馬鹿な事をしている自覚は、あった。  
ただ、あの「ネコ」が居なくなってから宗介が目に見えてしょんぼりとしているので…  
かわいそうなのと、悔しいのと。  
(あたしが!元気出したげるんだから!)  
気合を込めてその衣装を掴み、かなめはレジへ向かう。  
ここは某バラエティグッズショップ、そして手には  
「パーティーウェア タイガーガール ホワイト」。  
宗介のシロを模した、ホワイトタイガーふうの模様が入ったチューブトップの衣装だ。  
 
今日は宗介を夕飯に誘ってある。  
そこで明るく一発この衣装で、あ、いや、一発とはそういう意味ではなく、  
明るい調子で「あんたにはあたしもハムスキーもいるじゃない!元気出しなさいよ!」  
とでも言ってやれば…彼の気も少しは晴れるのではないかと思っている。  
夕飯はすでに出来上がっていて、昨晩から仕込んであるカレー。  
あとはさっさと帰宅してパンを切り分けて、この衣装を着て待ち伏せするだけだ。  
びっくりするだろうか。案外引いてしまったりして。でもかれは堅物な朴念仁だけど、  
こういう冗談が嫌いな訳ではないようだし。  
うきうきと袖を(チューブトップなので実際には袖はないのだが)通してみたその  
衣装は、標準的な女の子サイズの為、胸元からウエストにかけて体の線に見事に  
張り付いており、ちょっとエッチ過ぎるかなあと心配になる。  
だが相手はあの相良宗介。  
妙な下心を出してきた所でどうにもならないに決まってる、とかなめは鏡の中の白猫に向かって微笑んだ。  
 
19:00時、約束の時間ぴったりに宗介は千鳥宅のチャイムを押し込む。  
「はーい」  
「相良宗介だ」  
「どぞー」  
ガチャリ、とドアの施錠が解かれる。  
中から開ける気配がないので宗介はドアノブを掴み、そしてぽかんとした。  
目の前には、いつもの私服よりもさらに露出度を高めた千鳥かなめ。  
胸元から股の付け根ギリギリくらいまでにピッタリとタオルを巻いたような服は尻の  
辺りからしっぽのようなヒモが生えており、二の腕から手の甲まで覆う手袋、膝の  
高い位置まで上がった靴下に、頭には丸いものが2つついたヘアバンド。  
かなめは宗介のリアクションを充分想定内のものとして、きゅ、と相手の手を取った。  
「シロがいなくなって寂しそうだから、今日だけ特別、あたしがシロになったげる」  
予定していたのとは少し違うセリフになってしまった。  
せっかく考えといたのに!とかなめが残念がるより1秒早く、宗介にタックルをかまされた。  
…いや、抱きしめられたらしい。  
彼はかなめの首筋に顔を埋めて、背中にがっちりと腕を回し、そしてくぐもった声で言った。  
「感謝する…」  
「ア、いーえ。どーいたし…」  
言いかけて、宗介の頬や鼻が首筋に摺り寄せられて絶句する。  
なんだか予想外に喜んでもらえたらしい。感動、に近いかたちで。  
「シロ」  
「…えーと、ソースケ…」  
くぅ、と彼が耳の後ろで猫が喉をならすような声をたてる。  
身体が密着しすぎていて、かなめは全く身動きが取れず硬直するばかりだ。  
そんな事にはお構い無しで、宗介は両手両腕をがしがしと動かしてかなめを体を撫でさする。  
「シロはこうしてやるととても喜ぶのだ」  
そう言って、彼女のおしりを右手のひらでギュッと掴んで撫でさする。  
シッポが跳ねて、かなめのお尻にも自然と力がこもった。  
両足を宗介の脚で挟まれ、左手で背中を強く擦るようになでられる。  
「気持ち良いか?」  
「は!?あ、えーと、そうね、シロ的には…」  
言いかけてまた止まる。どう見ても宗介の股間がいつもの状態ではなかった。  
「あの、ソースケ…」  
「なんだ」  
(ど、どーしよう。…流されちゃってもいいのかな…)  
チラチラとそちらを視界に入れつつ、かなめは腹をくくる。  
これで彼が飛び掛ってくるなら、つまり自分たちはもうそうなるべき頃合なのだ。  
「…一応確認しておくけども、あんた、シロと、へ…変な事は、してないわよね?」  
「変とは?」  
「その、こーいう…」  
「体ならたくさん撫ぜてやったぞ?」  
「そうじゃなくてね、あの、こう…」  
かなめはそっと目を閉じて、軽く宗介の下唇を咥えてすぐ離す。  
「…こんなコト」  
じっと宗介を見ると、彼はぽかんとして、それから目を見開き硬直して汗をだくだくと  
流した後つま先から頭の先まで津波が到達する如く真っ赤になった。  
さすがに今の自分の触れ方が、おかしいかもしれないと思い至ったのだ。  
尻を手で掴んでぐわぐわ撫で擦るなどと。  
「すま」  
「謝らないでよ!…ねえ」  
そっと宗介の腰に腕をまわして、お尻を撫で返す。  
困惑と羞恥でしどろもどろの彼の唇をもう一度奪うと、恐る恐る応えてくれるのがたまらなく嬉しかった。  
 
