―ん? なんだ? 人の気配を感じるぞ。それも、なんだか顔の間近に感じる。誰だ?  
 
「一夏・・・」  
 
その正体は声ですぐにわかった。鈴だった。  
 
「・・・んっ・・・」  
 
声を掛けてみようとしたが、その前に鈴の唇が俺の唇に重なり、硬直した。  
柔らかな感触がとても心地良い。  
―っておいおい!こ、これってキスじゃないか・・・!? 鈴・・・もしかして・・・  
 
鈴の突然の行動に心の中で驚くも、ひとまずは“寝たふり”でこの場をやり過ごす・・・。  
 
 
「鈴・・・」  
「!? ひゃう!おっ、お、おっ、起きてたの!?」  
「ああ、今起きた。ん・・・で、どうした? 何そんなに焦っているんだ?」  
「あ、焦ってなんかないわよ!勝手なこと言わないでよ、馬鹿!」  
 
唇が離れた丁度良いタイミングで声をかける。  
目に見えて焦りだす鈴。  
俺はその理由をわかってはいるのだが、まあ当然の反応だろう。  
それにしても鈴は、昔からこうやってちょっかいだすとわかりやすい反応をしてくれて面白い。  
 
―しかし、キスされるとは思ってもみなかったな  
 
「あのさ、鈴」  
「なに?」  
「酢豚の約束のことだけどさ、俺はてっきりタダメシを食わせてくれるんだとばかり思っていたんだが  
 あれって違う意味だったのか? もしかして、『毎日味噌汁を〜』みたいな」  
「〜〜〜っ!  
 ち、違わない!違わないわよっ!だ、誰かに食べてもらったら料理って上達するじゃない?だから・・・あ、あははっ・・・」  
「本当にそうか?」  
「うぅ・・・」  
 
ずいっ、と顔を近づけて鈴に迫る。  
顔を赤らめ、言葉も出ないような状態になってしまった。  
―さっきのキスって・・・やっぱりそう・・・だよな  
 
「・・・俺、鈴のこと好きだぜ  
 だから、そういう意味で毎日酢豚作って欲しい・・・かな」  
「ええっ!?」  
 
告白。  
鈴のことは勿論好きだ。だがそれは、友達として、の感情が大きいのだろう。  
 
しかし不意にキスされたことで、俺の心は揺れていた。  
小学校・中学校時代は共に遊ぶ女友達であったため、異性として強く意識することはあまりなかった。  
それでも、中二の冬に別れ、1年ぶりに再会した幼なじみ。  
今、自分の目の前には、あの頃にはわからなかった『女の子らしさ』を兼ねた一人の少女がいる。  
―ピットで話してた時にも思ったけど、鈴のやつ、こんなに可愛くなってたんだよな  
 なによりも・・・やっぱりこいつと一緒にいると、楽しいんだよな・・・  
 
新たに自分の中に芽生えた感情が恋愛感情であることに気付き、ストレートに出た言葉であった。  
 
「い、一夏がそう言うなら・・・作ってあげても、いいわよ・・・」  
「ははは・・・」  
 
なにやら約束の立場が逆転しているような気がするが、こうして俺たちは、改めて約束をしなおした。  
 
「なぁ鈴・・・」  
「ん?」  
「またキス、したい」  
「・・・うん・・・ ・・・ ・・・って、『また』!? あんたさっき起きてたの!?」  
「えっ・・・あっ! あ、あはは」  
「〜〜〜っ!」  
 
先ほどの行為が気付かれていないのだと思っていただけに、この言葉は不意討ちだったのか。  
顔どころか耳まで真っ赤に染まってしまった。  
 
「・・・ばかぁ」  
 
「んっ・・・ ちゅっ ちゅ んんっ・・・(あぁ あたし、凄く幸せだ・・・)」  
 
ゆっくりと、そしてやさしくキスを繰り返す。  
俺はそのまま鈴を抱き締める。  
 
「鈴・・・」  
「ん?」  
「その・・・エッチしたい・・・」  
「ふぇ・・・? えええっ!?」  
「なんていうかさ・・・ 俺も一応健全な男子だし・・・ この1ヶ月間案外自由にできなくってさ  
 今は俺たち二人だけだし、もう我慢できなくて・・・ やっぱりダメか?」  
 
