高村に告白をし、授業を終えた沙羅と双樹が向かった先は優が通っている高校であった。
校門で待っていると優は此方に向かって来た。
「ああ、お〜い優〜」
「優ちゃ〜ん」
校門で元気に手を振る2人に気付くと優は歩く速度を速めて、2人の待っている校門まで
向かった。到着をすると2人に連れられて近くのオープンカフェに入った。
「ハイ、優ちゃん、これバレンタインのチョコ」
「私と双樹の二人で作った物だ心して食べろよ」
「わぁ! ありがとう、沙羅ちゃん! 双樹ちゃん!」
優は2人のチョコを受け取ると心底、喜び、その場で包みを丁寧に取り始め包み紙も鞄に
入れ中のチョコレートを取り出し齧り付いた。まるで幼子の様な反応に双樹は口を手で抑
えて笑っていたが沙羅はそれを違う双樹とは目線で見ていた。
(やっぱ、優は優しいな…)
自分達のプレゼントを心から喜び、包み紙まで大事に取ってくれる優に沙羅は高村には感
じなかった暖かい気持ちを感じていた。高村も自分達のチョコを無下には扱わなかった、
寧ろ大事に貰ってくれたとは思う、しかし沙羅にはそれがどうしても事務的な行為に見え
てしまい好感が持つ事が出来なかった。双樹は心底、喜んでいたのでその事に付いては敢
えて触れなかったが、目の前にいる優から、そんな事は感じられなかった。優に対して穏
やかな視線を送っていると突如、双樹が身を乗り出し、自分のハンカチで優の口元を拭った。
「ほっぺにチョコ付いていたよ」
「全く…誰も取らないのだから、もう少し落ち着いて食べろよ…」
「ハハハ、ゴメンね」
こう言った調子で3人は自然と笑い合い楽しい時間を過ごして行った。それはかけがえの無い
大切な物であった。
高村と3人で付き合う事を承諾してから2ヶ月の時が流れた。その間に沙羅と双樹は高校2年
生となり、高村は最上級生となった。だが周りは目まぐるしく変化をしたが1つだけ変わらな
い物があった。沙羅の気持ちである。双樹は高村と会う度に好意を強めて行き今では親しみと
愛情を込めて『お兄さん』と呼ぶ程である。だが沙羅は変わらず高村に対しては嫌悪感にも似
た感情しか持つ事が出来なかった。確かに高村は自分達に対して誠実な対応をしてくれるし二
人平等に接していると言う事も分かっている。話の内容も様々な物があり飽きさせず、色々な
所にデートにも連れて行ってもらった。普通ならば間違い無く好意的な感情を持つであろうが
沙羅だけは違っていた。初対面の時にも感じていたが時折、高村が見せる視線が沙羅は何より
も嫌いであった。まるでゴキブリにも出くわしたかの様な気持ちを覚えている。
「うわぁ! 凄い!」
「ハハハ、ね、凄いでしょ」
「本当にそうです! ねぇ沙羅ちゃんもそう思うでしょ!」
「あ、うん」
完全に盛り上がっている双樹とは対称的に沙羅の表情は沈んだままであった。この日、
2人はこの辺りで最近出来た巨大水族館に連れて行ってもらいメインであるイルカシ
ョーを見ていたのだが、本来ならば身を乗り出して喜び筈のイルカ達も今の沙羅には
目に入っていなかった隣に高村が居ると言うだけでこんなにも気分と言う物は悪くな
るとは思わなかった、今、2人は高村の両隣に座っており高村は沙羅と双樹、夫々の
肩に自分の手を置いていた双樹は安堵感に満ちていたが沙羅は自分の肩に置かれたこ
の手から逃れたいと思っていた。そんな調子で双樹は最後まで楽しみ高村も双樹に付
き合う様に相槌を打ち続けた。沙羅だけが楽しめられなかった。一番の理由は高村の
存在である。
(こんな時、優なら一緒になって盛り上がってくれるのに…)
ショーが終わり3人はお土産コーナーにいた。高村が2人の為にお土産を見繕ってくれ
ていた。会計を済ませ高村が二人に手渡したのは小さなイルカのストラップだった。
「ハイ、2人とも」
「わぁ! ありがとうございます! お兄さん!」
