期末試験も終り夏休みを目前に控え、1学期も残り僅かとなったある晴れた日。 カフェテリアのオープンテラスにキラと少年は居た。  
 この日ユラは用事が有った為、キラは少年を買い物に誘った後カフェテリアでお茶をしてたのである。  
「ねぇ。 今更だけど、こういうのってやっぱり良くないと思うの。」  
「そうだね。 確かに何時までもこのままってのはマズいかもね。」  
 キラの語り掛けに少年は答えた。  
 少年はキラとユラ、双子の少女両方と付き合っていたのだが時折こうして二人っきりで逢ってた。  
  内緒のデート、秘密の時間。 キラと少年はユラに悪いと思いながらも、3人で逢う時とはまた違う二人っきりの時間を楽しんでいた。  
 だがそれはあくまでも3人での関係に影響が出ない前提での事。 気が付けば3人での出会いに支障をきたしかねない不安を抱く事があった。 あやうく二人っきりで逢ってた時の事を口走りそうになったり、ユラそっちのけで話を進めてたり。  
「ねぇ。 そう言えば貴方、まだユラちゃんとはキスしてないんだよね。」  
「うん。 そう言われてみればそうだね。」  
 あの日初めて二人っきりでのデート、そして帰り際に交わした初めてのキス。 あれ以来少年はキラとは何度もキスを繰り返していた。  
「でね。 やっぱり貴方はユラちゃんともキスをすべきだと思うの。」  
「え? う、うん。 やっぱりそうした方がイイかな?」  
 少年は少々戸惑いながら答える。  
「勿論よ。 だって貴方は私たち二人と付き合ってるんだから。 よ〜し、そうと決まれば早速…。 あ、でもその前に…」  
 キラは少年に向かい悪戯っぽくウインクしながら言った。  
「ユラちゃんの方は初めてなんだから、いきなり舌なんか入れちゃダ・メ・よ 。」  
「な…?!」  
 少年の顔が見る見る赤くなる。  
「チョ、チョット待ってよ!! 初めて舌入れてきたのも、いつも舌入れてくるのもキラちゃんの方からだろ!?」  
「アハハ。 そう言えばそうだったっけ?」  
 あっけらかんと答えキラは笑った。  
「それより話を続けましょ。 もうすぐ夏休みで、入ってすぐ夏祭りがあるでしょ。 それでね…」  
 
 そして夏祭り当日。 夜も更け夜空には花火が打ち上げられ始めた。 3人は並んで、次々と夜空に咲く色とりどりの花火に魅入っていた。  
 やがて花火が止むと 打ち上げ音と共に観客の喚声も収まる。 祭の喧騒も収まり始めた頃、少年はユラの肩をそっと抱いた。 ユラは少年の顔を見上げた。 少年とユラの視線が交わる。  
「ホラ、ユラちゃん。 こういう時は目を閉じるのよ。」  
 何時の間にかユラの背後に回ったキラがそっと囁いた。  
「う、うん。」  
 キラの意図を察したユラは促されるまま瞳を閉じた。 胸の鼓動が激しく高鳴る。 頬はほんのりと朱に染まり始め、緊張の為に体はかすかに震え始めた。   
 少年は両腕でそっと震えるユラの肩を抱き、顔を近づける。 キラは固唾を飲んで二人を見守っている。 二人の顔と顔が近づき、唇と唇があと数センチで重なりそうになった。 だが…  
「イヤ!」  
 その声に少年とキラは驚いた。 そして声を発したユラ本人も…  
「え… あ、あの…、ごめんなさい。 ど、どうして私…。」  
 少年はキラの恋人であると同時にユラにとっても恋人であり、それも転校してまで逢いたかった相手である。 そんな少年とのキスを望みこそすれ拒む理由など無い筈。  
 それなのに何故拒んでしまったのかユラは自分自身でも分からず困惑していた。  
 ユラは申し訳なさで今にも泣きそうである。 そんなユラを見かねてキラが口を開く。  
「ア、アハハ…。 ユラちゃん初めてなんだもの。 チョット緊張しちゃったんだよね? それにユラちゃん昔っから私と違って、とってもシャイで恥かしがり屋だったから。」  
「そ、そっか。 そうだよな。 じゃぁまた今度日を改めて… と言う事で、ね。」  
 キラに続き少年も口を開く。 顔には困惑と少し残念そうな表情を浮かべながら。  
 ユラは申し訳無さそうにただ黙ってうつむいていた。  
 結局その日のデートはそのまま解散。 少し気まずい雰囲気のままそれぞれは帰路についた。  
 
「ゴメンね…。 キラちゃん。 折角キラちゃんが私と彼がキス…出来るように取り計らってくれたのに。 彼にも…とっても申し訳ないこと言…。」  
 申し訳無さそうにユラは口を開く。  
「ううん。 気にしなくていいのよ。 彼も怒ってはいないみたいだし。 …ビックリはしてたけど。 それにね、キスはちっとも怖い事じゃないのよ。 とってもキモチイイんだから。」  
 キラは微笑みかけながら話し掛け慰める。  
「ち…違うの、キラちゃん。 何て言ったらいいのか分からないけど…、あのままキスをしたら何か大切なものを無くしてしまいそうな気がして…。」  
 今にも泣きそうな声でユラは言った。  
「え…?」  
 この言葉にはキラも一瞬意味がよく分からず困惑の表情を浮かべる。  
「あ…。 う、ううん。 何でもないの。 私ったら何言ってるんだろう…。 ゴメンね変なこと言って。 今言った事は忘れて…ね。」  
 だがキラはその言葉が後々まで気になった。  
(大切なものを無くす…? 一体どういう意味でユラちゃんあんな事を?)  
 
 それからというものユラは彼との接触を避けるようになった。 夏休みの間と言う事もあったが、キラが誘っても行こうとしないのである。 本人いわく、申し訳なくて顔が会わせられないのだと。  
 
 

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