おことわり  
場面設定はアニメ第3話風呂場エピソードの後日談です。  
原作・コミックともに未読です。  
 
 
84 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:2010/07/17(土) 21:21:18 ID:TPiJGzdN 
ある日の夕暮れのこと、  
「ふあーあ」  
阿九斗は大きなあくびをひとつした。  
頭が働かない。体が動かない。  
ノートによだれが垂れるのを一瞬心配して深い谷へ落ちていった。  
「さてと」  
ベッドに寝そべっていたころねは、起き上がって伸びをすると準備に取りかかった。  
 
一体どれくらい眠っていたのだろう。  
まぶたの向こうはまだ明るい。  
目を開ける。天井だった。  
おかしい。机に突っ伏したはずなのに。  
ころねが気を利かしてベッドに運んでくれたのだろうか。  
礼を言おうと起きようとして手首に痛みが走った。  
手足が鎖でベッドに縛りつけられていた。  
「もうお目覚めですか」  
足のほうからころねの声が聞こえた。  
どうにか頭を起こすと、そこに見えたのはころねと露出させられた自らの下半身だった。  
「なにをしてるんだ」  
ころねは物珍しそうに男性器を見つめている。  
「この前、陰茎を見せてもらえなかったので強硬手段をとりました」  
数日前の風呂場での出来事がよみがえってきた。  
「強硬にもほどがあるだろ」  
「それではデータを収集させてもらいますね」  
 
「弛緩時は」  
ころねのまっすぐな視線が突き刺さる。  
「陰茎長8.9cm、陰茎周8.3cm。小数第二位を四捨五入しました」  
「そんなことを報告されてどうしろと」  
「普通サイズですね。学園のトイレと男子寮の脱衣場で観察したモノのなかでは、ですが」  
「そりゃよかった」  
「では勃起時のサイズを計測します。勃たせてください」  
「できるか」  
「冗談です」  
「冗談ならいいんだ。さ、早く鎖をはずしてくれないか」  
やっと解放される、と阿九斗が胸をなで下ろした手は鎖でつながれている。  
枕元に移動してきたころねは、顔をまたぎ、無造作に腰を下ろした。  
冗談の意味が食い違っていたのだ。  
「大好きなパンツを見れば勃起できませんか」  
鼻先に晒されると威圧感が凄まじい。  
生唾を飲み込む音が恥ずかしいくらいに大きく響いた。  
「こ、ころね」  
ピクピク脈打ちながらも半勃ちにとどまる陰茎を見やり、  
「パンツだけでは足りませんか。仕方ありません、お手伝いしましょう」  
 
ころねの細い指に包まれた。  
生暖かい液体がつーっと亀頭に垂れてきた。おそらく唾液だろう。  
阿九斗は推測するしかない。下半身を見ようにも、  
ころねが、実質的にはころねのパンツが遮っている。  
人差し指と親指で唾液をぬぐい、亀頭から竿、睾丸へ広げていく。  
何度も繰り返されるうちに勃ちすぎて痛みさえ覚えるほどになった。  
「勃起時陰茎長15.6cm、陰茎周14.3cm。同じく小数第二位を四捨五入しました」  
「もういいだろ」  
「本当に、もういいのですか」  
阿九斗は答えられなかった。このままでは収まらない。だが……。  
ころねは立ち上がって最後通告をしてきた。  
「精液の量を計測します」  
淡々とパンツを脱ぎはじめた。  
「だめだ」  
動かない手足を動かし、抵抗を試みる。  
「初めてなので優しくしてくださいね」  
騎乗位で挿入しようとしている女のセリフじゃないだろ、と突っ込む余裕はなく、  
「やめろ、やめてくれ」  
 
「守ってあげます、それならば」  
突然けーなが姿を現し、さっきまでころねがいた空間を占拠した。  
「ころねちゃん、あーちゃんの気持ちを無視するのはよくないよ」  
「けーな、どうして」  
「王子様を守るのも最近の女の子の務め。だから、あたしが童貞を守ってあげる」  
げ、なぜそのことを。けーなの情報収集能力には油断ならない。  
ともあれ、今はけーなが救いの女神、いや救いの観音菩薩だ。  
手が自由ならば拝んでいたにちがいない。まして至近距離でご開帳となれば。  
「きゃー、見ないでー」  
けーなの蹴りが無数に無差別に無条件に入ってくる。  
 
「監視員として、紗伊阿九斗の性に関するデータを収集しています」  
けーなは阿九斗の両足の間に移動していた。抱えるように守っている陰茎が頬にあたっている。  
「精液の量を計測できれば、だれがどのような手段で射精させようと問いません」  
「あたしがしてもいいの?」  
ころねはあごを引いた。  
なるほど。阿九斗は脱帽した。  
けーなの顔を立てて射精作業を譲り、阿九斗の欲求を充足させ、  
それでいて自らの目的は達成する。  
うまい落としどころを探し出したものだ。なんとなく釈然としないけれど。  
 
左手で根元を支え、右手を本体に添えると、けーなは視線を送ってきた。  
「気持ちよくしてあげるね」  
「え、あ、うん」  
間の抜けた返事になってしまった。  
ただ、けーながかすかにうなずいたのを見ると、真意は伝わったようだ。  
亀頭に軽くキスすると、けーなはまず竿を攻めはじめた。  
舌を裏筋に密着させ、たっぷり時間をかけて繰り返し舐め上げてくる。  
そして顔を傾けて横咥えになり、吸いついてきた。強く弱く、緩急自在に。  
ときどき織り交ぜてくる甘噛みがしびれる。  
「ぬるぬるがもうこんなに」  
人差し指が尿道口をかすめると、糸が引いた。  
「ああ」  
この方面での語彙の少なさを自覚させられる阿九斗だった。  
けーなはいたずらっぽい笑みを浮かべると、指先を舐めた。  
 
