……どうしてこうなった。  
 
ほんの出来心、いつもやられてる分の仕返し、みたいな軽い気持ちだったのだがこれはチョットまずいんじゃなかろうか。  
今、俺の下には上気した頬、潤んだ目でこちらを見つめている楯無さん。  
正直言ってかなり色っぽい。そして俺の両手はそのふくよかな胸に埋れている。  
なんだコレ。なぜに人体にこんな柔らかいモノが付いているのか。  
というかさっき触ったお尻もそうだけど女性ってのはどうなってるんだろう。  
もうワケがわからない。とりあえず冷静になるために一つずつ思い返していこう……  
 
―――回想始め―――  
ひょんなことから楯無さんと同室になった俺は色々と弄ばれる日々が続いていた。色々あるんだけどここでは割愛しておく。  
そんなある日、マッサージをしてくれとせがまれた俺は逆らえるはずもなくベッドにうつ伏せになっている楯無先輩にマッサージをしていたのでした。  
ふくらはぎ、太もも、お尻(スパッツ越しに見えるパンツとその柔らかさに危うく鼻血が出そうだったが流石にそこまで純情ではない)、腰とマッサージをしていき背中、肩、と来て、そろそろ終わりかと思ったときに楯無先輩が突然  
「今度は前の方もしてほしいなー」などと仰られたのです。本当にびっくりですよね。  
そして、くるっと体勢をこれまでのうつ伏せから仰向けに変えたのでした。  
「ほら、おねーさんって結構おっぱいおっきいと思わない?」  
その豊かな膨らみを左右からすくうように寄せられると、より大きさが強調されて目にやり場に困る。  
いつもならそこで俺がアタフタして笑われて終わるのだが……ちょっとその時の俺はどうにかしてたんだろう。  
マウントポジションの様な体勢だったのでこれなら自分が優位な立場である、と考えた俺はいつもの仕返しにちょっとイタズラしてみよう、と思ってしまったのだった。  
タイムマシンがあったなら、今すぐにでもその時に戻って自分を止めてやりたいが生憎まだ存在していない。束さんこっちの方も開発お願いします。  
「そうですね、じゃあこっち側もやっちゃいましょう」  
「ふぇ?」  
いいようにやられてばかりじゃ男が廃る。  
偶には楯無さんに俺が男だということを理解してもらおう。そうすれば今後こういった悪ふざけが減るかもしれない。  
そう結論付けた俺は楯無さんのお腹と胸の境目、あばら辺りに手を這わせてみることにした。いきなり胸というのは俺の良心が咎めただけで決してヘタレたわけではない。  
 
(やっぱすげーすべすべだな…)  
脚や背中を触ったときにも思ったがこういうのをシルク肌と呼ぶんだろうな。くすぐるような微妙なタッチで手を動かす。ちょっと股間が大変なことになりそうだったが気合で押しとどめる。  
ここでそんな事が露見した日にはどんな目に合うか分かったものではない。  
先輩からギブアップするまで弱みは見せられない。絶対に負けられない戦いがここにはあった。  
「うーん、さすが先輩。無駄な肉が全く無いですね」  
「んふ、そうでしょそうでしょ。私みたいな凡人がこのスタイルを維持するの大変なんだからね」  
くっ、最初こそ不意をつかれたような表情を見せてくれたが今ではいつもの調子に戻っている。こっちは平静を保つので精一杯なのに余裕の笑みまで浮かべるとは。  
しかし、先輩は自己評価が低すぎるのではなかろうか。こんなスタイルの凡人がいてたまるか。  
これで、凡人だというのなら鈴なんか……  
「今、別の女の子のこと考えてなかったかな?一夏くんはこんな事をしながら別の子のこと考えちゃうんだねぇ」  
え、俺声に出してた?相変わらず先輩の前では隠し事が出来ない。だからこそ決定的な証拠(要は股間のことだ)を見せないようにしているわけだ。  
「ま、見逃してあげましょう。でさ、そんなところじゃなくてもっとマッサージしてほしい場所があるんだけどな〜」  
そう言いながらぐにゅぐにゅとかふにょふにょとかそういった感じの音が聞こえそうなくらい胸を揉む楯無さん。  
あろうことか挑発で半裸カウンターまでしてきましたよ、姉さん。  
いや、千冬姉に知られたらきっと原形をとどめないくらいボコボコにされるのは確定的に明らかだな。  
その陰惨な様を想像すると俺の息子の方も少し治まる。男性としてというか人間として死んでいる可能性があるし。  
楯無先輩もここで俺にいいようにやられるのは面白くない、上下関係をきっちりさせておこうとでも思ってるのだろうか。いつもより積極的な動きをみせている。  
と、いうよりも俺のことをたいしたことの出来ないヘタレと思ってる線の方が強そうだ。  
(くそっ…本当にやるしかないのか!?)  
ちょっと格好良さげなモノローグを挟みつつ覚悟を決める。古来より虎穴に入らずんば虎子を得ずと言うではないか。行け、行くんだ一夏!  
 
