IS学園校舎二階奥にあるトイレ。そのさらに一番奥にある個室は「開かずのトイレ」と呼ばれている。
とは言っても、トイレの花子さんとかそういった怪談噺では全くない。
普段は普通に女子たちが利用している。
ただ毎日決まった時間、そこは開かずのトイレに「なる」のだ。
そして今日もまた、その個室の扉は固く閉じられていた。
別の個室から用を済ませて出てきた女子は、開かずのトイレの扉ーーー先ほどから、がたがたとリズミカルな音を立てているそれを見やる。
そして鏡の前にいた別の女子と、ああ今、開かずの時間なんだ。とか、今日はあの子がお相手なの? などと噂しあい、ちょっと赤面しつつその場を立ち去る。
「〜〜〜っ! 一夏……激し……っ!」
扉の奥からは、そんなくぐもった声と、ぱんぱんぱん……という肉同士がぶつかり合う音が聞こえて来る。
扉を透視する能力など無くとも、一年生の女子の間でこの開かずのトイレ中で何が行われているか知らぬ者はいない。
あまつさえ女子たちは、今日は私を連れ込んでくれないかなー。専用機持ちの五人ばっかりで不公平だよねー。
などと噂しあう始末だ。
「一夏……ちょ……だめだ……立って……いられない……!」
トイレに用足しに訪れた女子たちの複雑な視線を受けつつも、扉はがたがたギシギシと揺れ続ける。
「あっ……あっ……イッちゃ……! あぁぁぁぁぁ……!」
甲高く切な気な絶頂の喘ぎ声とともに、扉の揺れが収まる。
やがてかちゃかちゃとベルトをはめ直す音が響き、開かずのトイレだったはずの扉が開き、中から一人の男性が姿を現した。
いうまでも無く織斑一夏だ。
彼はどこか清々しい表情で洗面台にたち、隣にいた女子たちの事など意にも介さぬ様子で手を洗い、トイレを後にした。
その場に残された数名の女子たちが、恐る恐る先程まで怪音を発していた扉をゆっくりと開く。
その奥には、床にぺたんと座り込み、ずり上がったスカートもそのままに、黒いタイツの尻の部分を強引に引きちぎられ、股の間から白濁液を大量に滴らせたラウラ・ボーディッヒの姿があった。
その細くしなやかな両腿の間に、こちらも強引に脱がされたらしいショーツが伸び切ったままになっているのが、先程までの一夏の性急さを物語っていた。
未だに瞳はとろけるような熱を帯び、中空をぼおっと眺めている。
その生々しい性行為の後を目の当たりにして、赤面しつつも生唾を飲み込みながらラウラの様子を見守る女子たち。
やがて彼女たちに瞳の焦点を合わせたラウラは、大丈夫? とか、保健室行く? と声をかけてくる女子たちを無視して、のそのそと立ち上がって、
一夏の吐き出した欲望の跡でべとべとななったショーツをつけなおす。
「大丈夫だ。これも…妻の役目だ」
ふふっ。と艶っぽく微笑んで、ラウラはちょっとふらつきつつもトイレを後にする。
その様子を眺めながら、その場にいた女子たちは、明日はセシリアさんかなぁとか、あの人声大きいんだよね、こっちが堪らなくなっちゃうよ…とか噂し合うのであった。