双樹は心底、喜びストラップを受け取ったが沙羅は無言で高村の手に触れない様ストラ
ップを取った。3人は水族館を出てバス停でバスを待っていた。雲行きは先程までとは
違い怪しくなって来て今にも振り出しそうな状態になっていた。傘を持って来なかった
事を後悔しながら沙羅は一秒でも早くバスが到着するのを待った。その時であった激し
い雷の音が3人に聞こえた、双樹は反射的に高村へと抱き付き高村は逃げ様とする沙羅
を強引に自分の法に持っていくと双樹と同じ様に抱き止めた。逃れ様と動いたがサッカ
ーにより鍛え上げられた高村の力は強く沙羅の抵抗は空しい物であった。沙羅は高村を
睨み付け様と上を向いたがその瞬間、沙羅は今までに無い恐怖を感じた。
「沙羅ちゃん…」
高村は静かにそう言うと整った顔を沙羅の顔に近付けて来た。双樹は2人を祝福したが
沙羅は違っていた。少しづつ近付かれる高村の顔、抵抗出来ずに震えるしかない自分。
様々な感情が沙羅の中に入り混じった。
「嫌!」
唇が触れそうになる直前、沙羅は強引に高村の腕から逃れた。双樹は心配そうに2人を
見つめていた、その時、高村が一瞬、見せた冷たい表情を沙羅は見逃さなかった。双樹
のフォローに入り双樹を安心させようとする高村、その後姿に沙羅は嫌悪感を通り越し
恐怖さえ感じていた。
「嫌―!」
沙羅はこの場に居るのが恐ろしくなり、バスも待たずにその場から走って逃げ出した。
「沙羅ちゃん!」
当然、双樹は追い掛けようとするが高村に肩を掴まれ止められた。
「お、お兄さん?」
「気持ちは分かるけど、今はそっとしておいてあげよう」
「でも…」
「ここから双樹ちゃんの家まではバスでなら楽に行けるけど、歩いても行ける距離だから
今は沙羅ちゃん、1人の時間を持たせてあげよう、ゴメンね俺のせいで…」
双樹は若干、釈然としなかったが、高村の意見を尊重してこの場はバスを待った。その後
かなり強い雨が振り出したが高村は傘を持っており、相合傘で双樹は家まで送ってもらった。
(一体、一体、私は何がしたいのだ!)
沙羅は自分の気持ちが整理出来ずに泣きながら宛ても無く走り続けていた。強く降り頻る雨
は涙を誤魔化してくれるので初めは良いと思っていたが、服が重く感じ始めるとそれも思わ
なくなり、着替えたいと思い辺りを見回した、だが今、家には帰りたくない、大好きな姉で
ある双樹と気まずい時間など過ごしたくない、そう言う思いが頭を過り続け、何も考えず歩
き辿り着いた先は優の自宅であった。何時の間にか、こんな所まで歩いていた。自分に呆れ
つつも沙羅は吸い込まれる様にインターホンを押した。
インターホンの音に気付くと優は読んでいた雑誌を一旦、閉じてドアを開けた。見た客人に
優は驚愕をした。
「どうしたの、沙羅ちゃん! 一体?」
「ヒック、ヒッ…優…」
始めは雨で濡れていたので分からなかったが沙羅が泣いている事に気付くと優は理由を聞く
のを止め風呂場からバスタオルを持ち出し、沙羅に手渡すと、急いで自分の部屋に行き、自
分の服を持って来て、それを沙羅に手渡した。
「お風呂、分かるよね、風邪になったら大変だからすぐに入って」
沙羅は優の言葉に従い、洗面所に行き濡れた自分の服を全て脱ぎ、風呂場へ入りシャワーを
浴び始めた。少し熱めに設定したシャワーは沙羅の体を瞬く間に暖めて行き心をも落ち着か
せた。優の優しさに感謝しながら沙羅はシャワーを浴び体を暖める事に専念した。
その後、手渡されたバスタオルで体を丹念に拭き、手渡された服に袖を通した。渡されたの
は緑色のパーカーにジーンズであった。それは沙羅の体にピッタリと合い、着心地が大変に
良い物であった。髪を拭きながら風呂場を出て優が待っているリビングへと行くと沙羅が来
るのと同時に優から沙羅の手に程好い温かさのコーヒーが手渡された。
「ありがとう…優…」
沙羅は顔を赤らめながら優にお礼を言った。優は沙羅がお礼を言うと同時に張り詰めた緊張
