「ただいまー・・・」  
少しかすれそうな声で俺は家族に存在を知らせた。  
「お帰りー」  
親の間延びした声が返ってくる。  
日常の習慣に従って靴を脱ぎ捨て、フローリングの床に足を乗せる。  
そして眼を上げると、俺達の部屋のドアの間から顔を出している唯と眼が合った。  
足を前に進めて俺達の部屋へと歩く。  
顔を横に向けて居間の両親に向かって、「ただいま」と呟いて素通りする。  
母親の「ごはんすぐだから」という声が後から追いかけてきた。  
唯の顔が近付いてくる。  
そして俺の顔が触れそうになり、唯が「おかえり」と背伸びをして俺の耳の傍でささやいた。  
俺は答えずに、そのままの距離を保ってドアを開けて後手に閉めると、  
唯の頭と体に手を回して強く抱きしめた。  
すると緊張の最後の糸が切れ、俺は大きく息を吐いた。軽く足が震えてくる。  
「・・・どうしたの?淳平?」  
唯が俺の背中に手を回して心配そうに訊ねる。  
俺は大きく息を吸い込んで胸の中に暖かい空気を送る。  
唯の甘い匂いが俺の体を優しく包み込む。  
緊張から解放され、例えようもなく甘い感覚が俺の体を満たしていった。  
息を整えながら、暫しの沈黙のあと、俺は体を離して、唯の顔を両手で挟んで「ただいま」と答えた。  
「もう・・・なにかあったかと思ったよ・・・。」  
俺の手を自分の柔らかい手で包みながら目を閉じた唯が呟いた。  
俺が浮かべた苦い微笑に目を開けた唯はすぐに気付いた。  
「それとも、なにかあったの・・・?」  
その唯の言葉は、タイミング悪く、母親の「ごはんよー。」という声によって中断された。  
いぶかしそうな眼をした唯の顔をもう一度両手でそっと挟むと俺はささやいた。  
「唯、そのことはあとで話す。  
 でも、唯、お前はなにも心配しなくていいんだ。  
 全部俺がしてきたことなんだから。」  
唯の大きな瞳がじっ、と俺といくらか互いを読み合う。  
 
「・・・わかった・・・。  
 でもあとでちゃんと話してね?」  
唯の両手が俺の手を放して俺の顔に触れる。  
「・・・約束にキスして。」  
言われるまま俺は唯の顔をゆっくり引き寄せてそのまま柔らかい唇に口を重ねた。  
ささやかな幸せの感覚と少しの悲しみのひらめきが、目を閉じた俺のまぶたの裏をくすぐった。  
そして口を離して見詰め合う俺と唯にもう一度母親からの号令がかかった。  
「行こうか・・・。」  
「・・・うん・・・。」  
俺はそっと唯の手を取ると自分達の部屋のドアを開けて居間へと足を踏み出した。  
そして居間との仕切りから俺が顔を出すとき、俺は唯の手をひときわぎゅっと強く握ってそっと離した。  
 
居間のこたつ机の上には鍋が湯気を立てて乗っていた。唯と俺はこたつ机を挟んで向かい合って座った。  
「ホント、唯ちゃんたら感心なのよー。  
 今朝は朝ごはん作るのまで手伝ってくれて」  
そう言いながらおたまと箸を持った母親が俺達の横に座った。  
「そんなのあたりまえですってば。お手伝いくらいできないと居候がつとまらないですから。」  
唯はいままでのように振る舞っている。  
「それは頼もしいなあ・・・。」  
横に座っていた父親が箸を伸ばす。  
母親が唯の皿に鍋の身を入れている間、俺はテレビのほうを見ていた。  
ふと唯のほうに目をやると、同じようにテレビを見ていた唯と同じタイミングで視線が絡んだ。  
目が笑う。両親はそれには気付いていなかった。  
 
それから何度か唯と視線を交わしながら俺は食事を進めた。  
「ごちそうさま。」  
俺は唯よりも早く夕食を終えるとそう言って席を立った。  
そして自分達の部屋へ戻ると椅子に座って、背もたれに体重を預けると溜息を吐いた。  
そのうち慣れるのだろうか、この状況に。  
それよりも・・・唯に今日のことをなんと説明すればいいのだろう?  
 
