とある休日。
いつもならば、一夏の部屋ではみんなが集まってわいわいしたりするのだが。
その日はそれぞれに予定があったのか、珍しく一夏は一人で部屋で過ごしていた。
毎度毎度彼女たちが押しかけてくると、うるさいぐらいになるのだが、誰も来ないのはそれはそれで寂しくなったり。
「暇だな…なんかすることないかな」
そう呟きつつ、一夏はベッドに寝転び天井を見つめる。
どこかに出かけようか。そう思ったとき、ドンドンと部屋のドアが叩かれた。
「誰だ?」
扉を開けたその先にいたのは、何かケースを持ったラウラだった。
「今日は暇か?」
「あぁ。どうしたんだ?」
「いや、一緒に映画でも見ないかと思ったのだが」
「いいな。することもなくて、時間もてあましてたんだ」
そう言って、ラウラに入るように促す。
「なんの映画だ?」
「これだ」
差し出されたケースには、一夏の知らない洋画の名前が書かれていた。
「おもしろいのか?これ」
「知らん。見ていないから持ってきたのだ」
確かにと思う。
ディスクをデッキにセットし、一夏とラウラは並んで座った。
初めは普通の映画だった。
一夏におもしろいと思わせるほどのもので、恋愛物である。
しかし途中から、いわゆるラブシーンとかが出てくる物で。
それが余りにもオープンなのだ。
一夏は冷や汗をかきつつ、慌てて映画のケースをとった。
そこには、18と言う数字が書かれているではないか。
―――まずい……
あきらかに、年齢制限のある映画だ。
しかし、横のラウラはと言うと、画面を食い入るように見つめていた。
「ラ…ラウラ…!」
呼びかけると、ラウラは不思議な顔をしてこちらを見る。
「これ、どうしたんだ?」
僅かに声が裏返ってしまうのは仕方のないことだと思う。
「何か、嫁と見るいい映画はないかと部下のクラリッサ頼んだら、送ってきてくれたのだ。なんだか終わる頃に嫁の手を胸に当てろと言っていたな。」
一夏の中で、嫌な予感が的中した。
そして、すぐさま映画を止める。
「どうして止めるのだ。まだ途中だぞ」
不満げな顔で下から見つめてくるラウラに、一夏は言葉に詰まった。
これは、男女関係にない男と女が一緒に見るものではないと。
男は狼なんだぞと。
この純粋な少女にどうして言えようか。
「その、だな。俺たちの年齢にはまだ早いと思うんだ。ほら、ここに書いてあるだろ?18って」
「?それは、夕方6時までに見なければいけないという物では無いのか?」
どこの子供番組だよ!と突っ込みたくなるのを抑えて、一夏は、不思議そうに首を傾けているラウラに言った。
「それは、年齢制限だよ。18になるまでは見たらだめなんだ」
「だが、クラリッサは私の年齢を知っているはずだ。知っていて送ってくるなどしないはずだが。そもそも、なぜ18歳になるまで見てはいけないのだ?」
なんなんだ、クラリッサ。何を吹き込んでいるんだ……
会ったことも無いクラリッサに向けて、一夏は心の中で吼える。
ここまでくれば、もう避けることは出来ないと、一夏は腹をくくった。
「そ…それはだな………」
☆割愛☆
精神的ダメージが大きい。
一夏は羞恥の頂上まで駆け上った。
一方のラウラはと言うと、少し頬を染めて上目遣いに一夏を見つめる。
「それは…その、嫁は私と一つになりたいということか?」
どうしてそうなる!?
