イリヤの空 if 完結編(蛇足とも言いますが) 3話−忘却の夏−
時が流れた。
あれからいくつもの季節が過ぎて、東成増小学校で吉野に連れ去られたイリヤは
その後、彼の肉奴隷として生かされ続けていた。
生きたダッチワイフ。
欲情すれば、すぐに使える穴。
ヤりたくなれば、いつでもどこでも。
どんな風にでも。
好きなときに好きなだけ、セックスができる。
吉野は職を持たない、いわば不労者なので
気が向いたならば、それこそ一日中だってイリヤを貪ることができるのだ。
どこを使ってもかまわない。
性器はもちろんのこと、手で扱かせても。
口にくわえさせても、素股でしても。
別にケツの方に入れたって構わない。
この間などは尻穴に突っ込みすぎて、括約筋が切れて血が出ていたが
それでも構わず使い続けた。
しこたま射精したあと、穴から引き抜くとモノが真っ赤に濡れていて
ペニスの形に開いたままの肛門からはザーメンと血液がトッピングされた色の液体が
ブプッ、ゴプ・・ッ、と溢れだした。
しばらくの間、排便にはずっと赤いものが混じっていた。
そういえば、最近は胸も育ち始めたので、パイズリさせるというのも悪くはないかもしれない。
オトコの味を覚えたからなのか、尻のラインもムッチリとしてきて
今はまだ乳臭さが抜けきらない中学生のガキだが
あと2〜3年も仕込めば、きっとイイ女になる。
吉野は自分の隣でうずくまるイリヤの尻朶を揉みしだきながら、そう思うのだった。
思えば、最初の頃はかなり暴れられた。
だが相手は縛ってあったし、なんと言っても中学生に少女である。
大人の男である吉野の力にはかなうはずもなく、そのまま押さえつけて犯してやった。
パイプベッドの上にある柵に両手を括り付け、死に物狂いで暴れまわる足を無理やり開かせ
体重をかけて乗し掛かり、そのまま挿入。
奥まで一気に突っ込んでやると、ビクッと腰を硬直させて、とたんに抵抗が弱くなる。
これ幸いと激しく出し入れを繰り返し、出た腹がイリヤの恥骨にめり込むほどに密着させて
最奥へと、子宮へと遠慮なくブチ撒けてやる。
それからも、気が向けば何度も何度も何度も、犯してやった。
一度犯すと、しばらくはなすがままになるので、面倒くさいのは最初だけだ。
抵抗はされるものの、吉野も新しい玩具を手に入れた嬉しさと
ホームレスなどをしていたものだから、今まで溜まりに溜まった性欲と
女に飢えた彼の本能とが爆発し、猛り狂ったようにオンナになったばかりの少女の柔肉を求めた。
しばらくの間、そんな爛れた性生活が続き
幾度となくセックスを繰り返すうちに、イリヤは次第に抵抗しなくなっていった。
諦めた、というのもあるのだろうが、その原因の割合の多くは
視力を失いつつあるということにあった。
イリヤは、対宇宙人用兵器であるブラックマンタのパイロットとしての能力を維持するために
多くの投薬と、さまざまな処置を施されていた。
ところが、健常な身体機能を維持するためのそれらの医療行為が突然中断されてしまったため
そのしわ寄せが彼女の視力へときたのである。
目が見えなくなり、逃げ出すことはおろか、食事や排泄行為すらもままならない。
そんな状態で、イリヤが唯一頼ることのできるのは、彼女を攫った吉野だけ。
浅羽に好意を寄せ、彼と共に自由を求めて逃避行に出たイリヤであったが
誰かの補助なしでは生きられないことと、何をしても無駄でということを悟ると
暴れることをやめてしまったのだ。
吉野の機嫌を損ねてしまい、この状況下でたった一人放り出されることは
彼女にとっては、死に等しい意味すら持っている。
