「ちょっ…!ソ、ソースケっ……」
「なんだ?」
「ダメ、だよ……こんな、場所で……!」
「…嫌か?」
彼は卑怯だ。トーヘンボクの朴念仁だったくせに。
あたしが面倒見てあげなきゃ、常識なんてまるっきりゼロで。男女間の情緒に至ってはマイナスだったのに!
そんな言い方で、そんな捨てられた犬のような瞳で覗き込まれたら―――
はぐらかせないじゃない………!
「………っ。はずかしい、よ……」
視線を逸らし伏せた瞳は、少し潤んでいた。黒く長いまつ毛が微かに震えている気がする。
白い頬は、今は桜色に紅潮している。
いつも勝気な彼女が。ほっそりとした身体からは想像もつかないような活力と行動力を溢れさせている彼女が。
今は自分の腕の中で震えている。それでも逃げ出さずに、抱かれている―――
彼女のこんな姿を知っているのは、おそらく自分だけだ。
そして、彼女をこんな風にしているのは、自分なのだ………!
その事実が宗介の胸の奥を熱く掻き乱す。
――もっと、見たい。かなめの、姿を。あの常盤ですら知らない、恥じらい乱れた、彼女の姿を!
「…問題ない」
「……!ぁ………や、あ……ひあ…っ」
宗介は、鎌首をもたげた独占欲を見せまいと、つとめて冷静に言い切り、押し通した。
いや、隠しきれただろうか?呼吸が早くなる。だが――もう止められない。
抱き抱えた腕が細い腰に回される。少し肌寒く、重ね着された薄い衣服に手が侵入していく。
無駄な肉のない引き締まった躰。しかし男とは決定的に違う、柔らかな肌に指を滑らせていく。
脇腹のあたりを撫でられ、かなめは身をよじらせた。
だが優しく抱いているはずの手は、どこまでも執拗に、逃がしてくれなかった。
上着がはだけ、肩が露出する。ぴったりとしたキャミソールがずり上げられていく。
頬が熱い。きっとみっともないくらい真っ赤に茹で上がっていることだろう。かなめは気恥ずかしくなり、顔を背けた。
顔を見せまいと隠した仕草のせいで、白い首すじが宗介の目に飛び込んできた。
喉頸から日に焼けていない柔肌が細い肩まであらわになっている。思わず吸いつくと彼女が小さく震えた。
痕が残るといつも彼女は怒る。だが、彼女を自分の、自分だけのものにしたいという欲望に逆らえなかった。
「んっ…」
胸元の大きく開いたキャミソールは、谷間に印を付けるのに邪魔をしなかった。……できれば普段、着て欲しくはないのだが。
キャミソールを逆に下から侵入しずり上げていった手は、下着まで到達していた。
布越しにやわやわと胸に触ると、瑞々しくもたわわに実ったものが柔らかく形を変え、ふるふると震えた。
柔らかさと大きさを楽しむようにさらに揉みしだいていくと、かなめの肌がじんわりと汗ばみ、熱い吐息が漏れているのに気がついた。
目を遣れば彼女は声を出さないよう、唇を噛んでいた。
「んうっ!?ふっ…んんっ……う、ん…はっぁ………っ」
彼女の唇を吸い上げ、絡めとる。微かな水音と、押さえの効かない声がこぼれる。
宗介の脳髄にゾクゾクと痺れるような感覚が這い上がる。