左慈×呂蒙  
(蒙ちゃんの一人称ヲトメ小説バージョン)  
 
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なんで、この男なんだろう。  
 
私は、自分が注文した溶けかけのソーダフロートのように  
ぐるぐると頭の中で自問自答を繰り返していた。  
 
女にだらしなくて、飄々としていて掴みにくくて、食えない男。  
今も楽しそうに女2人を両脇にはべらせて、私の前でデートの約束なんかしたりして。  
左慈の手がさりげなく右の女の太腿をまさぐっているのを見た瞬間、  
私の我慢も限界だった。  
噛み千切りそうになっているストローを口から離し、私は席を立つ。  
 
「左慈、用件がないのなら私は帰るぞ」  
 
予想外に自分の声が刺々しいのに気が付いた。  
その様子に少し驚いたような、苦笑まじりの顔をして左慈は  
「蒙ちゃん、なにカリカリしてんのさ?」  
と、我侭を言う子供に対するような言い方で私を引き止めた。  
くすくす、と彼の両脇にいる女達が笑う。  
自分でもかぁっ、と頭に血が上るのが判った。  
 
「うるさい!ばかっ!!」  
 
ファミレスを出た私は恥ずかしい気持ちと、悔しさが混ぜこぜになった頭で  
一刻も早く彼らから離れたくて、駅を目指して駆け足になっていた。  
 
--------苦しい。駆け足だから?  
 違う、笑われて恥ずかしかったから?  
 違う、胸の奥が苦しい。張り裂けそう。何で?  
 左慈のせい?何で?わからない。私は、どうしたいのだ?  
 ああもう放っておいてくれ!  
 アイツの顔など見たくもない!!あんな、馬鹿者------------  
 
駅のホームに着き、荒い呼吸をそのままに電車の到着を待つ。  
「ちょっとまってってば!蒙ちゃん!!」  
右手にゆるい衝撃。ぎゅ、と握り締めてくる。  
「…っは…はええなあ…蒙ちゃん、あっという間にいないんだもんなあ…」  
頭をたれて、息をつきながらも私の右手を握り締めている。  
私はその暖かさに別の意味でさらに顔が熱くなった。  
「…何しにきた」  
ドキドキする胸の内をこの男に感づかれなくて、わざと押し殺した声で私は問う。  
「何って、決まってるでしょーが。蒙ちゃんを追ってきたんだよ」  
へらり、とした顔で笑いながら空いた手で私の頭をくしゃりと撫でてくる。  
「それとも何?もう少し嫉妬にかられていたかった?蒙ちゃん可愛いなあ♪」  
こいつっ、判っていて…!!!!!  
ぎっ、と私は左慈を睨むと彼の手を振り解く。  
「そんなっ、わけっ、あるはずないだろうっ!ばっ、ばか…」  
くるりと彼に背を向け、ホームに向いたとき、ちょうど列車が入ってきた。  
開くドアからどっと人が流れ出してくる。  
入れ替わり、私は車内に乗り込み反対側のドア角に行き  
車内に背を向けて立つ。ドアの窓からは薄紫と橙の夜の帳に包まれかけた町並みが見えた。  
 
------------と。  
予想はしていたが、すぐ後ろに人の気配。  
煙草のにおいに包まれてる、彼の匂い。  
「蒙ちゃん、機嫌なおしなよ?」  
頭越しに聞こえる左慈の声。予想外に近くから聞こえた彼の声にドキッとする。  
 
----------まったく。左慈の女癖の悪さと手の速さは今にこしたことじゃない。  
私も、いちいちそんな事にカリカリしていても仕方ない。  
「…ダメ?まだ怒ってる?…ねえ?」  
なんと言う声を出すんだこの男は。計画的に違いない。  
いつの間にか私の刺々しい気持ちは無くなっていた。  
左慈は謝罪という殻をつけた甘い言葉を後ろから私の肩にあごを乗せ、囁く。  
少し、くすぐったい。  
 
「さ、左慈…もう怒ってない…から、少し離れてくれ…」  
角に追いやられているせいか、逃げ場がなく  
私は少し身じろぎして左慈との距離を開こうとした。…が。  
よりいっそう左慈は私を角に追いやり、密着してくる。  
ドアの脇についている手すりが、胸に当たり、圧迫感を伝えてくる。  
「…痛ッ、左慈、胸痛い…」  
「…胸の…どのへん?」  
くすりと笑いながら耳元で囁く左慈。吐息が耳朶にかかる。  
ぞくりとした感覚に羞恥は炙られ、頭の芯がぼうっとしてくるのが感じられた。  
「痛いのを紛わせてあげる」  
左慈の手が、制服のスカートの内部に進入してくるのがわかった。  
「や…やめ…!!!」  
「大声出すと、皆に見られちゃうよー?」  
楽しそうな声。少しだけざらついた手が、下着の両脇にかかる。  
「さ・げ・ちゃ・お・う・か・なっ♪」  
「やめ…やめろ左慈…おねが…いッ」  
必死で小声で訴える私を楽しそうにうかがう気配がする。  
「じゃあ、やめてあげる…ねッ☆」  
「!…ッ…!!!」  
瞬間、左慈は下着の両端を上に思いっきり引き上げた。  
きゅうう、と股間に食い込む痛さと刺激されたことへの快感が下半身を中心に広がる。  
私は慌てて自分の人差し指を噛み、声が漏れるのを防いだ。  
それを見て、彼は更に楽しそうにリズムをつけて引き上げてくる。  
下着は1本の紐のような状態になり、私の中心部を一定の感覚で刺激を与えてきた。  
「…ゃ、っは…ぁ」  
じわりと膣口から液体が漏れ出てくるのが判った。  
誰かに見られているかもしれないこの状態  
声を押し殺しているこの状態  
そんな背徳感めいた現状が、私の快感を炙りだす。  
 
