「わぁっ!髪切ったんだ?! うん。 前のポニーテールも良かったけど、ショートも似合ってて可愛いじゃん。」  
 突然見知らぬ少女に話し掛けられ、ショートヘアの少女はキョトンとしてる。  
「え? チョット待って。あの…」  
「あ、ゴメン。 今急いでるんだ。 じゃァまたね。」  
 少女はそう言って走り去って行ってしまった。  
「ビックリしたぁ。 引っ越して早々誰かに間違われちゃったぁ。」  
 この時少女はその後もっと驚く出来事が待っていようとは夢にも思っていなかった。  
 
「はい! 皆さん静かにー!! 今日は転入生を紹介しまーす!!」  
 現在クラスでは朝のホームルーム中。 担任の先生の威勢の良い声が響き渡る。  
「きっと皆ビックリするわよ。 さ、入ってきて。」  
 担任に促され一人の少女が入ってきた。 すると担任が言ったようにクラスに喚声が沸き起こった。 そして殆どの生徒達はその転校生とある一人のクラスメイトの少女を交互に見比べていた。  
 転校生の少女と、その見比べられてた少女は視線が合った瞬間二人は一際大きな声を発した。  
「薫子ちゃん!?」  
「菫子ちゃん!?」  
 転校生の少女-ショートヘアの菫子は、ポニーテールの少女-薫子の元に思わず駆け寄った。  
「え、一条さんと一瀬(いちのせ)さん。あなた達知り合いだったの?」  
 流石に先生もそこまでは知らなかったらしく驚きの声を発した。  
「ハイ。 私達双子なんです。 名字が違うのは…」  
「幼い頃、所謂両親の都合で、離れ離れになっちゃってて」  
 まあ、早い話が両親の離婚である。  
「でも、こうしてまた逢えるなんて」  
「うんうん。 運命的だよね~」  
 二人が話で盛り上がる中、先生がコホンと軽く咳払いをする。  
「え~っと。 感動的な再会に水をさすようで申し訳ないんだけど。 ホームルーム中なんで先ずは転校生としての自己紹介を済ませて貰えるかな。」  
 言われて二人はハッとする。  
「いっけな~い。 じゃぁ行って来るね薫子ちゃん。」  
「うん。 行ってらっしゃい。 菫子ちゃん。」  
 そう言うと菫子は薫子に見送られ、教壇の前に向かって行った。  
「一瀬菫子と言います。 これから一年間クラスメイトとしてヨロシクお願いします。」  
 
 そうして自己紹介が一通り済むと先生が口を開く。  
「それでは一瀬さんの席は…。 一条さんの隣で良いわね?」  
「「ええっ!! 良いんですか?!」」  
 薫子と菫子は同時に声を発した。  
「うん。 その方がより早くクラスに馴染めるでしょう。 そう言う訳だから…、一条さん、一瀬さんの事ヨロシクね」  
「ハイ! 任せてください先生!」  
「ありがとうございます!先生。 ヨロシクね薫子ちゃん。」  
「こちらこそヨロシクね。 菫子ちゃん。」  
 
 そして休み時間  
「でも本当に久しぶりだよね~。」  
「うんうん。 昔はいっつも一緒だったよね。 私と薫子ちゃんと…、 後もう一人仲良しの男の子が居たよね?」  
「あ、憶えてたんだ。 逢いたい?」  
「え? 逢えるの? うん!とっても。」  
「じゃぁ放課後早速会いに行こうか。 実は別の学校なんだけどそんなに離れてないから。あっ!」  
 そこまで言うと薫子は何かを思いついたようだ。  
「どうしたの? 薫子ちゃん。」  
「エヘヘ…。 面白い事思いついちゃった。 あのね…(ゴニヨゴニョ)」  
「うんうん…。 わーっ面白そう!」  
「そうと決まれば。」  
「「決行は放課後!!」」  
 二人は同時に喋った。  
 
「やっほー! ダーーリン!!」  
 少女の呼び声に気付いた少年が、校門に向かって駆け出す。  
「やぁ、薫子ちゃん。 あ! 髪の毛切ったんだ。 へぇ、前のポニーテールも良かったけどショートも新鮮でイイ感じだね。」  
 少年がそう言うと少女は堪えきれず笑い出した。  
「え、あれ? オレなんかおかしい事言ったかな? ねぇ薫子ちゃん?」  
「なーに? ダーーリン。」  
 背後からの声に少年は驚いて振り返った。  
「か、薫子ちゃん?! あ、あれ?」  
 少年は慌てふためきながら前後の少女を見た。  
「か、薫子ちゃんが二人…?! え、えっと…。 ………ああっ!!」  
 少年は思い出したかのように一際大きな声を発した。  
「す、菫子ちゃん?! 菫子ちゃんだろ?! 薫子ちゃんの双子の姉妹の!! 昔遠くに行っちゃった!!」  
「御名答~。 本当は一回目で気付いて欲しかったんだけどな。」  
 菫子は嬉しそうに、だがほんのちょっぴり残念そうに笑って答えた。  
「アハハ。 しょうがないよ。でも私たちが言う前に気付いただけでも良しとしてあげようよ。 ね? 菫子ちゃん。」  
「そうね。 まぁ薫子ちゃんがそう言うなら許してあげますか。」  
 言って菫子はにっこり笑った。 つられて薫子も笑う。 笑うと二人は益々ソックリだった。  
「アハハ…。 そう言えば薫子ちゃんのその制服は?」  
「エヘヘ。 コレ? コレはね、菫子ちゃんが転校前通ってた学校の制服だよ。」  
「そ。 ダーリンに逢いに来る前に交換したんだ。」  
「成る程ねぇ…。」  
 確かに髪型だけでなく制服まで違えば気付かれる可能性は高い訳だ。  
 
「でも交換できたって事は服のサイズまで一緒だった訳か~。」  
 少年は感心したように呟いた。  
「あ、でもウエストがチョット緩いかな?」  
「え~。そう言う薫子ちゃんの服こそ胸キツクな~い?」  
 そう言って二人は顔を見合わせると同時に笑った。  
「な~んてね。」  
「本当は寸分違わずピッタリ同じサイズなんだよ。」  
「しっかし双子って、すげ~な。 別々に育ったのにこうもソックリになるとはな。」  
「「うん! 私たちもビックリしちゃった!!」」  
 そう言って少年の問いに答えた二人の声は見事なまでに完全にハモってた。  
「うお! 声まで見事に! そうだ今から3人でカラオケに行かねぇ?」  
「わぁ! イイね。 行こうよ薫子ちゃん!」  
「私も賛成! よ~しそれじゃぁカラオケ屋さんに…」  
 そして3人は同時に息を吸い込み…  
「「「レッツゴーー!!!」」」  
 3人同時に掛け声を発し駆け出した。  
 
 

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