居間の方から「ごちそうさまー。」という声が聞こえて、廊下を歩いてくる音がする。  
椅子を回転させてドアの方を向く。おそるおそるドアが開き、唯が顔を出した。  
そして唯は両手でドアを静かに閉めると、椅子に座っている俺の頭に手を乗せた。  
「どうしたんだよ・・・またそんな顔しちゃって・・・。」  
口調が姉貴風になっている。俺が話しやすくなるようにしてくれるつもりなのだろうか。  
口をつぐんでいると唯が俺の頭を引き寄せて両手で抱きとめた。  
唯の大きくはないセーターの胸の谷間に俺の顔が埋まる。暖かい。  
俺も唯の背中に手を回した。甘い匂いが再び俺の顔を包み、俺は目を閉じた。  
今こうして唯の優しさに触れていると俺の選択は間違っていなかったと思える・・・。  
 
俺はぽつりと呟いた。  
「唯、見せたいものがあるんだ・・・。」  
「・・・ん?なに・・・?」  
「ちょっと外に出れないと見れない。」  
「うん・・・。」  
「行こう。」  
俺は唯の体から少し名残惜しく顔を離した。  
そして唯の背中を押しながら、椅子から立ち上がってドアノブを回す。  
唯の前に立って俺達の部屋を出ると居間の前を通りながら「俺達、今からコンビニに行ってくる」と親に告げた。  
「行ってらっしゃい。気を付けてね。唯ちゃんも」  
「行ってきまーす。」  
母親と唯のやりとりを後ろに聞きながら俺はスニーカーを履いた。  
ドアを開けると外の空気が感じられる。冷え切るにはまだ時間がありそうだった。  
外に出てから振り向くと唯が靴を履いていた。  
そして外に出た唯がドアを閉めるのを見届けると俺は無言のまま歩き始めた。  
唯が後ろを付いてくるのが足音で分かる。  
 
階段を降りるとマンションの住人用の駐輪場へ来ていた。  
そして黒い荷台が後部についた赤い自転車の前で足を止めて振り向く。  
唯が首をかしげる。  
「これ。」  
自転車のサドルを叩いて唯に伝える。  
「え・・・。これ買ったの?」  
「そう・・・」  
答えながらポケットからキーを出して自転車の錠を外す。  
スタンドを上げて、他の自転車の間から引き出すとまたがった。  
「ほら・・・乗れよ。」  
「えっと・・・。」  
「・・・だからこっちに足揃えて。」  
半身をひねって説明を始める。  
「うん。」  
「そう。で、ここに座る。」  
荷台を叩く。  
「うん・・・。」  
唯がおずおずと腰を下ろす。  
「さ、行くぞ。」  
「えっ・・・ちょっ、ちょっと待って。」  
唯が俺にしがみつく。  
「なに?」  
「ご、ごめん・・・。うしろに乗ったことなくって・・・。」  
「いいんだよ。試運転だから。  
 コケても見る人もいないし・・・。」  
俺だって後ろに人を乗せたことなんかない。  
「そういう問題じゃなくってっ・・・!」  
「行くぞー。」  
力を込めてペダルを踏む。が、重くて進まない。立ちこぎになってしまう。 
 
