秋葉原駅、エロタワー前で風間信二が見たのは見事なコスプレ女であった。  
カーキ色の半袖ジャケットに白のパンツ。眼鏡。ショートボブ――色こそ違うがきっと彼女は原作厨なのだ!原作は白黒で髪色などわからないからな!  
 
「あぁ!あなたはもしかして進撃の巨人、リコ・プレ○ェンスカのコスプレをなさっているんですね!写真!写真お願いしまぷるすごッ!」  
 
一眼レフを構える風間のコメカミをコスプレ女の右フックが襲う。はじけ飛ぶ一眼レフ。地面に突っ伏する風間。見下ろして女は悪態をつく。  
 
「誰が撮っていいと言った?――貴様といいこの勧誘の女といい、日本人が礼儀正しいというのは間違いらしい」  
 
山を越え海を渡り、地球の裏側からやってきたコスプレ女――サビーナ・レフニオは深いため息をついた。  
 
*  
 
レナードは言う。  
 
「Amazonで買えばいい?馬鹿を言うな。秋葉原の実店舗で買わなければ、千鳥かなめの限定抱き枕カバーは手に入らないんだよ」  
 
邸宅の主人兼レナードの側近であるサビーナが東京への出張を仰せつかったのはつい2日前のことだ。  
任務は『フルメタル・パニック! Blu-ray BOX All Stories 』とそれに付録でつく千鳥かなめの抱き枕カバーの入手――彼女の行動は至極迅速である。  
指令を受けた2時間後には『サビーナ・レナードスキー』という架空の人物の身分証を作成した。  
その2時間後にニケーロの邸宅をヘリにて出立。  
最寄りの空港から飛行機やフェリー、電車、はたまたASまで乗り継いで秋葉原へと至ったのである。  
 
秋葉原。駅から出たサビーナは驚愕する。人が多い。人が多いどころか変な人が多い。猫背の奴が多い。ドギツイ看板が目立つ。メイドがいる――舐めるな!貴様らのような浮ついた格好でメイド業務ができるか!  
何もかも目新しくてキョロキョロするサビーナ。勧誘が多い。意味もなくティッシュを配る輩がいる。ふらりと歩き出し何気なく配布物――ポストカードを手に取ったサビーナに、繁華街特有の営業マンが声をかけた。  
 
「今、絵の展示会をやってるんです〜、よろしければ見ていっていただけませんか〜?」  
 
通称『絵売りアン』である。  
 
*  
 
進撃のカメ子、風間信二には、白人で野暮ったい眼鏡の良い尻の美少女が、絵売りアンの毒牙にかかるのを黙って見過ごすことはできなかった。  
しかし「外国人相手に阿漕な商売はやめろ!」と啖呵をきれるほど風間の肝は据わっていない。  
結局非常識なカメ子を装って声をかけるのが彼なりの精一杯である。  
 
声をかける風間。殴り飛ばされる風間。眼鏡がひしゃげ鼻血が噴き出る。それでもなお彼はサビーナの腰にしがみつき  
 
「そんなこといわ゛ずにおねがぇじまじゅよぅあ!おねえさんみだいなぎゃんぺきなコスプレは二度とお目にぎゃられないかもしれあうぇsdrtfgふいこpl;@」  
 
とのたまった。  
鼻血に鼻水、涙で何を言っているのかわかなかったが、絵売りアンに職務放棄させるには十分な気魄であった。  
 
「人通りが嫌ならあっぢで!あっぢじぇ撮影しまじょう!!」  
 
風間はサビーナの手をとり駆け出し、瞬く間に二人は人ごみへ紛れた。  
 
*  
 
絵売りアンの手を逃れ、薄暗い路地裏に入った二人だが、彼らはそこで別れようとはしなかった。  
なぜならお互い、人前に出られるような恰好ではなかったからである。  
 
顔面修羅場の風間はもとより、鼻血塗れの男に抱きつかれたサビーナは、その白いズボン、主に股間を中心に返り血を浴びていた。  
反射的に彼女の腰に抱きついた風間は衝動的に尻を揉みしだき、本能的に肉付きのいい股間に鼻、口元を埋めてしまったのである。  
彼の顔面、両手にはサビーナの下半身の感触、温もりが溢れんばかりに残り、顔の損傷はもとより愚息の理由でその場から一歩も動けなくなってしまった。  
 
「……もしかして貴方は、私を助けてくれたのか?」  
 
疲労でアスファルトにへたり込んだ――ふりをして愚息の位置をなおしていた風間に、落ち着いた声が振りかかる。  
兵(つわもの)サビーナの体力は常人の倍である。息切れどころか汗ひとつかがない。  
風間は荒れる息を抑えつつ応える。  
 
