日はとっくに昇りきっているというのに、部屋の中は仄かに薄暗い。  
フローリングが少しジメジメした感もあるだろうか?  
お世辞にも住み心地がいい場所とは云えないだろう。  
でも決して厭な感じはしない。  
この陳腐でみすぼらしくて、センスの欠片も感じさせない内装も  
彼らにとっては、これからの思い出を飾る大切なオブジェだ。  
ひとたび窓を開ければ、おだやかな風がふわっと流れ  
新しい一日の始まりの新鮮な空気を運んでくれる。  
いつもと変わらない、この部屋だけが吟味してくれる大好きな空気。  
それは今日とて例外じゃない…………はずだった――。  
 
 
「恋太郎、恋太郎ってば。」  
さらりと伸びた銀髪ロングヘアの少女が、  
ベッドに寝そべる若い男の肩を、忙しげにゆさゆさと揺らす。  
「うーん…………ぐう……。」  
なすがままに首をかくかく揺らされるが、一向に起きようとする気配が無い。  
赤ん坊みたいに涎を垂らし  
大きく開けた口が酷くマヌケだ。にやけてる様にも見える。  
一体どんな夢を見ているのだろうか?  
 
少女は、むぅーと膨れっ面を浮かべると、踵を返してきょろきょろと辺りを見回し――。  
部屋の隅に、放置されていたミニディスクを発見。  
「ふふん」と何か悪巧みを企む様な小悪魔的笑みを浮かべ、ディスクを手に取る。  
そして何かのボタンやら、ダイヤルやらをいじって下準備した後  
そーっと、男の両耳にヘッドホンを掛けた。  
「恋太郎。」  
再生ボタンを指で軽く押し構え、最後にもう一度男の名を呼ぶ。  
「……。」  
やっぱり起きませんか、そうですか。  
ならば――。  
 
ポチっ。  
 
♪ぎゅわわわわォォーーーーーーン!!!  
  チャラリラチャラリラギュリュオオーーン!!!!  
 
「ウッギャアアアーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!!!!!!」  
 
突如、メタルギターの大轟音が狂喜乱舞の如く頭の中を駆け巡った。  
断末魔のような叫び声と共に飛び起き、  
ヘッドホンをぽーん!と叩き付ける様に投げ捨てる。  
 
「起きたぁ?おはよ♪」  
屈託の無い微笑みを見せ、少女が朝の挨拶をする。  
だが向こうはそれどころじゃない。  
 
「おはよ♪じゃねえぇぇーーーーっ!  
 鼓膜が破れるかと思ったわぁッ!!  
 もっとフツーーな起こし方はできんのか己は!!!」  
激怒しながら抗議する反面、今にも泣きそうな顔だ。  
「だって、フツーに起こそうとしても全然起きてくれないんだもん。」  
「アホかっ!もう少しマシな起こし方ってーもんがあるだろっ!  
 例えば優雅なクラシック曲を聞かせるとか。  
 あーん、何だっけ?  
 ペールギュント?あんな感じのとかさぁ…。  
 全く、朝っぱらから脳味噌がシェイクされたぞ!くう〜、耳がキーンとする…。」  
「恋太郎はそんな柄じゃないでしょ?  
 それにしてもさ、昨日も一昨日も仕事が無かった癖に、よくそんなに爆睡できるよねー。」  
「うっさい、ほっとけ。  
 寝る子は育つって、学校の先生に教えて貰わなかったか?」  
「大の大人がなーに言ってんだか。はい、コーヒー。」  
半ば呆れ顔でホットコーヒーが注がれたカップを渡すと、隣にぽふっと腰掛けた。  
「お、沙羅が淹れてくれたのか?サンキュ。」  
ベッドの上で胡坐をかいて、コーヒーを一口啜り、一息をつく。  
 
「ん?」  
じーー。  
隣で沙羅がコーヒーを飲む様子を凝視している。  
「何だ?俺の顔に何かついてるッスか?」  
彼女はふるふると首を横に振り  
「ううん、そうじゃないよ。  
 ねぇねぇ、コーヒーおいしい?  
 うまくできてる?」  
「んー、そうだな。程よくビターで、中々に濃厚な味わいだな。  
 とってもおいしゅうございますよ。」  
「やたっ♪へへーん、さすがは私だと思わない?」  
「双樹はもっと旨味をグッと引き出せるけどなー。」  
「うー、またそうやってすぐ双樹と比較するー!」  
その言葉にちょっとムッと来て、恋太郎の頬をぎゅーっと抓る。  
「いででででっ!ちょ、やめっ…俺が悪かったってば!  
 
