その日の授業が終わった後、一夏は寮の自室で身支度を整え、夜には自宅に戻ってきていた
明日が休日なので家の掃除を行うつもりである
いつものように迫ってくる代表候補生の面々もなんとかなだめつかせ、久しぶりに一人でのんびりと過ごそうと考えていた
軽めの夕食を取り、人心地ついた所で携帯電話が鳴る
「千冬姉から…? もしもし」
「あ、もしもし織斑くんですか? 山田です。こんばんは」
電話に出たのは副担任の山田先生だった
「山田先生? 千冬姉の携帯からかけてくるなんて、何かあったんですか?」
「何かあったと言いますか、その…先ほどまで織斑先生と一緒にお酒を飲んでいたのですが…」
言われてみれば山田も少し酔っているようだった。いつものおっとりとした声色の中に微かな艶やかさがあるような気がする
「珍しく織斑先生が泥酔してしまいまして…ひゃあ!?」
「んー…まや、どこにでんわしているのだぁ…」
「お、お、織斑先生! 落ち着いて下さい!」
「わたしはれいせいだぁ、そのけいたいをよこせ」
電話口からガタガタと騒がしい音と、二人の声が聞こえる
「いちかぁ、わたしだ! いまどこにいる」
「え、いや、家に居るけど…」
「そんなことはわかっている! 外出許可をだしたのはわたしだからな、ふふふふ…」
普段の凛々しさとは違った、どこか気だるげで鼻にかかったような千冬の声。最後の笑い声から考えても、どうやら本当に泥酔しているらしい
ややあって、再び山田が電話に出る
「えと、それでね、今いる場所からだと学園に戻るよりそちらに向かった方が近いんですよ」
「はあ…」
「だから悪いんだけど、今から織斑くんの家に行ってもいいかな?」
「まあ、いいですけど」
「ありがとうございます。じゃあ、今から向かいま…って、織斑先生! 携帯返して下さい!」
「いちか、むかえにこい。場所は○○だ、ISの使用を許可する、2秒でこい!」
そう言われた直後、電話は切られてしまった
「…はあ。しょうがない、行くか」
一夏は上着を羽織り、気乗りしない様子で先ほど教えてもらった場所へと向かった。もちろん徒歩で
指定された場所で千冬にもたれかかられて身動きの取れない山田と合流し、二人で肩を支えながら家路につく
完全に出来上がっていた千冬は、その道すがらでも
「まや、おんぶしろ。これは教官命令だ」
「いちか、早く白式を展開せんか、ばかもの」
などと好き勝手に喋りまくっていた
酔っぱらいの戯れ言を聞き流しつつ、ふらふらになりながらも自宅に到着する
扉を開け中に入り、L字型に並べられたソファーに千冬を座らせる。山田にも座るように勧め、一夏はお茶を用意するために台所に向かった
「はぁ…今日は疲れました」
まさしく疲労困憊といった様子で山田がつぶやいた
小柄な体をソファーに沈めているので、一夏からは頭のてっぺんがちょこんと見えているだけだ
「千冬姉がこんな風になるの初めて見ましたよ。何かあったんですか?」
「え? ええっと、まあ…き、教師にもいろいろあるんですよ、あはは…」
「? はあ、そうなんですか…」
お茶を運んできた一夏に、酔った頭で精一杯考えた言い訳をする山田
実際は代表候補生達の一夏へのアピールが積極的になったことに関しての愚痴を聞いていただけなのだが
「…ふぅ、落ち着きました。そろそろおいとましますね」
いそいそと客用の布団を準備していた一夏が引き止めたが、これ以上迷惑はかけられないという山田に根負けし、駅まで送り届けた
明日のためにと、コンビニでウコンドリンクなどを購入し帰宅する
連れ帰った時はソファーに腰掛けるようにしていた千冬だったが、今は横になり、身体がソファーに収まるように膝を曲げ、無防備に寝ていた
タイトスカートから覗く、黒ストッキングで守られた脚がひどくなめかましく、一夏は思わずドキリとしてしまう
「ち、千冬姉、こんな所で寝たら風邪引くよ」
