「千鳥。少し相談がある。大佐殿の機嫌を大変に損ねてしまった」  
「どうしたの?そういえば昨日もいなかったじゃない」  
「ああ、ちょっと洋上演習があって、これは軍機だが、大佐殿を救助した結果丸一日近く無人島に遭難してしまったんだ」  
 かなめの表情が凍りついた。  
「で、何をやって不機嫌にさせちゃったのかな?」  
 言葉が温厚、表情も笑っているが目は思い切り笑っていない。  
「よくわからない。倒木を利用してシェルターを確保し、折りよくスコールがあったので飲料水を確保したら、妙な態度を取ってな」  
「何やったの?」  
「サバイバルキットから水筒を出して、それを」  
「ちょっと実演してみて」  
 相介は突然ズボンを脱ぎ、ポケットの小さな箱からコンドームを取り出した。  
「…で?そのときテッサちゃん、どんな様子だった?」  
「突然高熱のような表情になり、体力を節約するためか力を抜いて安静にしていたな」  
 いうと、相介はズボンの片方の裾を縛り、それに息を吹き込んで膨らませたコンドームを入れた。  
「それをどうするの?」  
「これに雨水を溜めたんだが?とにかく飲料水確保が最優先だ。大佐殿は感染症のワクチンはあるはずだし、風邪などが出たのなら余計に飲料水が」  
 

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