「ぬうう・・・。」  
それでも径の小さいタイヤのせいか、ペダルが2回まわる頃には普通にこげるようになっていた。  
サドルに腰を下ろす。  
「お、淳平すごーい。」  
唯が歓声を上げる。  
動き出したのも束の間、俺の眼に公道への段差が飛び込んでくる。  
「げっ・・・」  
ブレーキを握る前に前輪が段差に差しかかる。  
「唯、飛べっ・・・!」  
「ええっ?!」  
ショックを避けるため、再び立ちこぎにする。  
俺の背中にしがみついた唯も荷台から浮き上がる。  
前輪が公道に乗る。そして後輪が落ち込み、車体に衝撃が伝わる。  
「きゃあっ!」  
唯が俺の首にしがみつく。  
公道に出てからブレーキを握って後ろを見ると唯が荷台を踏んで乗っていた。  
「あーびっくりした・・・。  
 もう!段差があるなら言ってよね!」  
「げほっ・・・。  
 悪い悪い。俺も気付かなかった。」  
「むー・・・。」  
 
住宅街の中をどこへともなく走っていた。  
俺の胴にまわされた唯の腕。そして背中に押し当てられた唯の顔。  
「ありがとね。唯のためにこんなの・・・。」  
唯が口を開いた。  
「いいよ、桜海学園まで毎朝歩くこと考えたら・・・。」  
「え?毎朝送ってくれるの?やったあ!」  
「・・・。」  
そう言えば毎朝これをやるんだった。忘れていた。  
「・・・にしてもさぁ、これ淳平の貯金から出たの?」  
「ああ、うん・・・。」  
そう、もう映研部の機材や合宿のために貯めたバイト代も全部必要なくなった。  
だから帰り道のコンビニのATMで金を引き出して買ったのだ。  
「唯・・・。」  
「ん?なぁに?」  
「俺な、映研部やめたんだ。」  
「えっ・・・?」  
街灯の下で自転車を止める。  
「なんでっ?淳平、映画あんなに好きだったのに・・・。」  
それには答えずに俺はあとを続けた。  
「でさ、俺、大学目指してみることにしたんだ。」  
「え・・・?」  
「映画なら大学入っても撮れるし・・・。機材だってもう少しは揃ってる。  
 高校で映画を撮りたいなんて俺のワガママだったんだ。」  
「淳平・・・?もしかしてあたしが朝あんなこと言ったせい・・・?」  
うしろを向くと唯が今にも泣きそうな顔をしていた。  
 
「バカっ!そんなはずないだろ?  
 俺が自分で決めたことだからいいんだよ。」  
唯の頭を抱きすくめる。  
「ごめんなさい・・・。」  
唯が俺の腕の中で泣きじゃくりながらあやまる。  
「バカっ!泣くことないだろ?  
 あーもー、泣くなって!」  
俺は唯の頭を強く抱きしめた。これでは立場が逆だった。  
「・・・でも・・・。」  
と言って唯が泣くのをやめる。  
「これで、淳平ともっと長くいっしょにいられるね。」  
「そうだよ。そういうこと。」  
唯の顔に手を当てて指で涙を拭く。  
唯が微笑む。  
俺は唯の顔を引き寄せて唇を重ねた。  
 
 
 
 
そんなふうにして一週間が過ぎていった。  
日が移るに連れてさつきがまた少しずつ俺に話し掛けてくるようになった。  
あくまでも友達としてなのだろうか。俺にはどちらなのかわからなかった。  
迫ってくるこそなかったけれど、さつきは今までのように俺の前では明るく振る舞っていた。  
東城は話し掛けてはこなくなっていた。隣のクラスの前を通るときも天地が側に居るのが見えるか、  
ノートにペンを走らせているかのどちらかだった。でも・・・きっと東城の才能があれば・・・。  
東城はきっと俺なしでも、いや俺がいない方が高く羽ばたける。きっと・・・。  
俺にはそう信じ込むしかなかった。  
 
映研部はアイドル育成部になることもなく外村とその妹が切り盛りしている。  
部長を俺が降りた今、外村が部長、その妹が副部長ということになっているらしい。  
俺が居なくてもそんなに事態が変化しなかったことはほっとする一方、やはり少し寂しかった。  
 
