「……はぁ……」  
 
一人きりの寂しい自主訓練を終え、僕はIS学園寮の廊下をトボトボと歩いている。  
昼間は女子生徒で賑わうこの寮の廊下も、今はまったくといっていいほど人の姿はない。 腕にしているお気に入りの時計を見てみると、時刻はもう日付を跨ぐほどの深夜を差していた。  
 
「こんな時間でも……どうせまだやってるんだろうな。 一夏のバカ……」  
 
人気のないことをいい事に、僕は独り言にしては大きすぎる声でそう愚痴をこぼしていく。  
まるで子供がイジけているようなその口調には、僕の中にあるドロドロとした嫉妬と不満が入り混じった心情をよく表していた。  
 
えーと……三日前はたしか、ラウラさんだったっけ。 おとといは鈴音さん。 昨日は箒さんで……。  
 
「いくら一夏にデリカシーがないとはいっても、ああいうのはちょっと勘弁して欲しいな……」  
 
ふたたびそう愚痴をこぼしていくと、僕はもう今までに何度ついたか知れない深いため息をついていく……。  
 
――ここ最近、一夏はやたらと部屋に女の子を連れ込んでいる。 それも毎晩毎晩、ほぼ欠かさず、だ。  
 
それはもちろんルームメイトである僕にとっても関係の無い話ではない。 もっともただ連れてくるだけなら全然かまわないし、僕としても何の問題もないのだけど……。  
――別に説明してもいい。 言葉にするのはとても簡単だから。  
けれどあのエッチな一夏とちがい一応は女の子である僕にとって、それは口で説明することすらとてもはばかれる内容だった。  
誰かに相談できればまだいいのだろうけど、僕はここでは一応男の子として通ってる。 あまり目立つ行動は取れないだけに、ここ最近の一夏の暴挙は止めるに止められない日々が続いているのでした……。  
 
「あ……ついちゃった。 できるだけゆっくり歩いてたんだけどな……」  
 
そんなふうに頭の中で出口の無い迷路を歩いていると、僕はいつのまにか自室の前へと辿り着いてしまっていた。  
できるだけ遅く歩いていたつもりだったけど、たいして距離の無い訓練室からここまでの道のりではその誤魔化しも意味がなかったみたい。  
木製でできたその扉はまるで僕にとっては牢獄のよう――できるなら部屋に入りたくはない。  
もう少しその辺をウロウロしていようかなとも考えたけれど、腕時計の針はさすがに外を出歩いているには不謹慎すぎる時刻を差していた。  
 
「……まぁ、この中ではもっと不謹慎なことが行われてるんだろうけど。 ……はぁ〜」  
 
――いつのまにか心臓がバクバクいってる。 どうして自分の部屋に入るのにここまで緊張しなきゃならないんだろうか。  
僕は少しでも気分を落ち着かせようと一度深呼吸をしていくと、意をけっして目の前のドアノブに手をかけていく。  
――大丈夫、まだそうと決まったわけじゃない。 一夏の中にあるほんの少しの良識に賭けてみよう。  
僕はわずかに残っている可能性に賭けると、そのまま部屋のドアをほんの少し。 本当に開くかどうかギリギリのところで音をさせていった。  
 
……ガチャリ。  
 
「ぁ……ぁ、ぁ……ぁぁ……ぁん、ぁん……」  
 
……わー。 ですよねー。  
 
そうしてドアをほんのわずかに開いた瞬間、部屋の中からうめき声のようなものが漏れてくる。 それは僕の中にあった淡い期待を無残にも打ち砕いてしまう、ひどく残酷な音色だった……。  
――思ったとおり。 一夏は今夜もまた女の子を部屋に連れ込んでいるようだった。  
それはもはや聞き慣れてしまったともいえるこの『あえぎ声』を聞くだけで簡単に把握できてしまい、それは同時に今夜も僕に安息の就寝が訪れないことを意味していた。  
 
「ぁ……い、一夏さん……ぁ、ぁん、ぁん、ぁん……」  
 
……すごい大きな声。 ひょっとして僕、盛り上がってる真っ最中に帰ってきちゃった?  
 
