していた。そういえばこうやって握手するの初めてかも。  

ぎゅっ…  

西野の手はすごく柔らかくて繊細で。  
ちょっと触っただけで壊れてしまいそうだった。  
西野は照れたのか、すぐに放して家に帰ろうとして。  
慌てて「おやすみ」って言った。  
西野の右手も俺みたいに熱を帯びているのかな…。  
そう思ってたら急に体が寒くなって、意識が遠のいた。  
遠くで西野の叫ぶ声が聞こえたけど…何て言ったかは分からなかった。  

 

「ん…?」  
気が付くと真中はベットに横たわっていた。  
「ここは…どこだ…?」  
起き上がろうとして、ふと、横を見てみると…  
「………!!」  
言葉にならなかった。目の前に西野の寝顔。  
真中の息を飲む気配が分かったのか、うっすらと目を開け  
「いっけない。いつのまに眠って…あっ!淳平くん気が付いた!?」  
とか言いながら急に顔を近づけてきた。  
「ちょっ、ちょっと…西野…っ!」  
赤くしながら後ずさりする真中。構わず近づけ、  

こつん  

おでことおでこがぶつかる。  
「…よしっ。大分熱は引いた、っと。もう、ホントに吃驚しちゃった。」  
安堵の溜息を漏らし、椅子に座る。  

真中はいまひとつ状況が掴めず、しかも目の前に迫った西野の顔でドキドキ。  
「えーっと…一体、何が…?っつーか、ここは…?」  
やっとのことで出た言葉。その言葉に濡れたタオルを絞りながら西野は答えた。  
「ここは、あたしの部屋。前に来た事あるでしょ?えーっと、それでね、  
淳平くん、あの後、急に倒れちゃったんだよ?何か音が聞こえて、  
慌てて見に行ったら淳平くんが倒れてるんだもん。驚いちゃった。」  
そう言って「やれやれ」といった感じの仕草をする。続けた。  
「あ、心配しなくても大丈夫。お母さんにもお父さんにも事情説明したし、  
淳平くんとこにも電話して、今日は泊まるって言っといたから。」  
「そっか…。ごめん。何か、迷惑かけてばっかりで…。……ん?泊まる…?  
えっ!?何!?いっ、今何時!?」  
今更ながら焦ってベットから飛び出ようとする真中。それを制止しながら西野が言う。  
「淳平くん落ち着いて!まだ安静にしてなきゃ!!うん。落ち着いて?  
…今は朝の9時。あたしの親はもう出掛けちゃって、今はあたし1人だよ。」  
「え?いや、だって、西野は学校が…。」  
「淳平くんが熱で倒れてるのに学校なんて行けるわけないでしょ!  
もう、あたしがどれだけ心配したのかわかってるの…?」  
西野の声が小さく、涙声になる。  
俯いて、必死で涙をこらえている顔が容易に想像できた。  

「西野…ごめん。俺が…俺がもっとしっかりしてたら…。はは…もう、  
西野呆れちゃってるよな…。こんな情けなくて、弱くて、ダサい男なんてさ。  
何にもできてない。中途半端で。西野も泣かせちゃうし…迷惑かけちゃうし…。  
西野は高校に行って頑張ってるのに、俺は…俺は…何にも……ない。ごめん…。  
本当にごめん。」  
力なく、自嘲気味に真中は言った。気が付けば西野は顔を上げて真中を睨んでいた。  
あぁ、ビンタされるな。そう思った瞬間。  

ふわっ  

一瞬、何が起こったかわからなかった。  

 

「にっ、にっ、西野…っ!?」  
真横にある西野の顔。真中は西野に抱きしめられていた。  
「そんなことない。淳平くんは淳平くんだよ?あたしは淳平くんに何度も助けられた。  
そんなに自分を責めないで。あたしは、そんな淳平くんが大好きだから…。  
だから…そんなこと言わないで。」  
西野はそう言って体を離し、ちょっと顔を赤らめながら微笑んだ。  
「あは。なんか恥ずかしいね。ゴメンね。抱きしめちゃったりして。」  
真中も同様に赤くなって何も言えずに、視線のやり場困って、  
何か言おうと思って部屋を見渡してると…。  
「あ………。」  
思わず声に出た。あれは…。  
「?」  
西野が不思議に思いながら真中の視線の方向を見た。  
そこには…西野の机の上にあった「それ」は。  