「しょ、そうですね。じゃあ、そこもマッサージさせていただきますね」  
少し声が上擦ったけど気にしない。俺は両の手を先輩の胸にダイブさせた。  
(うぉぉ、こんな柔らかさと弾力を備えた物質がこの世にあるとは)  
ふかふかというかむにむにというかなんとも形容しがたい感触。  
やばいなーこれ。胸のサイズなんか別になんでもいいとか思ってたけど世の女性が巨乳に憧れる気が分かった気がする。だって、こんなのに触れてしまったらコロリとやられてもおかしくない。  
と、感慨にふけっていたら先輩も俺のイレギュラーな行動に対応し返してきた。しまったな、ここは一気呵成に攻めておくべきだったか?そう思ったときにはもう遅い。  
「いやー、マッサージって手で触れるだけなのかな?どうなのかな一夏くんや」  
うぐ、このままだと先輩にいつものように押し切られてしまう。どうにかせねば、と思ったその時だった。  
「まぁ、童貞君にはちょーっと刺激が強かったのかもね」  
思春期男子に言ってはならないこと言ったな!  
ちょっと意地悪して反省してもらおうとか考えてたのがここで消え、変なスイッチが入った。  
定かではないが覚えてる限りでは、俺は楯無さんの胸を捏ね、撫で、摩り、時にはつまみ上げたり押し潰したりそれはもう欲望の赴くまま全ての劣情をぶつけたのだった……  
―――回想終わり―――  
 
