「今日はエッチしないから」
「なぜだ?」
「明日マラソン大会があるから」
「マラソン大会とこれがなんの関係があるのだ?」
「……疲れちゃったら勝てなくなっちゃうでしょうが」
「俺は疲れんぞ。むしろ元気になる」
「あんたはそうでもあたしは疲れるの!とにかく今日はダメ!」
*
セーフハウスに帰ってから宗介は荒れた。
一週間振りの再開だった。四日で終了するはずの任務が、敵の予想外の反撃で一週間に伸びた。
サベージが一機?ふざけるな。M6が七機出てきたぞ──毎度のことながら情報部の情報は信用ならない。クルツの性にまつわる話の方がまだ信用できるくらいだ。
「……キスすらできなかった」
宗介は愛銃を磨きながら、一人ごちる。
因みにこの愛銃とはイチモツの比喩ではない。グロッグ19のことである。
許可を求める前に却下された。宗介はまだなにも言っていなかった。
それでもなお、何事かを察知したかなめは、彼の出鼻を挫くように「今日はエッチしないから」と言ったのだ。告白する前に振られた気分だ。
確かに彼女の言い分もわかる。だが疲れるのは、彼女が激しく動くからではないのか──と彼が考えた瞬間、彼の愛銃の先端から透明の液体が流れ出た。
因みにこの愛銃とはイチモツの比喩ではない。グロッグ19のことである。透明の液体とはクリーニング用アルコールのことである。
「気が立って集中できん」
宗介は愛銃のメンテナンスを中断した。椅子の背もたれに身体を預け、天井を見上げる。
別に今メンテナンスをしなければいけない理由はないのだ。メンテナンスならメリダ島で、ヘリを待つ間にやってしまった──ただこの溢れ出る活力を発散する場所を求めて、愛銃の手入れをしたに過ぎない。
宗介は手早く愛銃を組み立てると、動作確認を行った。問題ない。今すぐにでも発砲できる。因みにこの愛銃とはイチモツの比(以下略)。
彼は愛銃を皮のホルスターにしまうと、一息つこうとテーブルのコップに手を伸ばし、その中身をすすった。
「ぅごふぉっ!!」
たまらずむせる宗介。
なんだ今の焼け付くような感覚は──と手元のコップ、もとい瓶を見ると、それはクリーニング用アルコールの瓶であった。
今の自分はどこか冷静さを欠いているらしい──アルコールの小瓶を見ながら宗介は自分の迂濶さに失望する。
それにしても少しのんでしまった。飲料用ではないものを飲んで問題ないのだろうか?──その瞬間、宗介の脳裏を、あるクルツ知識がよぎった。
彼曰く、
『このスクリュードライバーならソースケも飲みやすいと思うんだよ……って変な勘違いすんなよ?俺は男には興味がねーんだ……あぁ思い出すぜぇ、ほら、俺ってかなりの男前だろ?そうすっと股間に尻尾生やしたマイノリティの連中がよぉ……。
あぁ、いや、お前にこんなこと言ってもわかんねーよなー、あ、そのスクリュードライバーってのは別名レディキラーってんだよ。
飲みやすいからよ、女の子にガンガン飲ませて送り狼になっちゃう〜みたいな?でもこの時に自分も飲み過ぎちゃうと、いざっつうときに硬くなんないわけ、ほら、その股間の尻尾がよ?ヤル気なくなっちゃうわけよ……。
これが情けなくてな〜、お前も気を付けたほうがいいって、まぁ、飲まねぇのか、本当つまんねー奴だな、お前は』
前半の話はいまいちよくわからなかったが、アルコールには性欲を押さえる効果があるらしい。
「ふむ」
宗介は自身の、半ば張り詰めた股間を見下ろして、一人頷く。
なんの気なしに小瓶の口に鼻を寄せてみると、脳の奥が熱くなり、幾分性欲が拡散したような気がした──が、いかんいかん、アルコールは脳細胞を破壊する。
彼は顔から小瓶を離すと、酔いを覚ますように首を振った。
──まったく……仮にクルツの情報が確かだとしても、アルコールはいかん。そもそも未成年の飲酒は法律に違反する──ではどうするか?──やはり自慰か?しかしそれは──かといってこのまま寝ても、夢精する可能性が高い──
と彼が心底どうでもいいことを考えていたとき、ズボンに入れていた携帯電話が激しく振動しはじめた。
ポケットから取出し液晶を見やる──メール着信、千鳥かなめ──いったい何の用だろう?そもそもついさっき、彼女の家から追い出されたばかりだ。
訝しみながら、宗介は携帯電話を開いた。文面を見やる。
From 千鳥かなめ
Title 無題
たしけて
気が付けば駆け出していた。
あくまで冷静沈着に。それでもなお全身の血が冷えきって、股間の膨らみはもう、悲しいくらいに萎んでいた。
*
メールを確認してから2分後、宗介はかなめのマンションのベランダに到着した。
カーテンの隙間から中をうかがう。人影は見えない。しかしどんなトラップが仕掛けられているかわからない──だが彼女は、もっと切迫した状況なのだろう。
宗介はメールの文面を思い出した。たった一言の淡白すぎるメール。変換もしていなければ、誤字もなおされていない──彼女の性格からは考えられないことだ。
宗介は生唾を飲み込む。
今踏み込むのは危険だ。そもそも彼女は既にさらわれて、ここにはトラップしかないという可能性もある──だがしかし、踏み込まんわけにもいかんだろう。
宗介は窓のとってに手を掛けた。鍵は開いている。音を上げないようにそっと開け、素早く中に忍び込んだ。
壁を背にして死角を消す。物音一つ聞こえない。気付かれていないのか、だれもいないのか。とりあえず、開け放たれたキッチンのドアの方へと向かう──その瞬間、寝室の方から何かを引き摺る音がした。
やはり誰かいる──拳銃を構え、寝室のドアに身をよせる。
人数はわからない。だがこれでかなめがここにいる可能性が格段に上昇した。
関節と筋肉、呼吸と心臓。自分の体内の全てがもっとも充実した瞬間を見計らい──宗介は寝室の中へと踊り入った。
「動くな!」
怒号とともに辺りを見回す。
相手の動きを封じるような威圧的な視線で周囲を見回し、
「動けないから呼んだのよ」
ベッドの下に両手を突っ込み、床にうつ伏せになった彼女を見つけた。
*
「……もう、本当に猿なんだから」
食い下がる宗介を追い出して、かなめはふぅと溜息をついた。
一週間もしてなかったのだ。彼の気持ちもわかる──自分だって求められて悪い気分ではないし、人並みに性欲はある──だがしかし、今回に限っては譲ることはできなかった。
なにせ明日はマラソン大会なのだ。
「負けないわよぉ〜、東海林未亜ぁ〜……!」
