「あーぁ… HRの前に言っておくことがある。最近学内の備品を極めて  
私的に利用している者がいる」  
 そういった千冬は、キッと一夏のほうへ視線を移した。  
「どうだ、オリムラ。心当たりはないか?」  
「イヤ… 別に…?」  
「そうか…」  
 と言って、千冬は一夏の机の上に紙束をほうった。  
 一夏は重たい音をたてた紙束をペラペラをめくりながら目を通したが、何のことはない。  
URLと思しきアルファベットが、ただ羅列されていた。  
「?」  
「どうだ? まだ白状する気にはならないか?」  
「白状って、これはいったい?」  
 言わんとすることが、よく理解できない一夏の態度をとぼけていると受け取ったのか、  
千冬はフルフルと肩を震わせた。  
「これ全て、おまえが入り浸っているアダルトサイトのURLだっ!」  
「っ!!」  
「!!!」  
「!!!」  
「今朝の職員会議で指摘されたが、これまで生きてきた中で  
これほど恥ずかしい思いをしたことはなかったぞ! おまえはエロサイト以外接続先を知らんのかっ!!」  
 千冬の怒号のあと、教室内がにわかにざわめきだす。  
「聞いた? アダルトサイトだって」  
「ヤダ〜、オリムラ君もそういうの見るんだ〜」  
「うわぁ、やっぱり男の子」  
「ショック〜」  
「うわああああぁぁぁぁぁ・・・」  
ガスっ!  
「ガッ」  
 一夏の悲鳴が千冬の鉄拳によって打ち砕かれた。  
「ぐあぁ… 頭部のリン酸カルシウムフレームに亀裂が…」  
「オリムラ、あとで職員室に来い」  
 
 

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