ちゅちゅ、と吸い付く音が響いて、ちゅぱ、と音をたてて離れる。  
もう一度重なる。  
離れる。  
宗介の舌がかなめを追って突き出され、また重なる。  
さっきから宗介が股間をすり寄せて来ては甘えたような声を漏らすので、かなめは  
辛抱たまらず彼のお腹を撫でて言う。  
「…しよっか」  
「なにを、だ」  
真っ赤になって眉根を寄せて厳しい顔を作る努力はするが、あまり意味は無かった。  
未経験の興奮にうろたえながら、宗介は自分の腹をなでる手をじっと見る。  
その手はそのままもっと下へ辿り着き、堅くなった下半身をゆるゆると撫でた。  
「こういうとこ、触ったりすること」  
「…それは」  
あまり淫らな行為を、学生の身分である自分たちがすべきではないのではないか、と思う。  
思いはするが、やらないでおこう、とはきっぱりとは言えなかった。  
さっきから擦れ合う千鳥の股や胸に、正直興味があって仕方がないのだ。  
「いや?」  
「…いやではない」  
「私もだよ」  
ふふ、と笑うかなめの吐息が唇にかかって、宗介は意識が飛びそうになるのをすんでの所で堪えた。  
 
ベッドに横たわっても体から力が抜けない。  
彼女の手に頬を撫でられて、どうにでもなれ!という気持ちで目を堅く瞑った。  
彼女の対応がすぐ側で感じられて、浮き上がる腰をなんとか自制しようとする。  
「ちど・・・」  
彼女の手がまた自分の腰周りに来た所で、宗介はどうしたものか判らずひとまず彼女の名前を  
呼びかけて声を引っ込ませた。  
かなめの手の平に、股間を撫でられて息が詰まる。  
宗介が狼狽しているのが目に見えて判って、かなめは不思議な余裕を感じていた。  
「きもちいい?」  
「あ、ああ…いや、よく判らん…」  
「見ていい?」  
「…」  
沈黙は肯定、と受け取って、ボタンをはずしチャックを下ろす。やはりいけない、と頭の中の理性が言う。  
「千鳥、やめるんだ」  
「どして?」  
「その…」  
「…あたしとこんな事したくない?」  
彼女が急に悲しそうな目をするので、宗介は非常に焦る。  
「それは違う!だが…」  
君を汚してしまいそうで。そこは言葉にならず、それ以上喋れもしない。  
俺は意気地なしだ、と宗介は自分の言動を呪った。  
一方かなめは、宗介が何も言わないものだからしばらくは手持ち無沙汰でトランクスの頂を  
じーっと見ていたが、やがて彼の気持ちを「いやよいやよも」という奴と解釈して、指先で  
くっと股間を押しこむようにして弄る。  
「っあ…」  
「ね、ソースケ」  
目の前の女神の様な笑顔に、脳が沸騰しそうだ。  
「見ていい?」  
同じ事を二度聞かれて、宗介は固く目を閉じ頷いた。  
 