廊下にまで響いているあえぎ声。 それに僕の顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていくのがわかった。  
――聞き覚えがある。 この色っぽくも可愛らしいアイドルみたいな声色は、おそらく僕のクラスメイトでもあるあの娘のものだ。  
ここ最近やたらと一夏に熱烈なモーションを仕掛けていたし、甘い言葉に弱そうな彼女なら部屋に来ないか?なんて誘われちゃったらすんなりOKしてしまってもおかしくない。  
僕はもう一度その場で深く息を吸っていくと、喉の奥から搾り出すようにして声をあげていく。  
 
「えーと……た、ただいまー!」  
 
帰って来ましたよー?という意味を込めて声を張り上げる。 けれどここまで大きな声を出しても、おそらく中の二人には微塵も聞こえていないだろう。  
その証拠にあえぎ声はますます僕の耳に痛いほど入り込んできて、聞いているこっちが恥ずかしくなるほどだ。  
できれば二人の邪魔なんてしたくないのだけれど、このまま廊下で立ち尽くしているわけにもいかないし……。  
そうして一通り考えをめぐらせると、僕はようやく観念してドアを開いていく。 そしてトストスと床を踏みしめる音をさせながら、二人の禁断のお部屋へとお邪魔していくのだった……。  
 
「ん……ん、ん♪ ぁぁ、ぁん、ぁん……♪」  
 
中へと入るとあえぎ声がよりクリアに聞こえ始める。 そして同時にベッドがギシギシと軋む音が響いてきて――それがまた僕の心拍数をドクドクと跳ね上げていった。  
 
何度聞いてもこのベッドのギシギシって音、いやらしいと思う。 心臓に悪すぎるよ……。  
だって何してるか丸わかり。 ある意味あえぎ声よりもエッチだと思う……。  
 
「あはぁ……一夏さん、一夏さん……♪」  
 
「はぁ、はぁ。 くぅ、セ、セシリア……」  
 
ようやくベッドの端が見えてくるあたりまで進むと、同時に一夏の声も僕の耳に届いてくる。 女の子のももちろんそうだけど、男の子のあえぎ声も僕にとっては当然、心臓に悪い。  
ましてや多少なりとも意識してしまっている彼のものならなおさら無視できるものではなく、僕は速まる鼓動を抑えつける様にしながらベッド上で蠢いている彼等に声をかけていった。  
 
「あの……た、ただいま、一夏」  
 
背後からオズオズと声をかけていく。 するとベッド上の彼は金髪の女の子を身体の下に置きながら、クルリとこちらを振り返る。  
そして何事もないかのようにニコリと笑顔をつくると、さも当然のようにルームメイトの僕を迎えた。  
 
「おう、シャルルおかえりー。 遅かったな、心配したんだぜ?(ギシギシ)」  
 
「……うん。 し、心配かけてごめんね。 つい訓練に熱が入って遅くなっちゃった……」  
 
「はっはっは、どうせまたクラスの女子にでもお願いされたんだろう? シャルルはモテるからなー、俺とちがって(ギシギシ、アンアン!)」  
 
「…………そうだね」  
 
僕は半ば呆れながらそう答える――一夏の身体は僕の前でユサユサと揺れ続けていた。  
 
ベッドの上で二人の裸体が絡み合っている。 あまり見ないようにはしたけれど、うつ伏せで寝ているセシリアさん(やっぱり彼女だった)の背中に、一夏が背後からのし掛かるような体勢になっていた。  
そして彼は僕の顔を見ても平然とおかえりと言ってのけながら、セシリアさんの股に腰を送り続けている……。  
女の子とシテいる最中だというのに、あいかわらずの天然っぷり。 ここまでくるともう才能としか言いようがなかった。  
 