かなめは堅く拳を握りしめ、天高く突き上げた。
尋常ならざる闘争心を腹にためこんで、呼気とともにそれを吐き出す──彼女は回想した。
*
「千鳥さん、明日のマラソン大会で勝負よ」
放課後の生徒会室。来週の全校朝会の資料整理をしていた千鳥かなめに向かって、東海林未亜は開口一番そう言った。
硝子のハートのバスケ部部長兼、鋼の魂のミス陣高──何かとかなめに突っ掛かってくる、彼女の天敵である。
意味がわからない。未亜はミスコンで優勝したのだから、かなめに借りを返したように思うが──もともと努力家の彼女のことだ、かなめというライバル(一方通行的な)を得て、彼女の中で何かが燃え上がってしまったらしい。
「えぇと……ぶっちゃけあたし、マラソン大会は流して走るつもりなんだけど……」
だがかなめはヤル気がなかった。
ごく一部をのぞいてマラソン大会など、ただ疲れるだけのイベントに過ぎない。マラソンで身体を強くしよう!という思想には賛成だが、極めて消極的な賛成である。
「あなたのような体力バカが帰宅部だというだけでも我慢ならないのに、その上流して走る?そんなの許さないわよ?」
「た、体力バカって……いくらなんでも毎日走ってる東海林さんにかなうわけないし……」
「毎日走ってるのならお互い様でしょ?千鳥さん、あなた毎日そこの相良くんと走りまわってるじゃない。時には彼を引き摺り回してね……体力がないなんて言わせないわよ?」
「そうだ。君は体力がある。自信を持っていい」
かなめの斜め向かいで作業をしていた宗介が、自身の名が出たのを契機に話に参加してきた。
交友関係の狭い宗介だが、未亜とはわりと親しく接している。
当初それは、未亜のかなめに対する当て擦りだったのだが、今はそればかりではない──もともと人の好き嫌いの激しい未亜のことだ。気に入らない人間と親しげに話すはずがない──だからこそ腹が立つ。
「そうよね相良くん。千鳥さん、あなたは体力の権化よ。怪物だわ。だからこそあなたと勝負したいの」
「それは過大評価だと思うんだけど。それに別にマラソン勝負して勝ち負け決めても意味ないというか……」
「意味ならあるわよ。あなたはミスコンの借りが返せるし、あたしは自分に自信が持てる……それに相良くん?」
「なんだ?」
「相良くんは体力のある人って好き?」
いきなり何を言いだすのよ!──かなめの表情が引きつる。
「好き嫌いで言えば……まぁ、好きだな……戦いの基本は走ることだ。走れない戦士に勝利はない。極論すれば、技能も装備も無関係だ。誰よりも長く走れる者にだけ、戦いの女神は微笑む」
宗介の戦いとは当然、銃風雷火のマジモンの戦いだったのだが、なぜかかなめの耳には恋の戦いに聞こえてしまった。
*
「ソースケは、渡さない」
自分の部屋でたった一人、ポツリと呟いてみて、かなめは自分の馬鹿馬鹿しさに溜息をついた。
別にマラソンで負けたからといって、未亜に宗介がとられるわけではない。そもそもあの未亜が、宗介に恋心を抱いているかさえ定かでないのだ。多分いい友達なのだろう──物事に対する直向きさは通じるとこがあるかもしれない。
だというのにあたしときたら──ソースケがあんなことを言うから──軽々しく勝負を受けてしまって──全部ソースケのせいだ──
「……でも」
かなめは冷蔵庫を見やる。
あの中には今夜宗介と食べようと思っていた、桃の缶詰めが入っていた。
宗介はそのキャラに似合わず甘い物が大好きだ。彼が喜ぶと思って買っておいたものなのに、暴発寸前の彼にビビって夕飯も出さずに帰してしまった。
もともと夕飯をご馳走するつもりで彼を誘ったのだ。
今ごろ彼はセーフハウスで、干し肉とトマトを一人寂しく噛っているのだろうか?──そう思うと胸の底がしくしくと痛む。
もう落ち着いたかな?──かなめは制服のポケットから携帯電話を取り出した。なんだかんだとドタバタしていたため、未だ制服を着たままである。
彼の電話にかけようとして──うっかり携帯電話を落としてしまった。
クッションに跳ねて偶然にもベッドの下に滑り込む。
「あ、落としちゃった……」
と言って、ベッドの下に手を伸ばして──
*
「それで、ケータイ取ろうとしたら、ベッドの枠に肩がはまっちゃったわけ……」
かなめは携帯電話を落とした以後のことを、掻い摘んで説明した。未亜のことは言っていない。言う必要もないし言いたくもない。
「そういうことか……」
彼女はこういうところがある──と宗介は思う。
基本的にしっかりもので機転もきくが、ともすると酷く蛮勇だ。思いきりがいいと言えば聞こえはいいが、慎重さに欠けるところが彼女にはある。
だが無事でよかった──宗介は身体の緊張を解いた。冷えた血が再び熱を帯びて、彼の体内を回流する。
アルコールの影響か多少ボンヤリするが、大した影響はないだろう──それにしても彼女は、こんな肉感的な身体をしていただろうか?──ボンヤリした頭で彼はそう思った。
「メールはどう打ったのだ?」
宗介はかすれた声で言った。
「ケータイは掴めたから、手探りで打ったの。あんたの名前がさ行の一番最初で助かったわ。すぐ呼び出せた」
「そうか」
「うん。だから悪いけど、ベッド浮かしてくれる?……一人じゃ出れなくてさ」
「あぁ、そうだな……しかしその……君の…身体は随分と、その、綺麗だな……」
「はぃい?」
宗介の唐突な物言いに、かなめが間の抜けた声を上げた。
背中を反らせて尻を突き上げた──俗に言う「雌豹のポーズ」をしたかなめの尻を、宗介は穴があかんばかりに見つめている。顔が赤い。
安心したことで血行が良くなり、さっき僅かにふくんだアルコールが、アルコール耐性のない彼の脳を犯したらしい。
彼は饒舌に続けた。
「君は素晴らしい女性だ。こんな風に迂濶なときもあるが、基本的に思慮深く、こんな俺にでさえとても親切だ。ウィスパードなど抜きにしても、頭の回転が速くその決断力は傭兵の俺が驚くほどだ。
俺がまだ生きているのは君のおかげだ……改めてお礼を言いたい……ありがとう、千鳥」
「……はい、どういたしまして」
何でこのタイミングでこんなことを?──とかなめは思ったが、誉められて悪い気はしなかった。
だがそういうことは面と向かって言ってほしい──そう言おうとして、先に宗介の口から言葉が漏れる。
