「最近つまらないね。菫子ちゃん。」  
「そうだね。薫子ちゃん]  
「やっぱアレかな?」  
「うん、アレだね。」  
「「最近ダーリンに会ってないから!」」  
 髪形を除けばまるで合わせ鏡の様な瓜二つの双子の少女達は同時に喋った。  
「「だよねー!」」  
 
 ポニーテールの一条薫子とショートヘアの一条菫子。  
 流石に双子だけあって喋るタイミングも考える事も一緒である。  
「だからさぁ、今度逢ったら思いっきり甘えちゃおう。」  
「うんうん。 今まで寂しかった分取り戻す為にもね。」  
 お互いの顔を見ながら話してた二人は視線を前方に戻した。  
 
 次の瞬間、二人の瞳は一人の少年の姿を捉えた。  
「「ああっ!!」」  
 前方に愛しい人の姿を見つけた二人は同時に声を上げ、そして走り出した。  
「「ダーーーリーーン!!!」」  
 薫子と菫子は少年に向かって跳びついた。 勢い良く抱き付かれ少年はその場で尻餅を着いて倒れる。  
「か、薫子ちゃん菫子ちゃん?!」  
 突然抱きつかれ少年は困惑の表情を見せる。  
 
「もう!最近全然会いに来てくれないんだから。 寂しかったんだゾ?!」  
「フィアンセをほっぽらかしにしちゃダメじゃない!」  
 少女達は少年に構って貰いたい一心で周りがまるで見えていなかった。 その時少年が誰に逢ってたかと言う事に。  
 
「…フィ、フィアンセ…?! お、おにいさん。 そのお姉さん達は一体…?」  
 困惑の声を発したのは少年と一緒に居た髪をリボンで二つに束ねた少女-白鐘双樹であった。  
「え、私たち? えっとね私たちね」  
「ダーリンの幼馴染なの」  
 双樹は薫子菫子のフィアンセと言う言葉をそのまま真に受けた訳ではなかった。 だが少女達の親密な、そして積極的な態度、幼馴染と言う言葉。 少年と少女達の間にある自分には無い絆を見せつけられた思いがした。  
「そ、そうですよね…。 おにいさん優しくてカッコいいんだもの…。 そういうヒトがいたっておかしくないですよね…。 それなのに双樹ったら…。」  
 双樹の目に涙が浮かぶ。  
「ご、ごめんなさい。 そして…い、今までありがとうござ…い…」  
 双樹は顔を手で覆い走り出した。  
 
「そ、双樹ちゃん!!」  
 少年は追いかけようとした。 だがその前に双樹の双子の妹-沙羅が立ち塞がった。 そして次の瞬間少年の左頬に鈍い痛みが走り再び尻餅を着く。   
 目の前の沙羅は腕を振りぬいた姿勢のまま、怒りと悲しみが入り交ざった表情で立っていた。 目に涙を浮かべ少年を睨みつけている。 そして双樹を追って走り去っていった。  
 
 少年は呆然とした表情で走り去って行く沙羅の背中を見つめていた。  
「ダーリン大丈夫? ヤダ血が出てるじゃない!」  
「本当だ、痛そう。 そうだ。 ねえ手当てして上げるからウチにおいでよ。」  
 二人で話を進める少女達。  
「…かにしてくれないか…。」  
 少年は呟くように話し掛けたが少女達には聞こえてない。  
 
「そうだね。ちゃんと手当てした方がいいね。」  
「じゃぁ今から行こうか。 ダーリン!」  
 そして次の瞬間、少年は立ち上がり怒声を発した。  
「静かにしてくれって言ってるんだ!!!」  
 少女達はその声に驚き、そして少年の表情に身を竦ませた。  
「ゴ、ゴメンナサイ…。」  
「わ、私たちダーリンに…」  
 少年は少女達の脅えた表情を見てハッとした。 少年は冷静さを取り戻し静かに、そしてどこか冷淡な口調で言った。  
 
「そうだね…。 久しぶりだし、落ち着いた場所で少し話をしようか…」  
 少年は黙って歩き出した。 そしてその後ろを少女達も黙って付いて行った。  
 
 3人は喫茶店に入っていった。 そして暫らくコーヒーをすすりながら3人とも無言で押し黙っていた。   
 
「ゴメン…。」  
 最初に口を開いたのは少年だった。  
 
「そ、そんな。 謝らなくちゃいけないのは私たちの方だよ。」  
「さっきは何ていうか…、調子に乗っちゃってゴメンナサイ。」   
 少女達は慌てて答えた。  
 
「…イヤ、さっきの事だけじゃなく君たちには謝らなきゃいけないことがあるんだ。 4月に君たち、僕に告白してくれたよね。」  
「うん。 物凄く勇気を振り絞って…」  
「一大決心だったんだから…」  
 少女達はそのときの事を思い出しながら答えた。  
 
