「そりゃ・・・ぃっく、そりゃあ、分の悪い勝負だとは思ってましたよっ」
手にしたコップを勢い良くテーブルに叩き付けた彼女の目は、完全に据わっていた。
「一緒にいる時間なんて明らかにカナメさんのほうが多いし。でも、それでもね・・・ちょこっと期待しちゃうじゃないですかっ。わたしに対する、最近のいくらか柔らかくなった態度とか見てたらぁ。ほんっとズルいですよ、あの人・・・んぐっ、ぷはぁ」
くどくどと長口上をぶち、コップの残りを一息にあおっては、すでに用意されている次杯を掴む。飲む瞬間以外、口の動きは全く止まらない。
そんな彼女の様子を尻目に、マオは新たに彼女用の飲料を『調合』しながら、アルコール臭混じりの溜め息をついた。
「あちゃ〜。見事に愚痴りモードに突入しちゃったわ、この子」
ぼやきつつ、飲み終わったビール缶をゴミ箱へシュート。狙い違わず、軽やかな金属音とともにゴールが決まる。
段々と缶の山がうず高くなってきたが、溢れることはないだろう・・・まだしばらくは。
テーブルに並べられた未開封の缶をひとつ手に取りながら、逆の手で煙草に火を点ける。
「・・・なんか言いましたぁ、メリッサ〜?」
「いえいえ、な〜にもぉ」
何拍か遅れてやって来た舌足らずな問いかけに釣られ、ついついマオも間延びした口調になっていた。
テッサのベッド周辺を片付けた後、二人はマオの自室に移動した。
部屋を移動したほうが少しは気分も変わるだろう、という経験豊富な少尉殿の提案である。
「それにあんた、新しいあたしの部屋にまだ入ったことないでしょ? といっても、大して変わってないけどね」
最近昇進した彼女は、任官と同時に部屋も下士官の区画から移っていた。
女性将校の私室はひとところに固まって配置されている。そのため、今や彼女らの部屋は目と鼻の先と言って良いほど近くにあるのだった。
もっともそういった細かい事情を別にしても、場所移動は今夜の『残念会』の大前提であった。なぜなら――テッサの部屋に無いものが、マオの部屋には大量に常備されているからだ。
以前、マオはふざけ半分でテッサに酎ハイを飲ませたことがあった。その時はあっさり一缶目で撃沈させてしまったため、今度はさらにジュースと氷で割って薄めたものを与えてみた。
ちなみに、アルコールを毛嫌いしているテッサには『それ』が酒だと教えていない。一度酔わせてしまえば、小娘の手綱取りは実に容易かった。が、
「くだを巻くのにちょうどいい具合の濃度だったみたいねぇ」
最初は神妙に首肯を返し、自分の酔いが回ってからは面白がって話を聞いていたが、一時間も経つとさすがに疲れと飽きが前面に出てきた。
このまま放っておくと、愚痴り続けた末にフェードアウトして潰れるに違いない。
「うーん。もういいかしら、キリがないし・・・やる前に寝られたら面倒だし」
思案しつつ新たな煙草に火を点け、深々と吸い込んだ後、彼女はおもむろに立ち上がった。
「あれ〜メリッサぁ、ろこ行くんれすかぁ?」
起き上がりこぼしのように体をゆらゆらさせたテッサが、呂律の回らない調子で訊ねる。
「どこも行かないわよ〜。ちょっと用意をね」
咥え煙草でクローゼットを開け、中をごそごそと探る。
「さてと、どっこにやったかな〜・・・っと」
「・・・?」
テッサが独り言をぼーっと聞き流していると、やがて意味ありげな笑みを浮かべたマオが戻ってきた。だが自席には座らずに、対面のソファー――つまりテッサ側へと近付いてくる。
「なに探してたんれすか、メリッサ〜?」
「ふふ、秘密。あらら、いつの間にかまた泣いちゃってぇ」
肘掛けに腰を下ろし、マオは熱を帯びたテッサの頬を指先で拭った。