「……だから俺は君のことが大切なんだと思っていた。こういう言い方はおかしいのかもしれないが、能力と人格が君のすべてで、それに自分は惚れ込んでいるのだろう──そう思っていたが、どうもそれがすべてではないらしい」
宗介はそう言いつつ、ブリーツスカートの中に手を突っ込んだ。
可愛らしいショーツの上からやわやわと尻肉を撫で回す。不意の接触にかなめの尻に力が入る。幾分尻肉が硬くなったが、彼はかまわず撫で続けた。
「ちょ、ちょっと!いきなり何すんのよ!!」
「……最近クルツの言っていることがわかってきた。千鳥、君はとても綺麗だ」
しれっとそんなことを言う宗介。かなめは顔を赤らめ「はぁ?」と再び間の抜けた声を上げる。
その間も宗介の手はかなめの尻を撫で回す。その指先は彼女のことを知り尽くしていて、こんな格好で触られているのに全く気持ち悪くない──むしろ心地いいのが、彼女には屈辱的だった。
なのに、彼の珍しい、くさいくらいの愛の言葉に、強い抵抗もできないでいる。
彼女はもっと聞いていたいと思った。
「君の護衛任務についた時、クルツが君のことを綺麗だと言ったんだ。正直言って俺はよくわからなかった。整った顔立ちだとは思ったが、それだけだ。クルツがなぜ綺麗だ、かわいいと騒ぐのわからなかった」
「ふぅん、そぉ……」
その間も宗介は尻を撫で回す。ショーツの下にまで彼の指が潜りこんだが、かなめは特になにも言わなかった。
ベッドに腕を挟んだ女の尻を撫でつつ愛を語る男。甚だシュールな光景だが、突っ込みを入れるような第三者はこの場にはいない。
「そのうち君の魅力に気付いた。いつ頃かはよくわからないが、気が付けば任務以外の部分でも、君のことばかり考えた。
任務と関係ないところで、君を追い掛けてしまったこともあった……君は驚くと思うが、君が中学の先輩と遊園地に行ったときボン太くんに助けられたろう?……実はあれは俺なんだ。すまない。勝手につけてしまった」
「へ、へぇ〜驚いたわぁ……」
ボン太くんがあんたってことより、バレてないと思ってたことに驚いたわよ──という言葉を飲み込む。
「だがさっきも言ったが……ずっと俺は、君に惹かれたのは中身のせいだろうと──外見など関係ないだろうと、そう思っていたんら」
宗介は酷く真面目な顔でかなめの尻を撫でる。全身全霊。まるでろくろを回す陶芸家のような手付きだ。
「だが違う。中身だけれはない。なぜなら君は美ひい……君と肌をかさねるようになってわかった。君がエンジェルのコールサインで呼ばれている理由が……なるほろと、思う。君は俺の天使ら……君とこんな関係になれて、俺は幸福な男ら」
綺麗ら、ちろり──とあやふやな言葉で愛を語る宗介。手で尻を撫でるだけでは飽き足らず、ショーツの上から柔肌に頬擦りしている。
なななななんなのー?こんな時に限ってー!?──と動揺しながらも、何も言えないかなめ。その時、彼女の鼻先に刺すような香りがとどいた──これは?
かなめはある仮説を立てた。
「……ソースケ、もしかしてお酒飲んでる?」
「アルコールは脳細胞を破壊する……飲んれなどいない。口にふくんだだけら」
「口にふくんだだけでそんなんなっちゃったわけ?」
「そんなんとはなんら?俺はいつも通りだ……ただ君が普段より更に魅力的なだけら。かわいいな、ちろりは。いつだって君はかわいい」
そして普段よりもっと、君が欲しくなった──宗介はかなめに聞こえるか聞こえないかの大きさで、そう呟いた。
かなめの頬が紅潮する。
どうしよう、凄く嬉しい──なのにものすごくヤバーい予感がする──そしてその予感は的中する。
宗介の指がショーツのゴムにかかり、一気に膝までずり落としたのだ。
艶やかで肉感的な尻と、閉じられた割れ目が宗介の眼前にさらされる。
いきなり布がなくなって少し寒い──と思ったら、彼の鼻息が粘膜に触れて、溶けるように熱く感じられた。
「ぎゃーっ!なに脱がしてんのよバカァ!!」
今更のように怒号を上げるかなめ。足をばたつかせて宗介から逃れようとしたが、彼の両足が絡み付いて、呆気なく拘束されてしまった。
生尻にご満悦の表情で頬擦りしていた宗介が、なんてことないといった様子で言う。
「なにとは?……別に下着を脱がしただけらが?」
「そういうこと言ってるんじゃないわよ!なんでパンツを脱がせたかって言ってんのよ!?」
「さっきも言っただろう?……君が欲しくなったと」
かなめの耳に金具がかち合う音と、衣擦れの音が届いた。
なんの音だろう?と思い、直ぐ様それが、宗介がズボンを下ろしている音だと気付く。
彼のギンギンの股間が外気にさらされ、その先端が照準をあわせるように、彼女の尻にピタピタと当てられる。
「バ、バカァ!!なにしてんのよっ!?」
「ん?別にペニスを君の尻にあてがっているらけらが?」
「んなこたわかってるっつーの!!あたしが言いたいのは、なんでいきなりそんなことするのかっつってんの!?」
「いきなり入れたりなどせんぞ?まだコンドームもつけていないし、君はまだ濡れていない。入れるのは、充分に愛撫を施したあとら」
「そういうことじゃなぁーいっ!!」
激昂するかなめをよそに、宗介は注意深く閉じられた割れ目に指を押し当てると、やわやわと揉みながら左右に押し広げ始めた。
かなめは足を閉じてそれを阻もうとしたが、いつの間にか彼の両膝が彼女の足の間に入って、足を閉じるのを防がれてしまう。
雌豹のポーズをとった彼女の股の下に、彼のへそから下がストンと入り込む。
彼の湿った吐息が粘膜に触れて、彼の顔が間近によせられていることを彼女に伝える。視線すら感じる。
ア、アソコもそうだけど、お、お尻の穴ガン見されてる……!?──今更のように羞恥が五体を満たして、白い肌がほんのりと赤くなる。
「君はどこを見ても綺麗らな……」
頬の裏側に似た桃色の粘膜を凝視しながら、宗介は言った。
ぱっくりと割れた秘部の間から、薄い唇に似た肉のヒダが覗く。宗介は初めて見た。
かなめとは通算11回肌を重ねている。だがいつも薄暗がりの中で、猫のように忍んでいたしていたため、宗介はかなめの性器を間近で見たことがなかった。
そこまたしてもクルツ知識──彼曰く、
『女の子のアソコってのはどーも、いやーな形をしてたりいやーな臭いがしたりするもんなんだ……どんな綺麗な娘でもよ?あそこは腐ったジャガイモというか、魚の腸みたいな臭いがするもんなのよ……。
でもな、ソースケ!例え異臭を感じても、それを顔に出しちゃダメなんだ。間違っても股間の尻尾を萎えさせちゃいけねぇ!
