「薫子ちゃん!菫子ちゃん!!」  
「「ダ…ダーリン!!」」  
僕は人ごみの中から浴衣姿の二人を見つけた。  
 
昨日、二人に教室で告白された…  
そして二人は、OKなら花火大会の会場に来て…と言った。  
…二人の真剣な気持ちがとっても重くて…  
一度は逃げ出しそうになった…けど、今、こうしてここにいる…  
 
「ごめん…遅くなって…」  
「ううん…いいの…ダーリンが来てくれただけで…私は…」  
「私も…薫子ちゃんも…ずっと…ずっと待ってた…あなたの答えを…」  
僕は二人に笑いかけた…  
「ごめん……でも…」  
「…でも…?」  
僕は二人の顔をまっすぐに見ていった  
「…恋人には…なれない…」  
「「えっ…」」  
二人の表情が見る見るうちに暗くなっていった…  
 
「あの…えっと…」  
「…あ…あはは…そうだよね…ごめんなさい…」  
「今までずっと、幼馴染として一緒にいたのに…急にそんなの無理だよね…」  
「謝らなくてもいいよ…薫子ちゃん…」  
僕がそう言うと…薫子ちゃんは笑顔で僕を見た…  
涙でくしゃくしゃになった顔で笑っても…しょうがないのに…  
「ふられちゃったか…でも、私たちの気持ちを…知ってもらえただけで…ね?菫子ちゃん」  
「うん……そうだよね…ダーリンに知ってもらえただけで…」  
菫子ちゃんも同じように笑った……  
こうなることは覚悟の上だったが、それでもどうしょうもなく胸が痛んだ…  
「あ…あのさ…」  
「でも、ダーリンこれからも幼馴染として仲良くしてくれるとうれしいな…」  
僕が話そうとすると薫子ちゃんがさえぎるように言った。  
「うん…これからも仲良くしてくれるよね?」  
菫子ちゃんも続けてそういった  
「………………」  
それじゃ意味がない…僕は決めたんだ…  
 
「ごめん…それも…できないんだ……」  
そう言うと、今度は二人の顔が驚きとう言うより恐怖に近いものに変わった…  
「どう…して…」  
「やっぱり…告白しちゃったのがまずかったのかなぁ……」  
「やめとけばよかったね…『秘めたるが華』なのかなぁ…」  
「……頑張ったんだけどな…」  
二人は下を向いてさらに涙を流し始めた。  
「ちがうんだ…二人とも…」  
「……ごめんね…ダーリン…ううん…もう、そう呼べないね…」  
「…行こう…菫子ちゃん………さよなら…」  
二人は、僕に背を向けて走り出そうとした、  
しまった…ここまで二人を傷つけてしまうとは…  
でも、僕の話はまだ終わってない…!  
 
「待って、二人とも!!」  
そう叫ぶと、僕は二人の身体を後ろから抱き寄せた…そして  
「……俺は…自分勝手なやつだから…二人の気持ちなんて…あまり考えてなかった…  
 だから…こんな答えを出してしまった…本当にごめん…  
 でも…まだ話は終わってないんだ…あんなこと言って今更って思うかもしれないけど…  
 まだ…俺のほうは…言わなきゃいけないことがあるから…  
 ……ごめん…すごく勝手なことを言ってるのは自分でもわかってる…でも…」  
僕は、そう言うと二人の身体をこっちに向けさせて、  
「俺の…話を聞いてくれるのなら…明日…夕方…教会に来てほしい…」  
「ダーリン…」  
「………どうして?」  
僕はそこまで言うと、二人に背を向けて  
「…嫌いになったなら…こなくてもいいからね…?」  
それだけ言って、その場を後にした。  
 
 
−次の日−  
「……来ちゃったね薫子ちゃん…」  
「…何なんだろ…ダーリンの話って…悲しいのはもうやだよぅ…」  
二人は昨日の一件でかなり弱気になっていた…  
「じゃあ、開けるよ…薫子ちゃん…」  
「うん…」  
二人が扉を開けるとそこには…  
「…良かった来てくれたんだね…」  
 