「うう〜。らってらって、ひどいじゃないれすかぁ・・・」
彼女は焦点の定まらない大きな瞳を潤ませながら、こてっと頭を凭せ掛けてきた。
「や〜、もう。やっぱあんたって可愛いわねぇ・・・」
どこかうっとりとした口調で返し、今度は濡れた目尻に顔を接近させる。
そして猫さながらの仕草でしなやかに舌を伸ばし、次々と流れる雫を堰き止めるようにすくい取った。
「ひゃぅっ・・・!?」
突然生じた柔らかく生温かい感触に、身を竦ませるテッサ。
「メ、メリッサ・・・?」
「・・・同じ『ヤる』でも、酒が入ってたほうがずぅっと気持ちいいのよ。これからマオ姐さんが教えてあ・げ・る♪」
彼女の首筋に腕を絡め、耳元で囁いたマオが、くすっと妖艶に笑った。
マオは華奢な肩を掴んでひょいと立たせ、彼女がつんのめるのにも構わずベッドまで引っ張り込んだ。
「えっ、あ・・・ちょ、ちょっと待ってくだ・・・きゃっ」
寝台の上に仰向けに転がされたテッサが、予想外の事態に目を白黒させる。
「一人じゃ物足りなかったでしょ? それに見たところ、まだまだ勉強も足りないみたいだし」
今は二人ともラフな部屋着を身に着けている。テッサがおろおろしている間に、マオは小慣れた手付きで彼女の衣服を取り払っていた。
続けて片手を背中に回してホックを外し、もう一方の手はショーツの中へと滑らせる。
「あの、あの、メリッサ・・・あ、あぁッ・・・ン」
「ほぉら、酔ってると感じやすいでしょ」
早くもびくりと背を反らせるテッサを横目に見つつ、マオは下方の侵入地点からさらに草むらの奥へと指を潜り込ませた。
上側の手はカップを捲り、控えめな丘の一帯を撫で回す。
「ぅんっ、あぁ・・・」
身じろぐ少女の艶を含んだ声に呼応するように、掌中を前後する突起の存在感が強さを増していく。頃合を見て指の動きを開始したマオは、柔肌を丁寧に揉んでは先端をひねった。
「あ、あぁんッ!」
「あんた胸の反応いいわね。きっとこれから育つわよ・・・」
赤く熟れた頂に唇を寄せ、舌を絡めては全体を口に含んでしゃぶる。
山頂の最も敏感なセンサーに触れるたび、甲高い嬌声が室内に流れた。
やがて下の柔らかな草むらの周辺が、じわじわと湿り気を帯びてくる。
マオは一旦手を引き抜いてショーツを素早く脱がせてから、テッサの脚部を大きく開放した。
「あっ・・・や、メリッサ・・・」
咄嗟に閉じ合わせようとする太腿を、両手でがっちり掴んで押し開く。
そして片方を手から膝に置き換えて引き続き押さえ付けると、顔を近付けて露出された秘部を凝視した。
「そ、そんなとこじっと見ないでください・・・」
「あ〜あ、やっぱ腫れてるじゃない。確実に膜もイッちゃってるわね」
「! げ、下品なこと言わ・・・」
非難の声を上げながら尚も抵抗するテッサの脚を苦もなく押し留め、マオは秘唇の輪郭を何度もなぞった。若々しい弾力が、指先の鋭敏な触覚に伝わる。
「ひぁ、あんッ・・・ぅんッ」
「でも、腫れてても・・・綺麗な色してるわ〜」
やや膨張した襞をそっと摘まんで捲ったかと思うと、指先を割れ目に挿し込み、壁面に纏わり付いた粘液をこそげ取るように掻き混ぜる。終始無造作で取り留めなく、子供の手遊びに等しい仕草だった。
「はぁんッ・・・ひゃ、あぁ・・・やぁ、あぁんッ! あ、ふぁんッ!」
テッサは懸命に首を振って悶えている。自由の利く両手の抵抗も、全くと言って良いほど意味を成していなかった。
小さな草むらに大事そうに囲まれた珠玉は、十代の瑞々しい輝きを放っている。その小粒を摘まみ上げたマオは、思わず生唾を飲み込んだ。
「あぁっ、ん・・・ふ、ぅあ・・・ひゃぅッ!」
