皮村薫   
――――最も異性に縁なき男――――  
――――最も愛が足りない男――――  
――――最も恋に不憫な男――――  
 
 
「ふっ、俺には世間一般のいう幸福などありえない」  
 そう心に何度も言い聞かせて納得している……筈だった…  
 だから嫌われてでも、気味悪がられてでも覗きなどの行為を遠慮なくやってきたのだった。  
「好きな娘の視線の先に輝くイケメンな男=おれとは別世界の住人」  
 何度、これを経験しただろうが……  
 なんだかんだで林田と森さんもくっついて微笑ましい。  
 反面、林田の妹たちのカップルが別々の高校に進学して気持ちよかった。  
 中山も何とか吹っ切れていい感じだ、彼女はああ見えても芯は強い、それなりに可愛いし、いい恋をするだろう…  
   
 …中山…  
 ・・・中山・・・・・  
   
 
 「中山朔美」  
 
   
 何故か頭から離れない…  
 もともと林田に惚れてたんだ…何をアホな…  
 理屈じゃ解りきっているんだが……俺は……う〜ん  
 ……中山……  
   
 
 自分の感情が恋である事に皮村は気がついていた…  
 後輩に同情して励まそうとしてるだけだと必死にごまかそうとしても、もう無理であった・・・  
   
「お早うございます。」  
 登校途中で中山に会い挨拶をされて戸惑う皮村。  
「お、おう!!」  
「どうかしおましたか?」  
「いや、ちょっと考え事をしててな…うん。びびった。」  
「先輩。またエッチな事でも考えてたんじゃないんですか?」  
 と明るくからかってくる。  
「ああ、俺の頭にはそういう事しか興味がないんだよ!」  
「もう、実行だけはしないで下さいね。つかまっちゃいますよ。」  
「中山が受け止めてくれたら、それでもいいんだけどなぁ〜」  
「そんな事言って、仮に私が先輩の犠牲になっても私一人で、満足するとは思えないですよ。」  
「まあ、そうだろう。」  
「どっちなんですか・もぅ(笑」  
 とちょっとよさげな会話をした。  
   
 ――授業中――  
 皮村に礼を言って来て以来、皮村の気遣いしてくれた事から信用も深まり少し親しい感じなった  
「(まっ それでもどんなに良くても『いい人』でそれ以上は眼中にはねぇんだろうな)」  
 照れながら感謝してくれた朔美は可愛かった。  
 それが自分に向けられたので、それはそれで幸せだった。  
「(あの時の中山は……マジで…)ドキドキ ドキ」  
 避けずに膝枕してくれた時を思い出すと余計に思いが大きくなる。  
 
最近皮村先輩の様子が少し変だ…  
 
 柔道部の練習を通して朔美はそう感じとっていた  
 探りを入れようと話しかけたりしても皮村らしくセクハラでかわされる。  
 カマをかけようにも、そこは流石に自分の気持ちに唯一気付いた皮村である、敏感に察っせられて  
 やっぱりうまく誤魔化されてしまう……  
 「(先輩、なにかあったのかな?…)」  
   
「(ふう、同じ学園の教室じゃなんともないのに、中山が目の前だとやっぱり態度に出ちまうようだな…)」  
   
 皮村は叶わぬ想いとして今まで通りに接してるつもりだった。  
 桃里が林田と付き合う前に考えていた  
 「同じ部活の仲間たちののこの関係を崩したくない」  
 「変わっていくのが怖い」  
 とは違うのだ。  
 結果論から言えば桃里の踏み出した先には幸福があった、桃里も林田が好きだった、  
 特に失うものはなく、全てがうまくいった。  
 
 だが皮村はそうはなれなかった  
 第一に桃里たちとは状況も違う上に、皮村の悲しき今までの人生が否が応でも悲惨な結末しか描かせない。  
 朔美が林田に惚れていたという現実がそれを加速させる。  
   
  「今だってこうして仲良く話せてんだから…それでいいじゃねぇか」  
   
 告白したところで振られるに決まっている。  
 いや、告白といわずまでも何かにかこつけて二人ででかけるよう誘っても困った顔をするだろう…  
 さすがに中山は今までの女とは違い  
 「キモい」「ウザい」「鏡見ろ」  
 などのの酷い言葉で罵って吐き捨てるような扱いは絶対にしないだろうが…  
 しかし今まで通りとはいかなくなり、気まずくなるのは目に見えてる。  
 今のままでも地獄かもしれないが、振られてその後に内心、厄介がられるよりはマシだ  
 自分に対しては珍しく、好意的に向けられた目を失いたくはない………  
 