「〜〜〜〜ッ!? あ、あわわ……」  
 
そうして一通り状況を把握した瞬間、僕の口からおもわずすっとんきょうな声が漏れる。 すでにほんのり火照っている顔が、更に熱を帯びていくのを感じた。  
一夏とセシリアさんの繋がっている場所――ガチガチになっているおちんちんとグチュグチュに濡れている割れ目が、バッチリと繋がっているところがおもいきり見えてしまったんだ。  
ベッドの上に投げ出されている、セシリアさんの長く綺麗な両脚――。 そのちょうど股のところに、大きくなったおちんちんが、ね、根元まで入って……あわわわ、ズ、ズッポリ入っちゃってる……。  
 
「………………」  
 
「あの……お、お邪魔していますわ。 シャルルさん」  
 
「………………」  
 
「……? あ、あのシャルルさん……どうかいたしまして?」  
 
「……え? あ、ああ! い、いらっしゃいセシリアさん……」  
 
あまりのいやらしい光景に呆然とする僕――そして一夏に乗られたままこちらへペコリと会釈をするセシリアさん……。 その光景はあまりにもシュールすぎたことだろう。  
僕は呆けていた頭をなんとか現実に引き戻すと、彼女へなんとか返事を返す。 さすがイギリス淑女、こんなときでも挨拶だけは忘れないんだなーなんて思いながら……。  
けれどもやっぱり無理をしているんだろう。 その顔は羞恥で真っ赤に染まっていて、恥ずかしさを隠すように枕へと埋められた表情からは気まずいですわオーラを全開に放っていた。  
 
「あう……その……」  
 
「え、えっと……僕のことはいないと思ってね。 慣れてるから、気にしないで」  
 
「…………はい。 こんなはしたない姿をお見せしてしまって申し訳ありませんわ。 はうう……」  
 
セシリアさんはそれだけをなんとか搾り出すように口にすると、ふたたび枕へボフっと顔を埋めた。  
それは普段はド天然(失礼)な彼女にはめずらしく乙女チックな仕草で、女の子である僕から見ても可愛らしいなと感じられた。  
 
……当たり前だよね。 普通の女の子なら自分がエッチをしているところを人に見られて、恥ずかしさを感じないわけがないと思う。  
ましてや僕は男の子ということになってるんだから、彼女にしてみれば異性に見られているなんて落ち着かないにもほどがあるだろう。  
せめて女の子であることを教えてあげられれば良かったんだろうけど……。  
 
「あ……ぼ、ぼぼぼ、僕着替えるね! ジーッと見ちゃってゴメン……!」  
 
――とにかくなるべく見ないようにしなきゃ。 ジロジロ見られてきもちのいいものじゃないだろう。  
僕はベッドの上の二人を視界に収めないように顔を背けていくと、そのまま隣にある自分のベッドへと移動していく。  
そして自分の着ている制服にスっと手をかけていくと、背後にいるエッチ真っ最中の二人をなるべく意識しないようにしながら着替えを始めていった……んだけど。  
 
……ギシギシギシッ!!! クチュッ、クチュッ、クチュッ……!!!  
 
「あんっ!? 一夏さんそんな……す、少し動きを抑えて……ぅあっ、あっ、あっ♪」  
 
けれどそうして僕が着替えを始めた途端、背後からのベッドの音とあえぎ声が急激に大きなものへと変貌していく。  
それはさっきまで部屋の外から聞いていたものとはあきらかに違うとわかるほどのもので、おそらく一夏が腰の動きを激しくしたものだとわかるには充分なものだった。  
 
グチュ、グチュ、グチュッ!!!  
 