それに、なんだかんだ言っても、イリヤもやはりオンナであった。
毎日毎日特定のオスとの交尾を繰り返し、子宮にその精を浴び続けていると
本能的なものからか、彼のことを憎からず思うようになってきたのである。
抵抗は目に見えて弱くなり、しまいには従順で、吉野の言うことならなんでも聞く
生きたダッチワイフと成り果ててしまったのだ。
吉野にとってもそうだった。
従順でおとなしくなれば、別に乱暴に扱う理由などなにもない。
それどころか、彼女はせっかく手に入れた、おそらくもう二度と手に入れることの出来ないであろう
貴重な大人の玩具なのである。
壊したくなどはなかった。
吉野も無抵抗になったイリヤを大切に扱うようになり、最近では手足を縛らずとも逃げ出さず
それどころか、側に近づくと自分から股を開くようにもなった。
従順で扱いやすい。
いつでも性処理玩具として使える。
だがしかし、ペットを飼うとなると、当然の事ながら別の問題も発生する。
金銭的なこと―――とどのつまりは食いぶちが一人分増えたのである。
吉野は今まで一人で、自給自足の生活を送ってもきたが
もう一人分ともなると、さすがにそう簡単にもいかない。
しかたがないので、イリヤに稼がせることにした。
すなわち、平たく言うとカラダを売らせるのである。
まだ若く、中学生の少女。
しかも結構な美人とくれば、買い手に事欠くことはなかった。
色々な客がいた。
若い男や中年がほとんどだったが、ときには
どう見ても、お迎えがすぐそこまで来ていそうな皺クチャの老人までもが
イリヤの若くて瑞々しい肢体を買い求めた。
売春の場所もまちまちだった。
路地裏で。
林の中で。
忍び込んだ学校の保健室のベッドで、教室で、中庭で。
宿直室の布団の上で。
体育館のマットの上というのもなかなかの好評で、
風呂場では風俗女のまねごとのようなこともさせた。
もっと効率よく、手っ取り早く稼げはしないものかとも思案し、ビデオも撮った。
もちろん正規のアダルトビデオではなく、裏である。
そして今はというと、その稼いだ金で購入したイリヤのための色々な道具を使って
新たな生本番ビデオを作っている最中であった。
今撮ってるのは、7本目だったか、8本目だったか。
対面座位で彼女を貫き、尻の穴には極太のディルドーを差し込む。
スイッチをいれてやると、より激しく悶えた。
ズンズンと己が剛直でイリヤの柔肉を突き上げ、ケツのバイブを掻き回す。
尻穴に突っ込んだ物の振動が、ペニスに伝わってきた。
そして吉野は、嬌声を撒き散らしながらよがり狂うイリヤの乳に
おもむろにかぶりつき、思いっきり吸いたてた。
―――――ぴゅっ、ぴゅぴゅぅ〜っ
すると、口の中にある発育途中の胸の頂きから、なま暖かくはあるが
でもどこか懐かしい、口内に含むと妙に安心感を模様する味の液体が広がった。
母乳だった。
そう、イリヤは吉野との度重なるセックスで妊娠したのだ。
まあ数え切れないほど膣出ししたので、無理からぬ話ではあるのだが。
しかも、今回は二度目だった。
かと言って、イリヤに赤子を抱かせて旅を続けていたわけではない。
一度目に孕んだとき、それに気付いた吉野は彼女の腹部を思いっきり殴った。
床に倒れてうずくまり、ゲロを吐いても構わず腹を殴り、蹴り続けた。
それで堕胎・・というか初期流産させられたかどうかはわからなかったが
イリヤの腹がそれ以上膨らむことがなかったので、上手く始末出来たのだろうと安心した。
今度の二度目のときは落ち着いたもので、孕んだのなら
どうせだからこのまま臨月まで放置して、女子中学生の妊婦モノのビデオでもこさえて売りさばき