の糸が解けた様に力無く椅子に腰掛けた。
「な、何だよ! 一体?」
思い当たる節の無い謎の行動に沙羅は戸惑い優に何が起こったのか尋ねた。
「いや、やっと何時もの沙羅ちゃんに戻ったと思ったら気が抜けて」
「そ、そう…ゴメン…心配掛けさせて…」
「いいの、でも何があったの沙羅ちゃん?」
こうなった詳しい経緯を優に聞かれて沙羅は思わず押し黙ってしまった。優はそんな沙羅
を問い詰め様とはせずに話してくれるまでじっと待った。時折、沙羅が顔を上げると優は
穏やかに微笑み沙羅を安心させようとした。そんな優の優しさに耐え切れず沙羅は今まで
溜まっていた物を全て優にぶつけた。
「ウワァァァァァァ! 優―!」
沙羅は泣きながら優に抱き付いた。優はそんな沙羅を自分の胸で優しく抱き止め沙羅が泣
き止むまで静かに頭を撫でながら背中を軽く叩いて行き、沙羅の気持ちを落ち着かせた。
一頻り泣き終えると沙羅は静かに今までの事を話し始めた。優は沙羅の話を親身になって
聞いた。そして全てを話し終え沙羅は優に意見を求めた。
「なぁ優? 私は一体、どうしたらいい?」
「話だけを聞いた限りだと、その高村と言う人は普通に良い人だけど沙羅ちゃんはどうし
ても受け付けられないのだね?」
「うん…」
「じゃあ、これは僕の個人的な意見だけど参考程度に聞く?」
「うん…」
「無理はする事なんて無いよ、そんなに嫌なら沙羅ちゃんは離れた方が良いよ」
「でも、それだと双樹が!」
「何も四六時中、監視していなくても、双樹ちゃんだってもう分別の付く年齢だから自分
の事ぐらい決められると僕は思うよ」
「それは、そうかも知れないけど…なぁ優? やっぱ私、へそ曲がりなのかな?」
「何で、そう思うの?」
「もしかしたら、私が持っているイメージは全部、私一人の被害妄想なのかもしれないの
に、双樹は気に入っているのに私はこんなだし、おかしいような優…双子なのにこんなさ…」
様々な事があり沙羅はすっかり弱きになり俯いてしまった。優はそんな沙羅の元まで近付い
て行くと沙羅の顔をそっと自分の両手で包み目をしっかりと見た状態で話し始めた。
「ダメだよ、そんな事言ったら、沙羅ちゃんは沙羅ちゃん、双樹ちゃんは双樹ちゃんでしょ!」
「そう、思ってくれるの? 私が間違っていないと言ってくれるの?」
「そんなの当たり前だよ、人間、合う人、合わない人はいて当然だから、双子だからって全て
を同じにする必要はないよ」
優の言葉を聞くと自然と沙羅の目からは涙が零れ出した。
「さ、沙羅ちゃん?」
「大丈夫、この涙は嬉し涙だから、ありがと、決めたこれから双樹と話し合って決める」
「それが良いよ、じゃあ僕、双樹ちゃんに連絡するね心配しているだろうから」
そう言い、優は双樹に電話をし詳細を話して沙羅に大きな紙袋を手渡し、それに自分の服を
入れたら良いと言った。話している内に脱水が終わった状態の服を取り出し、一旦、渡され
た袋に入れた。雨脚が弱ったのを見ると優は大き目の傘を広げ、相合傘で沙羅を家まで送り
届けた。優は事情を説明し、その場を丸く収め、2人はその夜、各々の思いを話し合い結果
沙羅は高村とは別れると言う形を取った。とてもではないが電話やメールで済む話ではない
ので今度の日曜日に話すと言う事で纏まりその日は就寝した。
(ありがとう、優…大好き…)
夢の中で沙羅は優に感じていた気持ちが確かに変化をするのを感じ久し振りに気持ち良く朝
を迎えていた。
翌日の月曜日、学校が終わり双樹はそのまま家に帰り、沙羅は紙袋を手に優の家に向かって
いた。昨日、貸してもらった服を洗濯して綺麗に畳んで返す為である、双樹を無事に家まで
送り届けると沙羅は精一杯、走って優の家まで向かった。優の家に到着をするとインターホ
ンを鳴らした。中では既に制服から私服に着替えた優が何時も通りの笑顔で出迎えてくれた