「…っ!!見ちゃ駄目!!」  
急いで立ち上がって「それ」を机の中に隠す。  
「西野…今のって…。」  
西野は顔を真っ赤にしたまましばらく俯いていたが、  
やがて観念したように机の中から「それ」をまた取り出して真中に渡した。  
「…そう。淳平くんの第2ボタン。失くしちゃいけないから、すぐ仕舞っておいたの。」  
真中の見つけた「それ」は卒業式の日に西野にあげた第2ボタン。  
きれいにプラスチックの箱に入れてあって、かなり大切に保管されていたようだった。  
この時、真中は自分の気持ちに違和感を覚えていた。  
いや、ずっと前からあったのかもしれない。ただ、東城やさつきのこともあって、  
それをうやむやにしていただけだったのかもしれない。  
(俺は西野が好きだ。)  
そう認めてしまった途端、真っ赤な西野を無性に抱きしめたくなった。  
「西野…。俺…俺、さ…。」  
やっぱりいざとなったら言い淀んでしまう。そんな自分にイラついたが、開き直った。  
(俺にこんな台詞は似合わない。)  
そう思ってすぐに行動に移す。  
「ちょっ…、じゅ、淳平くん…?」  
驚いて声をあげる西野。真中は西野を抱きしめていた。  
西野の温かさが伝わってきて、自然と声が出た。  
「くさい台詞は俺には似合わないし、どうやって言えばいいかも分からない。  
だけど、これだけは確かなんだ。西野、好きだ。」  
そう言って、両腕に力を込めた。  

西野は少し遠慮がちに真中の後ろへ手を回し、涙声で言った。  
「淳平くん…。ありがとう…。本当にありがとう…。あたし、淳平くんを好きになってよかった。  
色々あったけど、今、こうして淳平くんと一緒にいられるから、もう、それだけで…それだけで…。  
嬉しいよぉ…。……淳平くん…。あたしも…好き。大好きだよ?」  
もう、言葉にならなかった。西野への愛しさが溢れて、真中はもっと強く西野を抱きしめた。  
西野もそれに答えるように力を込めた。  
2人はしばらくそうしていた。そして。  
「西野…。」  
「淳平くん…。」  
2人は顔を見合わせ、ちょっとだけ触れるくらいの、短い、初めての、キスをした。  
瞬間、2人は今までのお互いのすれ違いが全て埋まった気がして嬉しくなって、笑った。  
「西野、今まで、ごめん。…ありがとう。」  
「ううん。いいの。でも、これから、ずーっと、ずーっと一緒だよ?  
東城さんとかと、浮気しちゃ駄目だよ?約束っ!」  
「あぁ、約束!」  
2人は微笑んで、もう1度キスをした。  

2人はそのまま楽しい時間を過ごした。  
高校生活のこと、お互いの気持ち、中学での思い出。  
全てが新鮮で、あの頃は深刻な問題だったけど、今では懐かしい楽しい思い出ばかりだ。  
こうして2人で笑って話せる。その「今」があるだけで十分だった。  
…なんてことを考えていた時に訪れる一瞬の沈黙。  
お互い、何を思っているのかは分かっていた。  
「西野…。俺、西野を抱きたい。」  
恥ずかしいはずなのに、不思議と自然に声が出た。  
「…うん。でもね、淳平くん…。」  
「分かってる。西野を傷つけたりしない。雰囲気に流されてるわけじゃない。  
ただ、西野が好きだから。それだけだよ。」  
不安そうな西野に優しく声をかけ、そっと抱きしめる。西野は真中の自分に対する優しさ、  
愛しさが感じられて、ただただ頷くしかなかった。  
「淳平くん…。ありがとう…。あたし、もう迷わないよ。淳平くん。…あたしを抱いて。」  
真っ赤な西野に真中は優しく微笑んで、そっとキスをした。  