出来たガキはスーパーのビニール袋にでもくるんで、生ゴミの日にでも出してしまえばいいなどと
鬼畜なことを考えていた。
そんなこんなで、吉野は妊娠したイリヤを大きな袋に入れて
失敬した台車でゴロゴロ転がしながら、夜の住宅街を歩いていた。
ちなみに、台車はあのときの小学校から拝借したものから、二台目に代替わりしている。
今日はイリヤで、どんなことをして遊ぼうか。
いや、その前に今夜の寝ぐらを決めないといけないなぁ、等と考えていると
突然、正面から車のヘッドライトに照らされた。
あまりのまぶしさに思わず片手で目を覆う。
前から車が来たのだと思い、道を譲るつもりで脇に避けようとして
そのとき自分の目の前に、一人の男が立っていることに気が付いた。
その男の身なりは、全身黒づくめ。
知らない顔だった。
「初めまして、自衛軍情報戦2課の佐山と申します」
自衛軍が、いったい自分に何の用なのか。
そしてようやく、吉野がまぶしさと辺りの暗闇とのコントラストに慣れてくると
自分の周囲には目の前の男以外にも、幾人もの黒服の男達が立っているということに
今更ながらに気が付いた。
そして突然、
「伊里野加奈という少女をご存じですか?」
目の前の男はそう聞いてきた。
心臓が、ドクンと大きく跳ねた。
まさか・・・・・
吉野は、ひとつの恐ろしい考えに辿り着く。
背中を冷や汗が流れ落ちた。
喉がひり付き、唇が乾く。
吉野が何も答えないことに業を煮やした、というわけでもないのだが
答えを待たずして目の前の黒服から、次の質問が飛んできた。
「その時のブルズアイ方位は?」
・・・は?
思わず、そう聞き返しそうになった。
ぶるずあい・・・?
一般人である吉野には、あまり聞き慣れない言葉である。
するとまた、次の質問が来た。
「ラジオのチューニング中のノイズの中で聞こえる声、あれはどこの星系の言葉ですか?」
言ってる意味がわからない、とっさに答えが出てこない。
「月が軌道を徐々に外れているという話を知っていますか? 北極点に立っている旗、それはどこの国のものですか?」
吉野は答えられない。
男もまた、答えを待たなかった。
「『エイリアン』『ビジター』『プレデター』この中で、実話を元にして作られた映画はどれ?
5の4乗はいくつ? 衆議院議員の中で人間じゃないのは誰と誰? 6月24日は何の日?
缶詰の中で人肉が含まれている割合は? 今、あなたの後ろにいるのは誰?
今夜はこれからどうしますか――――」
そう、寝ぐらをどうするかを、まだ決めてないんだった。
とりあえず朝方まで待ってみて、さっき通ったときに目星をつけた中学校にでもまた転がり込もうか。
しかしあれだな、俺にとっては大助かりなんだけど、こう何ヶ月も有事休校ってのが続いてしまうと
子供達の学力がどうしても・・・・・・・・
そこで、吉野はハタと気付いた。
自分は道路のど真ん中で、いったい何を考え込んでいたのだろうか。
日もとっぷりと暮れ、辺りの街灯の周りには
パタパタと燐粉を撒き散らしながら蛾や羽虫が飛び交っていた。
そうだ、早く今夜の寝床を決めないことには、また野宿するはめになってしまう。
気候は穏やかではあるものの、夜ともなれば気温も下がるし
それに表で寝ていると、いつ自衛軍や治安維持の連中が来てしょっ引かれるか
わかったものではない。
吉野は考え込んでいた頭を振り、今日の寝ぐらを決めるべく、とりあえず歩き出した。
・・・・・・・・・・・
ガラゴロガラゴロガラゴロガラゴロ
・・・・・・・・・・・
ガラゴロガラゴロガラゴロガラゴロ
