一夏……ちょっと、いい? その……頼みたいことが、あるの……。
この小説。今から、朗読するから……聞いて。
――何って……そういう小説だから、これ。
……一夏、私の……ここ、見て。
――何をって、そう書かれている……から。ほら……この箇所。
その……ただ読んでいるだけでは、一夏は……興奮してくれないようだから。
視覚と聴覚の両面に訴えれば……効果が、あるだろうと思って……。
――駄目。ちゃんと見て……お願い。
一夏……興奮……してる?
――よかった。私でも、ちゃんと……男の人を、興奮させられるんだ……。
あ……ど、どうしよう……ここから先は……っ!
――あ! う、ううん。なんでも……ない、の……。
うう……で、でも……よ、よしっ!
い、一夏……ここからは……。
――う、うん。その……一緒に、読んで……しよ?
〜終〜