まさかの事態に、一夏は混乱の渦に飲み込まれた。
そんな一夏にお構いなしに、ラウラは服を脱ぎ始める。
「ちょっ、なにやってんだよ!」
「なにって、今からやるんだろう?」
何を当たり前なことをとでもいう風に聞き返してくるラウラに、一夏は焦った。
「いや、だから!それは愛しあっているもの同士がやることであって、そんな簡単に……」
「なら話は簡単だぞ?」
「え?」
「私はお前が好きだ。そうでなければこんなことはせん」
そういって頬を染めつつラウラは目線を横にやる。
「え…?」
混乱の絶頂にある一夏には、現状が把握できなかった。
「それは、友達の好きって事か?」
「そんなわけがあるか。先ほどお前が言っただろう。愛し合っている者同士がすることだと。
だが…そうだな。それだとお前が私のことを愛していなければ成り立たない……」
不安に揺れている瞳を、一夏は見つめた。
自分には何もないと言っていた少女。
あの時、自分は彼女の空っぽだと言っていた器に、自分を入れてやると言った。
その言葉に嘘偽りはない。
一夏は目の前の少女を抱きしめた。
「俺も、お前を愛してる」
もっとどもるものかと思えば、意外とすんなりと言葉が出てきた。
余りにも安っぽい言葉。それでも、一夏にはそれが精一杯だった。
ラウラを見ると、少し照れつつも今まで見たことの無い笑顔で輝いていた。
「そうか、ならもう遠慮することもないな」
ラウラは服を全て脱ぎ去って、そのまま一夏をベッドに押し倒す。
「うぉ!?」
そのままラウラは一夏の服を脱がせ始めた。
一夏は半分諦めて、上のシャツを脱がそうとするラウラの手を取る。
そのままぐいと手前に引っ張り、バランスを崩したラウラの唇を奪った。
「んむっ!?……んんっ……むぅ…」
初めは驚いたラウラだが、徐々にうっとりと目をつぶる。
部屋に、艶めかしい水音が響いた。
お互いの口内を堪能し合った後に、離れた口の間を銀の糸がつなぐ。
口の周りについた一夏の唾液を、ラウラはうれしそうになめとった。
「ふふっ。これが嫁の味か」
その姿に、一夏の理性は切れた。
お互いの位置を入れ替え、今度は一夏が上になる。
先ほどよりも濃厚なキスを交わした。
酸欠になりかけて喘ぐラウラを一夏は抱きしめる。
力を入れると壊れてしまいそうな身体に、一夏は愛おしい気持ちでいっぱいだった。
そして、ラウラの口の端からこぼれる唾液を下ですくいつつ、一夏は首へと舌を這わせる。
びくっとラウラが反応した。
「ふぅっ……んっ……ふぁっ……」
気持ちいいというよりも、くすぐったさにラウラは身をよじる。
それもお構いなしに一夏は舌を這わせ、控えめなふくらみに到達した。
「かわいいな」
「成長…んぁっ……しないのだ…悪いか」
機嫌を損ねて、そっぽを向くラウラの頬に軽くキスをする。
「俺には、ちょうどいいけどね。この大きさが」
「初めからそう言えばいいのだ」
再び舌を這わし始めた、一夏の頭を撫でる。
「んあぁっ!」
不意に、一夏が先っぽを加え軽く噛んだ。
腹の奥がじんとなり、ラウラは熱い息を吐く。
「今、軽くいったろ?」
「そ…んなことはない…」
息を荒げているために、説得力は皆無である。
一夏は胸を中心に舌を這わせ、右手を下の方に持って行く。
くちゅりと、音が響く。
「これ、何?」
「あ……あぅ…」
一夏が見せた指の光具合に、ラウラは顔を赤くして黙り込む。
「ふふっ」
そのまま一夏は手を戻し、触れるか触れないかの微妙な愛撫を繰り返す。
「ふぅっ……はっ……も…もう」
微かな愛撫が切ないのだろうか、声が切羽詰まってくる。
それでも、自分からして欲しいというのは躊躇いがあるらしくて。
その逡巡を見計らい、一夏はある突起を思いっきりつまんだ。
「あああっっ!?」
今までに無いほど身体が跳ね、そしてラウラはぐったりとなった。
一夏の手は、ラウラの愛液でびしょびしょになっている。
その手をラウラの顔の前に持ってくると、ラウラは焦点の合わない目をしながら、それを舐め始めた。
その子猫のような行動に、一夏は笑みを浮かべ。空いている手で下を脱ぎ始めた。
今か今かと待ちわびていた己の分身を、ラウラの入り口にあてる。
「行っていいか?」
濡れた瞳でこくんと頷くのを見て、一夏は己を突き入れた。
「っっ!!!」
衝撃がラウラを襲い、余りの圧迫感に口をぱくぱくさせることしかできない。
痛みは殆ど無いものの、一夏のものでいっぱいになった事しか考えられず、息をするのも苦しいほどである。
それは一夏も同じようで、入れた瞬間に爆発しそうになった。
強靱な精神力で耐え、何とか暴発を免れる。
しかし、ラウラの中は射精を促すように蠢いていた。
「大丈夫か?」
繋がったまま、ラウラの綺麗な銀髪を撫でる。
「嫁が中にいるのか…」
余裕を取り戻したらしいラウラが、己の腹を撫でるのを見て一夏はたまらなくなる。
「う…動くぞ!」
動きを再開させ、容赦なく奥まで突き入れる。
「くぅあっ!……は…激しっ……ふあぁっ……」
「ラウラっ!くっ、くぅぅう!!」
奥に達したところで、爆発した。
マグマのように熱いものが、ラウラの奥で広がる。
「あ……これが…子作り……」
長かった射精も終わり、一夏は己のものを引き抜いた。
その後には、流れ出てくる白いものが。
ラウラはそれを掬って、口に運んだ。
「な、なにやってんだよ!?」
「苦いものなのだな…」
「いや、食べるものじゃないから!」
「でも……嫁のものならおいしく感じるのはなぜだ」
恍惚とした表情で呟くラウラを、一夏は抱きしめた。
そして、第二ラウンドへと突入したのだった。
おまけ。
「次は四十八手というものを試してみようか」
「なんでそんなの知ってるんだよ!?」
「?クラリッサが教えてくれたぞ」
「1度本当に、クラリッサとやらと話し合わなければならないな…」
後日、本当にクラリッサの連絡先を聞こうとした一夏に、ラウラが不機嫌になったとかなっていないとか。