台車の音が、閑静な夜の住宅街に響く。
・・・・・・・・・・・
しばらくして、吉野はある疑問に思い当たった。
自分は何故、こんな台車を押しているのだろうか。
しばらく前までは、こんなものなど持ってはいなかったはずなのだ。
そもそも自分の荷物はといえば、この背中に担いだリュックサック一つだけ。
台車なんて、必要ないはずだ。
にもかかわらず、自分はこれをどこで手に入れ、何故押しているのか。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
はて・・・・なにか、とても重要なことを自分は忘れてしまっている気がした。
吉野はしばし立ち止まり、記憶の糸を手繰り始める。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・そうだ
吉野は、ようやく思い至った。
大切なものを忘れてしまっているということに。
何故、今の今まで忘れてしまっていたのか。
自分でもそれが不思議でならない。
ぐうぅ〜〜〜
頭の中で絡まっていた記憶の糸が解けたとたん、それに呼応するかのように腹の虫が鳴いた。
吉野にとって、もの凄く大事なもの。
そう、それは「食事」である。
寝床を決めるのと同じぐらいに重要で、かつ絶対に忘れてはならないもの。
一食ぐらいなら食べなくとも別に死にはしないが、だけど一晩中
ヘタをすれば朝まで腹の虫が鳴きっぱなしだ。
寝床と晩飯。
忘れてしまっていた大切なものを思い出せたことに、吉野は一人満足げに頷く。
辺りをキョロキョロと見回し、どうにか食い物を調達できないものかとも思ったのだが
生憎と日も暮れてしまっているし、畑なども見あたらないため今からの調達はほぼ絶望的だ。
そう思ったとたん、再び腹の虫が騒いだ。
しかし、吉野は別に慌てはしなかった。
たしかリュックの中には、保存食の缶詰めがまだいくらか残っていたはずだ。
今夜はこれで飢えを凌ぐとしよう。
だとすると、あとは寝る場所だけだ。
とりあえずは安眠できる所を求めて、吉野は一人台車をゴロゴロと押しながら
気ままなホームレス生活を続けるのだった。
――――――――――――――――――――
園原中学2年4組 出席番号1番の浅羽直之は3年生へと進級し
園原中学3年4組 出席番号1番の浅羽直之になった。
有事休校は夏休み終わりの8月30日に解かれ、晴れてこの秋から
彼らは懐かしの学び舎へと戻ることができたのであった。
クラスの顔ぶれも、以前と少しも変わらない。
2年の学級がそのまま3年へとスライド的に移動して
役一年もの今までの送れを取り戻すべく、一日7時間授業で土曜日も終日という
全国の学生にとっては地獄の日々の幕開け。
そんな窒息しそうな学校生活の中で、浅羽は最近よく聞く名前があった。
それは『イリヤ カナ』という女性の名前である。
近しい友人やクラスメイトから、イリヤはどうした
学校にはもう来ないのか、また転校したのか、などと聞かれることが多かった。
だけど浅羽にしてみれば、そう言われても困るのだ。
全然知らない名前なのだから。
当の浅羽本人においては、そんな名前の生徒に心当たりなどなく
クラスや学年全体で、自分を担ごうとでもしているのではないかと思う程で
あまりにも皆がしつこく、しかも相手を騙そうとする様子もなかったので
ある日浅羽は、西久保や花村、清美に「イリヤって、誰?」と聞いてみた。
曰く。
あれだけ仲が良かったのに・・・
おまえ、伊里野のことが好きだったんじゃないのか?
なんでカナブーのこと忘れちゃうわけ!?