必死に雑念を振り払いながら、千冬の肩を優しく揺する
「スーツもしわになるからさ、ほら」
「んん…」
一夏の手を払いのけるようにして仰向けになる千冬
薄い化粧をした静謐な顔、お酒のせいなのか、頬はほんのりと上記したままだ
少しだけ開いた形の良い唇からは、スゥスゥと心地良さそうな寝息をたてていた
その吐息に合わせて届くほのかなお酒の匂い、控えめな香水の匂いもする
そして、まるで千冬の身体中から立ちこめてくるかのような女の匂い
全てが合わさり、一夏の視覚と嗅覚をじわじわと蝕んでいく
ソファーの端に手をつき、膝立ちでその顔を覗き込む
好奇心にかられ――現状の、ただの姉と弟という関係の中にある、ほんのいたずらの延長上の気持ちで――千冬の頬に触れた
手全体を使うのではなく、指の腹だけを優しく押し当てる
「ん…」
千冬は指が触れた際にわずかに顔を上に向け口を閉じる反応を示した
そして自分の頬を撫でる指が一夏のものと知ってか知らずでか、その手の平に頬をうずめた
すぐに起きて怒られるかも、そう思っていた一夏にとってその反応は予想外のものだった
手の平全体に千冬の柔らかな頬の感触が伝わり、熱が広がっていく
子猫が「もっともっと」と甘えるかのような仕草ですりすりと顔を動かす千冬
表情こそ変わらないものの、その頬は先ほどより赤みがさしているようだった
一夏はこの時、たまらない愛おしさと自身の昂ぶりを感じた
いつもの彼女からは想像すらできない、まるで乙女のようなその仕草に、一夏の中の情欲が鎌首をもたげる
頬から喉へ指を這わせ、ほっそりとした首筋を四本の指で撫でつけ、顎の裏側から唇に向けて中指を動かした
再び半開きになった唇の、下唇に指が触れる
頬とはまた違うタイプの弾力があり、一夏はしばらくその感触を楽しんだ
手を離し、千冬の表情をうかがう
相変わらず無表情で、寝ているかどうかはわからなかったが、今の一夏にはもはやどうでもいいことだった
スーツのボタンに手をかけ、ゆっくりと外していく。千冬の腕がお腹のあたりを守るように置かれており、完全に脱がすことはできない
そのため、胸の部分のみをはだけさせる形になった
ブラウスのボタンも外すと、その下のブラと豊満な胸が現れる
白く綺麗な肌を包むブラは黒色で、花の刺繍が施されていた
胸は未だにブラウスなどで半分ほど隠れているものの、腕を抱くようにして寝ているために中央に寄せあげられ、美しい谷間を作り出していた
一夏の指が、再び頬を這い、今度は首を通り過ぎて鎖骨へ触れる
「……」
無表情を保ったまま、千冬がわずかに顔を仰け反らせた
浮き出た骨を二本の指で挟んで優しく撫で、端まで到達すると、人差し指の腹で弧を描く
鎖骨を堪能したその手は、とうとうそのふくよかな乳房に向かった
最初は三本の指が、ゆっくりと、まるでなめくじのような遅さでブラからこぼれている乳房の上部をなぞる
未だに酔いが回っている火照った体の、女性であることの象徴たる部分を指が這う
ただそれだけの行為でも千冬の体は強烈な快楽を感じた。胸から伝わる優しい感覚が、脳をピリピリと刺激する
私たちは姉と弟となのだ、このような行為は許されない
今すぐ起き上がり制止すべきだ
と、頭の中では思っているものの、アルコールのまわった体は動いてくれず、一夏が一撫でする度に襲い来る快楽に、その思いも優しく削り取られていく
そんな千冬の唯一の抵抗が、こうして狸寝入りをして無関心を決め込むことだった
性知識に乏しい彼女は思春期の男子の無尽蔵な性欲を知るはずもなかった
相手が何のリアクションも起こさなければそのうち飽きてくれる。そう思っているのだ
もちろんそんなわけはなく、一夏が飽くまでこの行為は続くのだが
使っていないもう一方の手を千冬の頬に添えながら、一夏の指がブラの中へと潜り込む