 
そして、気づいたらこんな事になってました。  
部屋には俺と先輩の荒い息づかいだけが響いている。先輩の口からはちょっと涎が垂れていて、それがまたエロイ。常に俺に対して余裕のある態度をとっていた楯無先輩のこのような姿を見て、ゴクリとのどを鳴らす。  
とはいえ、こんな先輩を見るのは初めてなので流石に心配だ。安否を確かめる意味も込めて声をかけてみる。  
「あ、えと……その、せんぱ、んぐっ」  
するといきなり抱え込むように引き寄せられ、俺の頭は先輩の胸に挟まれてしまった。  
「ふぇ、ふぇっとふぁへなしふぇんぱい?」  
突然のことに混乱しながらもなんとか声を出す。ちなみに「え、えっと楯無先輩?」と言ったつもりだが抱き枕みたいに抱え込まれてるのでまともに喋れなかった。  
俺の問い掛けが聞こえなかったのかそれとも無視しているのか、楯無先輩は抱きしめた後は何も言わないし、それ以上何もしてこない。  
ただ、抱きしめられたまま時が過ぎていく。  
その間、俺の頭はその、胸の間に挟まったままなわけで、おっぱい・頭・おっぱいという構図。なんだこれ。  
そして、余り記憶がないのだが先程の俺の行為によってか、楯無さんの肌には汗が浮かんでいる。特に胸の谷間という部位は汗がたまりやすいようだ。  
(汗ってこんなにいい匂いだっけ)  
どこか夏を感じさせる甘く涼しげな匂い。箒やシャルとはまた違うその香りに俺は、興奮を隠せない。  
(……舐めてみたい)  
未だに動きを見せない楯無さんに対し不意にそんな衝動が湧く。さっき思うがままに行動してこうなったというのに本能というのは自重してくれないみたいだ。  
もう今更恐れるものはない、というかここまできたらどうにでもなれ、と半ばやけになった俺はそれを実行に移そうとした、その時だ。  
ここまで沈黙を守ってきた楯無さんに、ぐいと頭を掴まれ、顔を上げさせられるとそのまま有無をいわさずキスされた。  
ほんの数秒、唇を合わせるだけのものだったがそれだけで俺の頭はフリーズしてしまった。  
「……一夏くん、いきなりそういう行為に走る前にもうちょっと順序というかね、私だって女の子なんだから気を使って欲しいのですよ」  
そう呟く楯無さん。  
う、確かに俺の行為を振り返ってみると性犯罪者そのものである。しかも汗を舐めようとするとか変態のオプションまで付いている。  
どうすればいいのか分からずあーとかうーとか呻く俺にこう続けた。  
「こ、今度は一夏くんから、キキスして欲しいな、なんて…」  
か、可愛すぎる!ちょとsYレならんしょこれは。  
途中で恥ずかしくなったのか少しずつ声が小さくなっていく様がまた、こう、なんていうかね。いつもの様子を知ってるだけにそのギャップに参ってしまう。  
「え、えと本当にいいんですか。直前で頭突きとかしないですよね?」  
ぶっちゃけこっちもかなり恥ずかしかったのでおどけて答えてみる。  
「冗談も言うし、ふざけたりもするケド、こういう場面でそういう事を言うのはマナー違反よ」  
頬をふくらませ(これがまたとっても可愛い)そう答える楯無さん。  
ここまで言わせてしまったことに男として反省した俺は、眼を閉じ今度は自分からキスをする。  
ふにゅっとした唇の感触。視覚情報がない分余計にその感触を強く感じる。  
あぁもう、唇を合わせるだけじゃ我慢出来ない。俺は舌で唇をなぞるように舐める。  
俺の意図を察してくれたのか、彼女の方も舌を付き出してくれた。  
お互いの舌が触れ合い、絡みだす。ぴちゃぴちゃという音が妙に耳に響く。  
 
「ぷはぁっ。……なんだか不思議な気分」  
息継ぎのため一旦唇を離すと、楯無さんはそんな事を言ってきた。  
「それはどういった意味で…」  
「まさか本当に一夏くんとこういうことが出来るなんて、ね。夢みたい」  
「えーっと、それってつまり」  
「せっかくこっちが色々頑張ってるのに、一向に手を出してくれないんだもの。もしかしたらアッチ系なのかとか考えたりもしたわ」  
「だからソッチ系とかじゃないですって!」  
この学園の生徒はシャルの時もだったが、そういうモノに憧れでも抱いてるのだろうか。  
「分かってます。だってもう、ぅぅ、こ、こんなになってるしね」  
「ちょ、楯無さん!っっ!」  
彼女の手が俺の股間を撫でさする。不意に訪れた快感に俺の体は敏感に反応してしまった。  
「お、男の子ってこんなに大きくなっちゃうものなの?」  
興味深そうに俺のモノをズボンの上から触る楯無さん。危うく暴発するところだった。  
いくらなんでもズボン越しに触られて射精した日にゃ立ち直れそうにない。  
「あの、出来ればですね、もうちょっと「えいっ!」」  
楯無さんの気合を込めた声に、俺の言葉は最後まで言わせてもらえなかった。  
つーかパンツごと下ろされちゃってるよ、おい!  
「あ、アンタ何してるんですか!」  
「その、ナニをしようかな、と」  
混乱のあまり先輩に対して思わずアンタとか言ってしまった。が、今はそれどころじゃない。  
「だって男の子のこ、コレって大きくなったら出さないと辛いんでしょ?」  
「いや、まぁ、確かにそうですけど!だからと言って楯無さんがそんな事しなくても」  
そう言うとまた、少し拗ねたような表情になる楯無さん。可愛いなぁこんちくしょうめ。  
「なんで分からないのかぁ。私が、私の好きな人のために、シてあげたいの」  
……  
…………  
……………………  
このタイミングで決定打を放たれてしまった。  
いつも余裕たっぷりの楯無先輩がこんな風になってしまうなんて。そしてそうなっている原因が俺だということが興奮を加速させる。  
あーもう、腹を括れ!  
「そ、それじゃあ、お願いしてもいいですか」  
「最初からそう言えばいいの。おねーさんに任せなさい」  
セリフこそいつもの調子だが、実際は顔を真っ赤にして語気も弱い。それでも俺のためにしてくれるという。男冥利に尽きるとはこのことか。  
意を決した楯無さんは外気に晒されている俺のモノを右手で扱き上げてきた。  
(うあ…!ヤバい、自分の手じゃないだけでこうも違うのか…!)  
アレだけ啖呵を切ったのにも関わらずぎこちない動き。でもそれを、あの楯無先輩がしているというスパイスが加わると一気に快感に転じる。  
何とかして気を逸らさないと1分どころか30秒くらいでイッてしまいそうだ。  
そこで俺は、ブラがずれたせいで露になっている、たわわな胸を責めることにする。  
両手で掬うように揉みあげるとマシュマロ?プリン?ババロア?色んな物が思い浮かぶがそのどれでも表現しきれない。  
これはもうおっぱいという言葉を考えた人に感謝するほかない。  
 