シェルターでの事件とかあったろ、本当に覚えてないのかよ。
まったく身に覚えがなかった。
部室長屋の空いてる部屋を不法占拠して作った部室でも、部長である水前寺が
「ときに浅羽特派員、伊里野特派員はどうしたのかね。 最近姿を見かけないのだが」
と、聞いてきた。
いつもと同じように「そんな人は知らない」と答えると、何かがキレる音がした。
ついに堪忍袋の緒が切れたのか、隣に座っていた晶穂が立ち上がり、いきなり胸ぐらを掴まれた。
それでも知らない、聞いたことなどないと答え続けると、怒りを通り越して、ついには呆れられてしまった。
水前寺の背後にあるホワイトボードには、いつの間にやら『伊里野』の文字が付け加えられていた。
家でも妹の夕子が、
「ねえ、あの人はどうしたの?」
と、たまに聞いてくることがあったが、
「あの人って、誰のこと?」と聞き返すと
別にいい、と言ってどこかにいってしまった。
なんだか浅羽にとっては、キツネに摘まれたような話である。
そんなある日のこと、花村が一本のビデオテープを持ってきた。
去年世話になったプロレス研の巨漢3人衆の先輩の一人からダビングしてもらったものだという。
花村、曰く。
このビデオに出演している女優は、伊里野 加奈に似ている。
そう言って、いきなり渡された。
テープにはラベルが張られておらず、まだ爪も折られていない。
この中身がいかがわしい映像であろう事は、容易に想像が付いた。
浅羽は少し考えてから、このテープを借りることにした。
伊里野という人物には心当たりがなかったが、これだけ皆が口を揃えて言うので
浅羽自身、少しばかり彼女の存在に興味を持ち始めていたのだ。
それに何より、このテープの中身はおそらく・・・
浅羽とて、健全な男子中学生。
当然のことながら、エッチなのもにも興味がないはずがなかった。
花村にありがとうと伝え、晶穂や清美に見つからないように
コッソリとカバンにしまうのだった。
――――――――――
家に帰ると、とりあえずは着替えてテレビの置いてある居間へと降りてきた。
残念ながら浅羽家には、テレビとビデオデッキの類はここにしかない。
誰かに見つかる危険性もあるのだが、しかたなしに居間で見ることにした。
テープをデッキに突っ込み、爪が折られていないので再生ボタンを押す。
上下にノイズが走り、いきなり生本番の真っ最中から始まった。
企画物とかの類ではなく、いわゆる女優の質で売るタイプのものだろうか。
だとしたら『イリヤ・カナ』なる人物の顔には、そこそこ期待が持てる。
まあどうせ、本人というわけではないのだろうが。
このビデオは、いわゆるハメ撮りというものだった。
商業物でもあまり資金がかけられないときなどによく使う、女優の他には
監督兼、カメラマン兼、男優という零細な作りのものだ。
まず、どアップで映し出された部分は、女優と男優が仲良く繋がる結合部。
ニジュ・・グチュ、ジュブププッ!!
実に派手で淫猥な水音を立てながら、黒々と使い込まれたペニスが
これまた結構使い込まれた女性器の中に飲み込まれる。
腰を打ち付けるとブズッ、ブチュッという音を立てて陰茎が根本まで刺さり、腰を引くと
それに合わせるように肉壁が引っ張られて、捲れ上がった柔らかな襞と共に
女性自身が生み出した愛液が掻き出される。
浅羽は女性のアソコをみるのは、これが初めてだった。
今までにビデオも何本か見たことはあったのだが、それはモザイク入りのただのAV。
エロ本にも当然の事ながら、ヤバイ部分にはぼかしが掛けられているし
ついぞ一昨年までは妹の夕子と一緒に風呂に入っていたわけだが
そんなものはカウント外、対象外というものである。
グチャグチャと音をさせながら男のモノを旨そうにくわえ込む女性の入り口を見ていると、なんだか興奮した。
浅羽は血液の集まりだした自分の股間を、ギュッと押さえた。
激しいピストンを繰り返す結合部をひとしきり映したあと、カメラは上へとスライドして行く。
男根を肉壺に納めたそのままに、男優は腰の動きを止め、手に持つビデオを徐々に上へ。
とりあえずは女優の紹介、といったところだろうか。
まずはお腹。
キュッと美しく括れた脇腹と、綺麗に汚れの取られた縦長のヘソ。
でもって、いくつかの薄くて赤っぽい痣。
カメラはそのまま上に行き、次は胸部を映し出す。