何食わぬ顔で人舐めして、う〜ん、フルーティ!薔薇の香りがするぜっと……こんくらい言わなきゃいけないわけよ……これができねぇ男は女の子を抱く資格がねぇ!わかったな、ソースケ!』
クルツ、貴様の言うことはやはり当てにならん。彼女のは特に異臭などせんぞ──海の向こうの戦友に、心の中で訂正を求める宗介。
「そ、そんなとこが綺麗なわけ……!」
「いや、綺麗だぞ。柔肉の間に埋没していた陰唇部は、つやつやして血色がいい。みずみずしく潤って、綺麗な桜色をしてい──」
「そ、そういうこと言わないでよ!」
「ただの俺の感想ら。気にするな」
「気にするっつーにょっひゃあっ!!」
言い掛けた言葉が快感の波に押し流されて、謎の喘ぎ声に変わってしまう。
熟して割れた果実のような粘膜を、宗介の舌が注意深く這いずっている。僅かに溢れた膣液と唾液が混じり合って、ちゅぱちゅぱと悲惨な音が上がる。
彼の唇がキスするように下半身の唇を愛撫していて──そのことに気付いたかなめの脳裏を、極大の羞恥が焼き尽くす。
「やめて!舐めちゃダメ!き、汚いんだから……おしっこの穴が近いからダメ……!」
それにお風呂もまだ入ってない。
「君の身体が汚いはずないだろう?それに小便の穴が近いことくらい俺でも知っている。
らが君の性器が濡れているのは俺の唾液と君の膣分泌液のせいであって、小便を漏らしたわけれはない。安心しろ、ちろり……君の性器はとても綺麗──」
「ら、らからそういうこと言うなっちゅーにょ!!」
最近勉強した知識を得意気に語る宗介と、思いの外上手な愛撫に声を上ずらせながらも反論するかなめ。
ひし形に開かれた粘膜を濡れた舌が縦横無尽に這いずりまわる。時にはナメクジのように、時には蛇のように穴の奥へと押し入って、膣壁を引っ掻くように蹂躙する。
ひし形の頂点にある赤いブドウの粒を、舌でねぶるように愛撫すると、本物のブドウのように皮が剥けて敏感な果肉が露になった。
彼はそれを唇でついばむと、歯を立てぬよう、味わうようにやわやわとねぶった。
再奥から膣液が溢れて、汁気の多い音をたてる。
「あっ、やぁっ!……あまりお、音、立てな、いでよ!ひっ!……やだぁ……だめだよそーすけ……」
本当は大声で怒鳴りつけたいのに、性器がひくひくと疼くたびにしゃっくりのように息がつまってしまう。
足腰に力が入らずヘタリこみそうなのに、その下半身が彼の両膝の上に乗っかって無理矢理「雌豹のポーズ」をとらされている。
彼の舌使いや撫で回す指先はどこまでも優しいけれど、結局今やられているのはレイプと変わりないじゃいか──そうかなめは思うのに、特に強い拒否もできず、今の状況が全く嫌でない自分に酷く腹がたった。
「たくさん出たな。ちろり、やはり君の性器は綺麗──」
「それ、は、もうい、いっちゅーの……あっ!」
膣から顔を離した宗介は、膣が充分に濡れていることを確認するために、中指を膣口に深く挿入した。そして出し入れする。かなめの身体を知り尽くした指先が、彼女の好きな部分を摩擦する。
突き上げられた尻が痙攣し、膣壁が彼の指を強烈に圧迫する。
それと同時に愛液が溢れて、ジュッポジュッポという下品な音をさらに大きくさせた。
両手はふさがれて、無理矢理ショーツを脱がされ、一番大切な部分を好き勝手に舐められた挙げ句、突き上げられた尻に中指を挿入されて汁垂らして喘いでいる淫乱女──それが自分だ。
そう考えると尋常じゃなくムカつくのに、加害者が彼であるというだけで逃げられない、これも悪くないかなんて──自分はいつの間にこんなバカになったのだろう?──尻を突き上げて性器を指で犯されながら、かなめはそんなことを考えた。
「……もう充分だな」
宗介は膣口から愛液を掻き出すようにして指を引き抜くと、びしょ濡れになった手の平を見つめポツリと呟いた。
濡れた手でかなめの下半身を支えながら、自分の足を彼女の股の下から抜く。
彼女の膝が左右に割れて、がに股になって絨毯の上にヘタリこむ。その上から宗介が覆い被さって、尻肉の間にいきり立ったペニスを挟みこんだ。
愛液で濡れた尻の谷間で、煮えたぎる肉棒をにゅるにゅると上下させる。時折アナルに先端が押し当てられて、かなめは酷く焦ったが、互いの愛液で滑って挿入されることはなかった。
そう簡単に入ってたまるか!──彼女はそう思ったが、どうも触れられると落ち着かない。
「らいじょうぶか?」
短い呼吸を繰り返すかなめに、宗介は心配そうに声をかけた。
相変わらず呂律が回っていない──その癖、尻の谷間で肉棒を上下させているのだから手に負えない。
「……らいじょうぶ、じゃ、ないっつーの」
「そうか」
息も絶え絶えになったかなめの顔を宗介は覗き込んだ。
汗ばんだ額に髪が一筋貼りついている。唇が金魚のようにパクパクと開き、浅い呼吸を繰り返す。
髪の一筋を指で除けてみると、手の平に生暖かい呼気を感じた。
「息が苦しいのか?」
「そうよ……わかったら、ほっとい──」
かなめの何事か言おうとした唇が、宗介の唇に塞がれた。枯葉のように軽く、生葉のようにしっとりと唇が舞い降りる。
息が苦しいと言っているのになにを──と彼女は思ったが、唇の隙間から送られる彼の熱い呼気に気付いて──キスじゃない。これは人工呼吸だ。
かなめが息を吐く。宗介が息を吸う。
宗介が息を吐く。かなめが息を吸う。
文字通り呼吸を合わせてかなめの呼吸を宗介がサポートする。当てがわれた唇と、腹に当てた手の平で彼女の肺の動きを読み取って、絶妙な息遣いで呼気を送る。
別に疲れたから息が荒いわけではない。興奮による心因性過呼吸に近いそれは、呼気の再呼吸によってほどなくおさまる──宗介は戦場の経験でそのことを知っていた。