「でも僕はハッキリとした返事をせずはぐらかすような曖昧な返事で返しちゃったよね…。」  
「い、いいの気にしないで。 私たちが勝手に告白しただけなんだから」  
「うん、どうしても私たちの気持ち聞いて欲しかったから…。」  
 二人は少し照れながらも真っ直ぐな視線で少年を見つめた。  
 
「実はあの時気になる娘達がいたんだ…。」  
「「え?」」  
 二人の表情が曇る。  
「そして今…、その娘達と付き合ってる。 さっき道で一緒だった女の子達…。 ゴメン。 本当はもっと早くに言っておくべき事だったのに…。」  
 少女達は呆然とした。  
 
「そ、そうだったんだ…。」  
「それなのに私達調子に乗っちゃて…」  
「「ゴ、ゴメンね… 」」  
 二人は泣き出したくなるのを堪えながらも必死で笑顔を繕うとした。  
 
「じゃ、じゃあせめて今までみたいに…」  
「幼馴染として つ、付き合ってくれる…?」  
 二人はすがりつく様な表情で少年を見つめた。  
 
「悪いけど出来ない。 君達が僕を異性…として見てる以上、もう昔のようには戻れない…。 だから… ごめん。」  
 少年はカップのコーヒーを飲み干すと伝票を掴んで立ち上がろうとした。  
 少女達はそれを引き止めるように腕を掴んで泣き出しそうな表情で見つめた。  
 少年が視線をそらし腕を振り解こうとする。  
 
「さ、最後に一つだけ…」  
「私たちと一緒に来て欲しい場所があるの…」  
 遮るように少女達は口を開いた。  
「来て欲しい場所?」  
 少年は問い返した。  
「「お願い…!」」  
 今にも泣き出しそうな瞳で少女達は少年を見つめた。  
 
 喫茶店を出た3人は再び歩き出した。 今度は少女達が先頭に立って歩き始めた。 足取りは入るときにも増して重い。  
 そして3人が到着したのは町外れの一軒の小さな教会。   
 
「ここは…?」  
 少年は教会を見て呟いた。  
「憶えて…ない?」  
「昔、よく3人で遊んだんだよ…」  
 少年は黙って教会を見つめてる。 何か考え込み思い出そうとしてるかのようだった。  
 少女達は少年の手をそっと引いた。  
 
「「…入って。」」  
 そして神妙な面持ちで語りかけた。  
 
 中に入ると目に飛び込んできたのは教会を彩る美しいステンドグラスだった。  
 その美しい光景は少年の記憶の奥底から何かを呼び覚ますかのようだった。  
 
「ねぇ…、 ダーリン。」  
「思い出して…くれた?」  
 返事は無い。少年は尚もじっと何かを考えてるようだ。  
 
「こっちに…」  
「…来て。」  
 少女達は少年の腕を引き、3人は祭壇の前に来た。  
 少女達は少年の後ろに回ると跪く。  
 
「ココで私たちと一緒に跪いて」  
「ダーリン…、お願い。」  
 少年は言われるまま黙って跪く。  
 三人がそろって祭壇の前で跪くと、薫子と菫子は二人揃って静かに口を開く。  
 
「わたし、  
 一条薫子と…」  
「一条菫子は…」  
 その声は少年の記憶の奥底から、埋もれた記憶を呼び起こさせた。  
(この場所、この言葉…、確か以前にも…?)  
「……る時も、貧しき時も…」  
「病める時も、健やかなる時も…」  
「「たとえどのような事が起ころうとも、命ある限り彼の者だけを愛する事を…」」  
「「誓います…」」  
 少年は思い出した。 遠き幼い日この場所で、今聞いたのと全く同じ言葉をこの二人から聞いた事を。  
 
「…思い… 」  
 少年は途中まで言いかけたが言葉を切った。  
(ココで素直に思い出したと言ったところでどうなる? 僕には双樹ちゃん、沙羅ちゃんという彼女が居るんだ。 もう…あの頃には戻れないんだ…。)  
「…出せない。 ごめん、やっぱり憶えてないみたい。」  
 そして次いで出てきた少年の言葉に少女達は言った。  
 