先端を弄る動きに合わせて揺れる直下の壷からは、次第に先刻より潤いのある蜜がとろりと湧き出していく。
雫が襞を伝って垂れ落ちかけた瞬間、マオの舌が反射的に伸びていた。
「ひあぁんッ!」
一際切なげな鳴き声が、暗い嗜虐心をより強く刺激する。
「ふふ・・・ん、ふ、んぅっ・・・」
マオはそのまま入り口に指を引っ掛けて押し広げ、舌を尖らせて内壁をつつき回した。
眼前でふるふる揺れる珠へと時おり狙いを変え、戯れに噛み付いてみる。
「いあぁっ、あぁんッ! ひ、あ、あぁっ・・・んぁ、ふぁッ! やぁ、あっ・・・あぁんッ!」
テッサは息も絶え絶えに、全身をひくつかせて不規則なリズムを刻む。喘ぎながらも両手はいつしか吸い寄せられるように己の乳房を握り締め、暇さえあれば捏ね回していた。
「あぁ、ふぅ・・・テッサ、あんたってほんっと可愛い・・・イイ声で鳴くわぁ」
ひとしきり蜜をすすり、美少女の痴態を拝んだマオは、恍惚さと満足さと――さらなる期待に満ちた笑みを浮かべた。
背後に隠しておいた道具を手に取り、彼女に見えるように掲げる。
「じゃ〜ん。これ知ってる?」
「んふぁ・・・?」
虚ろな目を緩慢にそちらへと向けたテッサは、九分九厘以上停止していた思考回路の再稼動を試みた。
現物を見るのは初めてだが、知識の中には含まれている。用途は・・・
「はぁ、あぁ・・・え・・・それ、って・・・」
喉元まで出かかった台詞は、当の質問者に遮られた。
「さっき電池も新品に取り替えておいたからバッチリよ。ここ押すと動いてね・・・って、やってみせたほうが早いわね」
焦れったいのかテッサの返答を待たず、説明の続きすらなおざりにして、マオはさっさと道具の先端部を割れ目に向けた。
言うまでもないが――いわゆる『大人の玩具』である。
太さは標準的だが、全長は20cm近くある特別品だ。きっと、売っている所には売っているのだろう。
「メ、メリッサ・・・ちょっと待っ・・・」
心の準備など微塵もさせてはくれない。
血流の集中している秘部に、ひやりと当たる無機質な感触。
「んぁっ・・・ぅ」
わずかに身じろいだ直後、カチッとスイッチの音がした。すぐに鈍い電動音が響き始め、
「ひあぁうっ!?」
小柄な肢体が大きく震える。
官能帯の各所を急激な快楽の波が襲う。それはまさしく無差別攻撃だった。
「ふぁ、あぁっ、あぁぁんッ! ん、あぁ、はっ・・・ああぁッ、ぃあぁんッ!」
「どう? これならちゃ〜んと『痒いとこ』まで届くわよぉ」
豊潤な蜜液にコーティングされた壁面に沿って、蠢く似非肉棒をどんどん奥へと押し込む。
テッサの全身はゴム鞠のように寝台を跳ね回り、バウンドするたびスプリングが細かく軋んだ。その異音すら、マオには無力な小動物の鳴き声に聞こえた。
「イイわ、イイわよぉテッサ・・・もっと鳴いて、もっと」
闇色の歓喜を顕わにした彼女は、挿入する手にいっそう力を込めた。
棒自体の振動に手の動きも加え、抉るようにねじ込んでいく。
「んっ、あ、あぁぁッ! ふ、ああぁ、ひぁあぁぁんッ!」
制御を放棄したに等しいテッサの肉体は、乱暴に振り回されるマリオネットと化していた。
やがて棒を最奥まで挿入したマオは玩具から手を離すと、蜜に濡れた指先で傍らの実りを強くひねった。
「ぅふあぁッ!! んぁ、あぁあぁぁッ!!」
背筋と頸部が柔軟性の極限までしなり、寝台に情欲のアーチを描く。
浮き上がった状態でオブジェのように硬直した体が、一瞬後にどさりと落ちた。
嬌声が途絶え、荒い呼吸音と連続的な電動音が強調される。
脱力して投げ出されたテッサの体は、しばらくは肉棒に揺らされるまま振動するのみだったが、