「はーっ」  
阿九斗は深呼吸しながら天井を見た。見ざるを得なかった。  
首と腹筋が音を上げてしまい、頭を起こしていられない。  
もっと見ていたかった。皮膚感覚だけではもったいない。  
捲土重来を期し、しばし休憩をとろうとした矢先、記憶に新しいパンツが視界に入ってきた。  
「男性は視覚優位の生きものなのですね」  
ころねは横座わりすると、阿九斗の頭を持ち上げ、太ももに寄りかからせた。  
「ありがとう」  
「お礼なら、精液をいっぱい出してください」  
「期待に沿えるよう、がんばるよ」  
ははは、と阿九斗は乾いた笑い声を放った。  
 
けーなが上半身を起こすと、形のいい胸がぷるんと揺れた。  
「ふぅ、疲れたー」  
阿九斗は自分が誇らしかった。  
なにしろ休憩が必要になるほどの長時間を我慢できたのだ。  
「ごめん」  
だが、負担をかけるのは本意ではない。  
「ううん、あたしもその分楽しんでるから」  
けーなは両頬をさすりながら、ころねに疑問を投げかけた。  
「あーちゃんのおちんちん、大きくない?」  
「やや」  
「あと、太いよね」  
「やや」  
「そうなんだ。でも結構大きいよ。そっか、あたしがしたからもっと大きくなったんだね。  
あーちゃん、すっごく感じてたみたいだし、それに……」  
阿九斗は顔を覆いたかった。これでは喧嘩を売っているも同然ではないか。  
当分続きそうなけーなの独り言を聞き流し、頭をずらしてころねの様子をうかがうと、  
いつもどおりの涼しい表情をしてけーなを見たまま、ぽつりとこぼした。  
「手だけですから」  
事実の指摘というより自信の表明だと阿九斗は理解した。  
ころねはまだすべての手の内を見せていない、と。  
「そうだったね」  
いつか手の内だけでなく、口の内も舌の内も見せてもらえる日がくるのだろうか。  
楽しみではある。しかし、いざそうなったら厄介なことになりそうな気がする。  
現状がその実例なのだから。  
 
けーなが再始動してから、いったいどれほど経ったのかわからない。  
その口技に身をゆだねていると時間の流れが止まってしまう。  
「もうだめだ」  
それを合図にけーなは臨戦態勢に入る。  
頭の上下運動が激しくなり、漏れ出る息の間隔が短くなった。  
口の吸引力が強化され、頬がへこんでいる。  
「いくよ」  
阿九斗は加速度を増して高みに駆け登っていく。  
呼吸が荒く切れ切れになっていく。  
意識と感覚が海綿体に集中していく。  
「あっ」  
その瞬間、思わず声が出てしまった。  
けーなは頭の動きを止めた。口と手を駆使してすべてを吸い出そうとしている。  
 
脈動が終わっても大きさを維持している陰茎から、けーなは名残惜しげに口を離した。  
「けーな……」  
よかったよ、などと少しは格好をつけたいところだったものの、  
大の字に縛りつけられた状態ではさまにならず、名前を呼ぶのが精一杯だった。  
けーなのアイコンタクトを受けたころねは  
「頭、気をつけてください」  
阿九斗を枕に預けた。  
そしてけーなと向かい合うと精液を受け取るために容器を差し出さなかった。  
計測器を差し出さなかった。なにも差し出さなかった。  
おもむろに腕をけーなの首に回すと、唇を重ねた。  
「ん、ん、ん」  
けーなは自身にしか理解できない言葉をくぐもらせながら目を大きく見開いた。  
 
「びっくりさせないでよ、もう」  
肩で息をしながら、けーなは冗談まじりに抗議した。  
上気した顔はどことなく雰囲気が違って見えた。  
対するころねは釈明をしなかった。  
どうやらマウストゥマウスで精液を受け取ったらしい。  
口をもぐもぐさせて、こくんと嚥下してしまった。  
「大丈夫?」  
「データは収集できました。3.72ml、小数第三位を四捨五入しました」  
「そうじゃなくて、飲んじゃって平気なの?」  
「内部でエネルギーに変換できます。微々たるものですが」  
あっけにとられる阿九斗とけーなは追い討ちをかけられた。  
「おいしくないと思っていましたが、わりといけました」  
 
再び、ころねは唇を重ねた。  
「まだ残っているといけませんので」  
今度はけーなも目を閉じた。  
ただならぬ事態が発生したことが阿九斗にもすぐわかった。  
互いに互いを求めて激しいキスの応酬が始まっている。  
けーなの体が赤みを帯びてきた。玉のような汗が日の名残りを散乱し、全身が輝いている。  
眼福に与りながら、阿九斗は文字どおり手も足も出せなかった。  
ふたりの世界を邪魔するような野暮ではない。  
かといって、この状態で放置されるのはせつない。  
ころねは、ダブルバインドに陥った阿九斗を横目で見ると  
けーなと舌を絡めながら、いまだ傲然屹立たる陰茎に手を伸ばしてきた。  
 
(了)  
 

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