「ウソッ! ダーリンも本当は思い出したんでしょ?!」  
「表情で分かるもん! どうしてそんなウソ言うの?!」  
 少女達は今にも涙が溢れそうな瞳で少年を睨んた。  
 少年に少女達の視線は痛かった。 視線をそらしたかった。  
 だが真っ直ぐ見つめ返し、そして答えた。  
「仮に、若し本当に憶えてたとして…、それが何だって言うの? そんな子供の交わした口約束、本気にするヤツなんている訳無いだろ。」  
 
 次の瞬間教会内に乾いた音がこだました。 薫子と菫子が少年に向かって同時に放った平手打ちの音だった。  
 少女達の目からは大粒の涙が零れ出してた。  
「…話は全て済んだだろ。 それじゃ…。」  
 少年は扉に向かって歩き出した。  
「サヨナラ…。」  
 そして少女達の間を通り過ぎる時呟いた。  
 
「「う、うわあああぁぁぁあああん!!! 」」  
 少女達はその場で泣き崩れた。  
 少女達の泣き声が少年の耳に突き刺さる。  
 少年は胸が痛んだ。  
 振り返りたかった。  
 謝りたかった。  
 慰めたかった。  
 だが、少年はそんな思いを振り払うように走り出した。  
 そんな事をしてもそれは決して少女達の為ではなく、自己満足でしかない事を少年は分かってたから。  
 
 
 どれくらい走っただろう。 気が付けば少年は双樹と沙羅の住む屋敷の門の前に居た。  
 少年は呼び鈴を押した。  
 もう逢ってくれないかも知れない。  
 話を聞いてくれないかもしれない。  
 それはそれで自業自得であろうと覚悟してた。  
 
 呼び鈴に出てくれたのは沙羅だった。  
 自分が来た事を知ると直ぐ行くから待っててくれと言った。 そして程なくして現れる。  
 走って来てくれたのだろう。 ハァハァと息を切らしている。  
 
「さっきは済まなかった!!」  
 最初に口を開いたのは沙羅だった。  
「その…思わず感情的になって殴ってしまって…。 本当にゴメン…。」  
「沙、沙羅ちゃん。 そんな謝らなくちゃいけないのは…。」  
 少年の言葉を遮るように沙羅は続ける。  
「私のこと…キライになったよな。 当然だよな、こんな乱暴な女嫌われても仕方ないよな…。 もう会いたくないよな。 …そう思われても仕方ないよな。 悪いのは私なんだから。 でも…。」  
 沙羅は懇願するかのように続ける。  
 
「双樹にだけは逢ってやってくれ…!! 頼む!! 双樹は本当にお前の事が大好きなんだ!!」  
 沙羅は叫んだ。  
「頼む…。 今までのように恋人同士とは言わない。 無理なら妹でも、友達でも何でもいい…。 だから、だから…。」  
 最後の方は声になってなかった。 今にも泣き出してしまいそうなのを必死に堪えてる。  
 
 少年はそっと沙羅を抱きしめた。  
「沙羅ちゃん。 心配しなくても双樹ちゃんは勿論、沙羅ちゃんも僕の大事な彼女だよ。 今まで通りこれからもずっと…。」  
 少年は優しく囁いた。  
 
「え…!? でもあの女の子達は!?」  
 沙羅は驚いた。 自分達はあの少女達に敵わないと思ってたから。  
 スタイルも良く自信に満ち溢れ、恐らく自分達に無い思い出など何もかも持ってたかのように見えたのだから。  
「あの娘達…、薫子ちゃんと菫子ちゃんには告げてきた。 もう2度と会わないって。」  
 
 沙羅は顔を上げて少年の顔を見上げた。 沙羅は驚きの表情を浮かべ少年に語りかける。  
「だ、大丈夫なのか…?!」  
「…仕方ないよ。 さっきも言ったけど僕にとって一番大事なのは君達だから…。」  
「ち、違うそうじゃない! お前、気付いてないのか…?」  
 沙羅は優しくそっと少年の頬に触れた。 沙羅が手を離すと指先には雫がついていた。 少年の涙である。  
 