「そうです。秋葉原の『アレ』は見境がないから、ほっとけなくて……もし絵画に興味があったのなら、悪いことをしたけれど」  
 
風間は気まずそうに斜め下に視線を落とした。  
サビーナはそんな彼の旋毛あたりを見下ろしながら考察する  
彼女は風間のこれまでの口ぶりと絵売りアンからの逃走手腕から、彼が秋葉原に明るいと察した。非常に都合がいい――サビーナは一つ提案をする。  
 
「いや、助かった――よかったら人助けついでに、この街を案内してくれないか?実は、行きたい店があるんだ」  
 
サビーナは右手を風間に差し出す。  
顔を上げた風間は「よろこんで!」明るい声でそう言って、彼女の手を強く握った。  
 
*  
 
サビーナは風間のズボンを脱がすと、すばやくそれを履いた。  
メインカメラがやられた風間ではひときわ目立って動きづらい。ならば血塗れのズボンを履きかえたサビーナが、新しいズボンと風間の顔を隠すマスクを買ってくればいいのだ。  
サビーナは、自身の温もりが残るズボンを風間に手渡した。  
 
「あの……誰か来たら困るので、サビーナさんのズボンを履いていても構いませんでしょうか……?」  
 
「構わない。では行ってくる――あと、私のことはレナードスキーと呼べ。レナード、スキーだ。わかったな?」  
 
もちろん風間は、サビーナのズボンのチャックにチンコを突っ込んで内側の生地で亀頭を擦るという自慰に興じたのだがそれはまた別の話である。  
 
買い出しを終え、お互いに着替えた。  
風間にはマスク。サビーナはデニム生地の膝丈のスカートに履き替える。辺りを軽く伺うと、二人は大通りへと踏み出した。  
二人は周りの流れに合わせて、肩を並べて歩き出した。風間はポケットから携帯を取り出すと、それに対して二、三言呟く。音声認識である。彼は移り変わった液晶をサビーナに向けた。  
画面には秋葉原駅周辺の地図が映し出されていた。  
 
「レナードスキーさんの目的の店は多分これのことです。少し戻ることになりますが、すぐにつきます」  
 
「千鳥かなめの抱き枕カバーはこの店でしか手に入らないのか?」  
 
「そうです。店舗によって付録の種類が違って、他の店ではガウルンだったりゴールドベリだったりします……おそらく千鳥かなめの抱き枕カバーは、テレサ・テスタロッサに次ぐ人気グッズのはず。早くいかないとなくなってしまうかもしれません」  
 
「千鳥かなめはメインヒロインなのに、なぜテスタロッサの方が人気なのだ?」  
 
「いつの世も青い子はいらない子なんです。あと、テッサの中の人は大正義ゆかなです……まぁフルメタでは、世界一かわいい声優が世界一かわいいM9の世界一かわいいAIの声をしていたりするんですけど」  
 
「そうか、カザマは詳しいんだな。フルメタルパニックが好きか?」  
 
「いや、僕はASが好きなだけで……凄く記述がリアルなんです。まるでこの小説をもとにこの世界が作られたんじゃないかってくらいに  
――それに何となくですけど、登場人物が僕の友人に似ているんです。だから物語が身近に感じられて……やっぱASだけじゃないです。僕もフルメタルパニック、大好きです」  
 
風間はそう言い切ると、照れたように笑った。  
 
*  
 
非番のベン・クルーゾーの前をいい尻をした女が通る。  
程よくしまっているがムチムチとした肉付きのいい尻。発達した内腿のラインが秘部の締りの良さを如実に語っている。  
性犯罪を犯すほど前頭葉が衰えていないベンであったが、いい尻の魅力にはあらがなえない。  
彼はふらふらと良い尻の後を追い、秋葉原駅前の某アニメショップへとやってきてしまった。  
 
「ここです。この店でなら、千鳥かなめ抱き枕カバーが手に入るはずです」  
 
いい尻に見とれて気づかなかったが、いい尻の隣にはどーでもいい男尻があった。  
なんと尻女は、野暮ったい眼鏡マスクと連れ添って、某アニメショップにやってきたのである。  
ベンは嫉妬した。彼は今まで自身の隠された趣味を、親兄弟にすら暴露できずにいた。  
ましてや女になど――目の前の眼鏡マスクは、その点で一歩ベンより先んじた存在である。  
 