沙羅はお礼を言い紙袋を返すと、優にこれからの予定を聞いた。
「これから、どうするの?」
「晩御飯の材料を買出し」
そう言い、優は必要分しか入っていない財布を持ち、家を出ようとした。それに沙羅も付い
て行った。
「私も付いて行く」
「良いの、付き合わせて?」
「良いの! それと今日、ご飯食べさせてもらっても良い?」
沙羅のおねだりを優は頷く事で了承した。沙羅は満面の笑みで優の隣を付いて行き近所のス
ーパーに向かった。優の家は夫婦が離婚をしており父親、一人、父親は科学者で1月に2、
3度しか帰らないハードスケジュールなので必然的に優は家の事を全て出来る様になった。
事実、優の作る料理は双樹にも負けず劣らずの腕前で沙羅も食べるのは好きであった。だが
今日、感じているトキメキは料理だけではなかった。沙羅は一つの決意を固め、優と一緒に
買出しを続けていた。
双樹には2人で連絡をして了承を得て、優はこの日の夕食を作りテーブルに並べた。この日
はビーフシチューでありその美味しさに沙羅は舌鼓を打った。
「又、お前、腕上げたな」
「まぁ、何時も作っているし、自分でも美味しい物、食べたいしね」
2人は話しながら盛り上がり楽しく食事を終わらせた。先に優が歯を磨いた後、後で
沙羅がスーパーで買った真新しい歯ブラシで歯を磨きその間に優は洗い物を始めた。
全てを洗い終えると優は沙羅を双樹の所まで送る為、双樹を探したが洗面所にもリビン
グにも沙羅の姿は無かった。
「沙羅ちゃん? 何処、行ったの?」
当然、優は沙羅を探して2階に上がった始めに自分の部屋を開けると沙羅はベッドに座
っていた。
「ああ、こんな所にいたの沙羅ちゃん、そろそろ帰らないと双樹ちゃん心配するよ」
そう言い、優は沙羅に手を伸ばした沙羅はその手を取り少し強めに自分と手を繋げさせる
とゆっくりと自分の心中を話し始めた。
「なぁ、昨日、話しただろ…」
「うん、それであれからどうしたの?」
「私、あの男とは別れる事にした」
「そう…」
「何であんなに嫌だったか、漸く分かったよ」
「何?」
「他に大切な人がいたからなんだよ…」
「え? それ…」
優が全てを言い終える前に沙羅は目を瞑り、少し強引に優とキスをした。数秒のキスを終え
唇を離すと沙羅は再び話し始めた。
「今、私と初めてのキスをした人…もしかして優は嫌だった? それとも…」
「嫌ではないよ! 僕は沙羅ちゃんが僕をそう言う風に見てくれているのは凄く嬉しい、僕
彼女なんていないし…でも本当に僕で良いの?」
優の返答を沙羅は抱き付きベッドに押し倒す事で返答をした。何時もは見せない沙羅の大人
びた表情に若干、優は圧倒をされた。
「そんな悲しい事言うなよ優…私、優ではないと嫌だよ…優に私の全てを分かって欲しい…」
そう言い、自分の胸に優の手を押し当て胸の膨らみを触らせた。優は自分の手から伝わる女性
特有の感触にドギマギしながらも必死に返答をした。
「もう、ここまで行くと僕も止まらないよ…良い?」
沙羅は小さく頷く事で返答をした。体の上下を入れ替え、今度は優が上になって沙羅とキス
をした。その時、優は自分の口に何かが入ってくる違和感を感じた。それは沙羅の舌であっ
た。沙羅の舌は優の口内を縦横無尽に暴れ回り、優の唇を隅々まで味わった。優もそれに負
けない様に沙羅の口内に入って行き、舌を絡ませた。鼻での呼吸も苦しくなった頃、2人は
唇を放して、優は沙羅の制服に手を掛けた。
「脱がせるよ…」
優の言葉に沙羅は小さく頷き、優も覚悟を決めて制服のタイを外してブラウスを上げると真
っ白なブラジャーが目に入り、見とれそうになるのを必死に堪えブラウスを脱がせた。続い
て下のスカートを脱がして行くと上と同じ真っ白なショーツが目に飛び込んで来た。靴下も
脱がせ、下着のみになった沙羅の姿を見て思わず優は生唾を飲み込んだ、その姿は子供の頃
一緒にお風呂へと入った物とは完全に変化をしており、優に対してセックスアピールをして