キスが短いものから長いものに変わっていく。  
「んっ…っ……あ、はぁっ…。」  
唇が離れる度に西野が苦しそうに息を吐く。目に涙を浮かべながら真中に抗議する。  
「ち、ちょっと…淳平くん…っ!?…もうっ…苦しいよ…。」  
その言葉に物凄く反応し、慌てて離れる真中。  
「あっ…ご、ごめん!その…や、やり方とか知らなかったし…。ごめん!」  
平謝りの真中をきょとんとして見ていた西野だったが、急に笑い出した。  
「ぷっ…。あ、あははははは。じゅ、淳平くん…そんなに謝らなくても…。あははははは。」  
西野の爆笑に今度は真中がきょとんとしたが、やがて自分がムードを読まずに  
思いっきり取り乱してしまったことに気付き、1人赤面した。  
「に、西野…。そんなに笑わなくても…。」  
「あはは…ごめんごめん。だって、だってさ…。あははははは。」  
再びツボにはまったようで、また笑い出した西野。  
どうにかして笑いを止めたかった真中は、顔を真っ赤にしながらも、  
笑いが止まらない西野の唇をもう1度奪った。  

「あははは…っ!?んぅ…。」  
驚きで目が一瞬見開いた後、すぐにとろん、とした表情になる西野。  
その様子を見て、真中はそのままキスのポイントを下に下げていく。  
首筋、鎖骨。敏感になっている西野の肌はちょっと息がかかるだけで反応した。  
「あんっ…く、くすぐったい……あっ、はぁっ…。」  
首筋辺りを行ったり来たりしながら、真中は右手をそっと西野の胸に置く。  
「ん…。」  
少し身を縮める西野。ある程度の緊張は仕方ないが、これ以上西野が緊張しないように、  
ゆっくり、優しくこねていく。  
「あぁ…。んっ……。あ、ふぅ…っん…。」  
少しずつ緊張が解けてきた感じが分かる。真中はそのまま西野の服を脱がし始める。1つずつ、丁寧に。  
西野はその行為が、自分をすごく大切にしてくれてることが十分に伝わってきて嬉しかった。  

そして、下着だけの姿になった西野。真中は少し体を離して、西野を見る。  
西野は恥ずかしさのあまり、怒った。  
「もうっ。恥ずかしいよ…。そんなに見ないで…。胸もそんなに大きくないし…。」  
「ご、ごめん。でも、そんなことないよ。…す、すごくきれいだ。」  
「…ありがと。でも、やっぱり恥ずかしい…。」  
恥ずかしがる西野に何回目かのキスを落とし、下着越しに胸を揉んでいく。  
上からでも先端が堅くなっていることが分かった。  
「んぅ!あっ…あぅ……。じゅ、淳平くん…。あ、あぁん!」  
自分の声とは思えないほどの甘い声に西野は「恥ずかしい」を通り越して、  
高揚とした気分になってきた。  
「んん…。あっ、は、あぁっ…。」  
真中はそのままブラを上にずらし、直に西野の胸に触れる。  
滑らかな曲線を描く西野の胸はきれいに整っていて、ほんのり汗ばんでいた。  
真中は右手で胸を揉みながら、左の先端に舌を這わせる。  

「あんっ!だ、だっ…め…っ…。んん!あっ…あぁ!」  
西野は初めての快感に戸惑いながらも真中にしがみつく事で落ち着こうとする。  
そのまま真中は、つん、と上に向いているピンク色の先端を口に含む。  
「あぁっ!!あぅ…っん!あ、はぁっ…あん!」  
さらに真中はそれを口に含んだまま、舌で転がす。  
「あん…。そ…そんなことしないで…。あ、ふぁ…。」  
西野は口では抵抗しつつも、真中のされるがままになっていた。  
真中はそのまま西野の胸にいくつものキスマークを残した。  
先端を時には甘噛みしたりしながら。  
やがては反対の胸に行き、同じようにキスマークを残す。  
「くっ…んん!!あっ!あぅぅ…。そんなの残したら…あぅ!んん…。あっ…。ば、ばれちゃうよ…?」  
西野が言う。だが西野は自分と真中の仲の証が出来たみたいでどこか安心し、嬉しかった。  
「うん…。でも、俺、西野との仲が壊れるのが怖くて…。  
何か、証みたいなのが欲しかったんだ…。西野、怒ってる…?」  
行為を止めて真中が聞く。西野は即答した。  
「そんなことない!あたしだって淳平くんと離れるのが怖かった…。  
だから、淳平くんも同じ不安を持ってることが分かって嬉しい…!  
あたし達、ずっと一緒だよ…?」  
西野が抱きつく。真中は返事の代わりに、微笑んで西野にキスを落とす。  