「ん…すごい…これってこの中に血が集まってるのよね」  
「…保教科書によると、そのようだが…」  
かなめの右手が宗介の股間でするすると動いては、正に射る様なとでも言うべき視線で先端をじっと凝視する。  
「千鳥、あまり先端ばかりっ…く…」  
辛抱たまらず射精した宗介のいちもつから飛び出た液体が、かなめのてのひらにこびりつく。  
彼女はそれを目を丸くして見、宗介はいたたまれない気持ちになった。  
何も言わないかなめとの沈黙に耐えかねて、宗介はティッシュで彼女の手を拭く。  
「…その、すまない」  
「へ?」  
[汚して、しまった」  
ばつが悪そうな宗介は決してかなめの顔を見ようとはせず、先ほどまでとは違った羞恥に  
さいなまれているようだった。そんな様子が面白くなくて、かなめは身をかがめて彼の顔を  
覗き込むと鼻と鼻をちょい、とくっつける。  
「汚くないよ。でもヘンなにおいだね」  
「すまない…」  
「ね、ソースケ」  
返事もせず俯いて罪の意識に苛まれる宗介の耳元に、かなめは悪魔の如く囁く。  
「交代、しよ?」  
「む?」  
「今度はあたしに、ソースケが。ね?あ、勿論ソースケがあたしのこと、触るのイヤじゃ無かったら…」  
「いいい嫌ではない!」  
やけにどもって返してしまい、また宗介はグ…と、言葉を飲み込む。  
かなめは笑って、「じゃあ、脱がせてね」と両腕を投げ出してきた。  
 
彼女の裸体が見れるのは大変ありがたいことだ、と頭のどこかで思う。  
しかし、脱がす。自分はズボンを膝位まで脱いだだけだったが、彼女は全て脱ぐのだろうか。  
もしそれがこの国での若い男女の作法なら、先ほどのほとんど着衣のまま達した自分は。  
かなめが思いもよらないような事で悶々とする宗介は、とりあえず彼女の肩にかかる、  
透明なヒモを腕を通して脇の下へ。いかにセクシーな衣装でも、さすがにパーティーグッズ  
だけあって胸のパッドとストラップはきちんとついていた。  
両肩からストラップを抜き、ぐい、と引き下げると形の良い胸が露になる。  
重力に従ってたゆん、とゆれた房を、宗介はまぶしいものでも見るようにして凝視した。  
下まぶたが上がって口が半開きの非常にどうしようもない表情で、かなめは少し呆れてしまった。  
(こういう時だけ素直になるっていうのも、どーかと思うけどね!)  
「あの、ソースケ…気に入ったなら安心なんだけど…」  
さすがに恥ずかしいんだけど、と言われて宗介はやっと我に帰り、おへその辺りまで降ろした服をそのまま  
スカートもろともずり下げる。  
靴下は右足の物はスルっと脱げたが左がひざ上から動かず、どうやって脱がしたらいいかも  
判らないのでそのままにしておいた。  
残ったのは薄桃色の下着だけ。自分の履いている木綿製のものと比べると、ひらひらと装飾が多くて  
身体にぴったりと密着していて、ほんの少しウエストに食い込んだ段差が妙に厭らしく思えた。  
どうにもそれは局部を守る為ではなく視線を集めるための物のように思えて仕方がない。  
また時が止まったように凝視していると、かなめはもじもじと指先をいじりながら  
宗介の方をじーっとみて、小さな声で「電気消そうかな」とひとりごとを言う。  
「それはだめだ」  
ひとりごとに返事をされてかなめは元から赤みがさしていた顔をさらに真っ赤にして、  
宗介の顔に両手をおしつける。  
「じゃあそんなに見ないでよ…」  
「しかし、いや、君も先ほど随分熱心に俺を観察していたからな。お返しだ」  
「おかえ…いらないわよっ。てゆーか、そんなに見るんだったら…触ったら良いじゃないの」  
「…む、そ、そうだな」  
そうだった。これから交代するのだった。  
宗介は改めてかなめの裸を正視した。  
いつも目にする腕や脚の健康的な肌色とは少し違う、青みがかった白さのある胸や腹部。  
いつまでも撫でていたくなるような曲線で出来た体、それとなく胸を隠そうとしている両腕。  
無意識にその両腕を掴んでどかすと、一度かなめと視線を合わせてから彼女の胸に顔を寄せた。  
その行動にかなめはちょっと驚き、それからそっと宗介の頭を撫でる。  
自分の腕や身体を掴む彼の手からは、すっかり力が抜けていた。  
 