と、そのリズムにようやく自分の快感を求める感情が合わさってきたところで  
突然左慈はやめてしまった。  
「…ぁ…………………ぃひゃんッ!!」  
敏感になった私の中心に、荒々しい男の手がいきなり侵入してきた。  
唯一股間を健気にも守り通していた下着をよけ、指がぐいぃ、と膣に入ってくる。  
「痛ッ…ちょ、さじ…ぁ…」  
「もうすぐ降車駅だからさ、蒙ちゃんへのお詫びに…ね?」  
「そんな詫びなど…いら…いらなぁ…ぁんッッ!!」  
膣口の壁をこすり、更には一番神経が集中しているところを細かくなで上げてくる。  
時折、キズをつけない程度に引っかかれたりして、そのたびに私は声を押し殺すのに苦労した。  
 
「ゆび…ぬいてぇ……ッちゃう…イッちゃ…」  
「えー?すっごい蒙ちゃんのナカ、俺の指に食いついてるけど、いいの?」  
ぐにゅ、と中で指を捻るのが感じて取れた。クリトリスをこすりあげる指が早くなる。  
強く、弱く、細かく…膝ががくがくと震えた。頭の中が白み始める。  
「ぁ、は、ぁ、ぁッ…!!!!」  
白が脳幹を占拠した。左慈の指を深く味わうがごとく、私のいやらしい部分は  
彼の指を食み、舐め、締め上げる。  
その余韻を名残惜しまず、左慈は指を抜くと再び私に囁いた。  
 
「お詫び、完了♪…蒙ちゃん処女だからさ、指2本はいけないかなって思って」  
「ば…ばかッ…」  
 
左慈になら、はじめてをあげてもいいのに。  
喉まで出掛かる言葉は、あまりにも自分には似つかわしくなくて。  
左慈と深く繋がりたいと思っても、そんなのは彼にとっては今までの女と大差なくて。  
なんだか急にまたあの苦しさが戻ってきて。  
その苦しさが目から透明な雫となって自分の頬を伝うのが判った。  
「も、蒙ちゃん??もしかして、俺、指でやっちゃった?!」  
「違う、そうじゃなくて……私は…わたしッ…」  
 
がたん、と電車が止まり、車内の空気が入れ替えられる。  
気が付けば、降車駅についていた。  
左慈は私の右手をつかむと、電車を降りる。私も自動的に降りる。  
 
いつしか外は青紫の黄昏から漆黒の夜空に変わっていた。  
情けなくも涙が止まらない私の傍で、左慈は煙草を吸いながらずっと居てくれた。  
泣き止むまで。ただ、ずっとそばに。  
 
「さじ…」  
「…ん?なに?蒙ちゃん?」  
優しい瞳。大好きな、左慈の目。  
「私は…お前になら…」  
左慈は一度大きく煙草を吸い、大気に紫煙を吐き出すと煙草を灰皿に捨て、  
もう一度私を見た。今度は意志の光が宿ったまなざしで。  
「お、お前なら、女の扱いには慣れているだろう…?だから、その…  
 私もその一人と考えてだな、こう、なんだ、その…」  
もっと軽く言うはずなのに。左慈の目があまりにもまっすぐで上手く言えない。  
マタ頭が混乱してきたので、私は黙って俯いてしまった。  
「…蒙ちゃんは、いいの?」  
どうして。  
どうしてこういうときに軽く流してくれないんだ。  
「俺は、蒙ちゃんにとってどういう位置づけ?」  
なんで。  
なんでそういう意地悪な質問をするんだ。  
ただ軽く、了承してくれればいいじゃないか。今までの女と同じように。  
「俺は、蒙ちゃんを大切にしたい。」  
「なんで…なんでこういうときだけ…」  
ふいに、左慈の唇が私のそれと重なる。煙草の苦さが口腔に広がる。  
だが、不思議とそれは甘く感じられた。  
唇を離し、もう一度私をみつめる。  
「ホントに、いいの?」  
それは今まで左慈が他の女にはもたなかった躊躇。  
 
なんだかそれがかわいらしく見えてきて---------------  
 
今度は、私のほうからキスをした。  
 
 

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