「ひゃあん! あひっ、んああ、あ、あ、あ♪ い、一夏さんおやめになって……ああ、シャ、シャルルさんが、シャルルさんがそこに……!」  
 
「くう……す、すげえ! シャルルが来たら急にまんこの締まりがよくなったぞセシリア……!」  
 
「!? い、嫌ですわ、そんないやらしいことおっしゃらないで……あん、あん、ひああんッ!!!」  
 
「おまえ、シャルルがいるから興奮してるんだろう? こんなに俺のちんぽうまそうにじゅぽじゅぽ咥えやがって、このスケベ女め!」  
 
「う、うまそうに咥えてなんていませんわ! スケベだなんてそんな……あっ、お、奥に当たってきもちい……んはぁぁぁ♪♪♪」  
 
…………ちょっとー、カンベンしてよ。 この二人、今までの組み合わせで一番心臓に悪いかも……。  
 
僕は腰のベルトに手をかけていた――けれど手元が震えてしまってそれがうまいこと外せない。  
僕が来たことで少しは遠慮してくれると思ってたけれど、すぐにそれは甘すぎる考えだったと思い知らされることになっていた……。  
どうも聞こえてくるセリフから判断するに、お淑やか(?)なセシリアさんはともかく、一夏の方は僕という存在をむしろエッチの興奮剤に使うつもりのようだ。  
背後ではもう地震でも起きてるんじゃないかというほど激しくベッドが軋む音がしていて、それに比例するようにセシリアさんのドキドキするあえぎ声も痛いほど耳に入り込んでくる……。  
 
「ひやぁん!あ!あ!あ! い、一夏さんダメ、ダメです……はあぁぁぁぁん!!!」  
 
――どうやらセシリアさんはあえぎ声を我慢できないタイプみたいだ。 おまけによく通るその声色は、聞いているだけでこちらが恥ずかしくなってきてしまう……。  
 
「ん……んん……」  
 
気づくと僕は自分の息遣いが少し乱れているのを感じていた。 もどかしさにおもわずズボン越しのふとももをスリスリと擦り合わせてしまう……。  
さっきから身体が熱くなってきている。 それは下着代わりに着ているシャツの上からもわかるほどで、自分が背後にいる二人のエッチに興奮してきてしまっていることを思い知らされるものだった。  
 
ギシッギシッギシッ! グチュグチュグチュ!!!  
 
「あっ、あっ、あっ♪ い、いやぁ、わたくしこんなにシーツを濡らしてしまって……はしたないですわ……」  
 
「気にするなセシリア。 箒も鈴もラウラもここのシーツは濡らしまくってるからな。 お前のでパーフェクトだ」  
 
「!? そ、そういうデリカシーの無いことはおっしゃらなくていいです……あっ、お、奥まで深く届いて……ん、んんん♪♪♪」  
 
……ほんとにカンベンしてほしい。 いいかげんにしてよー。  
 
僕は手間取っていた上着のベルトをようやく外し終えていく。 そして今度は下のズボンに手をかけていった。  
普段ならこんな近くで着替えなんかしたらバレちゃうかもしれないけど、今の二人なら絶対に僕の秘密には気づかないと思う。 ――断言してもいい。  
あいかわらず背後では一夏が最低なことばかり言ってセシリアさんをいじめていたけれど、それでも僕の胸の鼓動は脈を速めるのを止めてはくれなかった。  
シャツ越しの胸はツンと乳首だけが前に尖ってしまっていてすごくエッチ――あきらかに僕の身体が女の子として感じてしまっている証拠だった。  
今までにも一夏が他の娘としているたび、こういうことはあったけど……。 あう、僕ってやっぱり、少しエッチな娘なのかな……?  
 
「ん……はぁ、はぁ……んん……♪」  
 
気づくと口から漏れる吐息がもう驚くほど荒くなっていた。 セシリアさんだけじゃなく、まるで僕まで一夏に抱かれているみたい……。  
もし今ここで女の子だってバラしたら、僕も一夏に犯されちゃうのかな。 後ろにいるセシリアさんと一緒に、一夏のおちんちんで貫かれちゃうのかな……。  
 
少し――僕はほんの少しだけ顔を横へと向けていく。 それは脱いだばかりの上着をベッド脇の棚へ置くための行為だった。  
けれどもそれにはもう一つ別の目的がある。 それは僕の中のどうしても抑えきれない衝動が自然とそうさせていた。  
――二人のエッチを覗き見たい。 そんなイケナイ願望が胸の中でその欲望の鎌口をもたげていたんだ……。  
 