「え…? どうして僕が涙なんか…? 仕方の無い事とは言え僕はあの娘達を傷付けたんだ。 そんな僕に泣く…資格、なん…か…」  
 少年は困惑した。 その顔には自分を責めるかのような表情が浮かぶ。  
 沙羅はそんな少年の首に手を伸ばし、優しく手繰り寄せ抱きしめた。  
「無理しないで泣いても良いんだぞ…。」  
「だ、駄目だよ…僕は…。」  
「傷つけた方がより深く傷つく事だってある。 それに…傷つく事を、傷つけるのを恐れ逃げるようなヤツや、傷つけて平然としてる様なヤツだったら…、私も双樹も絶対に惚れたりなんかしない!」  
 抱きしめる腕に力を込めて沙羅は続ける。  
 
「だから…。 お前は何も恥じる事は無い。 …堂々と泣いていいんだ。」  
 少年の瞳から堰を切ったように涙が溢れ出す。 少年は沙羅の胸に顔を埋め幼子のように泣いた。  
 少年を優しく抱きしめる沙羅のその姿はまるで聖母の様であった。  
 
 ひとしきり泣くと少年は落ち着いたようだ。  
「ありがとう沙羅ちゃん。 お陰で少し楽になれたよ。 本当にありがとう。」  
 少年がそう言うと沙羅は  
「気にするな。」  
 そう言って少し照れくさそうには微笑んで見せた。  
 
「そうだ。 双樹ちゃんにも謝らないと。 双樹ちゃんは?」  
「双樹は…、今は泣き疲れて眠っている。」  
 沙羅の返答を聞くと少年の顔にはまた悲しみの色が浮かぶ。   
「ゴ、ゴメン。 本当に僕、何て謝ったらいいか…。」  
 再び涙が溢れ出しそうになる。  
 
「だ、大丈夫だ! お前がまた笑顔を見せてやれば双樹は直ぐに元気になる! だから、気にしないでくれ。」  
 沙羅は少年の頬にそっと手を添える。 沙羅の手の優しい温もりが少年の心を静めてくれる。  
「それよりお前。 今日は泊まっていけ。」  
「え!?」  
 沙羅の言葉に少年は驚きの声を上げる。  
 
「こんな状態のお前を一人になんかさせられない。」  
「でも…。」  
「それに双樹が起きた時直ぐにお前の顔を見せて安心させてやって欲しいんだ。 尤も目を覚ますのは明日の朝になるかもしれないが。」  
「うん。 じゃあ…お言葉に甘えさせてもらうね。」  
 そして少年は沙羅に手を引かれ屋敷へと入っていった。  
 
 
 白鐘邸のある一室、主に来客の宿泊用に用いられる間に少年は居た。   
 食事と風呂を戴き、後は寝るだけであったがどうしても寝付けず窓辺に立って月を見上げていた。  
 やはり一人きりになると、後ろめたさで胸を締め付けられるような痛みに襲われる。  
 
 コンコン…  
 
 小さく戸を叩く音が聞こえた。  
「どうぞ…。」  
 少年が応えると沙羅が入ってきた。  
「やっぱり未だ起きていたか。」  
 沙羅はポツリと呟いた。 部屋に入るときの少年はまた暗い表情をしてたので気になって来たのだった。  
 
「ゴメン…沙羅ちゃん。 心配ばっかさせちゃって…。」  
「気にするな。 それに言ったろ…。」  
 そう言うと沙羅は自分の着てるローブの帯を解く。 しゅるりと音を立ててローブが肌から滑り落ち、そして沙羅の真っ白な裸身が露わになる。  
「さ、沙羅ちゃん!?」  
 少年は驚きの声を上げた。  
 
 沙羅は一糸纏わぬ姿で少年に抱きついた。  
「こんな状態のお前を一人になんかさせられない、って。」  
「で、でも…。」  
「心が傷ついてる時は人肌の温もりに癒してもらうのが一番いいんだ。」  
「だ、だけど…。」  
「…そうだよな。 私なんかが相手じゃお前には役不足だよな…。 本当はこういうのは双樹の方が向いてるんだよな…。」  
 沙羅はどこか寂しそうに呟いた。  
 
「そ、そんな事無いよ!! 沙羅ちゃんも双樹ちゃんも、二人とも同じぐらい凄く魅力的でキレイで可愛いよ!」  
「ありがとう…。 お世辞でも嬉しいよ…。」  
「お世辞なんかじゃないよ! 本当に…。」  
 少年の言葉を遮るように沙羅は唇を重ねてきた。  
 甘く柔らかな感触に、少年は言いかけた言葉を切った。  
 
「兎に角…。お前が辛い思いを抱えたままだと、双樹も私も辛いんだ…。 だから…」  
 今度は少年の方から唇を重ねてきた。  
「ありがとう沙羅ちゃん。」  
 唇を離し少年は笑顔でそっと囁いた。  
 沙羅もそれに笑顔で返した。  
 