胸を優しく揉みながら、唇を今度は胸を通り、へそに行く。  
「あっ、ふ、ふぁ!?じゅ、淳平くん…っ!そ、そんなとこ…!!あっ!あん!!」  
先程とは全く違う快感に西野の息も上がっていく。  
唇はへそに行きながら、胸への愛撫も続ける。  
先端を軽く摘まみ、弾く。激しく揉んだり、優しく揉んだり。  
「あぁぁっ…!だ、だめっ…!そ、そんなに激しく…っ…ん!んん!!あっ、はぁっ…!!  
き、気持ち、いい…っよぉ…!はぁ……っん!!ね、ねぇ…っ!?あ、あたし…っ…!  
な、何か…何か…あ、はぁっ…く、来る…よ…!?あっ、あぅ!」  
へそと胸への快感が同時に西野を襲い、背中を思いっきり反らし、一気に絶頂に登りつめる。  
「西野…。大丈夫。俺はいるから…。素直に感じて。」  
さらに真中は背中へ手を回し、優しく撫でる。それだけでも西野は十分に達する事が出来た。  
だが、真中はとどめと言わんばかりに、いつもより強く先端部をきゅっ、と摘まんだ。  
「ああぁっ!!じゅ、淳平くん…!も、もぉ…っ!だ、だめぇ…っ!!来るよ!?き、来ちゃう…!  
あぅ!あん…っ!!あっ、はぁっ…んん!!あっ、あぁぁぁ!!!!!」  
西野は背中をピーンと伸ばし、そのまま真中の上に倒れこんだ。  

「あん…あ、はぁ………。」  
真中はぐったりとなった西野を優しく抱き留める。西野も真中の後ろに手を回す。  
「ん…。すごく、気持ちよかったよ?淳平くん…。でも…あはっ、やっぱり恥ずかしいな…。」  
そう言って、きゅっと真中にしがみつく。  
「うん…俺も……その、気持ちよかった…。」  
真中は西野の頭をぎこちないながらも、撫でながら、  
自分の胸あたりに西野の胸が当たっていることを極力意識しないように必死に耐えていた。  
しかし、その努力も水の泡となる。  
「ね…。でも、あたしばっかり気持ちよくなっちゃダメだよね。  
今度は、あたしが淳平くんを気持ちよくしてあげるから。」  
西野はそう言うと少しずつ顔を下げていく。真中は焦った。  
「い、いや、いいって!俺、十分気持ちよかったよ!?西野のその気持ちだけで十分だから!」  
「だ〜め!あたしばっかり恥ずかしい思いとかさせてさ…。…上手くできるかどうかわかんないけど  
…淳平くんが好きだから…だから、ね?大人しくしなくちゃだめだぞ!」  
「で、でも…あんなグロテスクなの…。に、西野に、そんなこと……。」  
西野は止めない。そして、真中のその部分に顔を近づける。  

「…っ……!」  
真中は息を呑んだ。さっきの西野の胸の感触で真中のそこは熱を帯びていた。  
まず、西野の手が触れる。初めて人に触られたからか、一瞬、びくんと跳ねる。  
「きゃ…。じゃ、淳平くん…行くよ…?」  
真中はただ頷くしかできなかった。ほんのちょっと触れられただけで達してしまいそうで、  
必死に耐えるだけで精一杯だった。  
「ちゅ…ん…。は…んむ…。んん……。ぷはっ…。淳平くん…気持ちいい…?」  
1度顔を離して、上目遣いで尋ねてくる。  
もう、そのアングルだけで真中には十分だったが、気力で耐えた。  
「う、うん…。すっげぇ気持ちいい…。だから…も、もういいよ…。」  
「もう!ダメって言ってるでしょ!?絶対淳平くんに満足させてやるんだからね!」  
真中の言う事には耳も貸さず、西野はまた行為を始める。  
「はむ……んん…っちゅ…はっ……ぅん…。」  
西野の口には収まりきらないのに、目に涙を浮かべながら必死でする西野を見て、  
更に西野への愛しさが溢れる。  

