(屋外での何気ないところで唐突に玄徳がしでかしたという設定で)  
 
 そのとき、がさっ、と林から音がした。  
「誰だ!?」  
 関羽は、すぐに劉備を守るように前へ出た。  
「そこにおったのか」  
 姿を現したのは、諸葛亮孔明だった。  
「孔ちゃん!」  
 劉備は、陽気に孔明を呼んだ。  
「玄徳。話があるので、家にまで来て欲しい」  
「うん、わかった。それじゃ、関さんも一緒に」  
 そういって、劉備は関羽の手をひくと、家へと向かった。  
 傍目には、三人仲良く並んで歩いているように見えるが、  
 どこかしっくりこない雰囲気が漂っていた。  
 最も、その元凶が自分であることを、劉備は判っていない。  
「おう! おかえり」  
 家の外にいたのは、張飛益徳。  
 口をもぐもぐさせて、何かを食べている。  
「あー、張さん、何を食べているんですかー?」  
「天外天の中華まんや」  
「天外天といったら、有名なお店じゃないですか!」  
「そや、だから旨いでぇ。早よしないと、なくなってまうで」  
 そういって、張飛は親指で家の中を指した。  
「そんなー!」  
 劉備は、慌てて家の中へと駆けていった。  
 そんな劉備を見送る孔明、関羽を取り巻く空気が、急に殺伐としたものになった。  
「関羽雲長」  
 孔明は、劉備の背を見たまま、いつもの淡々とした口調で話し出した。  
「余り、変なことをするでないぞ」  
 まるで、先程の劉備との行為を見ているかのような口ぶりだ。  
「私は変なことなど何も−」  
「言っておくが、玄徳は私のものだ」  
 孔明の言葉に、関羽の顔に不快の色が浮かんだ。  
 

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