「ふぅ…こんなところか」
俺は千冬ね…じゃなく織斑先生に渡された参考書(再発行)を読んでいた。
ちなみに最初にくれた参考書は読まずに廃品回収にまわした。
「この…馬鹿者が」
教室で殴られ、放課後にそれをもらいに行ったときにも殴られた
(もう少し優しくしてくれてもいぃんじゃないか?)
入学式を早々に切り上げ早速授業開始
副担任の山田先生がISについてあれこれ言っていたが、まったく持って意味不明、皆無であった。
それにほかにも読んではおかないといかない参考書が山積みにある。
ひい、ふう、みい……考えるのはよそう。
「まっ、一息いれるか」
そーいって椅子から立ち上り大きく伸びをした。
そして、簡易キッチンの方へ向いながら、同居人をちらっとみた。
「なんだ…何か用か?」
と、不機嫌そうにこちらを見ながら尋ねてきた
「なんでもないよ」
「そうか…」
そーいって同居人はまた不機嫌そうに返事をした。
(そんなに怒らなくてもいぃんじゃないか?)
と、思いながら湯呑にお茶を淹れた
「え…っと、千冬姉も…いる?」
「学校では織斑先生と呼べ」
「はいはい」
適当な相づちをうったらギラリとこちらを睨み、手は手刀の形になっていた。
「いっ…すいません」
「よろしい」
(はぁ、どうしてこんな事に)
一夏は深いため息をついて夕方の事を思いだしていた
さかのぼる事、四時間前……
「お前の部屋はここだ」
そーいって指でさした所は寮長室の看板がかかった部屋があった。
「ここって、寮長室って書いているけど」
「そうだ、ここで当面の間は生活してもらう」
「で、寮長ってだれですか?」
「ふん、私に決まっているだろ」
手を腰にあて、もう片方の手は頭を押さえてやれやれといった感じで。
一夏はかなり動揺、混乱していた。そらもう、不審者並みに
「何をしている?とっとと中に入れ」
「うぉ!?」
考える暇もなく一夏は部屋に蹴飛ばされ入った
「っててて、何するんだよ、いきなり」
蹴られた所を擦りながら立ち上りながら千冬の方を向いた
そこには教師の顔をした千冬が立っていた
「…どうした?」
「いえ、なんでもありません」
「なら、いい…さっきも言ったがお前には当面ここで私と生活してもらう」
「えっ?…嘘?…マジ?」
「本当だ、お前は男だからな。それに部屋を用意できなかったしな」
「えええええぇぇぇぇぇ」
で、今。つまり、なうだ。
「…どうぞ」
「お、おぅ。すまんな」
湯呑を渡した後、しばらくの間、沈黙…
ずずずずっっと同じタイミングで二人がお茶を啜った。
また沈黙…
(うぅ、気まずいな。姉弟だってのに)
そんな事を考えていると千冬の肩が少し震えていた。何か堪える様に
「くくくっ…はっはっは」
どうやら、笑うのを我慢していたみたいだった。
「なんだよ、急に」
「いやー、すまん。なんかおかしくてな」
(何が、おかしんだよ、何が)
「急にどうしたんだよ、笑いだして」
そう言いながら不安そうな顔をした一夏が千冬に尋ねた
「そう、警戒するな。こっちにこい、一夏。」
少し話をしようと言って千冬は一夏の横の席についた。
「で、なんだよ?はなしって?」
コホンと息を整える様に咳払いをして
「学園には馴染めそうか?」
「どうだろなー、どこ行っても女子しかいないし、なんとなく落着かない…かな」
「ほう…。では、ISの方はどうだ?」
「それは、今勉強している所だろこの分厚い参考書で」
と、ポンポンと、それを叩きながら一夏は言った。
「それは基本中の基本だからしっかり読んでおけ。まっ、一字一句暗記しろとはゆわんがな」
教師の顔になった千冬はこうも言った
「その…なんだ、わからないとこがあったら教えてやってもいいぞ」
「本当か!?じゃあ、今度まとめとくよ。」
(やれやれ、世話の焼ける弟だ)
「後は、そうだな…彼女はできそうか?」
反射的に一夏はぶぅぅぅっとお茶を吹き出してしまった。
「げほっ、げほっ、なんだよ、急に」
と千冬の方を見た一夏だがそこにいたのはお茶をかぶった鬼がいた