「やっとここまできたか……カザマ、早くはいろう」  
 
「はい!」  
 
嫉妬に打ち震えるベンの前で、エロ尻女が眼鏡マスクの手を引く。  
気のせいか眼鏡マスクの顔が紅潮しているように見える――それがベンの逆鱗に触れた。  
 
「秋葉原は二次元との邂逅の場なのだ。三次元との一次的接触は新宿二丁目でやってくれないか」  
 
某アニメショップの自動ドアをくぐる二人を睨み付け、ベンはそう呟いた。  
 
*  
 
サビーナは色とりどりの店内に、目が眩まん思いをした。  
原色の髪色をした女の写真が壁に所狭しと貼り付けられている。棚にはフィギュアやプラモ、各種グッズが並び、人の眼を惹くように煌々と照らされていた。  
秋葉原駅を降りた時以上の衝撃がサビーナを襲う。彼女はあまりの物量に生唾を飲み込んだ。  
 
「すごい。全部アニメーションキャラクターなのか?日本中のキャラクターがいたりするのか?」  
 
「ここに並んでいるのは全体のごく一部です。もし日本中のアニメ、漫画キャラのフィギュアを展示したらこの店どころか、ビッグサイトが何個あっても足りません。  
――もしかしてレナードスキーさんは、その……所謂アニメオタクじゃないんですか?」  
 
「実は、私はアニメをフルメタしか知らないんだ。オタクなのはレナ……私の上司だ。ここへも上司へのお土産を買うために来た」  
 
サビーナのアニメ知識は、移動中に読んだフルメタ原作本(短編、サイドアームズ込み)とアニメ、同じく移動中にママゴトをして遊んでいた『ROBOT魂[SIDE AS] サベージ(サンドカラー) 』のみである。  
サビーナは肩にかけたバックを顎で示した。  
 
「実はこの中にサベージの人形が入っている」  
 
「サベージが好きなんですか?」  
 
「カエルみたいでかわいい。でも私はエリゴ……いや、なんでもない」  
 
「?」  
 
「おいカザマ!もしかして私に似ていると言っていたキャラはあれか?」  
 
話をはぐらかすようにやや大きな声を上げたサビーナ。  
彼女が指さした先にはサビーナと同様、カーキ色の半袖ジャケットを着た女のフィギュアがあった。  
 
「あれはミ○サだよ。同じアニメだけど別のキャラ……あー、リ○・プレツェンスカのフィギュアはないですね」  
 
「なぜだ?」  
 
「それは人気無いか……いや、なんでもないです」  
 
「?」  
 
「あっ!レナードスキーさん!あのポスターにうつってる眼鏡の子がそうです!」  
 
風間が指さした先には、進○の巨人のキャラ紹介ポスターが。  
 
「これがリ○か。あまり似てないように思うが?――いや、プレツェンスカ?ポーランド系か?なら私もそうだ。日本人には白人は皆同じ顔に見えるのかもしれないな」  
 
「あぁ……日本人は外国人を見る機会が少ないから。すいません、気に障りましたか?」  
 
「いや別に。それに私もカザマのことを、フルメタの風間信二に似ていると思っていた」  
 
「えー、酷いな……僕はあんなにむっつりスケベじゃありませんよ。温泉ものぞきませんし種も割れません」  
 
「私の股間に顔を押しつけて鼻血を出していたじゃないか」  
 
「鼻血はレナードスキーさんに殴られたからですよ」  
 
二人はそんな会話をしながら店内を散策した。  
目的の物『フルメタル・パニック! Blu-ray BOX All Stories 』はすぐに見つかった。  
特設コーナーが設置されている。BDだけでなく原作や続編のアナザー、漫画、フィギュアなどが『ついで買い』を誘発するように陳列されていた。  
コーナーの上部には大きなPOPで『10月26日コ○ブキヤ秋葉原館にて原作者の賀東○二さんとメカニックデザイナーの海老川○武さんのトークショー開催予定』と書かれている。  
風間がそのPOPを見て眼を輝かせた。  
 
「僕もこのトークショー、高校の友達と行く予定なんです――レナードスキーさんは……?」  
 
「残念だが無理だ。26日まで日本にいられない、トークショーにはその友人と行くといい。その友人もフルメタが好きなのか?」  
 
「フルメタが好きというよりASや武器が好きなんです。好きなだけじゃなくて実際の軍人なんじゃないかってくらい知識も凄くて……ちょうどフルメタの相良宗介みたいな感じです。  
あ、そう言えば彼も、サベージは良いASだって言ってました。丈夫で無理がきく、最後の最後まで搭乗者を見捨てない、プロの道具だって」  
 
「そうか。良い趣味をした友人だ」  
 
サビーナがすぐに日本をたってしまうことを知って、風間は大きく気を落とした。  
しかし旅行者のサビーナの前で陰鬱な顔をすることはできない。  
 
「カザマ!べリアルの人形があるぞ。これも買う!」  
 
ややテンションが上がったサビーナが風間が持つ買い物籠に商品を突っ込む。  
風間は下がりかけたテンションを無理に引っ張り上げて「べリアルですか!チートですけどデザインカッコいいですよね!弓矢とか!一人だけ飛んじゃうとことか!」と言った。  
 