次第に深くなってきた彼女の呼吸に合わせて自身の呼吸を深くすると、肺の底まで彼女に満たされたようで。
吐き返す呼気はもうどちらのものかさえわからない。
互いの呼気が肺の隅々まで染み入って、頭の芯が酒を飲んだように熱い──とかなめは思ったが、それもそのはず、宗介の呼気には多量のアルコールが含まれていた。
熱病にうかされたように火照る自分の顔が恥ずかしくて、かなめはぎゅっと瞼を閉じる。
それと同時に唇が離れて、かなめは「あっ」と名残惜し気な声を上げてしまった。
「おさまったか?」
「……うん」
物欲しげに出してしまった一言が恥ずかしくて、彼の方を向くことができない。
視線を外したかなめをよそに、宗介は再び彼女の背後へと回り込む。
スカートを捲り上げられ、ショーツを剥ぎ取られた剥き出しの尻が、二人の体液でてらてらと光っている。
濡れた肉付きの良いそれを両手でぐにゃぐにゃと揉んでみると、肛門や乱れた性器が卑猥に変形して、股ぐらから失禁したかのように膣液が流れ出た。かなめは絨毯を濡らすそれを太ももで感じ、赤い頬をさらに赤くしてしまう。
足の付け根の二枚のヒダが、度重なる愛撫で充血し、体外へと僅かに飛び出している。宗介はそれを押し込むように中指を膣に挿入すると、再び激しく出し入れし始めた。
膣壁がざわざわと蠢き、膣液が滴る。宗介の掌に彼女の水溜まりができる。
「……も、もぅぃやぁぁ…ぅん、あ、あっん、ゃあ……」
激しいのにツボを完全にとらえた指姦に、かなめは物言うことすら困難になってしまう。やめて!と言いたいのに、全ては甘い嬌声に変わってしまって、宗介の興奮をさらに増幅させる。
中指が根元まで挿入され、その度に掌の水溜まりが尻を下から突き上げる。尻肉が波打つ。汁が飛び散る。
びちゃっ!びちゃっ!という汁気の多い音がかなめの耳に届いて、彼女は半泣きになってしまった。だが性器に注視する宗介は、そのことに気付くことができない。
「そ、そーしゅけぇ…あっ、やぁ……だ、め…こんなの……ぁん、ぃやぁぁ……」
痙攣する性器から中指が引き抜かれる。宗介はその濡れた手で、自身の肉棒をガシガシしごくと、いきり立ったそれにコンドームを被せた。
先日クルツの勧めで購入した0,02ミリの極薄タイプである。その上からしごいてみると、まるで直に触れているような感覚を得られた。
宗介は肉棒を濡れた手でしごきながら、かなめの視界に自身の股間を入れた。
「見ろ、ちろり。この前のものよりも更に薄いものら……これなら君も、もっと気持ち良くなるはずら」
ピンクのゴム膜に包まれた彼の欲望に、思わず彼女は生唾を飲み込んでしまう。
股間が疼く。すでに何度か逝かされてしまったが、彼の肉棒をおさめなければなんとも中途半端だ──だけど明日はマラソン大会が。
「き、気持ち良くても……薄くてもダメ……むしろ、薄いのはダメだから……」
本当に気持ち良くなったら、また足腰立たなくなるまでしてしまう。
「薄いと何故らめなのら?強度のことなら心配するな。すでに確認済みら……君は激しくされる方が好みのようらからな……コンドームを買う際は常に強度に気を付けているろ……」
「あぁもぅ……いろいろと違うっつーの……そもそも入れちゃダメなの……」
激しくされるのが好みなわけではない。
ただ初体験が彼のような性豪おっぱい星人だったため、激しくされないと物足りなくなってしまったのだ。
初めては痛くて大泣きした。初体験なのに苛烈に出し入れされて、股間が壊れるかと思った。
腰振りよりも苛烈に泣き叫ぶ彼女を見て、宗介は猛省した。勉強に勉強を重ねた。実戦に反省会を重ねて彼の技術は急速に熟達した。
もともと彼は手先が器用だ。ASなどという超ハイテク機械を自身の手足以上に操る。指先の感覚一つで機体の動き全てを把握するほどの皮膚感覚を備えていた。
また、ASのグラップリングはSRTでも随一の腕前であり──その能力はベッドの上でも遺憾無く発揮された。布団の中でも彼は最強のグラップラーであった。
最強のAS乗りは11回の実戦を経て、最強のCK乗りになっていた。因みにCKとはチドリ・カナメの略である。コーナーキックではない。
機体が壊れるか壊れないかギリギリの戦闘機動を可能にする第六感は、かなめの快感と不快感を分けるラインを敏感に察知する。
これ以上は痛い。しかしここは最高だろう?──他の誰にも、かなめ本人にさえも感じられないラインを、宗介ははっきりと感じることが出来た。
他の人間がかなめの性器をあれほど激しく扱ったら、彼女はあまりの激痛に悲鳴を上げていたはずである。かなめの性器は宗介にしか扱えないほど複雑に出来ているのだ。
宗介という最強のグラップラーを相手にして、かなめの肉体は計らずも彼専用に調教されてしまった。
宗介は最強のCK乗りであり、かなめの肉体は彼以外を乗せることを許さなかった──宗介以外の操縦を拒む、アーバレストと一緒である。
そして今宵、宗介はクンニリングスを覚え、更に完璧なCK乗りとなったのだ。
「ちろりはかわいいな。なんでこんなにかわいいのらろうな……ちろり、教えてくれ。なんれ君はこんなにかわいいのら?」
かなめの腰に抱きついて、肉棒を秘裂に擦り付けながら宗介は言った。
腰に回った腕がかなめの尻を持ち上げる。またしても雌豹のポーズだ──彼はこのポーズが気に入ったらしい。
半ば呆れながらも、かなめは言う。
「そんなこと知らないわよ……ってかそんなに可愛くないし、ソースケ言い過ぎだから」
「いや、君はかわいいろ。俺は女性経験が少ないが、仕事の都合上各国の美女を目にしれいる……らが俺がかわいいと思っらのは君らけら。そんな君がかわいくないわけないらろ?