「・・・う、あぁぁ・・・ぁふっ、あぁ・・・んッ」
感覚が戻ってくるにつれ、再び臀部が能動的にくねり始めた。
一挙一動に感じられる、天使のように無垢な色香。成人女性には決して持ち得ないそれは、女同士であっても魅了されるに十分な魔力があった。
「あぁ・・・もう、我慢できないかも」
知らぬ間に垂れていた涎を慌てて拭うと、マオはタンクトップの上から自分の乳房を鷲掴みにした。
ブラジャーは着けていない。豊満な双丘の頂点が、衣服の繊維を押し上げて自己主張していた。
「ん・・・ふ、うんっ・・・」
彼女は何度か両手で房を揉んでから、もどかしげにタンクトップを脱ぎ捨てた。
ついでに下の衣服も全て脱ぎ、一糸纏わぬ姿となる。急速に下腹部も疼いていた。
熟れと張りを併せ持つ、完成された雌の肢体が寝台に現れる。
「テッサ・・・あたしももっと楽しみたいわぁ」
「えぅ、ふ、あぅっ・・・あぁん、ひ、ああぁッ!」
快楽刺激の絶え間ない襲来に意識が寸断され、テッサはまともな返事もできない。
「ふふっ・・・」
肉食獣の身のこなしで少女の体に覆い被さった時、雌豹の双眸に知性の光が宿った。
(! あのバカ・・・性懲りもなく来やがったわね)
ぴたりと動きを止め、いつものようにしばき倒してやろうと立ち上がったマオだが、ふと思い直す。
「・・・今夜だけは、許してやるか」
この際だ、奴のブツも存分に拝んでやろう――などと彼女がその時考えていたかは定かでないが。
部屋の電気を一旦全部消す。身悶えるテッサはそのままに戸口へと向かい、息を潜めて『曲者』の侵入を待った。
十数秒ほど経っただろうか。入り口のドアが音もなく開かれ・・・
「姐さ〜ん。可愛い部下の寒風吹きすさぶ心を大きな胸の温もりで癒し・・・ぐえぅっ!!」
暗中に流れた軟派な文句が、呻き声で中断される。
彼の首根っこを問答無用に引っ掴んだマオは、間髪入れず腕を回して固め技を極めた。
「ふぐっ・・・うぅ、まいった、降参、ギブアップ〜・・・」
「神聖な日にまで夜這い? 進歩ないわね、あんたは」
美少女を思うさま愛撫していた自分の不謹慎さは、すっきりと棚に上げておいた。
いつものように叩き出されると観念していた夜這い犯――クルツは、まず招き入れられたことに目を丸くし、次にターゲットのあられもない格好に気づいて驚愕し、最後にベッドで淫らな舞いを演じる戦隊長を見て度肝を抜かれた。
「はあ・・・すでに二人でお楽しみ中でした、と」
彼にしては珍しく、上手い言葉が返せないようだった。
「そーよ。あんた世界一ラッキーな男よ、両手に花の聖夜なんて」
淡い間接照明の下、潔いまでに裸身を晒したマオは、喉を鳴らして缶ビールを飲み干した。
「いやはや、なんと言うか・・・う〜む」
クルツは言葉を濁し、ビールをひとつ手に取って蓋を開けた。
そしてちびちびと口を付けながら、室内を行ったり来たり。妙にそわそわして落ち着かない。
その様子を見ていたマオが、声高に笑った。
「あははは。なに、あんた上げ膳据え膳が苦手なクチ? やっぱりバカねぇ・・・でもなんか納得。要領良いようでいて損する道を全力疾走しそうだもの、あんたって」
「随分な言われようだな、おい」
憮然とするクルツの前に歩み寄り、仁王立ちした彼女は、テーブルに並ぶ500ml缶をびしりと指した。
「気が進まなくても上官命令よ、手伝いなさい。まずは、あれ全部飲んでテンション上げる。ほら早く」
「全部って・・・」
大真面目に言う上司とビールの大群とを交互に見比べ、彼は嘆息混じりに呟いた。
「姐さん。実は相当酔ってるだろ?」
クルツが半ばヤケクソで空き缶を大量生産している間に、マオはテッサにも水分補給を兼ねてアルコールを追加した。