「カザマも良い趣味をしている――まぁ私は、パイロットのレナード様がその……す、好き、なんだが」  
 
キャラ萌えオタ女乙!――風間は内心そう思った。  
 
*  
 
殺意に目覚めたベン・クルーゾーの前で眼鏡マスクと尻女が和気藹々と買い物デートをしている。  
フルメタBDを手に入れた二人はその後も店内を散策していた。  
尻女が「あれが噂のエヴァンゲリ○ンという奴か?」と言って眼鏡マスクの手を引いた――楽しそうにオタク趣味に興じる二人を見てベンは激しく嫉妬した。  
二人で一つの本を手に取って、二人で同時に覗き見る。  
コスプレグッズをお互いにつけ合いだした時など、ベンは嫉妬、怒りで買い物籠の取っ手を握りつぶしてしまった。  
 
「これはなんだ?」  
 
「ヘッドセットですよ、頭につけるんです。ほらア○カ――赤い子も頭につけてるでしょ?」  
 
尻女は手に持った猫耳のようなものを頭に乗せた。  
 
「こうか?隣の青い髪、青い子はやはりいらない子なのか?」  
 
「いえ、寧ろ赤より青の方が人気があります。この作品ではピンクの子がいらない子です。缶コーヒーのオマケに三人のフィギュアがついたときなんか、ピンクばかり大量にあまったり……あ、ヘッドセットずれてますよ」  
 
「ぅん……」  
 
ヘッドセットの位置を直すために眼鏡マスクの手が尻女の髪に触れる。  
尻女は何か眠たげな息を吐いて、眼鏡マスクの手を受け入れた。その光景を見てベンは発狂しそうになった。  
 
――ヤメロ!アニメショップ、しかもアキバでそんな雰囲気を醸し出すんじゃない!せめて日本橋のラブホまで我慢するんだ――聖地アキバを穢す不届きものに天罰を!我は大義を得たり!――  
 
ベンはいてもたってもいられず、M9以上の静粛性を発揮しイチャツク二人に接近した。  
横を通り過ぎる瞬間、自身の買い物籠から『とある商品』を抜き取り、眼鏡マスクが持つ買い物籠にそれを差し入れる。  
 
*  
 
会計時、レジスタッフが言う。  
 
「お客様……アダルトコーナーの商品はそれ専用の窓口がございますので、そちらで会計していただけますでしょうか?」  
 
TENG○だ。  
買い物籠にはなぜかT○NGAが入っていた。  
 
「?……なんだそれは?」  
 
サビーナが籠を覗き込んで言った。  
風間は心底狼狽した。  
 
*  
 
「カザマ、買ってきた」  
 
狼狽する風間を横目で見たサビーナは、○ENGAを籠からひったくると「アダルトコーナーの窓口はどこだ?」と言った――できる女サビーナは、高校生の風間ではアダルトグッズを買えないと瞬時に察した。  
「あちらです」店員の案内のまま『R-18』の暖簾をくぐるサビーナ。風間は呆気にとられてそれを見送る。間をおいて店員が咳払いをする。  
風間は慌ててTE○GA以外の会計を終えると、足早に外へ出た。程なくしてサビーナも店の外へと出てくる。  
彼女はグレーの不透明な袋を差し出しつつ、言う。  
 
「なぜ中で待っていなかった?少し探した」  
 
「いや、その……ごめんなさい」  
 
風間は、羞恥とも罪悪感とも言えない妙な感情から首を垂れ、頭を上げられなくなってしまう。  
 
――ど、どうしよう僕、女の人にオナホを買ってもらっちゃったよ……嫌われたかもしれない、いや、かもしれないじゃなくて絶対軽蔑される!っていうかなんでT○NGAが入ってんの?――  
 
いつまでも視線を合わさず袋を受け取らない風間にサビーナは焦れた。彼女は袋の中身。TEN○Aを取り出すとそれをマジマジと見つめた。  
 
「まぁいぃ……それでカザマ、これは結局なんだ?成人にしか販売できないということは危険物か?ガス、酸……もしかして爆弾?……テロでもする気か?」  
 
「え?」  
 
ポーランドのゴミ溜めウッチ出身で元殺し屋の傭兵サビーナにとって疑似マンコなど想像の外のものであった。  
疑似マンコ?人類の半分は生マンコだろうが!滾れば犯せばよし!の世界の住人である――そして風間は、サビーナの勘違いに乗っかった。  
 