「はぁ、はぁ……あぁ、す、すごいですわ。 噂には聞いてましたけれど、殿方との行為がここまでなんて……」  
 
「まったくだな。 さっきまであんなに痛がってたのに今は叫び声まであげてるじゃないか。 やっぱりセシリアは俺が思っていたとおりのスケベだ。 天然ド淫乱だぜ」  
 
「だ、誰がいんら……! ん、こ、コホン! と、とにかく世間の方達が夢中になるきもちもわかりました……んあぁぁ♪ そ、その動きはダメです……♪」  
 
「こうだろ? セシリアは奥の穴を突かれるのが一番イイみたいだしな。 ほらもっと喘げよ、スケベセシリア!」  
 
「ひぃあぁぁぁ♪ あん、あん、あん♪ わ、わたくし、そんなにされたらもう……♪」  
 
――背後を振り返ると、そこには僕の想像以上の光景が広がっていた。  
さっきすこしだけ見たけれど、セシリアさんはマッサージでも受けるようにベッドにうつ伏せになっている。 そしてそれに背中から乗しかかるように一夏の身体があって……。  
彼は自分のお腹のあたりをグッグッグッと何度もセシリアさんの豊満なお尻に押し付けていた。 そのたびに二人の結合部からはグチュグチュといやらしい音が漏れている。  
なんていうんだろう、この格好。 昨日箒さんとしていたのは、たしか立ちバックってネットで見て知ってるんだけど……。  
この場合セシリアさんが寝ている格好だから、寝バック……になるのかな?  
 
とにかくそれは今までにも見たこと無いエッチな格好で、僕の人並みにある性への好奇心をゾクゾクと煽っていた。  
あの格好だと女の子は寝ているだけだからとっても楽そう……でも間違ってお尻の穴に入っちゃはないのかな?なんて卑猥なことまで想像しちゃったりして……。  
――気づくと僕は着替えの手も止めて背後の痴態を覗くのに夢中になっていた。  
熱くなった身体を抱きしめるようにしてブルブルと震わせながら、二人のエッチを真正面から見つめていて――それは最早覗くという行為ではなく、視姦以外の何物でもなかった。   
 
「あぁ……す、すごい……んん……」  
 
何かを求めるような視線を二人に投げかけながら、僕はその場でフルフルと身悶える。 それはどこからどう見ても欲情している一人の女の子のそれでしかなかった。  
もし今一夏とセシリアさんがこちらに目線を送りでもしたら、そこには制服を半脱ぎにして発情している淫らな女の子の姿が写っていることだろう。  
――僕も混ざりたい。 一夏におもいきり貫いてもらって、セシリアさんと一緒にあんあん喘ぎたいよ……。  
 
「あぅ……なに考えてるの僕……こ、こんなことしちゃダメ……」  
 
――気づくと僕は手のひらを胸元へと運んでいた。 そこにはシャツ越しでもピンピンに勃起しているとわかる乳首がその存在を主張していて、指先にコリコリとしたいやらしい感触を返してくる。  
おまけに下半身ももうじんわりと熱を帯びてしまっていて、もう片方の手もそこへ運ぶことを我慢できない。  
ズボンを脱ぎ捨てたそこは女の子用の下着を露出させていて、股のところはじんわりと熱さを感じさせていた。  
そんな僕の興奮に比例するように、目の前の二人のエッチももう最高潮で――ベッドが壊れてしまうんじゃないかというほどの音と激しいあえぎ声に更に欲情を掻きたてられていく……。  
 
「はぁぁぁぁん、ん、ん! い、一夏さん……わたくし、も、もうダメです……」  
 
「ああ、俺ももうイクぜ、セシリア。 ……なあ、このまま中にいいだろ?」  
 
「…………え? あ、あの、それはちょっと……ん、んん♪」  
 
一夏が寝ているセシリアさんの耳元で囁いていく。 それは女の子にとってはあまりに危険なセリフで、なおかつリスクのある内容だったと思う。  
それにさすがに危機感を感じたのか、セシリアさんはめずらしく顔をオロオロとさせて慌てふためいていく。 彼女が一夏に拒否を示すだなんて、僕の記憶の中ではこれが初めてだ。  
彼女は今もペニスをズブズブと突き入れられているお尻をモジモジと揺らしていくと、抜いて欲しいといった感じにその身を揺らしていく……。  
 