谷間の上の平たい所に唇を押し当て、額をすり寄せてくるので髪の毛が顔にあたってくすぐったい。  
予定では今頃自分は宗介に恥ずかしい所を触られたり見られたりして、相当いやらしい事に  
なっているはずだったのだが…確かに心臓はどきどきばくばくしているけれど、あまりにも  
ゆったりした行為が続くもので、かなめは少し眠気を感じ始めていた。  
乳首を咥えられて吸われて、このまま彼と朝まで抱き合って眠ったら、多分幸せ。  
そうおもった矢先。  
 
くちゅ。  
 
「!」  
驚いて目をぱっと見開く。  
胸元には相変わらず宗介。彼の左腕はかなめの背中を先ほどから優しく撫でていたが、腰の辺りを  
支えていた右腕がいない。いや、いる。彼女の股で、下着の横合いから指先でじかにふれてきていた。  
あまりの事にびっくりして声も出ず、ただ太ももにキュッと力が入ってしまい緊張が彼にばれる。  
宗介は敏感に察知して、彼女の気持ちを一生懸命想像して「やはりやめておこうか」と言おうと  
したがどうにも口が開かない。そんな事言ってたまるかという気持ちがある。  
うしろめたい気もして彼女の顔は見ず、胸元で荒くなる息をなんとか押さえ込みながら右手の  
行為に集中した。  
 
下着をどかすとそこにはフワフワと柔らかい肌が待っていて、指を前方に移動させると  
陰毛の感触。当然自分の体にあるような怒張はない。くにゃくにゃと押し込むとかなめの体が  
震える芯のようなものに行き当たって、暫くそこを刺激していると少しづつ声が漏れ始める。  
指の位置を移動して、もっと下の方へ。最初にくちゅっと言った音の正体はぬめりのある  
体液で、宗介はそのぬめりを利用して指をまっすぐに、すなわち中に挿入した。  
「あ」  
こじるような動作でそっとそっと押し進めると、指は案外簡単に中に入った。  
関節二つ分位挿して、天井をくすぐる。  
かなめが言葉にならない声を上げて両足で宗介の体をきゅっと抱える。  
かなめの中も、宗介をきゅっと絞り上げた。  
ここに、自分のものを――無理ではないか、と思う。  
さすがに自分のものは中指一本の比ではない。しかし今この指は、きゅうきゅうと締め付け  
られていて最初の様に動かすにはある程度力を入れなければいけなくなっていた。  
これが自分の一物となると、腰を使って股間を前後させなければいけないだろう。  
しかしこの狭さ。  
(なんとかなる、のか…?)  
いぶかりながらかなめの反応が激しくなるポイントをいじっていると、一度ぎゅうーっと  
指を締め付けられた後、かなめの体がふるえ、そして力が抜けていくのが判った。  
その時小声で猫のような声を上げたのがたまらなくて、宗介は自分の股間にまた熱が  
こもるのを自覚した。  
 
指を引き抜くとかなめが物欲しげな目でこちらを見てきた気がして、宗介は落ち着かない  
気分になる。もう一度指をあてがい、今度は人差し指も一緒に挿入した。天井をこすると  
今度は先ほどよりも大きな動作で腰をよじって、淫らな声も口を塞がずに発する。  
挿入している右手指に添えるようにして左手の指で口を開かせ、薬指も挿入しようと  
してみるがこれは角度が上手くとれず、諦める。  
かなめが期待と不安の入り混じった視線を送ると、宗介はたまらなくなって指を引き抜いた。  
 