「――そ、そうなんです!実は僕はテロリストで、たるみ切ったこの社会に、一発かましてやろうと思ってたとこなんですよ!はははっ!」  
 
*  
 
「なるほど。なぜアダルトコーナー――危険物販売コーナーに裸の女のポスターやビデオがあるのかと思ったが、あれは女奴隷のカタログなのか」  
 
「はい。体裁上奴隷の売買は禁止されてるんだけど、日本ではまだあんな風に……」  
 
「あるけどないことになっている――ニンジャみたいなものか。もしやカザマも?」  
 
「え?……えーと」  
 
「いや、いい。皆まで言うな。バレたらまずいのだろう?ニンジャは絶滅したことになっているからな」  
 
某アニメショップから出たサビーナと風間は、最寄りのカラオケに来ていた。  
これからテロについて話をする。他人に話を聞かれない場所はないか?というサビーナからの問いに、風間は「カラオケなら」と応えた。  
現在カラオケボックスのテーブルの上には本日の戦利品――アニメグッズ&TENG○が並べられている。二人は同じソファーに隣り合って座っていた。  
 
「この赤いの……TE○GAというのか?これもニンジャが使う特殊道具の一種か?」  
 
サビーナは目の前の○ENGAを手に取ると、それをマジマジと見つめた。  
頭の丸い部分を撫でたり挿入口を人差し指でなぞる彼女を見て、風間は股間がぞわぞわしてしまった。  
 
「あまりそんな風に触らない方が」  
 
「危険なのか?もしかして爆発物か?」  
 
「いえ、むしろ爆発しそうなナニを鎮めるものだけど」  
 
「?――小型の消火器か?ここから白い煙が」  
 
「むしろ白い液を出――レナードスキーさん、そのシールとっちゃダメ!」  
 
「……ぅわぁあ……ぬるぬるする……私も兵器には詳しいつもりだが見たことがない消火剤だ。帰ったらレナ……上司に聞こう」  
 
「絶対聞かないでください」  
 
サビーナはTEN○Aの挿入口に人差し指を突っ込んでグッポグッポと鳴らした。  
どこに出しても恥ずかしい変態である風間は、ペニパンをつけたサビーナにアナルを犯される自分の姿を想像し、ますます股間を硬くした。  
そんな風間を見てサビーナはあることを提案をする。  
 
*  
 
「するか?」  
 
「え?」  
 
「sex」  
 
サビーナはネイティブ発音でそう言った。風間は思わず「え?」と聞き返した。  
 
「日本語ではなんと言うんだ?私の女性器にカザマの男性器を入れて精子を出すことだ」  
 
「え?」  
 
「男は皆好きだと思うのだが……私がズボンを脱ぐ。そこに腰を叩きつけ快感を得る行為。sexでは伝わらないのか?」  
 
「え?え?」  
 
「カザマには借りができた。良ければ体で返そう……それとも私の体ではイヤか?これでも鍛えているつもりだ。締りがいいと言われたこともある。優しくしてくれるなら、使わせてやるぞ?」  
 
サビーナが上着を脱ぎ、ワイシャツの胸元を肌蹴る。  
彼女の甘い体臭が風間の鼻腔にすっと滑り込んだ。  
 
*  
 
どうもカザマはこれからあの奴隷市場にテロ攻撃をしかけるらしい――しかし彼は冷静さを欠いている。勢いも結構だが、そわそわして落ち着きがない。これでは成功しよう筈がない――  
 
股間に手を添えて腰をそわそわさせる風間を見て、サビーナはそう結論付けた。  
サビーナは小規模ながら自身の部隊を持っている。  
臆病風に吹かれた部下に「ヤれ!成功したら一晩中私をヤらせてやる!」と叫んだこともある。  
瀕死の重傷を負った部下に「もし生きて帰ったら私が体で傷を癒してやる」と言って「死ぬ前に隊長と、一発ヤりたかったです」と言った部下を看取ったこともあった。  
そして任務前にいきり立つスナイパーに  
「あまり興奮するな。そんなに玉を重くしていたら弾も遠くへ飛ばないだろう?手でいいか?軽くしてやる」  
と言ったこともあった――現状はそれに似ている。  
 
「あぁ!レナードスキーさんすごくスケベな匂いします!それにスレンダーかと思ったら以外とムチム――ムキムキじゃないですか!!  
なんすかこれ!尻とか太ももムチムキじゃないすか!ミカ○リスペクトですか!!腹筋うっすらわれてんすか!?三角締めしてもらっていいですかきょええええええええ!!!!」  
 