「な、中は困ります。 わたくし達にはまだ子供なんて。 ああ、でもでも一夏さんとの……んん……♪」  
 
「イクぜ、セシリア。 う……で、出そう……出る!!!」  
 
「あ、ま、待って!待ってください! やっぱり困りま……あ、あぁイヤぁぁあぁぁぁぁッ!!!」  
 
嫌がるセシリアさんを尻目に、一夏はガンガンと腰を振りながら射精へのラストスパートは始めていく。  
セシリアさんの肉付きの良いお尻はもうグニュグニュと乱暴に押しつぶされていき、それがとても肉感的ですごくいやらしくて……。  
――僕にはわかる。 一夏はこのままなし崩し的に中に出してしまうつもりだ。  
今までの他の女の子とのエッチを見る限り、たぶん男の子は女の子の膣にそのまま出す方が遥かにきもちいいんだ。  
箒さんのときも。 鈴音さんのときも。 ラウラさんのときも――。 中出ししている最中の一夏は、この世の極上の快楽を味わっているかのような幸せな顔をしていたのを今でも鮮明に憶えている。  
だから次の瞬間、一夏の身体がビクンと震えても少しもおかしいだなんておもわなかった。  
 
ドクン!!!ドクドクドク……ドクン……。  
 
「……!? あぁ……う、うそ、出てる……一夏さんのがわたくしの中に……はぅぅ……」  
 
一夏がそうして身体を震わせると、セシリアさんは観念したかのように身体を揺らすのをだんだんと抑えていった。  
膣に流れ込んでくるドロドロとした精液に手遅れだと諦めてしまったのだろう。 彼女は自分の背中に乗っている初めての男の子を、うらめしそうな瞳で見つめながらジっと耐えていく……。  
それは女の子ととしてはとても同情するけれど、僕は正直、この時の彼女がものすごく羨ましくてしかたなかった。  
 
「ん……ダメだとお願いしたのに……一夏さんのケダモノ……はぁ、はぁ……」  
 
――セシリアさんの甘い吐息が聞こえてくる。 その表情は言葉ほどは嫌がっているようには見えず、やはり彼女が一夏にベタ惚れなのが一目でわかるものだった。  
望まない中出しをされてしまったといえやはり彼女も女の子。 彼女の頭の中では一夏との子供を妊娠し、結婚式まで挙げている光景まで映し出されているのかもしれない。  
その幸せそうな表情からはそこまでが想像できてしまって――僕は初めてセシリアさんに嫉妬した。  
 
「……ねぇ、一夏……」  
 
絶頂の余韻もあるのか、セシリアさんの上ではぁはぁと息をしている一夏――それに僕は声をかけていく。  
本当なら僕が今すぐすべき行動は乱れた服装を正すこと。 着替え途中だった上半身はもうシャツから胸が半分見えてしまっているほどにパラリと捲りあがり、下も女の子用の下着が見えてしまっている。  
こんな危険な格好を晒している状態では、もういつ彼等に自分の正体がバレてしまうかわからないというのに……僕が次に起こした行動はむしろそれとは正反対のものだった。  
 
「あのね……僕、もうガマンできない……できないの……」  
 
半開きになった唇――そこからははしたなくもヨダレが垂れていた。  
ガマンできないという言葉には複数の意味があったのだと思う。 僕は潤んだ瞳で一夏を見つめていた。  
添えていた手でシャツを上へと捲り上げる――いやらしく尖った乳首を付けた二つの乳房が、ようやく解放されたとばかりにプルンと飛び出した。  
もう片方の手でもパンティーをずらしていく――透明な液で濡れている割れ目が、僕の秘密を決定的に見せ付けていた。  
そして僕は呟く――決して口にしてはイケナイ女の子としての言葉を一夏に告げていく。  
その一言はおそらく彼との関係性を決定的に変えてしまうもの――けれどもそれをもう止める術は僕には残されていなかった。  
 
「おねがい……僕のことも女の子に……シテ……?」  
 
終  
 
 

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