いる妖艶な姿であった。その下を見たいと思い優は手を伸ばした。
「ま、待って…」
震える沙羅の声を聞き優は慌てて手を止めた。緊張した面持ちで沙羅の言葉を待った。
「優も脱いで…」
沙羅の言葉に優は素直に従い自分の服に手を掛けた。手早く上着とズボンを脱ぎ捨てト
ランクス一枚になり、既に中の物が限界まで膨れ上がっており解放し様とトランクスを
脱ごうとした時、沙羅の手がそれを止めた。
「これは私が全部脱いでから…」
言われた通り優は自分の手をトランクスから沙羅のブラジャーに移してホックを多少、
手間取りながらも外した。ブラジャーが外れると中から現れたのは小ぶりであるが形
も良く適度に膨らみを帯びた発展途上中の胸であった。綺麗に立ったピンク色の頂きに
目を奪われながらも優は時間を置いて沙羅が怯えない様、最後の一枚であるショーツに
手を伸ばし、汗で少し滑りながらもショーツを足から抜いた。沙羅の恥部は毛が薄くも
っとも大事な部分が見え隠れしており、男にとって最高に興奮する物であった。約束は
守ったので優は自分のトランクスを下ろした。そこで見た優の物に沙羅は絶句をした。
優のは特別、巨大と言う訳では無く、大きさは通常のレベルであるが初めて見た沙羅に
は刺激が強すぎたのか目を丸々として見つめていた。
「僕も全部、脱いだよ…」
「そうだね、じゃあ…」
沙羅が全てを言い終える前に生まれたままの姿になった2人は深くキスをしてお互いを激
しく求め始めた。キスをしながら優は沙羅の胸を手で弄り始めた。優の手が触れ、自分の
胸に刺激が行く度に沙羅は全身に電流が走る様な感覚に襲われ、思わず口から甘い吐息が
零れた。
「ん…んあ…ん、ん…」
沙羅の反応に気を良くした優は空いていた左の胸も攻め出した。両方の胸を弄っていると
掌に何か固い物が当たった、それは沙羅の乳首であった。それに興味を持った優は手を一
旦、止めて右の乳首に吸い付いた。
「やん! おっぱい吸っちゃ…あ!」
沙羅は手とは違った反応を見せ、行為が不快では無いと言うこが分かり、優は手と舌で同
時に胸を攻め続けた。存分に胸を味わうと優の興味は下半身へと移り、体を下に持って行
き、胸への愛撫で既に軽く湿り気を帯びていた恥部を試しに指でなぞった。
「ヒャッ!」
甲高い声を聞き、この行為も間違いではないと確信をして、続いて優は指を1本突き立て
て、そのまま入り口に宛がい入れ始めた。
「ん! 止めて! それ、痛い!」
泣きそうな沙羅の声を聞き優は慌てて指を引き抜いた。顔を上げて沙羅の表情を見ると目に
涙を溜めて軽く優を睨んでいた。完全に失敗したと思い若干、優は落ち着きを無くしたが、
ここで止める訳にも行かないので少ない知識を精一杯、活用して出した結果、優は沙羅の恥
部に顔を埋め舌で恥部を愛撫しようとした。
「嫌! ダメ! そんな所! きたな…ア! アッ!」
否定をする前に沙羅は恥部から伝わって来る言い様の無い感覚が襲い、只、それに身悶える
しかなかった。反応でこれは正解だと感じた優は調子に乗って舌を更に奥の方まで突っ込み
中を掻き回した。
「ん! 嫌! ダメ、優! そんなにされたら…」
口の中に沙羅の味が広がって行き更に欲する事を望んだ優はより強く舌を捻じ込み掻き回し
た。沙羅の恥部は完全に優の舌で埋め尽くされた。
「あ、あ、優…アッアアア!」
沙羅は大きな喘ぎ声を上げるとグッタリとした表情で天井を見上げていた。絶頂に達したの
だと理解をして優は顔を沙羅の顔にまで持って行き沙羅の様子を見た。
「大丈夫? 沙羅ちゃん?」
「平気…ちょっとボゥッとしているだけだから…」
「そう…」
「私ばかりずるいよ…私にも優の体、味合わせて…」
優が言葉を理解する前に沙羅はうつ伏せになり優の股間に顔を近付け、物を両手で包み込む
様に触れた。
「ヒゥ!」
「ああ、ゴメン! 痛かった?」