でも空いた心の穴を埋めてくれたのはほかでもない唯だった。  
俺達は毎晩のように抱き合って眠っていた。  
俺はそれで幸せだった。  
 
 
学校が放課になり、俺はまた桜海学園の校門へと自転車を走らせていた。  
そして待ち合わせの場所へとやってきた。しかし唯の姿が見当たらなかった。  
掃除かなにかだろうと当りをつけて俺は待つことにした。  
けれど、10分、20分と時間が過ぎても一向に唯が顔を出す気配すらない。  
すると、校門から出てきた女生徒が俺を見つけて駆け寄ってきた。  
「あの・・・唯ちゃんの彼氏さんですか?」  
「え・・・あ・・・。」  
あえて彼氏と言われるとさすがに戸惑ってしまう。  
「唯ちゃんならさっき急いで帰ったみたいですけど・・・。」  
「え・・・?」  
「・・・みたいですけど・・・?」  
と女生徒は首をかしげる。  
「え・・・あ、ありがとう!」  
「あ、はい、どうも・・・。」  
女生徒に頭を下げると急いで家を目指した。  
なぜ俺に一言も言わずに先に帰ったのだろう。  
不安がいやな予感に変わっていく。  
自転車をマンションの前にとめると階段を駆け上がる。  
4階まで駆け上がると自分の家のドアを目指して走った。  
開いてる・・・。ドアを開けると唯の靴があった。  
「唯っ!」  
と大声で呼びかける。  
「きゃっ!」  
と俺達の部屋から声がする。  
急いでスニーカーを脱ぎ捨てると一気に駆け抜けてドアを開く。  
 
見ると唯が下着を足首まで下ろしてベッドの前にうつ伏せに倒れていた。  
手鏡が転がっている。  
「い、いたぁ〜。」  
と唯がうめく。部屋を見回しても他には誰もいない。  
「・・・お前・・・なにやってんの?」  
「あ・・・。」  
唯が上半身を起こす。  
「淳平、おかえり・・・。」  
「いや、おかえりじゃなくってなにしてんだよ?」  
「あ、これね・・・。」  
と結いが転がった手鏡を拾う。  
「いや、もうそろそろ治ったかなって気になって・・・。  
 先に帰っちゃってゴメンね・・・?」  
俺にはまだ状況が理解できなかった。  
「・・・なんでお前は倒れてたわけ?」  
「あ、それは淳平が大声で呼んだからびっくりしちゃって、  
 急いで立ち上がったら足に絡まっちゃって・・・。」  
少しずつ状況が飲み込めてきた。  
「・・・そっか。なるほど・・・。」  
「そういうこと。  
 ゴメンね・・・。心配した?」  
「まぁな・・・。」  
カバンを床に降ろして唯に近付いて手を貸す。  
「ありがと。」  
引っ張って唯をベッドに座らせる。  
唯が慌てて下着を足首から引き上げる。  
「あ、これはあとで見るね・・・。」  
スカートと太ももが眩しく映る。  
「唯・・・。」  
「え?」  
 
「・・・俺が見てやろうか?」  
心配させられたお返しに、少し意地悪をしてやりたくなった。  
「え・・・?」  
唯の顔が赤くなる。  
「い、いいよっ。そんなの自分で・・・。」  
「まぁ、いいからいいから・・・。」  
と言って、唯の顔に手をあてながらベッドの前にしゃがみこむ。  
「あ・・・。」  
唯が頬にあてられた俺の手をつかむ。  
もう一方の手を唯の太ももにすべらせる。  
「わ・・・。」  
唯が驚いたように体をかすかに震わせた。  
スカートに隠された腰まで手をすべらせて下着に指をかける。  
「やっ・・・だめだって・・・!やっぱ恥ずかしいよ、  
 あとで自分で見るから・・・。」  
唯が手を自分の頬にあてる。  
「唯・・・。  
 いいだろ?俺、唯の中まで見てみたいんだけど・・・。」  
「・・・むー」  
少しの沈黙のあと、唯はうめきをもらして俺の手を放して自分の下着に指をかけた。  
それを見届けてから俺も自分の指にかかった下着を引っ張る。  
スルスルと下着が太ももを抜けていく。  
そしてふくらはぎから床に下着が落ちると俺は唯の太ももに両手をあてた。  
「・・・やっぱり見たいの?」  
「うん。」  
「もー。知らないっ・・・。」  
すねたように唯が上半身をベッドに上に倒してしまう。  
 