程良く膨らんだ二つの乳房が、先の激しい運動で
呼吸に合わせて揺れていた。
左右の女性特有の膨らみの中心には、今まで沢山吸われ続けてきたのだろうか
やや色の濃い乳輪と乳首。
胸の谷間―――ちょうど心臓の位置ぐらいだろうか、そこには小さな
ターゲットスコープのような入れ墨も施してあった。
そして、ここにも幾つかの薄い痣。
その痣は首筋にもいっぱい付いていて、この頃になると
浅羽はようやくそれがただの痣ではなく、キスマークであることを理解する。
まあこんなヒデオに出ているぐらいなのだから、そのぐらいは当たり前。
きっと日頃から、今撮影している男優や他の男ともいっぱいしているのだろう。
浅羽は、細身でスタイルも良いこの女性が、日頃から沢山の男達と戯れている様を想像する。
ちょっとだけ、ドキドキが増したような気がした。
画面はそのまま上へと移動を続け、いよいよ女優の顔が拝める。
そこで思い出されるのが、花村の言葉。
――伊里野 加奈に、似ている――
それだけでも、なんだかドキドキする。
浅羽はその娘がどんな子なのかは知らなかったが、聞くところによると
『伊里野 加奈』は自分と同い年の中学3年生の少女で、しかもクラスメイトであるという。
まあ、本人のはずはあるわけないのだろうが、それでも。
この女優を本人だと思い込むことで、ちょっぴりだけ興奮のボルテージも上がるというものだ。
キスマークの痕が無数に残る首筋を通りすぎ、顎が映る。
切ない吐息とカワイイ喘ぎを漏らす唇と、小さくてやや高めの鼻。
そしてようやく、画面いっぱいに女優の全貌が映し出された。
かなりの美人だった。
まだあどけなさの残る顔立ちで、美人と言い切るよりは
やや可愛いと言った方がいいかもしれないが。
花村の言葉を思い出し、なるほどと思う。
浅羽には、その画面の少女が自分と同い年ぐらいに見えた。
花村の言ったとことは、外見の年齢なども含めて
件の「イリヤ・カナ」に似ているということなのかもしれない。
でもやはり、全然知らない顔だった。
結構、いやかなり、浅羽の好みだ。
こんな娘がクラスにいたのならば、絶対に忘れるはずがない。
だから浅羽は、そのイリヤ・カナという娘とのことは
自分ではない他の誰かのことと、学校の皆が勘違いをしているのだと思った。
そう思った。
そう思ったのに、この画面の少女が誰とも知らない男に抱かれていると思うと
興奮とは別の、なんだかよくよからないモヤモヤした気持ちが湧いてくる。
浅羽は片手でムクムクと元気になってきた股間のムスコを押さえながら
我知らぬうちにもう片方の手で、シャツの胸の辺りの布地を、ギュッと掴んだ。
ビデオの映像は、いつのまにか切り替わっていた。
ハメ撮りのカメラだけではなく、もう一台別に用意してあったようで
脇から、ベッドの上で交わる男女を映していた。
今度は二人の役者だけではなく、周りのものまで映していた。
おかげで、このビデオの撮影場所は小さくて白い、清潔感の漂う部屋だということが分かった。
画面の端に目を検査する表が映っていたので、浅羽はここがどこかの保健室か病院だと思った。
男は今までハメ撮りしていたハンディカメラを脇に置くと少女に覆い被さり、唇を奪った。
「はぁ、はぁ、はぁ・・んむっ、ンんッ・・・・・はふゥ・・・・チュ・・」
くぐもった声と、二人分の鼻息。
少女の腕が、男の首筋に回される。
「あむ・・んふぅ・・・んん、ン〜〜〜〜」
男の唇が少女のそれを啄み、歯や歯茎をなぞり、舌を絡める。
絡み合い、貪り合うキス。
「・・んはぅ・・チュプ、ん・・・・ふんぅ・・・・・」
深くて、濃密で。
長い長い長い、キスだった。
「れる・・ちゅぷ、ちゅぷ・・・・ぴちゃ・・ちゅ、ちゅうぅ〜〜〜〜・・・・・・、んはぁっ・・・」
互いの舌と唇を堪能し合い、やかてどちらからともなく離れる。
舌と舌の間に唾液の架け橋がかかり、つぅ・・と途切れたそれは滴り落ちて
少女のアゴを汚した。
ひとしきり少女の唇を味わった男は、今度は体位を変えた。
正常位で繋がっていたところの片足を持ち上げ、側位に持って行く。
おかげでベッドの横からのアングルでは、繋がっている部分が丸見えだった。
ズッポリと。
深く深く刺さったペニス。
少女は、とても気持ちよさそうな顔をしていた。
浅羽は興奮した。
何故だかわからないけれどこの少女の痴態には、他のエロ本やエロビデにはない