「違うよ、気持ち良くてつい…」
触られる事が快楽に結びつく物だと理解した沙羅はそのまま両手でやんわりと優の物を上
下に擦り出した。優の反応を見ようと視線を上げると優は目を閉じ襲って来る快楽に身悶
えていた。
(優…気持ち良さそう…)
もっと自分で感じてもらいたいと思った沙羅は手の速度を上げて優の物に快楽を与え続けた
自分の掌で脈ずくそれが今、沙羅は最高に愛しかった。
「ダメ! 沙羅ちゃん、止めて!」
泣きそうな優の声を聞き沙羅は慌てて手を止め体を起き上がらせ優の状態を確認しようとした。
「ゴメン、途中で痛くなったの?」
「違うよ、凄く気持ち良いよ、けど…」
「けど?」
「このままだと僕一人がイクから…」
優の言葉に全てを理解した沙羅は寝転がり、優の行為を待った。
「ちょっと、ゴメン…」
だが優はすぐに沙羅の上に乗ろうとはせず立ち上がって机の引出しからある物を探し始めた。
待たされている沙羅は不安で仕方が無かった。
「何、優?」
「ゴメン、これ…」
そう言い優が手に持っていたものは避妊具であった。良からぬ物を使われるのではないかと一
瞬でも沙羅は感じてしまい優の気遣いに一安心して安堵の表情を浮かべた。優は避妊具を一つ
取り出し、自分の物に宛がい装着を始めた。
「なぁ、良い?」
「何、沙羅ちゃん?」
「お前、何でそんなの持っているの?」
「これは友達がくれたの『お前も良い年だから、これで練習でもしておけ』って」
「どんな友達と付き合ってるのだよ! お前!」
沙羅は優の注意が削がれない程度の力で優の頬を軽く抓った。多少、痛みに苦しみながら
も優は避妊具を自身に装着をさせた。完全に準備が出来たので沙羅は再び寝転がり優を待
った。優も覚悟を決めて沙羅の足を開き間に自分の体を割り込ませ自身を迎え入れる準備
が出来た沙羅の恥部へと宛がった。
「じゃあ、行くよ沙羅ちゃん…」
「優…キスして…」
沙羅のおねだりに優は従い、舌を絡めるキスをしながら自身を少しづつ沙羅の中に入れて
いった。
「ン!」
沙羅は痛みに顔を歪ませ優とのキスも一旦、中断させた。
「こ、このまま行って良いの?」
「良いから、構わないから…」
どう考えても痛いのは分かっているが今更、止める事も出来ず、優は自身を更に奥へと
入れて行った。その度に沙羅の表情は苦痛の色を強めて行ったが抱き締められた細い腕
が強く優を抱き止め、止める事を拒否した。沙羅の期待に応える為、自身を沙羅の最奥
まで挿入をした。全てを入れ終えても沙羅の表情は苦痛に耐え忍ぶままであった。
「どうする、沙羅ちゃん、この後…」
「私の事は気にしないで…優との初めてを中途半端な形で終わらせないで、お願い…」
沙羅の思いを読み取り優は行為を続ける事にした。出来る限り沙羅に苦痛を与えない様
始めはゆっくりと動かし、空いている手や口で胸を弄ったり、深いキスをする事で少し
でも快楽に変え様と努力をしたが下半身に伝わって来るむず痒い快楽に何度も理性を失
い掛かっていた。沙羅も始め程の苦痛は無かったがそれでも快楽とは言えない状態であ
り、腕を力強く優の背中に回す事しか出来なかった。何とか快楽を味わって貰いたいと
思っていた優だが限界が近付いて来た。
「ゴメン! 沙羅ちゃん、もう…」
切羽詰った優の声に終焉が近い事を感じた沙羅は覚悟を決めた。
「良いよ…私で…最高に気持ち良くなって…アアアア…」
沙羅の了解を得て優は乱暴なぐらいに腰を動かし、只管に自身の快楽だけを求めた。優の
意識は下半身の一点のみに集中し臨界点を突破した。
「沙羅ちゃん、もう…」
「良いよ、優! イッて! 来て!」
沙羅の言葉と共に優は爆発をした。2人は抱き合い荒い息遣いで余韻に浸っていたが、沙羅
の恥部から流れている血に目が行くと優しいは自身を沙羅から引き抜き避妊具を自身から取
り外した。
(凄い…今までで一番出たかも…)