俺は構わず唯の両脚をゆっくりと開かせた。  
そして脚の間に入ると唯のそれをしげしげと眺める。  
一週間前よりは少しは柔らかそうな、けれど、やはり閉じた部分。恥毛がかすかに覆っている。  
太ももにあてた両手を離してその部分に両手の親指でふれてみる。  
「ひゃっ・・・。」  
唯がびくっと震える。  
恥丘のふくらみをつるっとなでてみる。  
「っ、こらぁっ!見るだけだって・・・」  
耳まで赤い唯が体を起こして俺の顔を見る。  
俺は何食わぬ顔で黙って見詰め返す。  
「え、いや・・・。」  
唯自身が動揺してしまったらしく目が宙を泳ぐ。  
「・・・え、あの、ほら、あのー・・・  
 ゆ、唯の友達が言ってたんだけど、」  
本人が気まずくなったので違う方に意識を集中させようとしているのだろうか。  
と俺は冷静に分析しながら唯の部分に手を触れ続ける。  
唯の扉を押し開く。うすいピンク色の内部が露わになる。  
「・・・唯、今日は安全日なんだって!  
 保健室で体温も計ったし・・・。」  
「ふーん・・・。」  
ますます焦って自分が何を言っているのか分かっていない唯を感じながら中をのぞきこむ。  
「わっ・・・。」  
唯が口に手を当てる。  
 
暗くてよく分からない。  
ベッドに置かれた手鏡を手に取って、反射する光で照らす。  
中は思ったよりも起伏があり、それでいてなめらかでもあった。  
唯の呼吸とともに全体が息づいている感じがする。  
問題の破瓜の傷を探す。どこにも見当たらない。  
「・・・うーん。」  
と俺はその部分を見詰めたまま呟く。  
「ど、どう・・・?」  
と唯が俺に訊ねる。  
俺はおもむろに唯のその部分に直に指をすべりこませた。  
「きゃっ・・・。」  
唯が反応する。  
「ごめん、まだよく見えない・・・。」  
と言いながら親指を自分の親指をなめてしめらせる。  
「ほ、ほんとに・・・?」  
と唯が訊く。  
「本当本当。」  
とウソをつきながら唯のその部分にしめらせた指をもう一度すべりこませる。  
手鏡の光をたよりに唯の核をとらえる。  
「やっ・・・」  
と唯が反応する。  
しめらせた指のぬめりのおかげで何度も表面をすべらせることができる。  
「ちょっ・・・、淳平っ・・・くすぐったいっ」  
と唯がくすぐったさ以外のものを声に混じらせながら呼びかける。  
俺はそれには答えずに刺激を加え続ける。  
「やっ・・・やっ・・・」  
と体を震わせながらベッドに倒れる。  
俺は自分の指を離すと、今度は口をその部分に近付けた。  
 