キスによって昂った気持ち。  
さらに二人きりの保健室、というシチュエーションも衝動を加速させる。  
一夏の欲望はボルテージMAXに膨れ上がり、もう抑えることができない。  
 
「ダ、ダメ・・・ じゃない、けど・・・ あんた、怪我してるじゃない・・・」  
「んー、鈴が上になってくれれば、なんとか」  
「・・・う、うぅ〜・・・ ・・・ううっ! わ、わかったわよ・・・」  
 
本当はもうちょっと素敵なシチュエーションを思い描いていた。  
でも、せっかく一夏が誘ってくれている。  
今まで見た事ないくらい真剣な眼差しで見つめられ、とても断ることはできなかった。  
突然のお願いであるといえ、この機会を逃したくない気持ちは、鈴も同じであった。  
 
「(・・・もうちょっと可愛い下着、付けてくればよかったなぁ・・・)」  
 
了承した鈴は、おそるおそる制服を脱ぎ始め、下着姿を露にする。  
小学校の頃の合同プール授業、中学校でも弾や蘭たちと一緒に海に遊びに行った時などでその肢体を眺める機会はあり、よく覚えている。  
当時と比べて身体の大きな成長というのは見当たらないが、流石は代表候補生というべきか、小柄ながらも美しく整ったラインが栄える。  
胸の膨らみは少々物足りないものの、以前よりも鈴のことを意識しているからか、女の子特有の色気を感じる、興奮が止まらない。  
 
「あんまり・・・見ないでよ」  
 
自分の胸が大きくないことをコンプレックスとしているからか、自信無さ気にモジモジしている。  
そんな鈴が、とても可愛らしく思えた。  
 
「鈴っ!」  
「あっ・・・ ひゃんっ・・・」  
 
鈴に抱きつき、そのままブラをずらし、右の乳首に吸いつく。  
桃色の綺麗な乳首を舌先で転がすように舐めまわして弄っては、しゃぶるの繰り返し。  
一方、左の乳房は右手でやさしく撫で回す。  
手に収まってしまうサイズであるも、弾力ある柔らかさがしっかりと手の平に伝わってくる  
 
「んんっ・・・ い、一夏・・・ はぅ・・・ や、やっぱり一夏は・・・胸の大きい子のほうが、・・・いい? あんっ・・・」  
「んー? まぁ胸は・・・大きいほうが好きだな」  
「(ガーン・・・ぐすん・・・)」  
「でも変な質問するなよ。俺は鈴が好きなんだぞ」  
「あっ・・・ふあっ・・・ ほ、ほんと・・・?」  
「本当」  
「あ、ありがとぅ・・・ んっ・・・」  
 
実際に弄っていて気持ち良いのだから問題ない。  
好きな子とのまぐわいにそれ以上の理由などいらないのである。  
 
「お尻もプリプリしてて可愛いしさ」  
「ば、ばかぁ・・・ ひっ・・・はぅ・・・」  
「ここも弱いんだ? 鈴って結構淫乱だったりする?」  
「そ、そんなこと・・・ないもんっ・・・ばかっ!ばかぁ!」  
 
素直になれない一面を見せてしまうも、今の一夏には鈴がどう感じているのかまるわかりだった。  
その後もキスと愛撫を繰り返し、言葉攻めも織り交ぜる。淫猥な音が二人きりの保健室に鳴り響く。  
そっと下半身に手をあてがうと、鈴の秘部は見事なまでに濡れていた。  
―こっちはそこまで集中して弄っていないのに・・・胸が小さいと感度が良いというのは本当なんだろうかな  
 
 
「はぁはぁ・・・ 鈴、そろそろ・・・」  
「ひゃっ・・・(こんなに、大きいの・・・)  
 あ・・・えっと、いちか・・・ あの・・・初めてだから、乱暴にしちゃ、やだよ・・・」  
「はは、俺も経験あるわけじゃないから慣れてはないけど、わかってる やさしくするさ」  
「うん・・・入れるね・・・」  
 
挿入口を確認し、俺が支えてあげることで鈴はゆっくりと、腰を沈めていく。  
入り口が小さいためになかなか入りづらい。  
しかし亀頭が上手いこと入った後は、潤滑油のように流れ出ている愛液のおかげでゆっくりと、確実に中へと導かれていく。  
プチッ――と鈴の中で処女膜が裂けるのを感じた。  
 