  そう思っていた  
 
   
 「ほら、食えよ」  
   
 今日も帰宅途中、屋台でおでんを買い余りを猫に与えるのだった。  
 
 
 朔美は馴染みの友達同士で集まって仲良く談笑していた  
「朔ちゃん、最近部活の調子はどうよ?」  
 と山崎幸子が胸を張り出しながら尋ねる  
「うん。別にいつも通りだよ」  
「大丈夫?皮村先輩とかに変な事されてない?(笑」  
 奥野有里もなにげに口を挟む  
「う〜ん されてないといえばされてないし、されてるといえばされてるかな。」  
「先輩はあれが自然体だから…」  
「あはははは」  
 吉田みゆきも笑う  
   
 ふと皮村の顔が浮かび少し心不安になる……  
 気付いているのは朔美だけである、皮村もいつものメンバーの前では普通に過ごしているのだから…  
 「(先輩、何事もなければいいけど…)」  
   
 
「最近皮村があんまりいやらしくないわね」  
 と突然聞かれて林田も最近の様子を思い出しつつ  
「ん、いわれてみればそんなような…」  
「えっ!?ああ、なんだ……俺だってTPOを弁えてるし、四六時中そんな事をしてるわけじゃねぇんだよ」  
「でも、そういう事するよりはしないほうがいいと思うよ。ちょっと皮村君らしくないけど…」  
「いやぁ〜でも、向うから来るなら俺はいつでもOKだよ。だから森さんのオッパイを……」  
  いやらしい手つきをして桃里に接触しようとした即直後、林田の鉄建制裁をあびる皮村  
 その後も教室ではいつも通りのやり取りが行われた。  
 
「(ふ〜危ねぇ〜(汗 最近はあんまりそういう事する気が起きなねぇんだよな。  
                          悟られないよう気をつけなないとな…)」  
 と警戒心を強め引き締める皮村。  
「(でも性欲とは別に…いや、性欲も込みで、抱きしめてぇ 中山ぁ〜)」  
 と何かしら最近は朔美に結びつけたりしてしまう・・・いや朔美の事しか考えてない。  
 勿論、健康な高校生俺中山が好きだんだよな…  
        でも、まぁ 想うだけなら勝手だし、あとはバレないようにしねぇと……)」  
 
―−−今日も部活動があり、そして―――  
 
柔道場に来ていた3年一同に後から来た中山が挨拶する  
「どうも」  
「……おう」  
「今日もがんばりましょう先輩」  
 と明るく声をかける  
「ナニをがん張るってぇ〜(ニヤリ」  
「先輩!!」  
 といつものやりとりをして皮村は捌いたつもりだったが・・・  
「(やっぱり皮村先輩ちょっと変だ)」  
 と皮村の反応がちょっとおかしいと感じるが、朔美はそれが自分に対してだけだと気づいていない。  
 
 部活動も終わり、日が落ち帰宅時が訪れた  
   
 林田と桃里、ベリ子と三浦はそれぞれ決まったかのように帰宅を同じくする。  
「ふっ、(仲睦ましいもんだな)」  
 特に藤原と対になって帰るわけでもなし、林田が桃里と付き合い始めてからは  
 やはり一緒に帰る回数も減った。  
 互いにカップルとしてはそれで成り立ち、時々桃里がベリ子と帰る時に皮村が林田と帰ることがあるくらいだ。  
 少し心寂しいと感じる時もなくはないが、それは仕方のない事だと割り切っている。  
「(オレもたまには中山と仲良く帰ってみてーよ)」  
 などと虹色の風景を思い浮かべながら、楽しそうに会話して歩いてゆく林田と桃里の  
                       後姿に自分と朔美の影を重ねるのだった  
 最近は部活終了直後は別れの挨拶を終えて帰る朔美の後姿ばかりを追っている  
「(バレー部の山崎とか、一年の女友達グループと待ち合わせてるんだろうな)」  
 林田に失恋したばかりで次の男の心配はないが、朔美は可愛いためいずれは彼氏ができて一緒に帰ることを想像すると  
 少し心が痛む。  
  哀愁を帯びた不細工な男はやるせないため息を吐き、校門を出ようとするのだった。  
「先輩!」  
 その聞きなれた声の方に目を向けると、中山朔美が立っていたのだった・・・・・  
 