それに最近君は、前よりももっと魅力的になっら……これは俺の気のせいらろうか?」
「それは……」
かなめの言葉がつまる。
もっと魅力的になっら──彼女には思い当たる節があった。
彼と肌を重ねる度に成熟していく己の肉体を、彼女はひしひしと感じていた。
もともとスタイルは抜群だったが彼に抱かれる度に、肌の肌理はさらに細かく、張り出した乳房はさらに大きくそれでいて柔らかくなお上を向き型崩れせず、腰はキュッとしまり、尻は肉感的に釣り上がり、体臭さえも何故か甘く──
身も蓋もない言い方をすれば、急速にエロくなっていく自分の身体。
彼とした後はあれほど疲れるのに、何故か体調もいい──以前なら息切れするところで息切れしなくなった。生理も前ほど酷くないし、朝も昔より簡単に起きれる。頭もよく回るし、理系以外も成績が伸びた。
五感が冴え渡り、視力が前よりも良くなった気さえする──これらが全て、彼とイチャイチャしてるせいだとしたら、とんでもない話だ──ということは、このまま彼とイチャイチャし続けたら?
「ちろり、君はとてもかわいい。そして君はこれからもっとかわいくなる。かわいくてきれいになる。それだけじゃなくてもっと賢くて、強くなる。ちろり、君はもっとかわいくてきれいで賢くて強い人間になるんら」
かなめの考えを呼んだかのような宗介の物言いに、彼女の身体が一瞬硬くなる──というより、自身の濡れそぼった性器に彼の先端が押し当てられて、緊張で身を硬くせざるをえなかった。
「らから君は俺が守る。これから君はもっとかわいくなるろに、それを阻むのは何人たりとも許さん。
君はもっとかわいくなって、幸せな家庭を築くのら。きれいなお母さんになる。そしてかわいい子を産んで、育て、かわいくてきれいなおばあさんになって、笑いながら死んでいくんら。
俺は君が、そういう人生をおくることを望む。らから守る。君に属する全てを、力の限り守りたいのら。俺の夢はそんな君を、ずっと見続けることら。それで充分ら。そのためなら命さえ惜しくないのら」
「……なによそれ」
いつになく情緒的で彼らしくない言葉なのに、かなめは目頭が熱くなる自分を押さえきれなかった。
なによそれ──勝手すぎる──人の人生を勝手に決めて、勝手に守って──他人事のはずのことを自分のことのように語って、その癖「幸せな家庭」に自分が入りたいとは言わない──見ているだけで満足──命さえ惜しくないなんて勝手すぎる──
それよりなにより彼の一番勝手なところは、こちらが何も言っていないのに、既にずっぽりと陰茎を膣に挿入しているところだ。
「……入れちゃダメって言ったのにぃいぃ……」
彼の話の腰を折ることが出来なくて、結局根元まで彼の肉棒をくわえ込んでしまった。
まだ彼は入れただけで動いていないのに、彼女の淫乱な膣が勝手に動いて、じゅくじゅくと卑猥な音を上げる。
「そーすけ、だぁめ、だってば……今日はだめなの……抜いてよぉ……」
力の抜けた声でかなめは言った。
あったかい。入ってるだけで気持ちいい──迎え入れた膣壁がじゅるじゅると蠢いて、張り詰めた肉棒をしゃぶるように圧迫する。
「……なぜ駄目なのら?もしかして、そんなに俺とするのが嫌なのか?」
「ち、違う!……んぁ…にゃぅう…あ、明日は、マラ、マラ、マラソンた、大会だ、から…ぁう…ゃあぁん……!」
質問しながらも、宗介はかなめの膣を激しく突き上げた。
あまりに激しい突き上げにかなめの膝が僅かに浮く。濡れた蜜壼は摩擦が少なくなって抜けやすいはずなのに、かなめの性器が猛烈な力でしゃぶりついて、宗介の肉棒を離さない。
「それは、先程聞いた。俺はなぜマラソン大会にそれほどこだわるかと聞きたいのら……俺の記憶によれば、君はマラソン大会にあまり熱意を傾けていなかったはずら」
「べ、へちゅに…ひゃん……やる気なにゃっちゃ……ゃあぁん、なかった、わ、けじゃ、ふぁあぁ…ぅん……だって、しょ、東海林さ、さん、に、しょ、勝負する、ことにゃぃ……なっちゃ……あぅん、ゃあん…!」
どうにか意志を伝えたいのに、あまりに宗介の腰振りが巧みで言葉にならない。
かなめは自分の性器が信じられなかった。ズッコンバッコンという擬音がぴったりあうような勢いで、めちゃめちゃに犯されているのに、全く痛くない──寧ろただひたすらに気持ちいいのだ。
もしかして、彼に犯されすぎておまんこおかしくなっちゃったのかな?──かなめは半ば本気で心配になった。
「そ、しょほしゅけぇ…は、激ししゅぎ…ぅあん…こ、ゃぅ…ま、お、おまんこ、こ、壊れちゃう、よぉ……あん!ゃあぁん……!」
「壊れたりなぞせん。俺は君の身体を傷つけるようなことは、絶対しない」
多少ムッとしたような声で、宗介は言った。
しかし彼女にこんな心配をさせるとは、自分はまだ訓練が足りないらしい──宗介は訓練の一環として、更に激しく腰を振る。
パンパンパンパンッ!と身も蓋もないようなスパンキング音が鳴る。かなめの耳に届く。その音が恥ずかしいのに、更に興奮してしまう自分が信じられない気分だ。
「東海林と勝負することは知っている。俺もあの時生徒会室にいたからな……」
「あっ、ふぁ……!そ、そぉしゅけ、いやぁ……そ、そここすっちゃあぁ、ん、ぁん……らめらって、やぁん……ふぅあ……」
宗介はペニスを根元まで埋めると、最奥の迫り出した膣壁に自身の最も性的な部分を擦り付けた。
他の部分より充血して少し硬い。コリコリとしていて、そこをペニスで刺激されるとかなめは甘い声を押さえることが出来なかった。