 二人は並んでベッドに腰掛けた。 沙羅は少年の首に手を廻しそして唇を重ねる。  
 二人は抱き合ったままゆっくりとベッドに身を横たえる。  
 
 少年は沙羅の胸に顔を埋めた。 沙羅の双丘はやっと膨らみ始めたばかりで、決して大きいとは言えないサイズであった。   
 そして沙羅自身の躯もまた、少年よりもずっと小さく小柄であった。 にも拘らず少年はとても大きな温もりに包まれてるような安心感に包まれていた。  
 優しい匂いと柔らかで暖かな感触に包まれて、少年は自分の心が癒されていくのを感じてた。  
 
 気持ちが静まってくると、性衝動が首を擡げて来る。 少年は下の方に視線を移した。 暗がりでよくは見えないそこに少年はそっと手を伸ばす。  
 
「ひゃうっっ…!!」  
 瞬間、沙羅は声を上げた。   
「ご、ごめん…!」  
 少年が慌てて手を引こうとすると、その手を沙羅が掴んだ。  
「い、いいから…。 止めなくても…いいから。」  
 沙羅はポツリと呟いた。  
 少年が沙羅の顔を見ると、頬を赤らめ視線を微妙にそらしてた。  
 
 少年はそっと秘所に触れた。 小さなその割れ目をそっと指でなぞる。 全体を手の平で優しく触れてみる。 割れ目の回りはやっと産毛より少し濃い、いや産毛とそう大して変わらない、柔らかい毛が生えてた。  
 少年は胸のあたりにあった顔を秘所のあたりまで持っていくと、そっと舌を這わせる。  
 指と、そして舌でそっと壊れ物を扱うように優しく何度も…。 暫らくそうこうしてるとまるで蕾が花開くように形がほぐれてきた。 指で触ると濡れた感触がある。 先程から何度も舐めてたが、だがどうやら唾液によるものではなく内側から滲み出てきた様である。  
 沙羅の秘所は少年の丹念な愛撫で、どうやら既に受け入れられる状態になっていたようである。  
 
「あ、あの…その、えっと…。」  
 沙羅は少年の下半身にちらちらと視線を送りながら頬を赤らめ口ごもってる。  
 少年は沙羅の言いたい事を察した。  
「いいの…?」  
「私がどうこうより、その…お前はどうなんだ?」  
「そりゃあ勿論…沙羅ちゃんの中に入れたい…けど。」  
 少年は戸惑っていた。 女の子の初めてはとても痛いと聞いてたから。  
「だったらお前のしたいようにしてくれればいい。 大丈夫…、お前が気持ち良くなってくれれば、きっと…それは私にとっても気持ち良いはずだから。」  
 
 沙羅も当然不安だった。 だが何より自分を気遣ってくれる少年の優しさが嬉しかったし、報いてあげたかった。  
 そして一つになりたいと強く思った。  
「分かった。 じゃ、じゃあ挿れるね? 痛かったら痛いって言ってね?」  
 沙羅は少年の頬に手を添え、答えるかのようにそっと微笑んだ。  
 
 少年は先っぽを沙羅の秘所にそっと当てた。    
 沙羅はギュッと目を閉じる。  
 少年はゆっくりと挿れ始めた。  
 途中まで入れたところで少年の動きが止まった。 思った以上に沙羅の中は小さくキツかった。 コレでは沙羅は…  
 
「ねぇ、沙羅ちゃん痛いんだったらやっぱり…。」  
 少年が言いかけた所を唇を重ねてきた。 沙羅は涙で滲んだ目で真っ直ぐ少年を見据え微笑みかける。 既に十分覚悟を決めた顔であった。 少年も覚悟を決めてゆっくりと残りを挿入した。  
「ん、くっっ…。 ふあぁぁぁあっっ…!!」  
 少年が最後まで入れ終わると、沙羅は声を立て少年にしがみついてきた。  
「沙羅ちゃん…。 動かすよ…?」  
「…うん。」  
 沙羅は小さな声で答えた。  
 少年はゆっくりと腰を動かした。 動かす度に全身を快楽が駆け巡り蕩けそうになる。  
 沙羅のほうも動かす度に小さく体を震わす。 だが少年のそれとは違い痛みに耐えての事なのだろう。  
 少年は何だか申し訳ない気持ちであった。 動かす度に自分は快楽を感じてるのに沙羅は痛い思いをしてる。  
 だが、その事に少年はあえて触れなかった。 強がりな性格の沙羅だ。 下手な気遣いは反って沙羅に失礼だと思えた。  
 ただ、黙って行為に専念し、この快感を噛締める事が沙羅の思いに報いる事になるように思えた。  
 やがて、今までに無い最大の快楽の波が押し寄せてきた。  
 
