セシリアとのクラス代表決定戦は敗れてしまったがなぜか、セシリアは辞退し結局は一夏が一組のクラス代表に選ばれてしまった。SHRの時間に山田先生に伝えられて口を半開きにしている一夏だったが  
「…うー、なんで、こうなった!?」  
クラスの女子達はキャッキャッ、うふふと騒いでいた  
「私が一夏さんのサポートでずっと側にいますわ、勉学、IS、それと…」  
途中で言いかけて両手で顔を覆い照れながらセシリアは言った。  
「セ、セシリア。それは助かるんだが、最後のそれと、ってなに?」  
「そ、それは…女に言わせる言葉ではありませんことよ、一夏さん」  
こっちの顔を見づにISを部分展開された右腕でセシリアに的確に顔面をぶん殴られた。痛いのなんのって、二メートル程吹っ飛ばされた。  
「なんかセシリア、嬉しそうだな。なんか良い事あったのか?まっ、これからよろしく頼むな」  
一夏は手を差し出す  
「こちらこそよろしくですわ、一夏さん」  
セシリアは目をキラキラさせながら両手で一夏の手を取りぶんぶん振って喜んでいた。  
「さて、そろそろ授業を始めるか」  
 
とパンパンと手を叩きながら千冬は生徒達に席に着くよう促した。皆はすぐ様席について教室が静まり返る。  
―仕事している時の千冬姉ってやっぱりなんかかっこいいよな、うん惚れそう、惚れてるんだけど。でも二人で寮長室にいる時はけっこうだらしないよな、実家の時もそうだったけど、料理、掃除はもちろん洗濯も俺がやってるし  
そういやこの前から、料理だけはする様になったなぁ、エプロンを着た千冬姉、綺麗だよなぁ―  
「ってて」  
「織斑、今何か変な事考えてなかったか」  
「いや、別になにも考えていませんよ」  
「そうか、なら、いい」  
―そうそう、相変わらずあの出席簿で俺の頭を殴るのだが、最近は角で殴るのじゃなくて、平面で頭をポンポンと叩く様になった、優しくしてくれているのか?さっぱり、わからん―  
「よし、とっとと授業を始めるとするか」  
で、あっという間の放課後。今日も日が暮れるまでISの特訓  
いつもは箒と一緒にISの特訓をしていたんだが、今日からセシリアも付き合ってくれていた。  
―さすがに二人同時に攻められたらこうなるよな。疲れた!  
案の定、疲れ切って地面に倒れこむ一夏の前に  
「あらあら、一夏さん大丈夫で?」  
「ふん、これくらいでバテるとはなさけない」  
セシリアは一夏の顔を覗き込むかの様に優しく言葉をかけて手を出してきた  
一方の箒は顔を反対側に向いて手を出していた  
「あぁ、ありがとう、二人とも、助かるよ」  
二人の手を握って起き上がる、起き上がったのになぜか二人とも手を離してくれなかった。  
 
「じ、じゃー、今日はこれぐらいにするか、二人ともありがとな」  
改めて、付き合ってくれた二人に一夏はお礼をした  
「あっ、この後は一夏さんのクラス代表決定パーティを行いますので必ず食堂に来てくだいね」  
「もちろん」  
そうして二人とは一旦別れて着替え後再度、合流して三人でパーティ会場の食堂に向かった。行く途中二人とも何でもない所でつまずいて一夏にもたれかかったり、疲れがと言って頭を押さえながら一夏にもたれたりとバタバタした為結局、三人で手をつないで行くことになった。  
 
パーティは終わって、もう消灯時間ギリギリの時間に一夏は寮長室のドアに手をかけた  
―千冬姉、もう寝てるのかな―  
「ただいま、あれ千冬姉。どうしてこんな所に立ってるんだ」  
千冬はドアを開けた先に立っていた  
「…遅い!!」  
「ごめんな、今日は特訓の後にパーティがあったんだ」  
「…そうか、ならいい、で晩ご飯は食べたのか?」  
「あぁ、少しだけな。でも足りてないな、千冬姉、なんかある?」  
「あ、あぁ」  
少し不安そうに千冬は返事をして付け加える様に伝える  
「き、今日は頑張って一夏のために料理を作ってみた、食いたくなかったら食わなくてもいぃ―――」  
「食う、千冬姉の完璧手作りは絶対に食う」  
いつもは二人の合作料理だったが今日はどうやら一人で作って食べたみたいだ  
「残り物だがな、かまわんか?」  
「全然」  
 
―千冬姉、俺の為に作って待っていてくれたのか、いやぁ嬉しいな―  
「ど、どうぞ、口に合うかわかりませんが」  
緊張しているのか千冬は一夏に変な口調になっていた。パンと手を合わせ、いつものポーズ  
「おぉ、うまそー、いただきまーす」  
一夏の前に出された少しばかりの料理はどれも一夏の好物しかなかった。それを箸で取って口に運ぶ。千冬はますます緊張していた  
「ど、どぅ?」  
ゆっくりとほうばり、味わった。  
「う、うまい!こんなおいしい料理食べたことないよ、千冬姉」  
あまりの上手さに箸を置き千冬の手を握る一夏  
「ありがとう、千冬姉、どれもすごくうまいよ」  
その言葉に安心したのか、ぱぁっと花が開くように千冬の顔は笑顔になり肩の力が抜け、千冬の頬は薄紅色に染まっていた  
あっという間に完食。  
で、パパッと片付け、もちろん二人で  
 
今は二人お茶をすすって一服していた  
「千冬姉、なんで、今日は料理してたの?」  
不意に思った一夏は千冬に尋ねる  
「あっ、いやこれはだな…」  
千冬は歯切れ悪そうに一夏に伝える  
 
「一夏、お前は鈴を覚えているか?」  
「鈴か、どうした?今日からIS学園に転入してきたんだよな?」  
確か、内のクラスに来て少し話をしたけど  
「その鈴がだな、一夏が帰ってくる前にな、この部屋に来てだな、一夏との約束がどうのこうの言っていたから聞いてみたら…」  
「鈴との約束?う〜ん。あれか!酢豚を毎日食べさしてくれるってやつか?」  
「そ、そうだ。それ」  
短く返事をする千冬  
「もしかして、千冬姉、それ、プロポーズだと思ってる?」  
「えっ、いや、まぁそうだが…」  
「ぷっ、ははははっ。そんなわけないだろ。だって、あの時、二人とも小学生だぜ」  
それにと、コホンと喉を整える  
「俺が、世界で一番大好きなのは千冬だ」  
そういって一夏は千冬の頬に優しくキスをする。  
「そ、そうか」  
それ聞いた千冬はベッドに飛び込み、照れている顔を必至に隠す様に  
「ち、千冬姉?」  
「も、もう寝る。明日も早いのでな」  
ハイハイといってお手上げのポーズをする一夏、パジャマに着替えて部屋の明かりを消し、一夏もベッドに入る。  
 
それからしばらく経った後  
「い、一夏、まだ起きているか?」  
「そ、そそそそっちにいってもいいか?」  
一夏は無言でベッドの端による  
少したってから千冬は一夏のベッドに入る。一夏の背中から抱きつく様に。  
優しく一夏の耳元で囁いた  
「…ありがとう、私も大好きだ、一夏」  
返事は返ってこない  
千冬は一夏の頬にキスをして  
「おやすみ、一夏」  
 
二人は同じ夢を見る様に目を閉じていった  
 
 
 

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