 そういえば双樹は?」  
「とっくに買い物に行ったよ。  
 時計見てみなよ。もうすぐお昼だよ?」  
傍らに置いてあった目覚ましに視線を移す。  
11時43分。コレが会社勤めなら大遅刻もいい所だ。  
 
「呑気なモンね。」  
「仕方ないだろ?  
 クライアントが来なければ、こっちは商売上がったりだよ。はぁ…。  
 お前こそ、双樹と一緒に行かなくて良かったのか?」  
「あ、私なら部屋の掃除をしてたからさ♪」  
そう言われてしげしげと部屋を見通すが、ゴミは平気で落ちてるし  
散らかした書類やら道具やら雑誌やらも昨日の夜とまるで変わらない。  
漠然とだが、殆ど見覚えのある配置だ。  
「(…………。全然綺麗になってないような…。)」  
カップを片手に、しかめっ面をする。  
「何よ?」  
「いや、何でもねぇッス。」  
 
「……。」  
「恋太郎、服にコーヒー垂れてるよ。」  
「げ、やば。染み付いたら厄介だ。  
 ティッシュティッシュ。ティッシュくれー!」  
手探りで、二人一緒に目当てのティッシュケースを探す。  
「あったあった。」  
 
ぴと。  
気がつけばティッシュ箱を掴んだはずの二人の手が、重なり合っていたり。  
 
「あ…。」  
「あ…。」  
 
しばしの沈黙が訪れた――。  
普通ならこの後、単に笑い合って会話が弾むだけのはずなのに。  
ポーズが掛かったのかように硬直する二人。  
ふと沙羅の方をちらっと一瞥すると、今度は彼女と視線が合ってしまった。  
「な、なに…?」  
「ん?別に…。」  
「そう?早く拭きなよ。」  
「お、おお…。」  
慌てるように、ふいっとそっぽを向く沙羅。  
さっきから髪を幾度となく梳いて、足をもじつかせている。  
変に落ち着きが無い。  
そう言えば、事務所に戻ってからここ数日、沙羅の様子がおかしい気がする。  
昨日までは恋太郎に対しては、どこか敬遠がちな態度を見せていた。  
3人でのいつもの他愛ない話も、上の空で聞いていた感じ。  
今日になって、今度はどうしたというのだろう?  
考えてみれば沙羅の方から、コーヒーを淹れてくれるなんて珍しいにも程がある。  
どういう風の吹き回しだろうか。  
訳がわからない。  
 
そして次に話を切り出したのは、偶然にも2人同時にだった。  
 
「あのさ。」  
「あのさ。」  
 
瞳をぱちくりと見開いて、お互いを見つめ合う二人。  
「なに?恋太郎の方から言っていいよ。」  
「いや、そっちからお先にどーぞ。  
 レディファーストって奴だ。」  
「…………。  
 やっぱりいいや。私、ちょっと出かけてくるね?」  
ベッドから立ち上がり、その場を去ろうとするが  
即座に恋太郎の手が沙羅の腕を掴んだ。  
「ちょっと何…?放してよ。」  
「おい、待てよ。何で逃げるんだ?  
 言いたいことがあるならハッキリ言えって。  
 最近また変だぞお前。」  
「別に逃げるわけじゃ…。何でもないわよ。」  
「何でも無いって事はないだろう?何か言いたげだったじゃんか。  
 このまま、また勝手にいなくなるとか…そんなの2度と御免だからな。絶対に。」  
訝しげに沙羅を見る。  
体を向き直し、彼女はどこか遠くを見るような瞳で見つめ返す。  
「本当に……?本当にそう思ってる…?」  
「何言ってるんだ…。当たり前だろ?  
 ずっと3人でいるって、約束したろ?」  
「うん…。」  
「座れよ。悩み相談でも愚痴でも何でも聞くぞ。」  
沙羅をベッドに座らせ、2人分のコーヒーを淹れ直すと  
片方を沙羅に渡す。  
 
 
「で、話は何だ?」  
 
沙羅はまたしばらくダンマリとしていたが、  
意を決したように顔を上げると、静かに言葉を発した。  
「恋太郎。」  
「ん。」  
 
「……キスしようよ。」  
 
思いがけない唐突な言葉に一瞬、コーヒーが気管支に詰まりそうになる。  
「けほっ!…え……?な、何だよ突然。」  
「イヤなの…?」  
「イヤとかじゃなくて、何でまたそんな…。」  
 