「・・・っ・・・!」  
「鈴・・・? だ、大丈夫か・・・」  
 
鈴の瞳からこぼれる大粒の涙を見て、俺はふと理性を取り戻す。  
 
「大丈夫・・・大丈夫だからぁ・・・」  
 
初めての感覚、それに伴う痛み。  
しかしそれ以上に少女の胸中は、大好きな人と結ばれたこと、に満たされていた。  
 
「一夏は・・・気持ち良い・・・?」  
「うん、鈴の中、すげー気持ち良いよ」  
「なら・・・あたしも気持ち良いし、嬉しいから・・・ ねぇ、キス・・・して・・・」  
 
痛みが少しでも和らぐのなら、と思い、鈴の要望に応える。  
当の鈴の気持ちとしては安堵感に浸りたいところからであったが。  
唇を重ねるだけでなく、ねっとりと舌も絡めていく。  
 
 
「ふぅ・・・ ちょっと・・・動くね」  
「大丈夫か?」  
「もう平気よ」  
 
ゆっくりと腰を上げては、また沈める上下運動。  
俺もそれに併せるかのようにゆっくりと腰を動かす。  
ぬるぬるとした液が陰茎に絡みつき、膣内の締め付けも心地良く、快感の波に襲われる。  
 
「ふっ・・・ ふああっ・・・」  
「最高だ鈴、気持ち、良すぎるっ!」  
「あたしも・・・ んんっ! あっ・・・ ああんっ・・・」  
 
絶頂が近づくことに呼応するかのように上下運動のスピードが加速する。  
ツインテールも激しく揺れ乱れる。  
 
「はぁはぁ 鈴っ」  
「一夏ぁ・・・ あっ・・・ひゃんっ・・・」  
「はっ はぁっ くっ・・・」  
「んっ・・・ ああっ・・・ あんっ・・・ だ、だめっ・・・ ああっ・・・」  
「鈴、俺もうっ・・・!」  
「いちかぁ・・・大好きぃ・・・ ひああっ!」  
 
━━パンパンッ パンッ・・・ビュククッ・・・  
交わりも絶頂に達し、俺はそのまま、ドクドクと際限なく、鈴の中へと欲望を注ぎ込んだ。  
息も乱れ、果てた二人はやさしく抱きしめあい、幸せを感じあう。  
「(一夏・・・ 温かい・・・)」  
 
落ち着いた頃に、結合部を覗く。  
ドロッと滴る赤色混じりの白い液体・・・性交の際はそれどころでなかったが、今になって自分のしたことに気がついた。  
 
「あっ・・・その・・・ わ、わるい・・・」  
「? ああ・・・ いいの・・・今日は大丈夫な日だし。 それに・・・そ、そもそも・・・一夏のだし・・・」  
「鈴・・・」  
「一夏、大好き♪」  
 
・・・  
 
行為が終わり、多少の処理をし、服を着たあとで、談話を続けた。  
対抗戦や無人機のこと、そして鈴の親父さんのこと・・・。  
―両親のことで辛い想いをするのは、俺もよくわかる。そして今は誰よりも鈴の気持ちがわかる  
 
「なぁ鈴 今度、どっか遊びに行くか?」  
「え?それってデーt・・・」  
 
「一夏さぁん!具合はいかがですか?私が看護に来て・・・あ、あら・・・?」  
 どうしてあなたがいらっしゃいますの!抜け駆けは禁止と約束したでしょう!」  
「そういうお前も私に隠れて抜け駆けしようとしていたな」  
 
ドアを開けて現れたのはセシリア。続いて箒もやってきた。  
 
「(・・・抜け駆けしちゃったのは多少負い目あるけど・・・良い雰囲気なのに・・・  
  あと、気付かれてない・・・よね・・・)  
 もう〜 二人とも出てってよ!」  
 
ワーワーと3人が言い争っている光景を眺めていると、鈴と目が合う。  
一瞬照れ恥ずかしがるも、直後、俺に向かって可愛くウインクをしてくれた。  
 
 
 
−終わり−  
 
 

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