さっきから宗介はそこばかり狙っていた。かなめもそのことに気付いていたし、自分の性感帯が彼に知られてしまっていることが恥ずかしいと同時に嬉しかった。
肉棒がじゅぬゅっじゅぬゅと最奥を叩く度に、膣液が泉のように溢れて絨毯を濡らす。かなめは失禁したかのように流れ出る愛液に気付いて、自分は脱水症状で死ぬんじゃないかと少し不安になった。
「ぉ、おしっこ出ちゃっ、ぅん…やぁ、……じ、絨毯、ゃ、汚れちゃ、あぅん…やぁあぁぁぁ……!」
「小便ではないぞ。ただの膣分泌液だ……だが染みにはなるかもしれんな。安心しろ。俺が拭いてやる。調度血の汚れも落とせる強力な洗剤が手に入った。君の膣液など──」
「ぅ、うるぅさぁいぃ……しなく、て、ぃいぃ…やぁん、ぅんぁ…じ、自分で、しゅる、から…ふぁあぁ……あんっ!」
心底余計な申し出をする宗介。
いくらこんな関係とはいえ、自分の愛液の染みを彼に掃除させるのは恥ずかしい。そもそも彼にさせたら──血の汚れも落とせる?──絨毯の繊維がボロボロになりそうだ。
宗介は「そうか」と残念そうに呟くと、かなめの尻を鷲掴みして、彼女の腰を自分の股間に叩きつけた。
まるで性具のような乱暴な扱いなのに、全く痛くない。寧ろ肉棒の角度が変わり、違うところが刺激されて、かなめは涎を垂らして喘いでしまう。
一つ心配があるとすれば、宗介の腰でなく、膣液をだらだらと垂らすかなめの尻が動くため、膣液が飛び散ってしまうところか。
「あぁん…やぁあぁぁぁ…んぁ…ふぅん…そ、そーしゅけ、ぅん……あまり、お尻動かさない、でよぉ、あっ、あっ、あっ……!」
「何を言っている?俺は少ししか動かしていない……君が勝手に動いているのらぞ?」
確かに最初は宗介が揺すっていた。しかし次第にかなめの尻が勝手に動きだし、宗介の肉棒をしごき始めたのだ。
自ら欲して肉棒をくわえ込もうとする自分のヴァギナに気付いて、かなめの顔が更に赤くなる。それなのに腰が止まらない。理性とは別のものが脳を焼いて、尻を八の字に揺すらせる。
ずりゅっずりゅという卑猥な音が、自分の動きによってたつのだと思うと悲しくなってくる。
調教済みの下半身を振りながらも、かなめは言う。
「と、とにかく、にゅぅ、やぁう……ち、ちんちん、抜いて…あん!ふっ…んぁ…あ、明日は、ま、マラ、ソンな、なんだか、ら…やぁう…ふぁあぁ…んぁっ!」
「だからなぜなのら?なぜそれほど東海林との勝負にこだわる?……もしかしてミスコンのことを気にしているのか?ならばあれは君のせいれはない……俺のせいら……」
しょんぼりとした声とは裏腹に、股間は更に張り詰めて、腰振りも再開し始めた宗介。
互いの腰振りのタイミングがあって更に激しくなる。更に気持ちよくなる。
じゅぶゅっじゅぶゅと下品な音が上がり、彼の雄臭い部分が彼女の雌臭い部分をぐちゃぐちゃにしてしまう。
悲しい方向に勘違いをした宗介を放っておくことができなくて、かなめは観念した。
「そ、しょうじゃなぃ!…んにゃ…ひゃぅ……み、ミスコン、は、きゃ、関係にゃい……やんっ!」
「ならば何故……?」
「しょしゅけ、が、体力ある、おにゃにや…んぁ…女の子が、しゅき、好きだって、言った、からぁあぁ…ん、ぅんぁ……!」
好き──自分が吐いたその言葉が耳にこそばゆい。文脈は関係ない。ただ「ソースケ」と「好き」という言葉だけで、芯が熱くなってしまう自分の身体が憎らしい。
かなめのいやらしい性器が、宗介の肉棒を押し潰さんばかりに締め上げた。
上の口では「抜いてよ」と言って、下の口では「抜いちゃダメ」としがみ付く。全くどっちが本心だかわからない──多分両方なのだろう──かなめはそう思った。
「俺が体力のある女が好きらと言ったから……?」
「そ、そぅよ、悪い!?…あん!……ふぁ…もぅいやぁあぁぁあぁ……!」
「いや、悪くない」
宗介はかなめのなだらかな背にしなだれかかった。
肩胛骨の下に額を当て、汗を舐めとるように舌を這わせる。その快感が背筋を這い上がり、かなめの脳を犯す。
膣がきゅーっと締まる。密着する。その中をズボッズボッと肉棒が往復する。
「やはりちろりはかわいいな」
かなめの汗を舐めとりながら宗介は言った。
「ま、まちゃしょれ…?…ふぁ、ぅんぁ、いちゅも、言わ、ない、癖にぃ……あ、あんた、めちゃめちゃ、よ、酔ってるんじゃ、にゃいの…?…んぁ……!」
「不本意らが、そうかもしれんな」
「よ、酔っぱらい、にょ…ふぁあぁ……言う、こと、なんて、ひゃぅ、し、信用でき、ない、わね…あん!ゃあぁん!」
「本当のことなんらが……ならばどうすれば信じてもらえる?」
「じゃあね、じゃぁね!ふぁっ…そしゅけ、ぁっ、あ、明日から、ま、毎日、あぁん……あたしの、こ、と…ぅん!んぁ…か、かわいいって…言ってぇ……!」
「了解した」
宗介は深く息を吸い腹筋に力を入れると、今までにないくらいの苛烈な勢いで腰を振り始めた。
宗介の卑猥な部分が、かなめの最も卑猥な部分にキスをする。彼女の最奥が唇のように彼の先端をはむ。
ぶぢゅっぶぢゅと、この世で最も卑猥な音が上がる。それによって得られるのは卑猥な快感だ。
「……ふぁあぁ…ぃやぁぁあぁ……!」
かなめが押し殺した喘ぎ声を上げた瞬間、膣壁が捻るように蠢き、宗介の肉棒に搾乳するように絡み付いた。
絡み付いた恥肉が急激に肉棒を締め上げる。カリ首の裏でじゅるり…と濡れた膣肉が蠢いて──宗介はたまらす精を吐き出した。
「……うっ」
宗介は短く呻いた。
ここまでよくぞもった。普段なら入れただけで射精してしまうことさえあるのだ。なのにも関わらず、彼がここまで耐えられたのはアルコールのせいに他ならない。