「ごめんね…こんなところに呼び出して…」  
僕は二人の前に歩み寄った…  
「こっちへ着てくれるかな…?」  
僕は二人の手を引いて祭壇のところまで進んで  
「そこに立ってて…?」  
「ダーリン…」  
「いったい…何の話」  
僕は二人の前にひざまずき、そして…  
「私は、その健やかなるときも病めるときも、豊かなときも貧しきときも、  
喜びにも悲しみにもこの二人を愛し、敬い、慰め、助けて変わることなく、  
死が私たちを分かつまで…いえ、死が私たちを分かとうとも愛しつづけることを誓います…」  
「……ダーリン…それって…」  
「これが…俺の答え…です…」  
「え…?」  
「その…愛してます…」  
そう言うと、二人の目に見る見るうちに涙がたまり…  
「「ダーリンの…ばかぁ!!」」  
そういって、抱き着いてきた…  
 
「なら…どうして昨日あんなこと言ったのよ…」  
「すっごく…悲しかったんだから…」  
「ごめんね…昨日ちゃんと答えても良かったんだけど…でも…できれば、ここでこう言いたかったんだ…」  
「でも…どうして、恋人にはなれない…なんて言ったの…?」  
「そうよ!どうして?」  
「ん〜…その前にちょっと…離れてくれない…?話しづらいし…」  
「「やだ!」」  
まあ、しょうがないか…  
「二人は、ただの恋人でよかったの?」  
「…どういうこと?」  
「…フィアンセのほうが良いんじゃないの?」  
「…ええ!?」  
「違うの?」  
僕が、どことなくとぼけた口調でそう言うと、二人は抱きつく力を強めてきた。  
「……ダーリンのばかぁ…」  
「まぎらわしすぎるよぉ…」  
「…ごめん…」  
「…だから、幼馴染にも戻れないって…言ったのね…?」  
「うん…」  
「…ばかぁ…」  
二人は泣きじゃくりながらも、その声はどこかうれしそうだった  
 
「それに、あんなに人の多い場所じゃなくて…こういうちゃんとした所で…3人だけのときに言ったほうが…  
 なんか…そっちのほうがいいかなぁ…って思って…まあ、もう少し言葉を選んで言うべきだったね…」  
「………もう…」  
「ダーリンのばか…」  
薫子ちゃんさっきから「馬鹿」としか言ってないな…  
「で…さ…」  
僕は二人を一体引き離して、  
「…迷惑かな…?フィアンセじゃ…?」  
「「そんな訳ないじゃない!!」」  
二人そろって即答…ですか…  
「うれしい…すごくうれしいよぉ…ね…薫子ちゃん。」  
「うん…こんなに…うれしいことって……。」  
昨日と同じように二人の顔は涙でいっぱいだったが、そこには本当の笑顔があった  
「それに…昨日の事があった後だからなおさら…」  
「……あっ!」  
菫子ちゃんが突然声をあげた  
「もしかして…ダーリン…狙ってた…?」  
「…………実は…………まあ、昨日の二人の反応があそこまでとは予想してなかったけど…」  
「ひっどぉい!!」  
「私たち…本当にダーリンにふられたと思って……」  
「ん〜…だから…ごめん…」  
「「許さない!」」  
やはり許してくれませんか…  
 
「そうだ!ねぇ菫子ちゃん…あのね…」  
「うんうん…あは!いいねそれ!!」  
嫌な予感がする、前にもこんなことがあったような…  
「「ダーリンがなんでもお願いを聞いてくれる権!」」  
でた……  
「しょうがない…いいよ…」  
「「やったあ!!」」  
二人とも顔を合わせて笑った、さっきまでの涙はどこにいったのやら…  
「じゃあ、さっそくお願い!!」  
「なに?薫子ちゃん…」  
「さっきの言葉…もう一回言ってくれる?」  
「……………………………“あ”のつく言葉?」  
「そう!」  
僕は二人を抱きしめて  
「俺は…薫子ちゃんと…菫子ちゃんのことが大好きだ…誰よりも…愛してる…」  
自分で言ってて恥ずかしい…  
「私たちもだよ!ダーリン!!」  
「だ〜〜い好き!!」  
…ごめんね二人とも…昨日はすごく傷つけてしまったんだね…  
でも大丈夫…もう…にどとあんなこと言わないから…  
そんなことを考えてると、二人は身体を離して、  
「ねえ、今度は私からのお願い…」  
「どうぞ、菫子ちゃん…」  
「キス…して?」  
「……………………」  
そう来ましたか…  
 