片手に収まりきらない程の胸を鷲掴みにし、不規則に指を動かしてその感触を楽しんだ
「千冬姉の胸、すげえ柔らかいな…」
揉み、こねて、すくい上げ、揺らす
「…っ」
千冬は今までで最大級の快感に襲われ、思わず軽く身じろぎしてしまう
その反応をみた一夏はますます愛おしくなり、より一層の慈しみをもって乳房を愛撫した
やがて手の平に勃起した乳首が触れるようになると、人差し指と親指でつまみ、コリコリと刺激する
「んん…ぁ…」
乳首を刺激された途端にピクンと体を震わせ、かすかな声を漏らす
先端に触れられる度に電流が身体を駆け抜け、頭の中が白くなるような感覚を覚える
「っ…ん……」
千冬は声を押し殺すために、一夏の手の平に唇を押し当てた
彼自身も緊張しているのか、唇には汗と思わしき水分が付着した
そのままの状態で、一夏はしばらく乳首を弄び、千冬の反応を楽しんだ
頬と胸から両手が離れ、千冬は若干の安堵を覚えた
その顔は耳まで真っ赤になっており、呼吸する度に胸が大きく上下していた
一夏の両手がお腹に置かれた千冬の両手を握る
すくい取るようにうやうやしく握られた手は、肘を曲げた状態で頭の上まで持ち上げられ、左手で固定されてしまった
一夏は空いた右手を使い、残るブラウスのボタンも全て外し、ブラをたくしあげる
ツンと上を向いた乳首が露わになり、無駄の無い引き締まった腰と相まって、たまらなく扇情的だった
「乳首、舐めるよ?」
乳首に息があたる距離まで口を近づけて聞いてみる
「……」
千冬は目を開けず、顔も動かさない
一夏はそれを肯定と受け取り、大きく口を開けピンク色の突端に舌を押し付ける
そのまま乳輪に唇を付け、徐々にすぼめていく
「ん…ちゅう、ちゅう」
隙間を作り、わざと音を立てて吸い上げ、舌で乳首を弾く
「ふ…んぁ…」
甘い刺激に反応し、声を漏らして千冬の体が小さく跳ねる
弓なりになった姿勢は、さらなる快感を求めて一夏に自身の胸を押し付けるような形になった
右手で綺麗なラインを描く腰を堪能する
わずかに浮き出た腹筋の感触をひとつひとつ確かめるように指を這わせ、中指でへその穴を犯した
その間も乳房へ愛撫は続けられる
今や痛いばかりに屹立し、千冬の呼吸に合わせて切なそうに震える乳首を舌先で転がす
なよやかな乳房の下部や側面、谷間に何度も唇を落とし、マーキングを行うかのようにキスマークを付けていく
再び乳首をくわえ、出るはずもない母乳を求めて激しく吸い上げた
「っあ……は、ぁ……」
千冬が細顎を突き出して震える
体全体が熱くなり、千冬の抵抗力をごっそりと奪っていく
背徳的な劣情と胸から与えられる堪え切れぬ悦楽がひとつとなって、千冬の下腹部、へそを犯す一夏の中指の下にある子宮を疼かせる
一心不乱に乳房をねぶられ、弛緩した秘部から愛液が滲み出ているのがわかる
一夏は舌と右手で両の乳首をコリコリと摘んだ
千冬の眉が歪み「みるな」とでも言いたげにイヤイヤと顔を振る
持ち上げられた両手にも力がこもり、腕を動かそうとするが、手首をガッチリと掴んで離さない
千冬は大きく背中を浮かせ、お尻を支点に脚が上がる。
つま先は天井を向き、内股気味に閉じた太ももを切なそうに擦り合わせていた
「…千冬姉」
ふと千冬の顔を覗き込むと、薄く目を開いてこちらを見ていた
わずかに見える瞳には今なお強い意志が感じられたが、その裏には一夏に与えたれた未知の快楽に濁る感情が見え隠れしていた
「キスするよ…」
千冬の両手を拘束していた左手を離し、ゆっくりと顔を近づけていく
千冬の体は、やろうと思えば一夏をはねのけるくらいはできるまで覚醒していた
一夏の唇が迫る。すでに互いの鼻息が感じられる、拒否するなら今しかない。それくらいの距離だ
「…千冬姉」
頭の中に一夏の声が響く
ただ名前を呼ばれただけなのに脳が痺れ、胸の奥が締め付けられるような感覚が走る