「は、くぅっ。 …ああぁぁあっ!!」  
 少年は沙羅のなかに精を放った。 快楽の波は少年の体を小刻みに震わせた。  
 沙羅は自分の中に熱いものが注がれるのを、そして少年の体から力が抜けていくのを感じた。  
 
「はぁ…あっ…。 …い、いったのか…?」  
「う…、うん…。」  
「…そう…か…。」  
 そう言うと沙羅は少年に向かって微笑む。  
 少年が達したのを確認すると、張り詰めた糸が切れたのかスッと目を閉じ意識を失った。  
 
 口には出さなかったがやはり無理をしてたのだろう。  
 少年は沙羅の体を抱きしめた。 そして改めてその小ささを感じる。  
 少年は思った。 こんなにも小さな体で自分の為に体を張って健気にも尽くしてくれたのかと。  
 自然と少年の両目からは涙が流れ出る。 だがその表情はとても穏やかだった。   
「…ありがとう。 沙羅ちゃん…。」  
 
 そして夜が明ける  
 
 
 窓から差し込む朝陽に沙羅は目を覚ました。  
 隣を見ると双樹が寝ている。  
(双樹?! と言う事はココは私のベッド? でも確か昨晩はアイツの部屋に行って…)  
 裸だったはずが服もちゃんと着てた。 まるで昨晩の事が夢だったように思えてくる。  
 
「おはよう。 沙羅ちゃん。」  
 声のした方を振り向くと そこにはベッドの傍らで微笑む少年の-昨晩肌を重ねた愛しきヒトの姿があった。  
 少年の姿を目にし昨晩の事がやはり事実だった事を再認識するも、そうすると今の状況と繋がらず沙羅の頭は軽い混乱を起こしかける。  
 沙羅の表情から考えてる事を察した少年が口を開く。  
「沙羅ちゃんも双樹ちゃんの事が心配だろうし、双樹ちゃんも沙羅ちゃんが居ないと心配するかと思って。 差し出がましいことかもと思ったんだけど…。」  
「い、いや、そんな事無い。 その…ありがとうな。」  
 沙羅は少し照れながら答えた。  
 
「それより…お前、若しかして寝てないんじゃないのか?」  
「うん。 沙羅ちゃんと双樹ちゃん、二人の可愛い寝顔見てたら何だか寝そびれちゃって。」  
「バ、バカ…! 可愛いのは双樹だけだろ…。」  
(そう言っててれる所がまた可愛いんだけどな。)  
 少年が沙羅の顔を見ながら微笑むと、沙羅の顔にも笑みが浮かぶ。  
「やっと、いつものお前の顔に戻ったな。」  
   
「う…ん。」  
 沙羅の背後で声が聞こえた。  
「双樹? 目が覚めたのか。」  
「うん…。沙羅ちゃん、おはよう。」  
 どことなく声に元気が無い。 やはり昨日一条姉妹を目撃したのが尾を引いてるのだろう。  
 
「双樹ちゃん、おはよう。」  
「え!?」  
 双樹は耳を疑った。 もう出逢う事すら叶わないとすら思ってた愛しい人の声。  
 
「あ、あれ? どうしたんだろ、双樹ったらまだ寝ぼけてるのかな…。 お兄さんがココに居る訳無いのに…。」  
「双樹…。 夢でも幻でもないんだよ。 コイツはもうどこにも行ったりしない。」  
 沙羅は双樹に微笑みかけると、ベッドから降りて少年に目配せする。 少年は入れ替わるようにベッドの側により、双樹に向かって優しく語りかける。  
 
「双樹ちゃん。 辛い思いさせちゃってゴメンね。」  
「おにいさん!!」  
 少年が優しく微笑みかけると双樹は少年の胸に飛び込んだ。  
 少年はベッドに腰掛け双樹の体を優しく抱きしめる。 そしてそのまま沙羅の方を向いた。 微笑みかけると沙羅も胸に飛び込んでくる。  
 3人は固く抱き合った。  
 そして身も心も一つに溶けあう幸福な一体感に包まれていった。  
 
 

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