「うっ!」
「えっ?」
男がうめき声をあげた後に、体の中で熱いものを感じる。
じんわりとした暖かさ。
(あ・・・・ウソ・・)
ぐいぐいと腰をすり寄せてくる男の胸を押して、体を離そうと
するが、桃里にのしかかる男は大柄で、簡単に押しのけられるものではない。
チュッ
それでも体をずらすことで、ようやく男の下半身が離れていく。
小さな音を立てて自分の体から侵入していた男のものが抜かれていくのが分かる。
そして、今まで男を受け入れていた場所は道を閉ざそうとして扉を閉める。
(まさか)
男の体をよけてベッドから身を起こす。
イヤな予感が無意識に手を動かし、その閉じかけた扉を開いて
もう片方の指で自らの中をまさぐる。
男の前で足を開き、股間に指を突っこんでいた桃里はそこから
白いものを掻きだす。
股間にうっすらとした毛が小さく密集している場所から
指先に白い液体が付着した。
当然、彼女にとっては最低な現象である。
「何考えてるのよ!!中で出して・・・・・最低っ!」
思わず怒鳴りちらす。
すぐさま男の顔も見ずにベッドを下り、浴室へと向かったため、
男の表情が変わったのを確認することはない。
「もう・・・腹立つ。ゴム外すなんて・・」
シャワーの水を股間に当て、指先で掻きだした精液を洗い流す。
危険日ではないが、大丈夫ということはありえない。
いや、それ以前にいくら体を売ってるとはいえ、知らない男の
精液を受け入れたくはない。
確かに金を貰い、もう何人も男を受け入れてきた。
だが、それは楽しみのためでもない。お金も自分のためでなく、家のため。
高校を卒業して、大学生活にもようやく慣れ始めたとき、実家の笑福軒で火事が起こった。
一瞬の火事ですべてを失い、家の収入は激減した。
桃里は火災で右足に重度の大やけどを負い、その治療にかなりのお金がかかった。
おまけに家のローンがまだ払い終わっておらず、相当の額の借金が残ったままだった。
大学をやめて、普通に仕事をすれば長くてもいつかは終わったかもしれないが、
火災の後遺症で右足を引きずることがあり、まだ長時間勤めるには体がキツイ。
自分自身の生活もある。だから桃里は体を売り始めた。
まったく金がなかったこともないが、こんな辛い状況の中、頼れる友人も離れ離れになってしまい、
激しい孤独感に打ちのめされていた桃里は、半ば自棄になっていたかもしれない。
とりあえず何か見つかるまでは・・。
そう考えていたが、ずるずると続いてもう3ヶ月近くになる。
週に1、2度という感じで男の相手をしたが、中に出されたのは初めてだった。
ゴムを外したがる男も多かったが、それだけは頑なに固持した。
だからこそ余計に腹が立つのだが・・・。
風呂場からでてバスタオルを巻く。水を浴びてさっぱりした感覚に乾いたタオルは気持ちいいが、
やはり体に何か残ってるような気がして気分はよくない。
さっさと帰ろうと、自分の服を脱ぎ捨ててある所へ歩き出すが、男の姿が見えなかった。
ズボンが椅子にかけてあるから逃げられたという訳でもなさそうなので、
気にせず下着を取り上げた。その瞬間、背中に激しい衝撃が疾った。
そのまま勢いよくベッドへとぶつかる。そして次々と衝撃は桃里を襲ってくる。
あまりに急な衝撃に声がでない。いや、息を吸うのに精一杯でそれどころではなかった。
背中。わき腹。太もも。お尻。ひたすら襲ってくる衝撃に少しでもそれに耐えようと身を丸くする。
男は上に乗って殴りつづけていたが、意外と耐えつづける桃里に業を煮やしたのか、
片手で桃里の顔をベッドに押し付けると、そのまま後頭部を狙って打ち下ろした。
「っが!!」
痺れにも似た痛みが背中を中心にして一気に体を通り抜け、力が抜けていく。
身を守る力を失った桃里の全身に、男の拳が降りそそがれると抵抗することもできず、
一発一発が桃里の体力を奪い、反抗する気力を削いでいった。
そして男の拳の雨が止む頃には桃里はグッタリと横たわっていた。
男は動かなくなった桃里を見下ろし、ベッドから下りると自分の荷物を探ってあさぐる。
そこからビデオを取り出すと男はベッドに戻り、うつ伏せになっている桃里の腰を持ち上げ、
尻を突き出させた。
「あ・・・・」
暖かみを含んだ部屋の明かりが、白い桃里のお尻に当たって緩やかな湾曲を描く尻の一部に光沢を映し出す。
男はその両手で簡単に包めそうなそれを、割りひらいて自分のをあてがい、そのまま腰をすすめた。
「うあっ」
自分の体に男が入ってくる。まったく力の入らない体に一気に男が腰を押しつけると
桃里の中はすべて埋まってしまった。
互いの腰がピッタリとくっついた感触が伝わってくる。
男はそのまま桃里に覆い被さり、高くかかげさせた桃里のお尻をベッドへ打ち下ろすように
体を動かし桃里の中を出入りする。
「ふあっっ・・あっ・・・・・うあっ・・・・うっ」
桃里は必死に体を動かして逃げようとしたが、力が抜けている上
にのしかかられるように体をかぶさられてはどうしようもない。
逆に体を動かす度、下半身をえぐられる感覚が倍増する。
固くなった男のものが、桃里の中を好き勝手に暴れまわり、痛みが肉同士の
接触のたびに気色悪い感覚を生み出す。
男は最初のHの時と動きがまったく違っていた。激しく腰をぶつけてくるだけでなく、