「結婚式で、私を助けに来てくれた時さ…。」  
「うん。」  
「双樹にキスしてたでしょ……?」  
 
”うっ”とばかりに身じろいで、バツが悪そうに一筋の汗が流れた。  
「何の事だか…。」  
「嘘ついてもダメ。私、知ってるんだから。  
 双樹を爆発から庇って、押し倒した時だよ。  
 キスしてたでしょ。ほっぺたじゃなくて、唇同士のほう…。」  
 
(マジかよ…?まさか見えてたのか!?いやそんなハズは…  
 もしかして、あの口の減らねえイカ野郎が岡目八目で観察してて沙羅に密告したとか!?)  
「……。」  
気まずい。取り繕う為の言葉がまるで思い浮かばない。  
「ずるいよ、双樹にだけなんて…。  
 ずっと見てたけど、どうして私にはしてくれないの?  
 やっぱり双樹の方が好き?」  
「あーーーー!もうっ!」  
自分のクシャっと髪を掴んで荒々しく掻く。  
「メチャクチャ言い訳っぽいけど、それはシチュエーションの問題なんだよ。」  
「え?」  
「だからそれはアレだ。  
 俺はお前ら2人は同じ程合で好きだし!  
 何ていうのかな。  
 したくてもできる機会を見出せないっつーか。  
 その……中々沙羅と2人になれる機会がなかったから…。  
 初めてというのはやっぱり、タイミングが一番重要だろ?」  
「………。」  
「双樹にはキスをしたよ。でもホントそれだけだ。  
 そっから先は何もしていない。」  
「……。」  
 
「怒ってるのか…?」  
「…ううん、私たちは3人で1つなんだもん。  
 恋太郎が双樹とキスしたって、別に怒りはしないよ。  
 でもさ、私だって欲しいよ。  
 双樹が知らない、恋太郎との秘密の1つくらい…。」  
「沙羅…。」  
「今なら…2人っきりだよ?ダメ…?」  
弱弱しい口調で言葉を紡ぎながら、沙羅は恋太郎の瞳を薄目で見つめる。  
頬がほんのりと上気して、淡い桜色に染まっていた。  
窓から差し込む日の光に反射して艶立つ唇が妙に色っぽい。  
表情は幼さの余韻を若干醸し出してるが、雰囲気だけなら完全に大人の女だ。  
それが恋太郎の心臓の鼓動を急激に高鳴らせた。  
すうっと一呼吸すると、沙羅をゆっくりと自分の体に引き寄せ、抱きしめる。  
「バカだな……。」  
「えっ…。」  
甘い芳香を漂わせる彼女の髪を撫でながら、耳元で呟く。  
「こういうのは、自分からお願いするようなモンじゃないッスよ?」  
彼女の頬を両手で触れ、そっと微笑みかける。  
「れん…たろ……?」  
「目、閉じて…。」  
前髪を中指で優しく分け、恋太郎の唇がゆっくりと近づいてくる…。  
接近に伴って、沙羅の瞳もゆっくり閉じていく。  
触れ合う直前で一瞬だけ止め、スローダウンの後、二人の唇がふんわりと重なった。  
 
「ん……。」  
「んん…っ……。」  
 
お互いの背中に腕を回し、体を密着させる。  
このまま息が止まってしまうのではないか?と思わせるような長い長いキス。  
所在なさ気に腕で背中を撫で回し…、胸同士を摺り寄せ合う。  
とくんとくん、と胸の鼓動が自分の体にこだまするのを感じる。  
唇を一旦離すと、沙羅は熱に浮いたような視線で恋太郎を見た。  
 
「キスだけじゃ足りない……。  
 ……もっと、したいよ恋太郎。  
   ねぇ…二人でいっぱい熱くなろ……?」  
「沙羅……。」  
 
沙羅は今だけ恋太郎を独占したかった。  
恋太郎に独占して欲しかった。  
せめて双樹が帰ってくるまでの間だけ。  
二人だけの世界が欲しい…。  
今だけなら恋太郎に壊されたって構わない――。  
 