「……んっ、もう私がするって言ったのに、ふぁっ」  
「んぐ…俺だって楯無さんにっ、良くなってほしいんです、よっ」  
お互いにアレコレ言いながらもその手を休めることはないので時折切なそうな声が漏れる。  
楯無さんの動きは多少緩慢になったが今度はおっぱいの感触のせいで興奮度合いが増してきた。結局プラスマイナスゼロに近い。  
このままじゃあっさり達してしまう。そこで俺はピンと尖った頂点を責めることにする。  
親指と人差指でつまむと彼女に劇的な変化が訪れた。  
「んんんっ!ダメ!それダメっ!」  
ビクビクっと体を震わせ、一瞬だけ腕の動きが止む。  
今度こそこのチャンスを逃してはならない、そう思った俺は反対側の乳首に顔を近づけ吸い上げた。  
「いやっ、ひゃっ、そんなの!」  
普段の楯無さんからは想像もできないような声が出る。調子に乗った俺は責めを続行する。  
「んん…こらッ、もう!」  
あれ?先輩のちょっと怒ったような声と共に俺の世界が反転する。  
あっという間に今度は俺が先輩に跨がれる形になった。やはりこの人は強いんだな、とこんな時にも関わらず納得してしまう。  
「本当にもう、君って子は…」  
面白くなさそうな声で呟き、俺を見下ろす楯無さん。  
む、この体勢だと俺のやれることが殆どなくなってしまう。まずい展開になってきたぞ。  
「そんなに私にも良くなってほしいの?」  
「そりゃ、楯無さんと同じで好きな人には良くなってほしいというか…」  
そう答えるとさっき以上に、まるで熟れたトマトみたいに顔を赤らめる楯無さん。  
「す、好きって言われちゃった…」  
何か言ったようだが残念ながら上手く聞き取れない。やっぱさっきまでの密着した体勢じゃなくなったのは痛い。  
「……ゴホン。それじゃこうしましょう」  
そう言うとスパッツの股の部分で俺のモノを押さえ込んできた。俗にいう素マタというやつだ。  
「ん、これはなかなか…んっ、ふぁ」  
そして腰を前後にグラインドさせ始める楯無さん。柔らかな土手の部分や僅かに触れるお尻の肉が今までにない快感を与えてくる。  
「ぐっ…あっ、ヤバいですって楯無さん…っ!」  
「さっきからっ、気になってたんだけどっ、ん、ふぅ、そろそろ「さん」はっ、外してほしいなっ」  
「女の子っぽくっ、ない名前だけどっ、いいよね……っっ」  
腰の動きを加速させながら俺にそう求めてくる楯無さ…いや楯無。  
「分かった、楯無」  
名前で呼んで欲しい、というのは先輩後輩とかそういったものを抜きにして一人の女性としてみて欲しいということなんだろう。  
すると、良く出来ましたと言わんばかりの笑みを浮かべてこちらに体を預けてくる。  
そして深いキス。  
お互いの口腔内を舌が行き来する。時に歯をなぞり、舌を絡ませ、唾液を交換する。  
その間も腰を動かすことはやめない。その動きに合わせて彼女の大きな胸が潰され、形を変え、尖った先端が二人の体を刺激する。  
 