玩具のスイッチを一度止め、先刻と同じジュース割り酎ハイの入ったコップを片手に、ぐったりした上体を抱え起こす。
「テッサ〜。喉渇いたでしょ? ほら、飲み物持ってきたわよぉ」
「んぅ・・・めぃっさぁ・・・あぅ」
テッサは完全にグロッキーだったが、それでも呼ばれた方向に頭を一所懸命もたげようとした。
その必死な仕草が、マオの母性本能をくすぐる。
「あ〜、もう。堪らんわね。なんであんたってそういう風に・・・」
彼女はコップの中身を口に含むと、唇を重ねて注ぎ込んだ。
「んっ・・・く、んくっ・・・ん」
生温かく甘い液体の流れに併せて、テッサの喉が上下に動く。
「やぁん、だからかぁわい〜ってば♪」
すっかりご機嫌のマオは、何度も何度も口移しで酎ハイを飲ませた。
コップが空になると、通常のキスへと切り替えて尚も小さな唇を貪る。
「んん・・・ふぅ、んっ」
口内を存分に舐め回し、同時進行で乳房への愛撫を始める。
硬い先端は少しも弛緩する気配がなく、指先で軽く擦ってやるだけでテッサは全身で反応した。
途端に嗜虐的な欲望が湧き上がり、マオは色白な房を突起ごと掴んでねじり上げた。
「んっ、ふあぅ! はぅ、んっ・・・」
苦しげに位置をずらす口を無理矢理引き戻し、また唇で捕らえる。
(逃げるなんて、生意気な。お仕置きしちゃうわよ・・・)
サディズム全開の思考で玩具のスイッチへと手を伸ばした時、横から声がした。
「うぷ・・・で、どう手伝えってぇの?」
いつの間にかベッド脇に来ていたクルツは、見るからに泥酔一歩手前の様相だった。
マオはようやくテッサの唇を解放すると、開口一番に悪態をついた。
「間の悪い奴ねぇ」
「泣くぞ〜・・・ねぇさんのために本気出したってのにさぁ。ほら」
と、空き缶の散乱したテーブルを示す。1ダース余りの軍勢は綺麗に全滅していた。
「ぐぇっ。やば、戻しそ・・・」
「ここでリバースしたら絞め殺すよ」
無慈悲に言い放ったマオはテッサを仰向けに横たえ、秘裂に植わった玩具のスイッチを入れた。
「ふあぁっ! ぅあっ、んあぁぁッ!」
呼吸が整いつつあった小さな体に、容赦ない電撃が叩き込まれる。
淫猥なダンスを再開した彼女に交差する形で身を重ねたマオは、背後を振り向いて舌を出した。
「テッサはあんたにはあげなぁい。あたしが独り占め〜」
「はぁ?」
間の抜けた声を上げるクルツをもはや全く顧みず、眼前の白い房に噛り付く。指先は茂みを掻き分け、珠玉を絶えず弄り回していた。
「んぁッ! ひあぁ、ぅあ、あぁぁんッ!」
やがてしゃぶるだけでは飽き足らず、マオは自分の双丘でテッサの胸を挟みつけて擦り始めた。
「あぁ・・・これ、イイわぁ」
「・・・こら。人を無視して進めてんじゃねぇよ」
美女の『共艶』を間近で見せつけられたクルツは、もう限界とばかりに靴を脱ぎ捨てた。
「夜の戦士クルツくんをないがしろにした罪はでかいぜぇ、姐さん・・・」
ふらふらとベッドによじ登ったクルツは、情欲の舞台へと到着した。
ひれ伏すように腰を突き出した体勢のマオが、ひたすら二対の乳房を密着させている。
「あ、ゥんっ・・・ぁふぅ」
ぴんと張った先端同士を擦り合わせては、互いの弾性に任せて押し潰す。
そのかたわら、桃色の小粒を弄っていた手は標的を変更。フル稼働する玩具を掴むと、穴を広げるように抉り回した。
「ぁんっ、ふぁッ! ひ、あん、ひあぁんッ!」
組み敷かれた格好のテッサが懸命に頭を振り、目の前のベリーショートの黒髪を掴んで掻き毟る。
「いいわよぉ・・・あ、ふゥン・・・もっと鳴いて、テッサぁ・・・あぁッ」