額には何本も血管が浮き出ておりさらに背景は怒りの炎が立ち上っていた
「あっ…えっと…すいま―――」
「こんの、大馬鹿者がっ」
謝る前に俺は瞬殺。文字通り瞬殺された
「まったく、あいつは昔から……」
と、ぶつぶつ言いながら服を脱いで、シャワーを浴びている所だった。
俺はと言うと、のびていた。
「うん、ボディーソープが切れているな、しかたない、一夏、おい、一夏」
俺はと言うと、まだのびていた。
「しかたのないやつだ」
とシャワールームを出て、洗面所の方にスットクを取りに行ったのだが、そこにあるはずのスットクがなかったのだ。
(そうか、前に真耶が持って行ったのか。しかたない馬鹿に持って来さすか)
そーいって、一旦シャワールームに戻り
「一夏、おい、一夏」
俺はと言うと、まだまだのびていた。
「まったく」
と小さく呟いて立ち上ってバスタオルを体に巻き付けてシャワールームをでた。
「一夏のカバンの中にないか?」
がさがさと一夏のカバンを漁る漁る。
と、その時
「う…うーん、あれ、千冬姉どうして裸なんだ?で、なぜ俺のカバンを漁ってるんだ?」
ボディーソープを探すのについ必至になりバスタオルがはだけてそのまま裸で捜査中だったのだ。
「いっ、一夏!」
と驚きながら、千冬は目をパチクリと。しかも頬は少し薄紅色に染まっていた。たぶんシャワーを浴びていたからだろう
じっーっと千冬の方を見つめる。
「そ、そんなにじろじろ見るな、一夏」
裸になっていた千冬はいつもと同じ様だったが少し強がっている様だった。
「あっ、いや…ごめん」
適当に返事をした一夏だが、そこは家族として接しているようだった。
「千冬姉、きれいになったね。」
「ふん。弟には言われたくないな、」
「なんだよ、それ」
一夏は別段なんとも思っていなかった。
が、しかし千冬は違った
(あの一夏がき、きれいだと言ってくれた。もーだめだ我慢が出来ん)
自分の性欲に我慢できなくなった千冬はある行動にでる。
事もあろう、ただ一人の身内、一夏に
「なんだよ、千冬ね―――」
ゆった瞬間ベッドに押し倒し、一夏と唇を重ねた。
それは、まさに電光石化のごとく
「んっ…はぁ…一夏…んっ」
「んんっ、ぷはぁ、千冬姉?」
「お、お前が悪いんだぞ。一夏」
「なんで?」
「わ、わわ私は…一夏…お前の事が…すすす」
「す?」
「好きなんだ、大好きだ、一夏」
「……千冬姉が、俺の事を…千冬姉が」
「ふん」
と、そっぽを向いた千冬姉の顔は真っ赤になっていた。
「…俺も、俺も千冬姉の事が好きだよ、大好きだよ」
「えっ?」
「本当か?本当なのか」
「うん、千冬姉が一番だ」
「ほ、ほう」
そういって、一夏は千冬を抱き寄せもう一度キスした
「ちゅ…んっ…ちゅ…」
二人は互いの存在、愛を確認しあう様に長い時間キスをした
「…くしゅん」
「千冬姉、そんなずぶ濡れの恰好じゃ風邪をひいちまうぞ」
「むっ、そうだな。では戻るとするか」
「で、結局なんで俺のかばんを漁ってたんだ?」
ふと、思いだした様に一夏は尋ねた。
「うん?それはだな。ボディソープが切れたからカバンの中に入っているか探していたのだ」
腰に手をあて、胸を前に出しながらふんっと言った感じで伝えた。
そのポーズに一夏は股間を押さえるしかできなかった
「ボディソープなら、こっちのカバンに入れてたんだ、はい」
前屈姿勢のまま、立ち上り、いくつかあるカバンから取出し、それを千冬にわたす
「お、おう。すまんな」
「いいって、これぐらい」
「で、では、ゆくか」
「はい?」
「だから、お前も一緒に行くのだ。風呂に」
はいはいと、お手上げのポーズをした一夏だったが、千冬に風邪をひかれてしまったらマズイし、何よりさっきの続きがしたくてたまらなかった
「それにさっきの続きもしたいしな」
コホンと咳払いをし、顔を真っ赤にしながら
「この部屋だけは特別でな、風呂がついているのだ」
それにと一言、付け加える様に千冬は一夏に伝えた。
「いく!はやくいこう!」
そうして織斑姉弟の夜は過ぎていった
姉弟ではなく、恋人同士として……