心の奥から、こう、沸き上がってくるような何かがあった。
初めてエロ本を見た時のそれよりも、今の方が断然ドキドキした。
そして、その興奮と同じぐらい。
何故だかわからないけれどこの少女の痴態には、他のエロ本やエロビデにはない
『悲しい』という気持ちが沸き起こる。
それになんだか無性に、この少女のことが懐かしく思えてしまうのだ。
逢ったことなどない。
顔を見たこともないはずなのに、なんだかとても懐かしくて
そして、そんな彼女が誰ともしれない他の男に抱かれているのかと思うと
先と同様、自分でも原因不明な悲しさと腹立たしさと
やるせなさが込み上げてくるのだ。
画面の男は振っていた腰を一旦止め、少女の足を抱えなおしたところだった。
男女はまた体位を変えた。
今度は後背位。
いわゆるバックからだった。
四つん這いにして尻を高く上げさせ、パンパンとリズミカルに腰を打ち付ける。
「あ・・・・あっ、あっ、あっ、あっ、あっ・・・はぁ・・あぅぅっ!」
結合部から上がる、安定した一定の水音。
それに合わせて少女の口から漏れ出る声。
あまり動きが単調すぎてもいけないので、時折変化を付ける。
「あっ、あっあっ、うぁああっ! はぁん! っ・・ひあぁっ!」
男は少女の弱い所を知り尽くしているのか、的確にその部分を攻めているように見えた。
「ああァッ!? はっ・・! ひゃ・・ぁあッ! イイ・・・・そこイイの・・っ!!」
少女から、初めてまともな声か聞こえた。
漏れ出る喘ぎではなく、声になにかしらの意味を含んだものが。
もっとも、快楽に溶けきり
やや呂律の回らなくなった声が、まともと呼べるならばの話ではあるが。
浅羽はその声に聞き覚えなどないはずだった。
なのになんだか、その声が無闇に懐かしく思えて仕方がなかった。
「はひ・・っ! すごぃ・・あっ! あっ! あっ! あっ! あっ・・・! それしゅごいのぉ・・ッ」
少女はついに、自分からも腰を振りだした。
男の動きに合わせて。
焦点の定まらない、熱に浮かされた瞳で。
涎と嬌声を撒き散らしながら、獣のように腰を振った。
「よしのっ、よし・・んぁぅ! イイの・・・っ! もっと、もっと深くしてぇッ!」
ややゆったりめでリズミカルだった肉と汁の音は、少女の求めに答えるように
早く激しくなってゆく。
男の出た腹で少女の尻朶を打つ音。
最初はペチペチという音だったものが、いつのまにやらパンパンとという
どこか尻をブツような音へと変わっていた。
男は高く突き出された尻を打ちつけながら、少女の細くしなやかな背中へと覆い被さり
ヘコヘコと腰を振った。
画面に映る二人の性交は、傍から見ていた浅羽には犬や猫の交尾ように見えた。
密着した状態で乳を下から掬うように揉み上げ、髪の毛の間から見え隠れするうなじに吸い付く。
「あはっ♪ 吸って、もっと吸っ・・ぅんッ! んん・・おっぱいもイイの・・っ!」
少女は男からの行為を甘受し、さらなる攻めをねだる。
すっかり蕩けた声でヨガり鳴く少女。
その首筋に新しく付けられたマーキングが、画面の中でセックスに浸るこの少女が
誰のものなのかを主張していた。
しばらくすると、またもや体位を変えた。
今度は座位。
向き合い、下から突き上げる。
「あぁッ!! んぁ! ぅんっ、んんッ! ぁ・・・あっ、あっ、あっ!!」
お互いに、もう限界が近いようだった。
体位の変更という小休止を挟んだものの、今までの行為が二人の熱意を高め
結合しなおした瞬間から、もうトップスピードだった。
「アッ! アッ! アッ! アッ・・・・深いぃッ! おく・・ッ、おくがズンズ・・っくるのぉ〜!!」
二人の出演者の奏でる、粘質の水音と喘ぎ声との二重奏。
その楽章も、残すところあと僅か。
「イク・・・・よしのっ、イク・・・あぅっ! よしののチ○ポでイクのぉっ!!」
卑猥な喘ぎ混じりの言葉を吐くと、少女は男の首に手を回し、自ら唇を重ねた。
「ぉむッ・・・んん・・・ん〜、はぁむぅ、ピチャ・・チュピ・・ッ」
それはとても情熱的で。
浅羽には、画面の中の二人のキスが、愛し合う恋人同士のもののように見えるのだった。
そして男は絡み合うようなキスをしながら、少女の膣にブチ撒けた。
ビュルッ!! ブビュビュビュッッ!! ドビュッ、ビュウッ! ビュウゥ〜〜〜〜〜ッッ!!!