「…っ……に、西野っ…!!」  
真中の限界も、もうすぐそこまで来ていた。  
「んん…!っふむ…。ぅん…ふぁ…っはん…ん…。」  
「も、もうダメだ…!西野…!も、もういいから…に、西野…!!」  
西野は顔を振り、止めない。真中は本当に限界だった。  
「くっ…っくあ…あぁ…。」  
どくん、と1回波打って西野の口の中に出される。  
西野はその後、少し苦しそうな顔をする。しかし、そのままこくん、と音を立てて飲み込んでしまった。  
「っぷはぁ…。けほっ…。ん〜…、苦いね…。でも、淳平くんのだし…。ね、気持ちよかった?」  
放心状態だった真中は、西野の問いかけではっと我に返る。  
「え…?そ、そりゃもちろん…じゃなくて!!に、西野…そんなの飲んじゃって…ご、ごめん…。」  
真中は謝る。だけど、西野は首を振って答えた。  
「ううん。違うの。あたしがしただけなんだから、淳平くんが謝る必要は無いよ?  
淳平くん、気持ちよかったんでしょ?あたしは淳平くんがそう感じてくれれば、それだけで嬉しいから。」  
そう言って微笑む西野。真中は自分がどれほど幸せかを体の奥から感じた。  

 

そして、真中はそっと西野の足を開く。  
西野は顔を赤らめながら、素直に足を広げる。  
現れた綺麗なピンク色からは、透明な愛液が流れ出ている。  
「じゅ、淳平くん…。」  
自分の1番恥ずかしいところを見られていることで更に西野の興奮は高まっていく。  
真中はそっと指を這わせる。その瞬間、今までとは比較にならない程の快感が西野を襲う。  
「あぁぁ!!んん!!…っ…ふぁ…!!あっ、あん!!」  
真中は中心部には触れず、周りを撫でるように触っていく。  
「あぅ!あっ…は、あぁん!!んっ…!い、いやぁ…あ、あぁ…は、はぅん!  
んん!!あっ…あぅ…んっ!」  
西野はどこかに飛んでいってしまいそうな自分の意識を引き止めるために、  
真中にしがみつき、シーツを握り締める。  
西野のそこからはさっきよりも多くの愛液が溢れ出る。  
そして、それが真中の指を、自分自身の太ももを濡らす。  

「あぁ…、あん!!…ぅん……。あっ!じゅ、淳平…く…んっ!」  
真中はまだ中心部に触れない。手は行ったり来たりを繰り返して、口は2つの膨らみへ舌を這わす。  
その先端への刺激はさっきとはまた違う快感であり、西野は新鮮な感覚ばかりだった。  
「じゅ、淳平くん…!あ、あぁ…。も、もう…あぁ!が、我慢できない…んんっ…よ、ぉっ…あぁ!!」  
その時、真中はきゅっと先端を摘まみ、甘噛みをし、中心部に指を這わせた。  
「あっ…ああああぁぁっっ!!?」  
一瞬だった。たった一瞬の出来事だった。何とか繋ぎとめていた意識は一気に飛んでいった。  
頭が真っ白になり、強烈な快感が西野の体中を走る。  
びくっと体を震わせ、西野は2回目の絶頂を味わった。  

「あぅ…はぁ…ん…。」  
真中はまだ荒い息をしている西野にそっとキスを落とし、まだ溢れ出ている愛液をすくい取るように舐めた。  
「ひゃっ…、あ、あんっ…。じゅ、淳平くん…?…っ……。あ、あぁ…。」  
舐めても舐めても溢れ出る愛液。西野はまた求め始める。  
「あぁっ…!淳平くん!!んっ…。も、もっと…。あ、あぅ!!」  
そして、真中はそっと言った。  
「西野…入れるよ…?」  
西野は一瞬びくっと震える。真中は西野の不安をできるだけ除こうと優しく言った。  
「大丈夫。優しくするから…。俺が居るから。安心して…?」  
西野は微笑んで言った。  
「ん…。ありがとう。あたしは大丈夫だから。来て…。」  
真中は頷き、そっと腰に手を当て、そして、真中のそれを西野の入り口に当てる。  
一呼吸置いた後、真中は挿入を開始した。  