そしてこれである。  
おもむろに胸元、乳の谷間を露出したサビーナを見て、風間の理性は一瞬でブラックアウトしてしまった。  
震える手で無抵抗のサビーナをひん剥く。  
童貞の風間に淑女をスムーズにクロスアウトさせることなど出来るはずがなく、それとなくサビーナが自分で脱いだのだが、彼に気づいた様子はない。  
興奮のあまりヘッドバンキングを始めた風間を他所に、サビーナはワイシャツのボタンをヘソのあたりまで外した。  
シャツの裾をスカートに入れたままで、袖から腕を引き抜く。  
しっとりと汗で湿った脇と、上品な水色のブラが露わになる。  
目を焼くような肌色に風間の人間性が焼き切れた。  
 
「わきわきわきわきわきわき」  
 
「落ち着け。マスクをしたままでは苦しいだろう?とれ。キスするか?」  
 
おもむろに伸びたサビーナの手が風間のマスクを剥ぐ。  
 
「す、する!ちゅーする!」  
 
「ほら」  
 
鼻息を荒げる風間の唇をサビーナが自身のそれで奪った。  
震え強張った風間の唇を溶かし落とすようにサビーナの唇、舌が這いずる。  
キス童貞の風間にキスの作法を教育するようなねっとりとした口づけに誘われるように、風間の唇、舌が次第に大胆に動き出した。  
サビーナの薄い唇を風間のそれが食む。欲望に身を任せた風間を受け入れるように、サビーナは全身から力を抜いた。  
 
「優しくしろ、服が破れたら困る。私は逃げたりしない。落ち着け」  
 
「ぅ、うん、わき、わき舐めていいですかどうぞ!!?」  
 
「構わないから落ち着け」  
 
「うひょおおおおおおおおおおおお!!!」  
 
「落ち着け」  
 
そして風間の全身ペッティングが始まった。  
腰にずり下がったワイシャツとスカートだけを身に着けたサビーナ。  
彼女は風間が人の形をした獣になっている間に靴、靴下、そしてブラジャーにパンティをそれとなく脱いでしまっていたのだ。  
マンコこそスカートで隠れているがいつのまにかプリンプリン乳房がたゆんたゆんしていた。  
野暮ったい眼鏡の下に隠された体は必要以上の健康体である。腹筋背筋、胸筋、肩まわりを鍛えぬいたサビーナの乳房はツンと上を向いて、まさに芸術と言わんばかりだった。  
肌も艶々でハリがある。血行の良いサビーナは生理不順にも便秘にもなったことはなかった。吹き出物などない、あるはずない。綺麗。エロい。メスい。  
脇を舐めつつ呆然と乳房、その先端の桃色乳首を眺める風間。しかし彼は不意にキレだす。  
 
「なに勝手に脱いじぇるんげすかペロペロペロペロ!そこは僕が脱ぎゃすときょでじょペロペロペロペロ!!」  
 
「脇を舐めながらでは何を言っているのかわからん。落ち着け、とりあえずパンツでも被るか?」  
 
「はい!!被りましゅぅうううペロペロペロペロ!!」  
 
サビーナは風間の頭に脱ぎたて水色のパンティを被せた。  
それと同時に彼の右腕が片乳を揉みし抱く。左手が尻に伸びてスカートの下の桃尻をこねくり回す。風間は横抱きにした彼女の体を全身を使って味わおうと試みた。  
 
「脇以外も舐めてかまわない。こっちも舐めるか?あと、優しくしろと言ったろう?」  
 
乳房を鷲掴んだ風間の指を一本一本丁寧にはがすと、サビーナはその手を自身の下半身へと誘った。  
股を蟹のように開いてスカートを大胆に捲り返す。ソファーに横倒しになったままでM字開脚をし、風間の視線をそちらに誘導した。  
サビーナは「ほら、触れ」風間の右手首を持ってパンパンと自身の陰部に彼の手を叩きつけた。  
あんまりなサビーナの作法に、流石の風間も脇を舐めながら素になった。  
 
「レナードスキーさんは女性なんですから、もう少し恥じらいというかなんというかペロペロペロペロ……」  
 
「なんだ、舐めないのか?」  
 
「いえ、舐めます。超舐めます。ついでに『童貞のくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何がクニだよ クンニしろオラァァァ!!!』って言ってもらっていいですか?」  
 
「童貞のくせにバカにしやがってよぉぉぉ!!何がクニだよ クンニしろオラァァァ!!!」  
 
「ありがとうございます!!ありがとうございましゅうううううペロペロペロペロ!!!」  
 
風間は素早く体を入れ替えるとサビーナの股間に顔を埋め、ムッチムキのマンコを舐めたくった。所謂『69(シックスティナイン)』の体勢だ。  
彼女の陰毛は薄くて細い。マン臭も薄い。味も薄いが肉厚でぶりんぶりん、強いて名づけるなら『小悪魔系わがままマンコ』という感じであった。流石は100人切りのレナードの専属肉便器である。  
マンコをしゃぶりつつ両手で尻肉を揉む。両桃が左右に押し広げられてアナルが拡張させられる。押し広げられたアナルに愛液と唾液の混合液が滴り、生ぬるい感触に肛門がきゅっと閉じた。  
風間はクンニしながら叫んだ。  
 