 偶然を装うのはさすがに不自然だったので朔美は  
「たまには一緒にに帰りましょう」  
 とだけ声をかけた。  
 といっても待っていたとも言わない。  
「えっ!?お、オレと…あ、ああ (ドキドキ)」  
 とうろたえつつ、喜びと不安で緊張する皮村  
「…………」  
「…………」  
 歩きながら無言の静寂が続く  
「あ、あの、先輩。」  
「お、おう」  
「こういうのも…なんですが…最近あまりいやらしくありませんね」  
「えっ!そうか?(みんな同じ事をいうな危ねぇな)」  
 とギクリとしつつ  
「いやぁ、なんだオジさんはただ黙って視姦しているだけよ。うん。   
         中山のおっぱいもちゃんとチェックしているんだよ。」  
 とごまかしたつもりだったが、返って不自然な語りになってしまった。  
「……こんな事聞くのもと思うんですが、何かあったんですか?」  
「あ、いや〜 ……うん、そう…オジさんの大切なデジカメが壊れちゃってね、そうなんだよ。」  
「(絶対に違う!そんな軽いノリじゃない)」  
 と既に朔美には見透かされてしまっている事に皮村は気づかない  
 皮村はうまく逃げ切りたかったが、朔美は聞き出そうとしていた。  
 しかしこのままでは分かれ道に着いてしまう・・・  
 思案中の朔美は辺りを見回してみた、すると丁度、帰路の途中にある  
                   公園を見つけたので皮村を誘った。  
「先輩、ちょっとだけつき合ってください。」  
 
 自販機で買った飲料を飲みながら二人はベンチに腰掛けた  
「……(ドキドキドキ)」  
「………」  
 朔美は俯いてなかなか言葉を発しない・・・  
「先輩、最近ちょっと様子が変ですよ、本当にどうしたんですか?」  
 と皮村の顔を真正面に見つめて切り出した。  
 あまりに堂々と迫ってこられたことに皮村は不意をつかれ、露骨に動揺の色を見せてしまった。  
「………」  
 真正面から朔美の顔を見る皮村の鼓動は正にピークだった。  
「…らしくないな 中山」  
「元気もないし、最近私とあまり目を合わせようとしないじゃないですか…」  
「気のせいじゃねぇ?…(汗」  
 と往生際悪く視線をそらす(本人に気づかれないように練習中はこっそり見つめていたりはする)  
「とぼけないで下さい」  
 と朔美はあくまで視線をそらさない。  
「強気だな…その勢いでちょっとだけでもパンツでも見せてくれないかな?…」  
 あくまで抵抗しようとする皮村になぜか朔美は引く気にはなれなかった  
「……」  
 言葉が出ないのか朔美は黙っているが視線を感じる  
「ちょっと落ち着こ……」  
 と視線を戻すと皮村はギョッとした。  
「なっ、あの」  
 涙目になった朔美が何かを訴えるように見つめていた  
 
「(ドキドキ ドキドキ)」  
 皮村の表情が強張る  
「…先輩にはすごくお世話になったし…感謝してるますし…」  
「あ、ありがとう…よ」  
 見詰め合ううちに妙な間になってきて朔美の心音も高まっていった。  
「…だから…その…」  
「…………」  
「先輩が様子が変だから…普段はやさしくていい人だから…少しでも力になれればと思って、」  
 皮村は苦笑気味に微笑むと  
「…心配かけてすまなかったな、すっとぼけて悪かったよ。こっちは大した事ないから…  
                    気遣いあんがとな。もう時間もないし、じゃあまたな」  
 というと礼を言うと皮村は一足先に去っていった。  
 朔美はそれ以上はもう後を追うことはできなかった・・・  
 だが朔美はその笑顔の中に一瞬の陰りがあったのを見逃さなかった・・・  
 
 「(やさしくていい人か……拷問だな)」  
 改めて永遠に埋まらない距離を感じつつ皮村は帰宅した  
   
 「(あの表情はなんだろう?)」  
 一瞬垣間見た皮村の寂しげな表情が朔美の脳裏からそれだけが消えなかった。  
 四六時中あれが頭から離れない。  
「(先輩…)」  
 