「…くっ……あ…いっ…。」  
痛みに耐える西野。真中は少しずつ、少しずつ、西野の顔色を覗いながら入れる。  
その行為が西野には届いたのだろう。少し笑って言った。  
「あ…ふぅ…。淳平くん…?気、遣わなくていいよ…。淳平くんがあたしを大切にしてくれてることは、  
十分分かったから…。ん…。」  
「いや、それじゃ俺が納得できない。できるだけ努力するから、痛かったら言ってよ。」  
真中のいじらしいまでの気遣い。西野は嬉しくて、ただ頷くだけだった。  
ゆっくりだけど、確実に真中自身は埋まっていく。  
「く…ふぅ…はぁ……ん…。」  
そしてようやく真中の全ては埋まった。  
西野は想像を絶する痛みに必死で耐えていた。そこまで西野を耐えさせていたのは、  
真中との証の欲しさ、1つになった嬉しさが痛みより勝っていたからだ。  

「西野…大丈夫?やっぱり止めようか…?」  
真中が見かねて西野に聞く。西野は首を横に振る。  
「ううん…大丈夫。そ、それより、お願いがあるんだけど、さ…。」  
「え?何?」  
「えっと、ね…?あたしのこと、『つかさ』って呼んでくれない…?」  
「え…?あ、うん。分かった。にし…じゃなくて…えっと、つ、つかさ…。」  
恥ずかしそうに小さい声で言う真中。その様子がおかしくて、西野は笑った。  
幾分、痛みもマシになってきた気がする。  
「あたしは大丈夫だから、動いていいよ…?」  
真中は少し躊躇ったが確かによくなっていると思い、ゆっくり動き始めた。  

「…っ…んん……あぁっ…くっ…。」  
真中の動きに合わせて、西野も呼吸を繰り返す。  
真中は少しでも痛みを紛らわそうと、西野の胸、そして陰核を刺激する。  
「んん!!あっ、あん…。ふ、ふぁ…。」  
西野の中も、痛みより快感の割合が増えてきた。  
「あぅ…、淳平くん…!!も、もっと動いていいよ…?だ、大丈夫だから…。んん!!あっ、あん!」  
真中も西野の中をたくさん感じていた。  
西野が声を上げるごとに、もともと締まっている中をもっと強く締め付ける。無意識の内に動きが速くなる。  
「あぁっ!!だ、だめっ!!んん!あ、あぅ…は、…あん!!い、いい…!あ、あぅ!!」  
さらに動きが激しくなる。西野も真中に合わせて、自分の1番奥へ何度も何度も導く。  
「ん…っ!!ふ、ふぁ…!あぅ…。んっ、ん!!」  
真中は西野にキスをしながら、胸を愛撫し、陰核も親指で細かく振動させる。  
「あああ!!!そ、そんなとこ…!あぁ!!いやっ!あっ!あん…っ!」  
徐々に絶頂へ近づいてくる。それはお互い感じていた。  

「つ、つかさ…っ!お、俺…っ!!」  
「淳平くん…!あ、あたしも…もぉ…!!」  
2人は無意識の内に体を密着し、激しく腰を動かす。  
「んん!!あ、あぅ!!あっ、はぁ…!!あぅ、あん!あっ…あぁ!!」  
そして、2人が1番奥で繋がったその時。  
「あっ、ああああああぁぁぁぁっっっ!!!!」  
「っ…く、くぅ!!」  
2人は果てた。  

 

2人はそのまま余韻に浸っていた。  
しばらくして、全てを使い果たした感じの気だるい体を無理に起こし、肩を並べて寝転ぶ。  
目が合った時、何となく恥ずかしくて2人して照れ笑いした。  
「ありがとう…。淳平くん…。」  
「いや、俺こそ、ありがとう。今までごめんな…。」  
西野は首を振って目を閉じ、少しあごを上向ける。  
真中は微笑んで、そっとキスをする。  
些細な事かもしれない。だけど、2人にはこれだけで十分だった。  
そして、手を繋いだまま静かに時間は流れた。  

 
 

帰り際。  
「う〜ん…。俺さ、やっぱり『西野』って呼ぶよ。何か言いにくいや。」  
「そう…?でも、いいよ。淳平くんの好きな方で。だけどさ…。」  
「?」  
「あたしの名字が『真中』になっちゃったら、『つかさ』って呼ばなくちゃだめだぞっ!」  

Fin  

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