恋太郎は沙羅の華奢な体をそっとベッドに押し倒し、上から覆い被さる。  
「本当に、いいんだな…?」  
こくりと小さく頷く。  
再び重なり合う唇。  
唇の角度を変え、今度は短いリズムで何度も何度もキスの雨を降らせる―。  
そしてキスはいつしか濃厚なものに移行する。  
「れんたろ………すき……好きだよ…ぅ……  
 んんっ……ん、はあ…」  
「沙羅……んんっ……。」  
舌同士が絡み合い、、舌先と舌先を突き合い、幾度も幾度も唾液の糸を織り合う…。  
掌で愛しい人の髪を慈しむように撫でた後、徐に胸元へ…。  
彼女の程よく膨らんだ胸を優しく掴み、  
恋太郎の大きな手が、円を描くようにゆったりとした動きで揉みしだく…。  
「やん…あっ………。」  
肩がぷるっと震え、沙羅の唇から、甘みの帯びた高らかな声と吐息が漏れる…。  
舌を首筋に這わせ、唾液の轍を作っていく…。  
沙羅はただただ迫りくる未知の感覚に耐え、恋太郎の背中にしがみにつくしかない。  
舌の心地のよい感覚に溺れ、艶かしく顎で弧を描く。  
制服を胸元までたくし上げ、ブラの上から双丘をまさぐる。  
掌でそのやんわりとした感触を味わうと同時に、彼女の雪膚を舌で愛していく。  
「沙羅、すごく綺麗だ……。」  
「ん…ふあ……ぅ…恥ずかしい………。」  
「これ以上はやめておくかい…?」  
目を瞑って、ふるふると首を横に振る。  
「恥ずかしいけど、大丈夫…。続けて…。  
 恋太郎になら、見られたっていい……。」  
いつもは快活で自信たっぷりな表情が眩しい沙羅だけど  
時折見せる、このいたいけな表情も堪らなく愛おしい。  
「乱暴にはしないからな…。」  
静かに微笑むと髪を手櫛で梳き、もう1度軽く口付けする。  
タイを外し、ブラウスとスカートをゆっくり着実に脱がしていく…。  
 
制服をベッドの脇へ除けると、彼女の体を起こしそっと抱き寄せた。  
安堵感を与えるべく、体は抱きしめたまま背中の留め金に手を回す。  
胸が肌蹴けて、ブラがはらりと二人の膝の上に落ちる。  
さらに手はショーツへと移り、クロッチに指をあてがう。  
「…っ……。」  
沙羅の体が僅かに強張った。  
彼女の中にまだ若干の戸惑いがあるようだ。  
しかし恋太郎は促すように耳元で囁きかける。  
「沙羅の全てが見たいんだ…。」  
その言葉に沙羅は愁うような目で恋太郎を見る。  
「大丈夫だからな。」  
頭を撫で、彼女の不安感を揉み消すかのように、再び口付けを交わす。  
キスに溺れながら、体を押し倒すとショーツをゆっくりと下ろしていった…。  
 
 
身に付けてるものなど何一つなく、露わになった沙羅の生まれたままの姿。  
 
「……。」  
 
恋太郎は思わず生唾を飲み込んで、見入ってしまう。  
沙羅とはお風呂だって一緒に入ったりするから、裸は見慣れてるはず…。  
だが今、この瞬間だけは今までの我見を覆すような違和感を覚えていた。  
寧ろ総てが新鮮で、沙羅の中にえも言われぬセックスアピールを感じた。  
あどけなさが残る端正な顔立ち。  
胸の大きさはまだまだ発展途上だ。  
だがスレンダーな体つきが、逆に乳房に量感を湛えているようにも見える。  
乳房の頂に聳える桜色の突起の大きさも、形のいい胸と程好く均衡が取れている。  
決して背は高くないが、括れの位置が高めだ。  
その為、両足がすらりスマートで非常に美しい。  
そして……閉じた両足から見え隠れする逆三角形の暗部。  
うっすらと茂った申し分程度の草原。  
 
恋太郎の心の律動音が、急激に加速していく。  
 
「そんなにじっと見ないで……よ…。」  
「ごめん……。でも見違えるほど綺麗だよ。」  
肩を抱き寄せ、頬を擦り寄せてみる。  
心地のいい眩暈がする。  
甘い香りとぬくもりが織り成すハーモニー。  
傍にいるだけで、蕩けてしまいそうだ。  
 