スカートの奥に顔を入れて舌を突き出すと、その部分に触れて、すべりこませた。  
少ししょっぱさを感じる。  
唯が慌てて体を起こす。  
「・・・やっ・・・淳平っ・・・なにして」  
言葉が終わる前に舌を動かし始める。  
唯の体がびくびく震える。  
「やっ・・・淳平っ・・・やぁっ・・・」  
俺の頭にしがみつく。構わず核を舌で捕らえると、もてあそぶ。  
「・・・はっ・・・やっ・・・」  
唯は背を丸めて包み込むように俺の頭にしがみついている。  
入り口の周りを一通りなめてしめらせておく。  
「ふぅ・・・」  
やっと唯のその部分から口を離す。  
スカートの中から唯の手をくぐると顔を上げる。  
唯の目が涙でうるんでいる。頬をすりよせるようにして唯の耳に口を近付けると  
「唯・・・俺、もう我慢できない。」  
と胸板で唯の胸を押してベッドに押し倒しながらささやく。  
そして学生服のズボンのベルトを外す。  
「えっ・・・あっ・・・淳平っ・・・。」  
感覚の膨張によって声が震えている。  
ズボンとトランクスを一緒に下ろすと俺のものが跳ね出た。  
もう押さえがきかないくらいガチガチだった。  
手探りで唯の入り口に押し当てる。  
「いくぞ・・・」  
と唯の耳の側でつぶやく。  
「淳平っ・・・だめっ・・・」  
という制止の声も聞かずに俺は体重をかけた。  
 
入り口に俺の先端が受け入れられていく。  
幹の部分に到ると、1週間前よりもずっと柔らかく、ぴっちりと包んでくる。  
温かく、中は湿っていてひとつになるという表現があまりに合っていた。  
「はっ・・・はっ・・・」  
俺の耳の側では唯が俺の背中に手をまわしてしがみつきながら息をついている。  
そのあまりの愛しさに腰がとろけそうになってくる。  
そして根元まで埋まった瞬間、俺はあまりの気持ちよさに達してしまった。  
「うっ・・・わっ・・・」  
唯の中に欲望の丈を吐き出し続ける。  
「淳平・・・?」  
と唯が俺の耳の側で不思議そうに訊ねる。  
「・・・相当溜まってたみたいだ・・・。」  
唯が少し不安そうな、嬉しそうな顔をする。  
「唯の中・・・そんなに気持ちいい?」  
「・・・ああ、メチャクチャ気持ちいい・・・。」  
息をついて答えながら唯の唇にキスをして、もう一度動き始める。  
「・・・んっ・・・」  
唯の腰を抱き締めて唯の中を前後に動く。  
根元を押しつけるようにして唯にも快感を与える。  
 
「・・・わっ・・・あっ・・・」  
俺達の腰の間でもまれる核のせいなのか、唯が俺の肩にしがみついて明らかに快感の声を上げる。  
唯の反応が、少しぬめりのある液体となって、さらに内部を潤し始める。  
結合部だけでなく、もっと唯の温かさを感じたくなって俺は唯のブレザーのボタンを外すとベストをまくり上げてブラウスの上から唯の体に触れると、わき腹から胸へ手をすべらせる。  
着衣独特の人肌のぬくもりと湿気、そして唯の体の張りを感じる。  
そして唯の胸のふくらみを包みこむように指をはわせた。  
コットンの生地に指が食い込む感触がする。  
さらにブラウスのボタンに手をすべらせて外し始める。  
そうやって自分の体をまさぐっている俺を唯はとろんとした目つきで見ている。  
ボタンを全部外し終わって唯のブラウスの前をはだけた時に俺はその視線に気付いた。  
俺の目に純白のシンプルなブラジャーが飛び込んでくる。  
唯の無言の問い掛けに答えるように俺は唯の耳の側に顔を近付けてささやく。  
「唯・・・きれいだ・・・。」  
そう言いながら自分の学ランのボタンをほとんど引きちぎるようにして全部開けて脱ぎ捨てる。  
唯が俺の首に腕を回す。  
「唯・・・きれいだよ・・・。」  
もう一度耳の側でつぶやきながら唯のほっそりしたおなかから胸に手をすべらせて  
ブラを押し上げながら胸を両手で包む。まだ柔らかい乳首を手のひらに感じながら全体をつかむ。  
そしてささやきながら唯の中を前後に動き始める。  
 