  パンチラをはじめ女性の性的な所をを隠し撮りした皮村のデジカメ。  
 そのデータの中には幾つか卑猥ではない写真があった。  
  そう、中山朔美である(それでも隠し撮りにはちがいないが・・・)  
 いや、隠し撮りというより騙し撮りである、柔道部や朔美の友人たちの写真をとったついでに紛れて  
 朔美だけをこっそり撮影し別のデータに即編集した後、皆には集合写真のみを見せてばれないようにしていた。  
 林田が桃里の写真を買ったように、学校の写真屋に頼むのはなんだかんだで恥ずかしいし、情報が漏れないとは限らない。  
 ただ、流石に朔美一人だけを写真屋みたいに撮るわけにもいかず、かといって隠し撮りの特定のアングルしかにないのいも淋しい。  
 そこでこの撮影方を用いたら素直に成功したのであった。  
「(我ながらうまくいったぜ)にんまり」  
 などとと成功した時には喜んだものである  
 今は家でその写真を時々眺め胸を熱くしつつ溜め息をつく皮村の姿があった。  
 カメラにむかって明るく微笑んでいる朔美が返って皮村の想いを強くさせてしまう。  
「(オレもせめて弟と同じ顔で生まれたかったぜ……そうしたら少しでも希望があったのにな…)ふっ」  
 その顔ゆえに独特の価値観を持つ両親に深く愛され、心優しく育った不男の矛盾した悩みである。  
   
「薫ーご飯よー」  
 母親の呼び声に応じ夕飯を取りに居間へと向かう。  
 
   
「(先輩、本当にどうしたんだろう?……)」  
 必死にごまかそうとするが、白々しいセクハラで何かを隠す皮村はただ事ではない、そう直感していた。  
 皮村がただのスケベ最低男であったならば、最近被害がなくていい程度にしか感じないだろうが……  
 自分が気づかないところで気遣いしてくれてたのを知って、はじめて自分の未熟さや皮村の別の一面を  
 知ってしまってからは気になってしまう。  
「(少しくらいは話してくれても……)」  
 朔美は心配してる程度にしか思っていないが、ふと気がつくと中皮村の事ばかり考えている。  
「(少しは打ち明けてくれてもいいのに……)」  
 とちょっとイラつきながら無性に気になる  
 こっちは真面目に尋ねてるのに応答をセクハラでかわされるから腹が立ったり、悲しんだりするんであって  
  相手にされてないから悔しいわけじゃないと未だに思っている  
   たまらなくて涙目になってしまった理由も本人は気付いていない・・・  
    皮村を心配して考えている時に自らの頬を紅く染めている事も・・・・  
 
 
  週末、部活の最終日に皮村を公園に誘って悩みでも聞き出そうとしたがうまくいかなかった朔美は  
 せっかくの休日にも関わらず気分が晴れなかった・・・  
「なんだかなぁ〜なんか納得いかないけど…」  
 と独り言をつぶやく  
「(肯定してるわけじゃないけどセクハラも敬遠な先輩はなんか変だなぁ、意識的に自制してる感じでもないし…元気もないし…)」  
 意識してない自然の状態でさり気なく微笑む皮村の顔が浮かぶ。  
「(やっぱり人間、自然体が一番いいと思う…)」  
 と何もせずにボケッとしている間に日も暮れて夕刻になってしまった。  
「お風呂にでも入ろう…」  
 ・・・・・・  
 シャワーを浴びたりとしている最中もため息を吐きながら、心が曇った状態でただ体を洗う・・・  
「(最近皮村先輩の事ばかり考えているような気がする…)」  
 が朔美はすぐにハッと我に返る。  
「(何考えてんだろ…私………  
   セクハラされても嫌だし困るだけだけど…  
    …度を過ぎたHな所さえなければ結構やさしくていい人なのに…  
      林田先輩と森先輩の事も済んだし相手にされてないのかな……エッチ…)」  
 と朔美は自分の胸を見下ろす。  
「(でも私の体じゃそんな対象でもなさそうだな…)」  
 寂しげに胸に手を当てて改めて大きさを感じる・・・  
 
「…あっ…」  
 自分の乳首が硬くなってゆくことを感じる朔美  
「…やだ……」   
 一瞬怯むが、手は胸から離れてない、シャワーを離すと空気との温度差を感じて  
 乳首は戻るどころか余計に硬くなる・・・  
「ん…」  
 硬さを確かめるようにまだ片手は胸に重なっていた  
 軽い興奮状態になっている。いつもは他の事が頭にあったりするので、そのまま収まる感じだが、精神的に  
 緩慢で今は気になることはない、いやむしろ皮村の事を考えている事が返って無意識に雌の本能を引き出し  
 体の感覚が敏感になることへ仕向けていた。  
 