「あ、待って…。」  
ふと恋太郎の動きを制止すべく、沙羅が手をきゅっと握り返してくる。  
「何だい?」  
「あの……さ。」  
「?」  
恥ずかしそうに視線を逸らしながら呟く。  
「恋太郎のも……見せてよ…。」  
「えっ…。」  
「私だけ裸を見せるなんて……ずるいよ…。  
 こういうのは、お互いの全てを余すことなく曝け出すものでしょ?  
 だから……恋太郎のも全部私に見せて…。  
 ね?」  
微熱を帯びたような薄らいだ目つきで見据える沙羅。  
だが瞳は凛としてまっすぐだ。  
お互いの未知の部分や深みを追求したいのは、至極当然のこと。  
恋人同士の理とも云えるだろう。  
それにそんな表情をされたら、とてもじゃないけど「イヤ」だなんて言えない…。  
はにかむように、かりかりと頬を指で掻き、恋太郎はぽつりと言葉を漏らす。  
「やっぱり、そうなるよな…。」  
「そうだよ?」  
沙羅が微かに微笑む。  
「わかった。」  
男なので、シャツだけ脱げば、上半身はあっという間に裸だ。  
ベッドから立ち上がると、手際よく脱いで、椅子に適当に放り投げる。  
 
するとその様子を見てた沙羅が体を起こし、恋太郎のズボンのベルトに手を掛けてきた。  
「こっちは私が脱がせてあげるね…?  
 そのまま立ってて。」  
「あ……あぁ…。」  
カチャカチャとベルトを外し、留め金を外し、ジッパーを下げる。  
 
するりとズボンが床に落ち、突如現れた目の前の光景に沙羅の手の動きが一瞬止まる。  
自分に向かって、パンツ越しにこんもりとテント化している部分を見て。  
「うわ…ぁ……。」  
「えと、これはまぁ不可抗力ッス…。」  
「もう」  
沙羅は赤らめながら、続けてパンツを下まで降ろす。  
刹那、解禁された分身が勢いよく跳ね上がった。  
「んっ…。」  
沙羅の鼻を掠れただろうか。  
それほど恋太郎の分身は既に肥大化していて、  
まるで天つ空を掴むかのごとく伸長していた。  
耳まで紅潮させながらも、沙羅はその剛直ぶりをまじまじと睇視してしまう。  
「どうかな。俺の…。」  
「ば……ばか……。」  
押し殺すように言葉を呟き、思わずふいっとそっぽ向く。  
 
これでお互いに一糸纏わぬ姿になった。  
手を握り合い、軽やかに口付けを交わす。  
沙羅の体を花束を抱くように優しく包み込みながら、ゆっくりとシーツの海に沈んでいく――。  
 
「ん……んんぁ…、はぁ…っん…。」  
片手で乳房をまさぐり、―或いは指の腹で転がし―  
唇でもう片方の乳首を摘む。  
桜色の乳首が微熱の紅を纏って、ツンと屹立していく。  
ちゅるると水音を立てながら乳首を吸い上げ、舌を突き出し直に味わう。  
「ふあ……ああん…っあぅ…」  
クンと顎を反り返し、熱息を小刻みに漏らして沙羅は悶える。  
「ぴちゃ、…つつー…っ……」  
舌を這わせながら、胸から臍を経てさらに下腹部へ  
ゆっくり引きずるように水の尾を伸ばしていく。  
「はぁ…っ…、あうぅ……ひぁっ…ん…」  
程度よく弾力性に富む両股を開き、膝下に腕を沈める。  
沙羅の秘所は既に充血が始まっていて、ぬめりを帯びていた。  
蜜の芳醇な香りがする。  
2つの指で少女の入り口を開き、襞にこびり付いた蜜を掬う。  
「濡れてる。感じてくれてるんだな沙羅…。ほら。」  
指に絡ませ、それを彼女の眼前に晒す。  
「や、やだぁっ……そんなの見せないでよ……。」  
咄嗟に両手で目を隠す。  
自分の愛液なんて見慣れないものだったのだろうか。  
 
花びらから毀れる柑橘系のシロップを塗す様に、陰唇全体に舌を執拗に躍らせる。  
同時に沙羅の柔らかく、ぬくぬくとした太腿と臀部を掌で味わう。  
「すごくいやらしいよ沙羅……ちゅっ…ちゅくぅっ……」  
「やっ……ああっ、そんなトコ…ダメ……あふ…ぅん……」  
頻りに首を横に振る沙羅。  
ちょっとおいたが過ぎるだろうか?  
だが嫌がるような仕草が、逆に何ともいえない嗜虐心をそそられてしまう。  
「こっちはどうかな…。」  
顔を放すと掌を折り返し、中指を秘所にツプリとあてがい、ゆっくりと侵入させる。  
「ひゃう…っ!  
 ……ちょっと、れんっ……んあっ…」  
スローテンポな動きで指を出し入れする。  
「沙羅の中、もうこんなに熱くなってる。」  
調子に乗って、さらに人差し指を入れてみた。  
「んく……、あぅ…あっ!」  
沙羅の表情が俄かにくぐもり始める。  
腰を捩って、初めて味わう苦痛から逃げ出そうとする。  
しとどに濡れた襞が指に絡み、内奥がきゅむっと緊張していく。  
「動かすぞ…?」  
再び掌握した沙羅の膣内をゆっくり往復させる。  
「はふ……っ、あんっ……くあっ…!」  
深みを突くたびに、沙羅は体を弓反らせる。  
無機質な空間に絶え間なくこだまする沙羅の嬌声と愛液で戦慄く水音。  
それが恋太郎の指の動きに拍車を掛けた。  
緩急を付け、膣全体を長い衝程で蹂躙していく。  
熱が熱を呼び、愛液が更なる愛液を呼ぶ。  
 