「いい、か?」  
「ん…多分へいき」  
脚を開かせて仰向けに寝そべった彼女の局部に自信をあてがい、入り口に擦り合せてみる。  
それだけで脊椎がばらばらに砕けそうな刺激を感じて、宗介ははやく中に入りたくてたまらない。  
ただ、聞きかじった知識で女性の初体験は痛みや出血をともなう事があると知っている。  
そして先ほどの、指程度の物でさえきゅうきゅうと締め付けるあの狭さ。  
逡巡していると宗介の背に添えられていたかなめの手が彼をポンポンと優しく撫ぜて、  
そして震えるような深呼吸をする。  
「…いいよ、きて」  
「了解した」  
ぐっと押し当てて腰を突き出すと先端が潜り込み、やはりと言うか予想以上に熱くて狭かった。  
ぷちりと千切れたりしたらどうしようかと思った彼女のそこは柔軟に彼を受け止めて、それでも  
表情には辛そうなものが見えたが止めてとも嫌だとも言わない。  
「千鳥…どうだ?」  
状況の確認を、と思って発した言葉は彼女の吐息だけで「ばか」と発音され、そのまま唇を  
重ねあう。薄く開いた唇の間で舌と舌が掠めあう度にかなめの中がキュッと反応して、宗介は  
目の前の光景に意識が遠のきそうな程の興奮を覚えた。  
そしてかなめの発言が「無粋な事を言うな」という意味とは取れず、また聞く。  
「痛みはないか?」  
「・・・ン」  
短く返すかなめは、呆れたと言うか諦めた風情で唇を尖らせる。それをキスしてほしいのだと  
解釈して宗介は唇を重ねた。体勢がずれて、当る所も変わる。かなめがつま先をぴんっと  
延ばして、何かを堪える。重ね合わせた唇の隙間からかわいらしい声が漏れて、それも食べて  
しまいたい、と宗介はさらに貪欲に舌を絡めた。  
それから、きゅうう、とこれまでにない強さで締め付けられて、二、三度腰を動かしてから  
宗介はたまらなくなって射精までいきついた。  
かなめはお腹のなかでそれを感じながら、不思議な感慨にひたる。  
(気持ちよかった、って事よね、これは…)  
耳のすぐ側で息を荒げる彼を感じながら、ここでようやく大事な事に気付いた。  
コイツ、ちゃんと避妊してるんだろうか?  
抵抗を伴って抜け出る彼のものを思わず覗き込んで見てしまう。  
(あ、よかった…)  
いつつけたのやら、彼はちゃんとコンドームを装着していて、しかしはずすのに失敗して  
かなめの膝にぼとりと垂らした。  
慌てる宗介にティッシュを渡して、「気持ちよかった?」と聞くと、彼は口元を  
微妙に緩めて頷く。  
「ところで、あたし、まだなんだけどなー…」  
「…!!?」  
「い、いきそびれちゃったのよ…」  
本当はさすがに初めてのセックスでいくところまで気持ちよくなれなかっただけなのだが、  
でも最初の指の奴はひじょうに具合がよかった。  
「そ、そうか…」  
てっきりかなめも自分と同じタイミングで絶頂を迎えたと思い込んでいた宗介は、  
拭き取ったティッシュをぽそりとゴミ箱に投げ込んで眉間に深刻な苦悩を浮かべている。  
一人で楽しんでしまった・・・という罪悪感。さっきの爆発的な快感の波は、結局ひとり  
よがりだったというのか。  
そんな宗介のすっかり萎えた股間をチラ、と見て、かなめはおずおず切り出す。  
「ソースケ、あの、ここ、さ、触って・・・」  
「…いいのか?」  
「ん。さっきのが…好きかも…」  
「そうか!よし!」  
喜々としてかなめの脚を持ち上げ、局部を眼前に宗介は厳かにキスをした。  
「やんっ」  
まだ敏感なそこをつつつ、と舐めて、上にある一番感じ易い蕾をぱくりと口に含む。  
舌先で突いて、軽く噛んで吸い上げる。快感に焦るかなめが両足で彼の頭を抱え込み、  
抑え切れない嬌声が部屋にひびいた。  
「あっ、ゃん…ああんっ、ソ…ふあっ…」  
それからしばらく、彼女の口からは途絶える事無く声が漏れ、宗介は彼女が果てるまで  
続けようと心を込めて舐め啜った。が、それがどうもよくなかったらしい。  
 

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