「楯無っ、もう限界みたいだっ」  
「私も、だからっ!お願い、一緒に!」  
動きが更に激しくなり、お互いもう達することしか考えられない。獣のように体を揺すり絶頂へと導いていく。  
「もう、ダメだっ、ぐっ…うああああっっっ!!!」  
「あっあっひあっ、ひゃあぁぁああぁあぁん!」  
ごぷどぷぷっ、びちゃぁっと自分でもびっくりするくらいの量の精液が吐き出される。今まで生きてきた中で間違いなく一番多い。そして彼女の腰を揺すり最後まで射精する。  
「んぅ、あ、そんな、ダメ、なのに、あぁ」  
すると絶頂の余韻に浸っていたところに新たな刺激を加えられたせいか彼女がぼそぼそと何か呟いたその時だった。  
―――ぷしゅ、じょろ……じょぉおおぉぉぉ……  
彼女から放出された生温かい黄金水が俺の下腹部を濡らしていく。  
あの、生徒会長が俺の目の前で失禁、おもらしをしていることが興奮を呼び、全て出し切ったと思っていたがびゅるるっとまた射精が始まる。  
「んぐっ…」  
限界以上に射精したせいか少し頭がクラクラする。そのまま夢の中に落ちていきそうな感覚。見れば彼女の方は既に気をやってしまったようだ。  
それを確認すると彼女をぎゅっと抱きしめ、同じ夢の世界へいければと思い、そのまま落ちていった。  
 
…  
……  
…………  
……………………  
 
なんだかひどく息苦しい。まるで溺れてるみたいだ。浮輪を抱いてるのにいくら息継ぎをしようとしても何故か顔が水面に出ない。  
「ぷはっ!」  
耐え切れなくなった所で目が覚めた。  
目の前の楯無さんがニコニコと笑いながら俺の鼻を指で抑えている。どうやらあの夢の原因はこれだったらしい。  
「ちょっと!殺す気ですか楯無さん!」  
「楯無「さん」?」  
「……楯無」  
「よろしい」  
ふっふーんと調子外れの鼻歌を歌いながらこちらを見つめてくる。  
今気づいたのだが抱きしめて眠りについたため、彼女は今も俺の腕の中にいる。  
「あの、苦しくなかったですか?」  
「ううん、むしろ嬉しかったかな」  
だって目が覚めた時君の顔を一番に見れたしね、と恥ずかしくなるような事を平気で言う辺りいつもの楯無先輩に戻ったようだ。  
結局のところ立場は余り変わらなかったみたいだがまぁ悪くはなってないみたいなので良しとしよう。一瞬だけでも優位に立てたし。  
「ねぇねぇ」  
「ん、なんですか?」  
「その、昨日は急だったからあんな形で終わったけど……今度は最後までしようね」  
頬を染め、俯きながら呟く彼女。  
あぁダメだ。きっと俺は一生この人には敵わない。  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ベッドから降りるとシーツには楯無作の世界地図が。  
恥ずかしがり、テンパる彼女をなんとかなだめ、洗うため、と言いシーツを外し匂いを嗅ごうとしたその瞬間、強い衝撃と共に俺は再び夢の世界へと落ちていった。  
 
 

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