「あふ…あ…っ…あんっ……ダ…メっだよぉ……あっ、ああっ!」  
恋太郎は悶える沙羅の顔を覗き込む。  
羞恥心はそう簡単には消えないか…。  
だが苦痛に歪んでいた表情がだんだんフェードアウトしていくのがわかる。  
悦楽に満たされ始める頃の表情だ。  
沙羅は確実に感じている。  
 
沙羅の意識が、天井を淡白くフラッシュさせる。  
途切れ途切れで繋ぐ言葉が、もう限界を示唆しているようだった。  
「イってもいいよ沙羅。」  
 
「れんたろ…ぉっ、私、私……んあっ、も、もう…!  
 ふああああんっ!」  
びくびくっとしなやかな肢体を痙攣させ、沙羅はエクスタシーを迎えた。  
中で飽和していたラブジュースが幾つもの筋を作って零れ、白いシーツを更に白く染めていく――。  
 
「はぁ……はぁ……。」  
指を引き抜き、沙羅の呼吸が整うのを待つ。  
「もぉ……ひどいよ恋太郎……。」  
「ごめん。沙羅があんまり可愛いく悶えるから、つい……。」  
決まりが悪そうに頭をしゃくしゃくと掻く。  
 
「じゃあ次は……恋太郎がされちゃうばん!」  
沙羅が口元に指を立ててウィンクする。  
「へ?」  
切り替えが早い現金な娘だ。  
恋太郎の腕を取り、小首を傾げて見据えている。  
「やられっぱなしは、私の性に合わないし……。  
 だから、ね♪」  
「そ、そういう問題なんスか?」  
「ほら、早くしないと双樹が帰ってきちゃうよ……?」  
 
沙羅は床に膝まづいて、ベッドに腰掛ける恋太郎の怒張を食入るように見つめていた。  
改めてその雄大な姿を見て、息を呑み、胸の鼓動が高鳴っていく。  
女としての本能だろうか、下腹部に微妙な火照りすら感じてしまう。  
「大丈夫か…?できる……のか?」  
「大好きな人のなら、頑張れる……から…。」  
上気した表情で呟くと、おずおずと分身に手を伸ばし、  
その細い指を折り曲げ、やんわりと包み込んでいく。  
「沙羅…。」  
 
健気なお前が愛しくてたまらない――。  
「無理だけはするなよな…。」  
手触りの良い沙羅の髪を何度も撫でてあげる。  
 
「こんなに硬くなってるけど…、痛く……ないの…?」  
「ん…。痛いどころか、むしろ気持ちいいかな。」  
「そうなんだ…。じゃあ、大丈夫だよね……?」  
にっこりと微笑みかける。  
 
「じゃ、行くね…。」  
ぎこちなさもあるが、沙羅なりに労わるように、前後にゆっくり竿を擦り始めた。  
「ン…。」  
僅かに顔を顰める。  
腿に掌を滑らせながら、手の動きがだんだん機敏になっていく。  
「気持ちいい……?」  
とろんとした上目遣いで恋太郎を見る。  
その表情と今為されてる行為に、恋太郎の心臓は高鳴るいっぽうだ。  
「ああ…すごく、いいよ。」  
沙羅はさらに顔を近寄らせ、徐に舌を伸ばして、鈴口を舐め上げる。  
「…ぅあ…。」  
「だいじょうぶ……ちゃんとできるもん……。」  
「沙羅…。」  
長い髪を掻き上げ、虚空にふわっとたなびかせる。  
そして――。  
 
「ん、、、はむ…ぅ……。」  
うすらいだ瞳を閉じ、静かにゆっくりと恋太郎の砲身を口内に含んでいった…。  
 

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