「唯・・・きれいだ・・・きれいだ・・・」  
俺は突くたびに唯の耳の側でつぶやく。  
「・・・じゅんぺっ・・・じゅんぺいっ・・・じゅんぺいっ・・・」  
ほとんどうわごとのように唯が俺の名前を呼ぶ。  
唯の熱く湿った息、うわごとのように繰り返されるお互いの名前、両手に感じる徐々に堅くなってくる唯の胸の先端のしこり、ぬめりを増すお互いの結合部、突いている感覚、唯の乱れた着衣、俺を抱き締める唯の両腕、温かさ。  
全てにつつまれている感覚がたかまって、達するというよりも感覚が溢れ出るようにして、俺は唯の奥で果てた。  
「・・・唯・・・、唯・・・」  
「・・・じゅんぺー・・・。」  
深く呼吸をしながら唯の中に射精していく。  
今日が安全日であるだろうことを俺は唯と自然の周期に感謝しながら下半身を包む快感に満たされていた。  
 
やがて射精も止み、唯の体のぬくもりも味わったあとで俺は唯の横に体を倒した。  
結合がとけて、ぬぽっと俺のものが、白く泡立った液体にまみれて出てくる。  
「・・・ふぅー・・・」  
深い息をついて枕もとのティッシュの箱に手を伸ばす。  
カサカサと2、3枚取ると自分のものを包んで拭いた。  
それをごみ箱に放り込みながら新たに2、3枚取って唯の方を向き直る。  
「唯、これ・・・」  
と言おうとした矢先、唯が真っ赤なふくれっ面をしてブレザーの前を合わせているのに気付いた。  
「・・・バカぁっ!あたしだってこんな明るいうちから・・・  
 恥ずかしかったんだから!」  
俺の手からティッシュの固まりを奪い取ると俺達の部屋を駆け出して一気に風呂場に駆け込んでしまった。  
一瞬あっけに取られながらも、唯の恥ずかしさの原因は自分自身の快感にもあるんじゃないかと想像してみた。  
快感を共有することができるようになったんだ・・・と少し感慨にふける。  
さっきは確実に唯も気持ちよくなっていた。それは確かだ・・・。  
幸せな気分になってベッドに仰向けに倒れる。  
 
 
ガチャリ、と玄関のドアノブが回る音がして母親の「ただいまー」という声が響く。  
慌てて自分の体を見渡す。ズボンとトランクスを引き上げ、ジッパーを閉じ、ベルトを締める。  
学ランが落ちている・・・けれど近付いてくる足音には間に合いそうもない。  
それよりも大変なものが床に落ちている。  
唯のパンツだ・・・。足音は俺の部屋から2歩というところまで近付いている。  
足の指先に引っ掛けるとテレビラックの横に蹴り込んだ。  
おそらくドアのところからは死角になって見えない・・・はずだ。  
ビニール袋を下げた母親が顔を出す。  
「お帰り。」  
「ただいま。」  
と答えながら、学ランを拾い上げる。  
「あら、唯ちゃんは?」  
「さぁ・・・風呂じゃねーの?」  
内心ギクリとしながらも顔には出さないようにつとめながら学ランをハンガーに掛けてクローゼットにしまい込む。  
「アンタ、自転車、前に留めっぱなしにしてたでしょ。  
 みっともないから駐輪場に入れてきちゃったわよ。」  
「そりゃどーも。」  
壁に立てかけていた机の脚を出しながら母親の顔を見ずに答える。  
「まったく・・・。」  
とつぶやきながら母親は居間へ去っていった。  
買い物袋をガサガサ漁る音と冷蔵庫を開閉する音が続く。  
「やれやれ・・・。」  
テレビの横に机を据えると学生カバンを開いて教科書を取り出した。  
 