宗介は根本まで肉棒を埋めると、より深くを求めてぐりぐりと股間を股間に押しつけた。その間も彼の先端からは白濁液が吹き出して、コンドームの先を膨らましている。
精液で膨らむゴムの幕を子宮で感じて、かなめは──こんなにたくさん我慢してたんだ──と思った。だからといって、この行いを許す気はないが。
最後の一滴までかなめの中で出し切った宗介は、名残惜しそうに肉棒を膣から引き抜く。膣口がカリ首に吸盤のように吸い付いたが、彼は構わず抜いた。ちゅぽんと悲惨な音がする。
「んぁ…やん……!」
抜けた衝撃でかなめは甘い声を上げた。
性器が疼く。かなめは今度こそ脱力して、絨毯の上にヘタリこんだ。腹が床に押しつけられて、かなめの股ぐらから膣液が滲み出る。
あれほど激しく犯され押し広げられたにも関わらず、かなめの性器は既に、貝のように硬く閉じられている。見るからに締まりが良さそうなそれは、見た目以上に締まりが良い。
宗介はその様を凝視した。柔らかくなりかけた肉棒が、先よりも熱く張り詰める。
「ね?……もぅいいでしょ?ベッドどかしてよ……」
かなめのその願いは、再び精の権化と化した宗介の耳には届かなかった。
*
結局その後宗介は、三回もかなめの股間を堪能した。
あらゆる角度からツボを押さえた突きをくらわされ、かなめは拒絶の言葉を吐くどころの話ではなかった。喘ぎ声しかでない。出そうとした声は甘い嬌声に変わり、何も言う気がないのに、反射的に喘いでしまう。
かなめの喘ぎと尻を叩く音、膣を陰茎が出入りする汁気の多い音が部屋に反響する。
そのまま犯されまくられて一時間が立ち、いい加減「雌豹のポーズ」に疲れたかなめは「おっぱいの形が変になっちゃうよ」とポツリと呟いた。
「な、なに?それはいかん!?なぜ今まで言わなかっら!?早くベッドをどかそう!!」
性豪おっぱい星人である宗介は、素早くかなめの中に最後の一発を射精すると、ベッドの枠に手を掛けて一気に持ち上げた。
かなめがその下から疲れ切った様子で腕を抜く。
ペタンと女の子座りになったかなめの前に宗介は屈みこむと、
「平気か!?おっぱいの形は?乳首は上を向いているか?ぽにょぽにょか?しこりなど出来ていないか?痣など出来ていないか?ふわふわか?もにゅもにゅか?今確認するぞ。少し見せてくれ!」
と言って、手早くかなめの制服を脱がした。
あっという間にたわわに実った乳房が露になる。見た目は特に変わりないが安心は出来ない。宗介は両乳房を鷲掴みすると、マッサージするように丹念に揉み始めた。
決して傷など残さん──形成外科の倍の情熱を持って乳房を揉み倒す宗介。時には鷲のように激しく。時には子猫を抱くように優しく──最強のCK乗りである宗介は、かなめのおっぱいの扱い方についても超一流だった。
かなめの方はかなめの方で、あまりに上手な乳揉みに、頭がぼんやりとして気持ち良くなってきてしまった。
かゆいところに手が届く宗介の乳使い。揉んで欲しいときに揉み、乳首をつねって欲しいときにつねる。おっぱいに触れるだけで宗介は、かなめの全てを理解した。
だがこれとそれは別の問題だ。
好き勝手に穴を使われて、こんなのレイプと変わらないじゃないか。気持ちいいとかそうでないとかは関係ない。強硬に拒絶しなかった自分にも問題があるかもしれないが、許さないんだから──かなめは拳を握り締めて、おっぱいを揉みしだく宗介を見下ろした。
「ソースケ、あんたねぇ、いったい自分が何したかわかってんの?」
無言で乳を揉みしだく宗介。
「本当にあんたって奴は……一度火が点くと止まらないっていうか……聞いてんの、ソースケ?」
無言で乳を揉みしだく宗介。
「おーい、相良くーん、聞いてますかー?」
宗介は乳を揉みながら寝ていた。
*
その後宗介はかなめの新技、ドラゴンスクリューからのレッグラリアートによって叩き起こされた。
「ばーかばーか、帰れー!」
とかなめに言われ、追い出される宗介。その日二人はそのまま会うことはなかった。
次の日、マラソン大会。
かなめは結局参加しなかった。未亜には「ごめん、急に生理になっちゃって」と言って謝った。訝しみながらも未亜は「しかたないわね」と言って去っていった。
マラソン大会は未亜が優勝した。かなり鍛えこんできたらしい。もともとヤル気がなかったとはいえ、少し悪いことをした気がする。
宗介と言えば昨日あんだけ出してレッグラリアートまでくらった癖に、楽々と優勝してしまった。
彼は瞬発力はそうでもないが、持久力は化け物だ。
数十キロの荷物を背負い野山を駆け回る彼にとって、手ぶら(最低限の武装済み)で舗装された道を走ることなど造作もなかった。陸上部の顔を潰したことになるが相手が悪すぎる。
かなめは複雑な気分だったが、とりあえず「おめでと」と彼に声をかけた。
照れたように「あぁ」と短く答えた彼を、不覚にもかわいいと思ってしまった。
その瞬間に宗介がぱっと顔を上げて、
「千鳥は、今日も、その……かわいい、な……」
と言った。
明日から毎日あたしのことかわいいって言って──昨日自分が言った言葉を、かなめはやっと思い出した。
まいった。こいつちゃんと覚えてたんだ──
その後かなめは宗介を夕食に誘った。当然「エッチは一週間禁止!」という条件付きである。
宗介は「当然だろう」と納得しながらも、痛くダメージを受けた様子だ──まぁ、三日くらいにしとかないと、後が辛いかな?
だけど、まぁ、少しは反省してくれないとね──一週間と言いながら三日後に許して上げようと思ったかなめは、隣の少年と足取り軽くスーパーへと向かった。