「おいじいでじゅ!!れなーじょじゅきぃさんのマンコおぎじぃでちゅううううジュパペロペロンチョジョベリンチョ!!!」  
 
「んぁあ……なかなかいいぞカザマ……特別に、ぅん、私のフルネームを呼ぶことをゆ、許そう」  
 
「サビーにゃ・れぬぁーじょスキーじゃんんんん!!!!」  
 
「んん!……実は正しい発音は『レナー・ドガス・キーナ』なのだ。あとここは日本なのだからファミリーネームを前にしろ」  
 
「レナードが好きーなサビーナしゃん!!!まんこおいじぃいいいでしゅううううう!!!」  
 
「いいぞカザマ!もっと舐めろ、そしてもっと私の名前を呼べ!!」  
 
レナードが好きなサビーナのテンションは、風間につられて有頂天であった。  
熱を上げたサビーナの目の前で風間の下半身が揺れる。彼女は衝動的に手を伸ばすと、あっという間にズボンをトランクスごと剥ぎ取り、勃起ちんぽを握りしめた。  
 
「びゃぁあん!!」  
 
「!?……カザマ?」  
 
握られただけで雄叫びを上げる風間。  
雄叫びに怯んだサビーナの手に力がこもる。思わず仮性包茎の皮をズリ剥く。  
ピュア亀頭が外気に触れて先端が寒い。  
一握りされただけで玉袋から精液が急速に昇り詰める。  
真っ赤な亀頭がさらに赤くなる。  
サビーナは暴発寸前の包茎チンコを、大胆にもその小さな顔、小さな口で頬張った。風間は叫ぶ。  
 
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」  
 
「ぎにゃぁっ!」  
 
風間は射精した。まさに一瞬の出来事だった。  
変態高校生風間の濃厚な雄汁がサビーナの喉を穿つ。あまりの早漏っぷりにサビーナはビビった、だがチンコは離しはしない。  
彼女は花の蜜を吸うように唇をすぼめて、風間の精子を限界まで搾り取った。上唇でちんこの裏筋をなぞる。  
口内に唾液をためて、頬の裏側でちんこの垢すりをするように、ひたすら愛撫し続けた。  
レナードの朝勃ち処理に365日お口のご奉仕活動をしているサビーナにとって、本能まかせの童貞ツチノコを抑えることは甚だ容易いことであった。。  
鼻息荒く風間は言う。  
 
「はぁはぁ……レナードガスキーナサビーナさん……ごめんなさい。でちゃった――ティッシュ使います……?」  
 
「いや、全部飲んだので、いらない――それはそうと少し溜めすぎではないか?多いし早い」  
 
「そ、それはその、レナードガスキーナサビーナさんが凄いスケベな体してるから……脇とかお尻とか太ももとかおっぱいとか体臭とか」  
 
「……自分としてはそうでもないと思うんだが」  
 
「いやいやいやいや僕あれですよ?こう言ってはなんですがサビーナさんのお尻の穴舐めたいですよ?枕買い替えるんだったらサビーナさんのお尻の形、触感に近いものに買い替えてうつ伏せで寝ますよ?  
サビーナさんが用をたした後の洋式便座の温もりで心温まりますよ?サビーナさんの脇で握ったオギニリはもとよりお尻の谷間で握ったオギニリ食べたいですよ?」  
 
自身のこだわりについては断固曲げない男風間信二。オタク特有のテンションで捲し立てる。  
あまりの勢いにサビーナは、下の名前で呼ばれたことをスルーせざる負えなかった。「オニギリとはあれか?日本人のソウルフード、ライスボールのことか?」とりあえず彼女は、どうでもいい話題で話の腰を折る。  
 
「そうです。良ければ今度ご馳走しましょうか?」  
 
「機会があれば。ただし尻では握るな、普通に手で握ってくれ――それよりカザマ、まだいけるだろう?」  
 
「はい?」  
 
「お前は満足したかもしれないが、私はまだなんだ」  
 
舌戦での不利を覆すべくサビーナは風間に覆いかぶさった。  
有り余る肉の力。女性にしては大柄なサビーナ(168cm、58kg、B87・W62・H89※目算)は圧倒的な肉の力で小柄な風間を押さえつける。  
「ちょ、ちょっと」風間の制止も聞き入れず彼女は、瞬く間に射精したばかりのチンコを自身の下の口で包み込んだ。  
亀頭にへばりついたザーメンをローション代わりに、風間の小人が進撃する。  
 