  気がつくと乳房を優しく撫でる自分の手、乳首を遊ぶようにつまむ自分の指があった。  
「…………」  
 とろりと蕩けるような虚ろな瞳でボンヤリと知らず知らずのうちに自分の手の動きに酔っていく  
 なんだかわからないけれど決して不愉快ではない、……むしろ気持ちいいと、意思ではなく感覚で感じている・・・  
「…ハァ…」  
 大きく息が漏れ表情が紅潮してゆく  
 悲しいわけでも、嬉しいわけでもないのに涙の感触を朔美は感じている  
「(皮村…先輩…)」  
 もう片方の手で持っているシャワーを下腹部へと浴びせていく  
 
  シャアアアアアアーーー  
 
「んっんん〜……」  
 顔にだけ帯びていた熱が体全体に広がっていく・・・少しずつ股を広げシャワーを近づける  
 シャワーによって微妙な感じに蕩けた朔美の秘所は無言で何かを求めている  
 胸で遊んでいた手が徐々に腹をつたって下りてくる・・・  
 少し怖かったが、朔美は手を戻そうとはしない・・・  
   
  両足の間に入った手は疼いている部分をなぞる  
「あっ!!」  
 思わず声が出てしまった・・・  
 
 だが大きな声でもなく少し音が漏れたような感じであった  
「…ふぅ…ん…」  
 安堵と悶えが混じった呼吸が漏れ、再び恐る恐る指を伸ばす・・・  
 軽く突つくように徐々に刺激を与えていく  
「……あ、ん…ん…はぁ…」  
 更なる強い刺激を触覚が求める、瞳を閉じて指をゆっくりと脚の付け根の奥にある割れ目に沿ってなぞる  
「ふあぁぁ!」  
 朔美は徐々に前のめりの姿勢になりながら、もう一方で突起した乳首をコリコリと弄ぶ  
 素直に快感を受け入れられず股こそ閉じ気味でもどかしいが、それを楽しんでいる様子でもある  
「ハァハァ…」  
 もう言葉にできる思考は浮かばない  
 強いていうなら「気持ちいい」としかいいようながない・・・  
「あっ!…ふ、ふぅん…」  
 乳首を刺激しつつ、陰核を撫で回す  
「や、ああん…ん…はっ  」  
 もうすっかり体液であふれている秘所から、さらに熱い体液が溢れ出る  
   
 クチュクチュ・・・ぬちゃ・・・  
「(私、こんなに‥・どうかしそう…)」  
 と余計に何がなんだか判らない中で興奮してく  
 
 ―――シャアアアアー……‥‥・・・・  
 
 朔美がわずかに発する小さな響きも、股間をいじる淫靡な音もシャワーによって全てがかき消される  
 
「…ああ、ああん…う…ひゃっ…」  
 前傾姿勢が深くなっていきイスから膝をついて、自分で起こす刺激に体をくねらせながらただただ悶える  
 朱く染まった顔、時たま開く潤んで蕩けた瞳  
 少し幼げに見える朔美の普段の姿とは想像もつかないほど淫らに美しかった  
「ああ!?んんん〜(なに?)」  
 火照った体の芯からなにかが勢いよくこみ上げてくる  
「や、はっ…!!! −−−」 ビクンッ!!  
  朔美葉は瞬間的に未知の感覚に包まれ無我のような状態に達した・・・・  
       ――――――――ビクッビクッ―――――――  
「………」  
 呼吸は荒く心音も乱れていたが暫く呆けているように無動作だった  
 シャワーの音がただ耳から入ってくるだけだった・・・  
「……(……どうかしちゃったのかな?私…皮村先輩のこと考えてたら、変な風になっちゃった…)」  
 
 
−翌日−  
  いつも通りに登校する朔美の姿、いつも違い、上の空な表情であった  
「よう、中山。」  
「あっ!(ビクりっ)…せ、先輩!!」  
「ん?どうかし…」  
 と背後より突然皮村に挨拶され、その声に顔を真っ赤に染めつつも振り返り挨拶を返す  
「お、お早うございます。」  
 昨夜の事を急に思い出し一人焦る朔美であった。  
「(やだっ…何意識してんだろ)」  
 あれから普通に体を洗い、風呂につかったが我ながらなんか変であると自覚する  
 「(あの感触、感覚)」  
 と朔美にとっては色々な意味でショッキングであり忘れるどころか、昨日からずっとその事ばかり考えていた。  
 皮村の事を考えていたらああなってしまったというのも忘れてはいないし、それがいわゆる  
 自慰行為であることも解っている。  
「そ、それじゃあ、また」  
 下駄箱からそれぞれの学年の階に向かう際に皮村と別れ自分のクラスに向かった  
「ん?ちょっと変だったな、何かあったのかな?アイツ…」  
 と朔美の後姿を目で追うのだった・・・  
   

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