桃里の尻と腰を抱えて快楽を得ようと、時にはガッチリと固定し、
また激しく前後左右にゆさぶり、桃里の中にある肉の感触を堪能していた。
気持ちイイ。男はそれだけを感じている。
海老のように反りかえり、入り口を真上に向けた桃里から侵入し、肉の摩擦が始まる。
そのまま真下とある下腹部へ向かってこするように突き進む。
そして行き止まりにある肉壁までたどり着くたびに女はうめき声をあげる。
男にはたまならい感覚だろう。それをさらに楽しむために自分の腰や
女の腰を操ると女は色んな声をあげ、体を堅くしたり、力が抜けたのか
尻をベッドまで落とそうと様々な反応を示す。
だが、それも今から行うことには楽しみの一つでしかない。
女の中に精液をぶちまける。しかも嫌がる女に。
これほど征服感を感じられることはない。
どうせ金でヤらせる女はこれくらいやってもどうってことはないのだから。
だいたい、こんな店でもないのに金をとってヤらせるなんて中に出されても文句はいえまい。
それを派手にキレやがって・・・
微妙に腰の動きが変わっていく。女を犯すという行為から受精をさせるという行為へ。
男の勝手な思いこみはそのまま実行に移されようとしていた。
そして桃里は2度目の男の精液を受けた。
「・・ううっん・・・」
両手をにぎりしめ、体をよじって少しでも男を拒絶しようとしていたが、
それは無駄以外のなにものでもない。
桃里の膣には男の精液がまきちらされ、襞の間に染み込み、子宮は
流れ伝わってくるものを受けはじめているのだから。
男は射精した後も、腰をゆったりと動かし、桃里の中を堪能している。
精液で満たされた膣を自分自身で襞へと塗りたくる。
恋人同士なら甘い後戯にもなりそうな時間をそうやって楽しんだあと、
ようやく男は桃里の中から引き抜いた。
クプッ
小さな音が最初の陵辱の終わりを告げ、尻をかかげたままの桃里の割れ目から
流れ出る精液は男の欲望をふたたび沸きあがらせることになる。
「ふあっ、あっ、あっ、んっ、はっ・・・ああっ」
桃里はひたすら犯された。騎乗位で下から突き上げられる。
桃里の体を男は軽く持ちあげて、自分の腰をまたがせて貫く。
貫かれたまま後ろ手を引かれた桃里は逃れる術もなく、男の要求どおりに
自ら腰を上下させられる。
「・・がっっ、うっ、んっ・・・うっ・・あうっ・・・ぐっ」
男は立ったまま軽く桃里を抱えあげるとそのまま激しく突きこむ。
桃里の体重はそのまま衝撃に変換され、それは桃里と男をつなぐ一点に集中し、
息もつけないくらい桃里を襲う。
「痛い!いたい!・・・いたっ!・・あっ・・・痛いっ!」
自分の膝が耳のそばに来るまで体を折り曲げられ、男が腰を打ちつけてくる。
自然と膣もねじれ、痛みを与えていたが、それ以上に傷ついた右足に激痛が走る。
ケガのために足を伸ばすことができなくなった桃里には耐えがたい痛みだ。
男はあれから桃里を4回犯しつづけ、その度に中に出した。
すでに男の精液も少ししか出なくなったが、男が散々に愉しんだあとは
結果として桃里の股間は溢れ出した精液だらけだった。
突かれるたびに行き場を失い、逆流した精液が股間から太ももや尻の穴までタレていく。
だが、それだけ流れでても未だにそれは尽きない。
「うっ・・・・・・・・・・・・おぁ・・」
そしてまた桃里に男の精液が注がれる。
満足げなため息をはきながら腰を小刻みに動かし、少しでも奥に注ぎこもうと股間を擦りあわせる。
ぐぷっ
その動きに合わせて、二人がつながった部分から白みがかった半透明の液体がにじみ出る。
そこから固さは失ったものの、まだ充分に体裁を残したまま自身の精液と
桃里の愛液にまみれたモノを引き抜く。
「・・・・・・あ・・」
男は開かれたままの両足の間から、仰向けになった桃里をまたぎ、
桃里の顔まで移動する。
「ほれ」
はさみこむように膝をつくと、二人の体液に濡れたものを桃里の
頬に押しつけて、塗りたくるように腰を動かす。
「んっ」
桃里は自然と顔をそむけたが、かまいもせず男は筒の先で桃里の
目や耳、頬をいじくる。
そして桃里の髪をつかむと、それを自分自身のモノに巻きつけ、
汚れを落とすかのようにこすり付けた。
「じゃ、俺先にでるからよ。ゆっくり休んでろや。」
身支度を整えた男はバッグを手に取って歩き出したが、ふと振りかえると
ベッドに横たわる桃里のそばで財布を取り出した。
「これ、約束のな。今日は気持ち良かったし・・・ビデオでまた抜くから少し足しといてやるわ」
桃里は男に犯され続けた裸のまま、何も答えず動きもしない。
膝を立てたまま、力無く閉じている両足と股間には、精液は乾きはじめて異臭を漂わせている。
ぼさぼさになった髪も乱れたまま、固くなりかけている。
「あ、そっからホテル代と延長分たのむな」
そう言って男はドアを閉め、部屋から出ていった。
がちゃり、という音の後は部屋には空調が小さく鳴り響くだけで物音もしない。
今、部屋に一人だけとなった桃里は動かない。衣擦れの音も無く
みじろぎもしない桃里の目に写るのは視線の先にある3枚の紙。
桃里は目を閉じる。
彼女が今何を感じているかはわからない。
ただ、割れ目から溢れ出していた精液がゆっくりゆっくりと動き、尻の穴を伝い、ベッドへと染みていった。
(END)