「んむ、むふぅ・・・ぇはぁっ、ひゃ!? ひゃはあぁッ! 出て、出てる・・! せいし、出てる・・・・・」
最奥まで貫かれ、子宮口に先端部の鈴口をくっつけて
男は限界まで引き絞ったものを、一気に解き放った。
それと同時に、抱えていた尻から右手を離し、その指を少女の窄まりに突っ込んで
グニグニグニグニリィッッと捻ってやった。
「ひきゃあ゙ぅッ!? ふぁ・・! あ゙、ああぁっ! ぁああああぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
その刺激が引き金になったのか、少女の方も絶頂を迎えた。
ビクビクと全身を震わせ、男にギュウゥッとしがみ付く。
ビュッ! ビュルゥッ! ビュビュュゥッ!!
断続的に胎内へと吐き出されるスペルマ。
「ひぅ・・・っ、おなか・・・・あつい・・・・・・」
男の精を子宮で感じ、少女は頂きの余韻に浸るのだった。
浅羽の股間も、゙絶頂は迎えないまでもかなりの興奮を示しており
ズボンの前がはちきれんばかりにテントを張っていた。
ケモノのように交尾をねだる少女の痴態を見て、心臓も性的な興奮に踊り狂い
全身の血がものすごい速さで流れるのを感じる。
背徳的なドキドキが止まらない。
今すぐ自分の部屋へ駆け込んで鍵を閉めて、ズボンとパンツを脱ぎ散らかして頭から布団を被って
思いっきりナニを扱きたい。
ビデオの内容を頭に思い浮かべ、男を自分と差し替える。
己の下には、あられもない格好で組み敷かれた少女の姿。
長くて綺麗な生足も、括れたウェストも、まだまだ大きくなりそうな乳房も。
キスマークだらけのうなじも、その愛らしい顔も、今は自分のものだ。
そして彼女は浅羽の下で、切ない喘ぎを漏らしながら、こう言うのだ。
『浅羽の好きにして』
だけど。
だけど、何故か。
その事を思い浮かべると、浅羽は自分でも理解不能な悲しさとやるせなさを覚えてしまうのだ。
画面の中の少女が、絶頂を向かえた後の熱く濡れ細った秘穴から引き抜かれたイチモツを
甘い砂糖菓子か何かを舐めしゃぶるかのように口へと運ぶ。
「あは・・あはは・・・・・せいえき、おチ○ポ・・・はむ・・・ちゅ、ちゅる・・・ンちゅ、ぴちゃ」
抑揚のない言葉に、どこか白痴的な表情。
頭の緩さを思わせる雰囲気を纏った少女は、それでも懸命に
自分の前に立つ男の肉棒に付着した精の残滓を、舌で丁寧に拭い取る。
そんな少女を見ていると、なんだかとても悲しくて。
いたたまれなくて、胸が張り裂けそうで。
画面の中で一心不乱に男もモノを舐めしゃぶる少女を見ながら。
「・・・・・・あ・・・あれ? おかしいな、なんで――」
浅羽の頬を、つぅ・・と熱い雫が伝い落ちるのだった。
イリヤの空 if 完結編 END