「いや?」  
「…嫌じゃないけど…でも」  
僕は二人の顔を見た、理由は簡単  
「俺のファーストキスは一度きりだけど…?」  
さすがに、三人同時には無理だろう…  
「ええと…あ!薫子ちゃん………ボソボソ」  
「…………うん、そうすれば…」  
何を思いついたんだろう…  
「せっかくのお願いだから…菫子ちゃんからでいいよ?」  
「いいの?薫子ちゃん?」  
「うん…その代わり次するときは私からだよ?」  
「わかった…じゃあ、ダーリン…目つぶってて?動かないでね?」  
そう言われたので僕は目をつぶった。されるほうですか…  
「愛してるよ…ダーリン…!」  
左のほうで菫子ちゃんの声がしたと思うと、唇にやわらかいものが押し当てられた…  
「(ん?)」  
ちょっと違和感があったが、考えるまもなく。  
「ダーリン…私も愛してる!」  
感触がなくなったと思ったら、今度は右側から薫子ちゃんの声がして再びやわらかいものが押し当てられた。  
「(…やっぱり)」  
初めてなのでよくは分からないがやはり違和感があった…  
 
「……えっと…二人とも…」  
目を開けると、顔を真っ赤にしている二人が目に入った  
「あのね、ダーリン…私が右半分で…」  
「私が左半分…これなら…ダーリンは、二つあわせて一回のファーストキス…」  
「「でしょ?」」  
……唇を半分こですか…  
「ああ…幸せ…」  
「ねぇ、ダーリン…」  
「二回目は駄目です…!」  
「「え〜〜〜〜!!」」  
一日に何回もできるほど肝は据わってないって…  
「まぁ、いっか」  
「うふふふ…」  
良かった…二人が笑ってくれて…  
 
「あ〜あ…でもなんか、納得いかないなあ…」  
「ダーリンにしてやられた…って感じで…」  
「あ…あはははははは…」  
まあ、婚約者になったからと言って特に変わることはないだろう…今までが今までだし…  
でも、この二人のことだから…わからない…  
「あ…ダーリン…そう言えば…さっき…」  
「…自分のこと…“俺”って言ってたね…」  
「あ…うん…変かな?」  
「ううん!かっこ良かったよ!だ・あ・り・ん!!」  
「うんうん…大人になったって感じだった!」  
そう言うと二人は、つないでいた手を離して腕を組んだ…  
「ああ…恋人…ううん…フィアンセかぁ…」  
「なんか…すっごく甘い響き…」  
「はは…あ…ごめんね…ペアリング…まだ用意してないや…」  
「「え!?」」  
二人は驚いた顔をして見上げた  
「いいの…?」  
「必要じゃない…?」  
「ううん!すっごく欲しい!!」  
 
「あ、でも三人じゃペアリングじゃないね…」  
「あ、そうか…」  
「でも、いいんじゃない?ね!菫子ちゃん!」  
「うん、!!」  
「じゃあ、明日買いに行こうか?」  
「「やったぁ!!」」  
 
 
まあ…そんなこんなで…この日は終わったと思ったけど…  
「ねぇ…ダーリン…今晩…うちに…お泊りしない?」  
「うん…お母さんたちも…しばらくいないしさ…」  
……………………………………それって…………つまり………アレですか…?  
「だって婚約者だもん…ね!」  
「ねー!」  
…どうやら、この二人には勝てないようだ…ま、いいか…  
「「覚悟しててね!」」  
 
 <一条エンド> おわり  
 

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