「一夏、だめだ…だめ…」
なんとか理性を奮い起こし、彼の名を呼び制止しようとしたが、そのささやかな抵抗は無駄に終わった
「ごめん、我慢できない」
薄くルージュの塗られた唇に、一夏の唇が重なる
「んん……ん…」
唇を触れあわせるだけの、優しいキス
押しつけられた柔らかい唇は、それだけで千冬を恍惚の世界へ誘い、先ほどまであった理性を吹き飛ばす
次の瞬間、千冬の唇に舌が当てられる
真一文字に結ぶ唇を割り裂き、口内に侵入しようと蠢いていた
「んむぅ…」
それは決して嫌悪などでは無く、条件反射で顔を背けようとする千冬だが、それより早く一夏の両手が伸び、頭をがっしりと掴まれる
ぬめりけのある唾液をまぶし、徐々に唇をこじ開け、舌が入っていく
歯ぐきを舐め唾液を流し込み、荒々しく口内を蹂躙する
「んぷ…ちゅる…えぁ……」
一夏の舌によって、千冬の精神はいとも簡単に陥落した
口中を犯され、唾液を流し込まれたら音を立ててすすり飲む
ツンツンと、一夏の舌先が誘えば舌を動かし激しく絡ませあう
「千冬姉、すげえ可愛いよ…ん…」
頭を固定していた両手が緩み、変わりに髪をすくような動きで撫で始めた
千冬は完全に主導権を握られ、普段とは違う一夏の積極的で大人びた雰囲気に飲まれていった
「一夏、一夏…」
涙で目を潤ませながら自分でも無意識のうちに一夏の首に腕を回し、強く引き寄せる
一夏もそれに応え、この上なく濃厚なキスをしながら髪を撫でる
今まで泣き言ひとつ言わずに一夏を守ってきた千冬の、心の中に押し込めていた「甘えたい」という願望が、少しずつ溢れ出していた
長い長いキスを終え、ようやく一夏の唇が離される
「…ふう」
「ぷは、はぁ、はぁ、ぁ…ぅ…」
だらしなく口を開け、物足りないとでも言うように舌が突き出されている
口の脇からは唾液が零れ、ヌラヌラとした光を放ちながら首もとを伝ってソファーに落ちていた
目は悩ましげに垂れ下がり、涙が滲む
「千冬姉、布団に行こうか」
そう言って一夏は千冬をお姫様抱っこの状態で抱きかかえ、山田のためにと引いていたままの客用布団へ移動する
お尻から優しく布団に降ろしてもらい、そこでも軽い口付けを交わす
千冬の下半身まで移動した一夏は少しだけお尻を浮かさせ、タイトスカートのホックとファスナーを手早く外した
それを脱がすのでは無く、腰のあたりまで捲り上げる
スカートをずらされ、千冬の秘部を守るものは黒ストッキングとパンツだけとなった
タイツの感触を楽しむように膝の辺りから指を滑らせ、ゆっくりゆっくりと股間へ向かわせていく
そして、今まで誰にも触れさせたことの無い箇所へ、指が到達する
一夏は布越しに指を秘部にあてながら、強弱をつけて前後に動かした
「あ、あ…くぅ、あ…」
二度三度と、指を沈める度に千冬の口から甘い声が漏れる
「気持ちいい?」
「し、知らん、よせ…ぁ、んん…」
いつもの気迫のこもった声であれば、一夏も逃げ出していただろう
しかし今の千冬、惚けた表情で喘ぎ、一夏の指に合わせて体を震わせている状態の彼女が発したところで、それが強がりだと言うのは一目瞭然だった
「よっと…」
足元に移動した一夏は膝裏に手を回して両脚を持ち上げた
M字開脚のような姿勢で、千冬の股間がより大胆に一夏の目に晒される
一夏は股の間に体を入れ込み、脚を閉じられないようにした
「ストッキングは破るか」
ビィィという音を立て、股間部のストッキングが裂かれた
ブラとおそろいの黒いパンツに、隙間からは白い肌が覗く
一夏の指がクロッチをなぞった
湿った布の質感と、かすかな凹凸の感触
「っ…はぁ、うあ…」
「千冬姉のパンツ、ぐしょぐしょになってる」
「ひぁ、い、言うな…言わないでくれ…」
そう一夏に指摘され、改めて自分が発情している事を自覚させられた
その感情が呼び水となって、千冬の体にさらなる快感の波が押し寄せる