非力な少女の健気な抵抗と、幼い雌の嬌声が相乗効果をもたらし、マオの昂ぶりを際限なくエスカレートさせる。
彼女はテッサへの攻め立てに夢中で、まるで後方の存在に気づいていない様子だった。
たるみの見られない美麗な臀部が、彼女の貪りに応じて幾度も天を突く。
「・・・よーするに。『ここ』を俺に担当して欲しいんだろ?」
プロの傭兵にあるまじき無防備さで曝け出されている魅惑の園は、触れずとも容易に判別がつく状態だった。
室内光を反射してうっすら輝く溝を、クルツは上から下へと撫でた。すぐに当たる、ぬめった感触。
「あ、ァんっ・・・」
色っぽい吐息とともに腰が震える。手応えを感じ、彼はさらに周辺をまさぐった。
しとどに潤った割れ目から、指を伝って蜜が滴り落ちる。
「あーあ、こんなになって。始めっから言やぁいいのに」
腔内を軽く掻き回す。すぐに、粘っこい下品な音が鳴り響いた。
「あぁ、ふぅっ・・・あ、あぁッ!」
猫のような高貴さを思わせるマオの裸身が大きくしなる。
クルツは混ぜる手を入れ替え、早くもぐしょぐしょに濡れそぼった指先を前に持っていった。
「見てみろよ姐さん。大洪水だぜ、下のほう」
「うっ・・・さいィ・・・あ、んっ、ゥンッ・・・」
「あれれ。命令しといて、まーだそんなこと言うかぁ? ・・・排水作業開始〜っ」
高らかに宣言したかと思うと、彼は引き締まった臀部に手を掛け、割れ目を押し開いた。続いて、垂れ落ちる蜜を舌で舐め取る。
マオの体が跳ね上がった。
「ぁう、あぁんッ!」
「あぁっ、ぅあぁッ!」
振動で真下のテッサにも刺激が追加され、淫らな和音が生じる。
クルツはさらに何度か縁を舐め上げてから、顔全体を秘所へと寄せた。
唇を吸い付かせ、蜜汁をすする。
「ふァッ・・・あぁ・・・んぅぅ、はあァッ!」
身をよじって喘ぐマオは、恥辱の捌け口を手元に求めた。
ぶるぶる震える似非肉棒を乱暴に引っこ抜いてはねじ込んで、を何度も繰り返す。棒に絡みついた蜜が飛び散り、周辺にいやらしい小雨を降らせた。
それはもはや愛撫とは呼べないほど、苛烈な所業であった。
「あぁぁ、ぅああぁぁッ!! ひぁ、ああぁぁッ!!」
あらぬ方に見開かれたテッサの瞳は全く機能を果たしていない。絶叫と仰け反りを繰り返す彼女は、休む間もなくピークを迎えていた。
「あぁンッ・・・イイ感じィ・・・んっ、あふぅッ!」
かたや緩みっぱなしで踊り回るマオの蛇口も、休むことなく新たな液体を生み出し続けている。
「ちぅっ、んぐ・・・うっ」
上司の嬌声をステレオで聞きながら蜜をすするうちに、クルツは自身がギンギンに反応するのを感じた。
これまででもトップクラスに入るほど急激な衝動だ。3P効果だろうか。
淀みない仕草でポケットからゴムを取り出し、そそり立つ一物に被せる。
「ふぅ、う・・・っと。ねーさぁん。行くよぉ」
一応予告してから膝立ちになり、彼女の腰に手を添えて素早く狙いを定めると、一息に奥まで貫いた。
反応の抜群な肉壁が、貪欲に雄のものを咥え込む。
「うぉ・・・」
極上の締め付けに捕らわれて腰の力が抜けた刹那、
「ああぁあぁッ・・・!!」
マオの背筋が伸び上がり、喉を震わせて激しく悶えた。はずみで、またもや玩具が引き抜かれる。
「ひぃ、ああぁぁんッ!!」
次いで、テッサがびくびくと全身を痙攣させた。
「っ・・・くはぁ、危ね・・・すげぇや、なんか」
顎を伝う汗を拭って息をつく。挿した早々、発射してしまうところだった。
崩れ落ちかけた腰を再びしっかりと立たせ、クルツはピストン運動を開始した。
雌花の狂い咲く園に雄の株が植え付けられ、宴は最高潮を迎えつつあった。
「ふ、ぐぅぅ・・・さすが、ねぇさん・・・」