 
しばらくして風呂場のドアを開く音がして唯が廊下を歩いてくる。  
俺の顔を見ると目をそらす。  
俺達の部屋に入るとドアを後手に閉める。  
「・・・まだ怒ってんのか?」  
居間の方に聞こえないように小声で唯にささやく。  
唯はそれに答えずに俺の椅子に座って自分のカバンを開ける。  
「・・・そりゃ俺が悪かったけどさ・・・」  
唯は聞こえないふりをしているのか机に向かうとシャーペンを走らせ始める。  
・・・ダメだ。こういうのは俺には向いてない。  
と唯の反応を見ながら思った。もう少ししてから、あらためて謝ろう・・・。  
俺はあきらめて自分の勉強に戻った。  
やがて夕飯の時間になり、居間で食事をしている間も唯は俺と目を合わせようとしなかった。  
そしていつものように俺が先に食事を終え、唯があとから部屋に入ってきても、  
俺達は言葉を交わさず背中を向かい合わせたまま両親が寝静まるまで意地を張ったように勉強を続けた。  
 
 
0時を過ぎ、俺が風呂に入って歯を磨き洗濯機を回して洗面所から出てくると部屋の電気が消されていた。  
俺が風呂に入る前までは唯は机に向かっていたので多分まだ寝ていないだろうと見当をつけてドアを閉めるとベッドに近寄る。  
「おいー・・・、唯ー・・・。起きてるか?」  
小声で声を掛ける。  
向こうを向いて寝ている唯からは反応がない。  
「・・・そりゃ、俺も流れにまかせたのは悪かったけどさ・・・。」  
やはり反応がない。  
自分には説得の才がないな、と自分を見限って布団と枕をクローゼットから手探りで引っ張り出す。  
そしてベッドの側に敷くと自分の体をすべりこませる。  
「・・・じゃ、唯、おやすみ・・・。」  
と言い残して目をつぶろうとした瞬間、ベッドから唯が顔を出した。  
「おわっ・・・」  
驚いている俺の腕をつかんで引っ張る。  
「上がって。」  
ベッドの上に上がれということらしい。  
もぞもぞと自分の布団から這い出て唯の布団の中にもぐりこむ。  
 
「・・・ちがうの。そうじゃないの。」  
突然切り出してなにかを話そうとしている唯を見守る。音がすぐに布団の中に吸い込まれて言葉が闇に消える。  
「とりあえず、意地はっちゃってごめんなさい。」  
唯が恥ずかしそうにあやまる。あまりに唯の顔が近くにあり、見えなくても唯の顔のほてりが感じられる。  
「・・・さっき、淳平が唯に痛くないようにしてくれたのは、うれしかったの・・・。  
 でもね・・・。」  
俺は黙って見守っている。  
「唯は淳平にしてもらうばっかりで、これって対等じゃないと思うの・・・。」  
俺も少し考える。自分はされるだけ、というのは不満なのだろうか?  
「・・・だってさ、じゃあ唯、お前、俺の言うことできるか?」  
自分でまずいことを言っているのは分かっていた。営みを知って間もない唯の体に無理はさせたくない。  
「・・・。」  
唯が沈黙する。俺も自分で言ったことを反省しながら黙っていた。  
「・・・淳平の言うことってどんなこと?」  
「それは・・・。」  
色々な予備知識が頭を回る。  
「・・・夕方、俺が唯にしたやつみたいな・・・。」  
「・・・あーゆーのか・・・。」  
唯がうつむいて俺の唇に髪が触れる。記憶がよみがえっているのだろうか。  
唯の肩をつかむ。  
「だから、無理しなくていいんだぞ・・・?」  
唯の体を抱き寄せると暑くなった。布団の縁を押し上げて顔を布団から露出させて息をつく。  
「・・・でも約束したもん。いっしょに大人になるって。」  
天井から目の前の顔に目を戻すと唯は決意した目をしていた。  
「・・・だから唯になにをすればいいか教えて。」  
「・・・いいのか?」  
「・・・いいもん。」  
唯に無理をさせているんじゃないかと少し心配になってきたが、いつかは知ることだ、  
と自分を納得させて応じることにした。  
 

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