自身の放った精液に驚きながらも手早くティッシュと一緒に包んでゴミ箱に捨て、優は荒い
息遣いで寝転んでいる沙羅の横に寝転び顔を合わせながら話した。
「大丈夫?」
「平気…痛かったけど私を受け入れてもらえて凄く嬉しかった…」
「そう?」
「うん…服、着よ」
沙羅に促され優と沙羅は夫々、自分の服を手に取り着衣を始めた。途中、着ている姿にも
見惚れてしまい、優は服を着るスピードが遅れたが、沙羅に気付かれてはいけないと思い
慌てて自分の服に意識を集中させた。全てを着終えると沙羅は覚束無い足取りで部屋を出
ようとした。
「じゃあ、私、双樹が心配するといけないから帰るね…」
俯き顔を赤らめながら沙羅は出て行こうとしたが、優はすぐに沙羅の隣に付き沙羅の手を
取りゆっくりとエスコートを始めた。
「優?」
「無理したらダメだよ、僕、送って行くから…」
「うん、ありがとう優…」
沙羅は素直に優の行為を受け二人はそのままゆっくりとした足取りで双樹が待つ家まで帰
った。着いた時、双樹に帰りが遅い事を少し非難されたが2人で謝った為、あまり怒られ
ないですんだ。その日、沙羅は優との甘い時間を胸に秘めながら幸せそうに眠りに付いた。
次週の日曜日、高村は双樹からのメールで公園の前に呼び出された重要な話があるから時
間を空けておいて欲しいと言う要求を高村は呑み公園で待った。高村が待って5分程経っ
た時、双樹が現れ高村は双樹に詳細を訪ねた。
「それで話って何?」
「ハイ、実は…」
「そこから先は私が話すよ…」
後ろから沙羅が現れた。沙羅は今まで高村に対して見せていた嫌悪感のみの表情とは違い凛
とした力強い物で確りと話し始めた。
「今まで色々と先輩には良くしてもらいましたが、もう先輩と付き合う事は出来ません、す
いませんでした」
沙羅は深く頭を下げきっぱりと高村に別れの宣告をした突如、思ってもいなかった事を言われ
た高村は理由を尋ねた。
「ちょっと、待ってよ、俺、沙羅ちゃんの気に入らない事何かした? それなら治すから」
「いえ、先輩自身には何の非もありません、私の方がダメなだけです。それに…」
「それに?」
「好きな人に気付きました。これからはずっとその人と一緒にいたいから…」
「誰だよ、ソイツは!」
「お、お兄さん?」
何時も優しく接していた高村の怒声に双樹は驚き肩を震わせていたが、沙羅は凛とした表情
を崩さず話し続けた。
「呼んでいます、来て…」
沙羅に手招きされ奥から優が現れた。優の出現に双樹は軽く驚いたが、高村は目を丸め、沙
羅が選んだ男に驚いた。
「紹介します。私の恋人の早坂 優です」
「はじめまして高村さん、早坂です」
沙羅は自分と優の仲を証明する様に自分から優の腕に自身の腕を絡ませた。優は高村にお辞
儀をして高村の目を真っ直ぐと見ていた。高村は一瞬、呆けていたが、すぐに何時もの爽や
かな調子を取り戻すと優に話し掛けた。
「分かったよ、沙羅ちゃんがそう決めたのなら仕方が無いよ、早坂君だっけ? 沙羅ちゃん
の事をお願いね」
「勿論、そのつもりです」
「では色々と今まですいませんでした。これは返します」
そう言い沙羅は高村の掌にイルカのストラップを渡して、そのまま優と一緒に消えて行った。
双樹は申し訳無い表情で高村を見ていたが、高村は不安げに見上げる双樹の頭を軽く撫でる
と爽やかに話し始めた。
「双樹ちゃんは何も気にしなくて良いよ、この場合、一番、大事なのは沙羅ちゃんの気持ち
だし…」
「ハイ、本当にすいませんでした」
「だから双樹ちゃんは気にしなくて良いって」
「ハイ、私も今日は帰ります、また誘って下さいね」
双樹は笑顔で手を振る高村をバックに静かな足取りで自分の家へと帰って行った。双樹の姿が
見えなくなると高村の笑顔は冷淡な表情へと豹変し、ストラップを強く握り締めていた。
「クソが…」
ストラップは高村の握力に耐え切れず罅が入った。
続く