ブラックホールのような吸引力に、たびたび心身丸ごと呑み込まれそうな錯覚に陥る。
クルツは彼女の腰をしっかり掴み、自身に喰らい付くモンスターへと全身全霊で反撃した。
「はぁ、ふぅ・・・くっ、うっ」
「あふ、ゥンッ! はぁ、あひィ、あぁッ!」
「ぃあぁぁッ! やぁん、ふあぁぁッ!」
輪唱のような狂乱の伝播。
実質の発火点であるクルツは、じわじわと湧いてきた暗い悦びと優越感に浸っていた。
己が場の主導権を握っている。抉り込みひとつ、突き上げひとつで面白いように雌の体が踊るのだ。
しかも、触れていない者にさえダイレクトに等しい効果が及ぶ。まるで魔法だった。
――そうだ。今この瞬間は、彼女らのすべてが意のまま、望むがまま。
理性などとうに彼方へと消え去っていた。溢れ返る欲望に身を任せ、彼は無心で穴掘りを続けた。
「ふっ、ん、ふぅっ・・・ふっ、ふっ・・・・・・う、ぅぐっ・・・!」
ある時唐突に、肉壁が一際きつく収縮し――
「んぁっ・・・あっ、ああぁあぁぁッ!!」
耐え切れなくなったマオが全身をわななかせて高みに至る。
似非肉棒の柄から滑り落ちた掌が桃色の実りを、ひしゃげた豊満な房が少女の双丘をそれぞれ蹂躙し、
「ひぅッ! ぃあぁ、ふあぁぁんッ!!」
テッサの声帯が何度目かの大音量に打ち震えた。
「ぐあっ・・・うぅぅッ!」
疲労も手伝ってついに彼もストッパーが外れ、ひしめき合っていた息子達が一斉に解き放たれていった。
呼吸を整え終えたマオが身を起こし、方々に散った服を回収しながら言った。
「お疲れ、クルツ」
「・・・いや、別にいいんだけどさ・・・」
開始当初から求めていた労いの言葉がようやく来たのだが、今のシチュエーションで言われて素直に喜んでいいのか疑問だった――結局、十二分に堪能してしまったので。
体力を使い果たしたテッサは、最後に達した時に失神していた。マオはスイッチを切った玩具をそっと引き抜くと、楽な姿勢で寝かせた彼女に毛布を掛けてやった。
「・・・ソースケから聞いてるかもしれないけど。この子、昨夜きっぱりと振られたんですって」
辛うじて頭に引っ掛かっているだけの青いリボンを解き、長いアッシュブロンドを手で梳いてやる。
「ああ・・・」
クルツは自分の身なりを整えつつ、曖昧な相槌を打った。
実際、彼女の推測は当たっていた。だがテッサの異常なまでに激しい痴態を見た後で、わざわざ話を発展させる気にはならなかった。
マオも同じ心境だったようで、それ以上言葉を続ける様子はない。
慈愛と憐憫の入り混じった表情で、彼女はしばらく少女の髪を梳かし続けた。
「・・・・・・・・・・・・」
少々の沈黙が場を満たした後。クルツは戸口に足を向け、挨拶の代わりに片手を上げた。
「クルツ」
その背に、口調は穏やかだが厳格な響きの声が掛けられる。
「ん?」
「この子、酒が入ったら綺麗さっぱり記憶が飛ぶから、その点は気にしないで。それと・・・」
そこで、バキバキとやけに骨太な音がした。
「あんたなら分かってるとは思うけど、あえて釘刺しておくわよ。今夜の一部始終は他言無用だからね♪」
振り向けば、男を虜にする微笑みを張り付かせた女神が、岩すら砕けそうな迫力で指を鳴らしている。まるで首だけ別物に挿げ替えたかのようなアンバランスさが、この上なく恐怖感を際立たせていた。
入れ替わりで、先刻抱いていた暗い優越感が、彗星のごとき速さで冬の夜空の彼方へと飛び去る。・・・しょせん、聖夜に見たひとときの夢だったか。
「ぜ・・・絶対に言いません。墓まで持って行きます。誓います」
脂汗を顔じゅうに浮かべながらこくこくと忙しなく頷くと、彼は一目散に部屋から逃げ出した。
おわり