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」  
 
「まだ、まだだ。射精すなよ?少しは耐え……おい。早い」  
 
そして射精。腰を振る間もなく射精。サビーナの窮屈な膣、その襞の隙間に風間の精液が染み込む。  
どこに出しても恥ずかしくない変態童貞風間信二にとって、老若男女あらゆる穴を堪能した性人レナードにして  
『彼女の穴の世話になったら、他の穴じゃイけなくなるよ』  
と言わしめた極上の精液搾り機サビーナ・レフニオのマンコは刺激が強すぎた。まさに歯車的砂嵐の小宇宙である。  
めったに表情を崩さないサビーナだがこの早漏っぷりには流石にジト目――彼女は二発目なのにまだ濃厚な精液を膣奥で受けながら、騎乗位、股下の風間を睨めつけた。  
 
「ひぃあ、はぁ……はぁ…あ、その見下した目、最高でしゅ」  
 
「そうか。まだいけるな?」  
 
「ど、どうでじょぅ……?」  
 
「まぁ貴様が何と言おうと、無理やりイかせるんだが」  
 
「びゃあん!!びゃあああぁあんんんん!!!!」  
 
ブビッブビッとチナラが漏れる勢いでサビーナは腰を振った。風間はカラオケボックスから声が漏れる勢いで喘いだ。  
度重なる射精にも風間の信二は硬度を失わなかった。サビーナはもはや射精を促すためではなく自身が気持ちよくなるため、言うなれば『角オナ』をするような心境でジャグジャグと体を揺する。  
風間の熱に充てられてサビーナも彼の脇を舐めた、全身のペッティングをした。  
風間のリクエストを受けて尻の穴を舐めさせた、小指の第一関節まで肛門に挿入させてやった、物理的に尻に敷いてやった。精液で精液を洗い流すほど膣出しさせてやった  
――二人の痴態、痴情、性交はカラオケボックスの呼び電話が鳴るまで続き、風間は12回、サビーナは結局1回も絶頂に達せず終了となった。  
精根尽き果てた風間は立つことができなかった、しかしチンコはサビーナが隣にいるだけで条件反射で勃ってしまっていた。  
 
「しかたのない奴だ」  
 
サビーナは今日一番の優しげな顔をすると、風間の全身をお手拭で拭いて、服を着せてやった。マスクはセックス中に汚れたのでゴミ箱に捨てた。  
伊達にムチムキしていない彼女は、簡単に風間を背負う。  
背中に勃起したチンコを感じつつ彼女はカラオケボックスを後にした。  
 
*  
 
復讐を果たしたベン・クルーゾーがたまたま目にしたのは、ボコボコに顔を腫らした(元)眼鏡マスクと、それを背負うエロ尻女であった。  
酷い顔だ。あれは平手で叩かれたなどという生易しいものではない、グーパンだ。確実に右ストレートを打ち抜かれている、下手をすれば奥歯がいっているかもしれない  
――遠目に二人を見ながらベンはグッと右手を握った。ガッツポーズである。  
 
「聖地に女を連れ込むからそういうことになるのだ。これにこりたら二度と、この地で女とイチャつかぬことだな」  
 
ベンは誰にも聞こえぬような声でそう呟いた。踵を返す。  
遠ざかる二組――去りゆくベンを意識しないままサビーナは、背中に背負う風間にだけ聞こえるような声で、甘い息を吐いた。  
 
「カザマ、結局私は気持ちよくなれなかった。私は中途半端が嫌いだ。カザマが私をイかせるまで、日本から離れん。レナ……上司に怒られたら貴様のせいだ。いいな、カザマ?」  
 
「ひ、はぃい……がんばります」  
 
その後二人は日本橋のラブホへと赴いた。  
結局風間はサビーナを満足させ、日本から無事送り出すことができたのか?それは二人だけの秘密である。  
 
*  
 
因みに2013年10月26日にコ○ブキヤ秋葉原館にて開催された『フル○タルパニック!原作者の賀東○二さんとメカニックデザイナーの海老川○武さんのトークショー』の観覧席に男子高校生が二人、そして場違いなメガネ白人美少女がいたという話だが、真実は定かではない。  
 
「カザマ、あれがガトー先生か!?サイン貰えるか?『サビちゃんへ』って書いてほしい……来て良かった――今日まで日本にいたのもカザマがテク無しだからだと思うと、それもよかったかもしれ――」  
 
「ちょ、サビーナさんこんなとこでなに言ってるんですか!?やめてください!!」  
 
「風間、テク無しとはなんだ?」  
 
「相良君はだまっててよ!!」  
 
真実は定かではない。  
 

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