融点  
 
 
その日は人々が、何処か浮かれて街を闊歩する。  
男たちは期待した眼差しを、そして女の内の幾らかは、その日に命を賭けるのだ。  
 
「ふーん」  
手にした雑誌をパラパラとめくっていくと、ある記事に目を奪われた。  
そのページには、『バレンタイン』のスイーツについて、でかでかと特集が組まれていたのだ。  
あたしはそんな記事を見ながら独り悩む。  
「バレンタインねぇ...」  
甘いものは嫌いじゃない。  
俗に言うスイーツを、パクノダと一緒に有名なケーキ店へ行って食べた事だってあるし、その辺の好みは同年代の女子と何ら変わりないと思ってる。  
ただ少し変わっているのは、あたしが裏の世界でも恐れられている、『幻影旅団』という名の奇怪な盗賊集団の一員であるという事ぐらいじゃないだろうか。  
「チョコレートか...」  
 
食べたい。  
買うのも良いけど、この雑誌の特集には、チョコレートを使ったお菓子の作り方が沢山紹介されている。  
作ってみるのも良いかもしれない。  
ああでも...  
 
料理はあんまり得意じゃない。  
お世辞にも上手とは言えない腕前だし、いつもはあまり自分で作って食べようという気が起きないのだ。  
だがここは変化系。  
「...作って...みようかな」  
気まぐれを起こしたあたしは、早速材料を揃えるために、街へと繰り出すのだった。  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇  
 
頭の中には、さっき見た雑誌の写真が悶々と浮かび上がる。  
チョコレート、チョコレートケーキ、チョコクッキーにチョコパイ...。  
あんな記事を見れば、何となく小腹が空くというもの。  
食べるところを想像すれば、自然と顔が綻んでしまう。  
店内を見回してみれば、やはり女性が多い。  
きっと皆チョコレートを買いに来たんだろうなと、あたしは同じ穴のムジナ達を一瞥した。  
 
誰かの為に作る女性陣と違って、あたしは作る予定のそれを、他の奴らにあげるつもりは殆どなかった。  
でも、ふと思う。  
「(パクやシズクは食べるかな...?)」  
同じ女子同士にしか分からない事だってある。  
パクノダとはケーキを食べに行ったし、シズクも多分甘いものが好きだろう。  
上手く出来たらいくつか渡してやろうかな、そんな事を思いながら、材料を観て回る。  
「(団長...クロロはどうかな...)」  
あの人も甘いものが好きだと言っていた。  
渡してやるのも悪くない。  
どちらも日持ちするお菓子を作って、今度の仕事の時にでも渡してやれば良いか。  
 
珍しく口元が緩みっ放しだ。  
大量の材料を買い物カゴの中に放り込みながら、この材料たちが完成した瞬間に思いを馳せる。  
甘い香りが漂い、食欲をそそるお菓子たち。  
早く作って食べたい。  
ほんの少しだけ浮き足立ったあたしは、清算を済ませると、住処へと戻るのだった。  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇  
 
気分はとっても良い。  
危うくスキップなんてしそうになってしまう程、今のあたしは浮かれている。  
まるで遠足へ行く子どもみたいね、と自分に苦笑したりして。  
住処に着いて、玄関に鍵を差し込む。  
 
此処で気づいておけば良かったと、あたしはこの後激しく後悔する事になる。  
今の浮かれたあたしには、何時もの冴えた勘は働かなかったのだ。  
 
かちゃりとドアが開いて、両手いっぱいの材料を運ぶ。  
廊下を過ぎ、リビングへと向かうと、其処には。  
「おかえり♥」  
ソファにゆったりと腰掛けて、トランプを弄る男が、ニタニタと笑いながら、こちらを見ているのだった。  
 
一瞬、くらりと目眩がした。  
そして次に湧いて出た感情は怒りと困惑。  
「......どうやって此処に来た? コレ、住居不法侵入って言うんだけど、アンタ知ってる?」  
持っていた材料たちを落としそうになるのを堪え、出来るだけ抑揚のない声でそう尋ねる。  
この男の性質は分かっている。  
こちらがムキになればなる程、嬉しそうに笑うんだ。  
出来るだけ感情を殺した声音で話しながら、こいつをさっさと追い出してしまおうと考えていた。  
「ん? 奇術師に不可能はないんだよ♥ それに、あんな扉の鍵ぐらい、すぐに開けられちゃうよ♥」  
二重ロックでパスワードも入力しなくちゃいけないこの家の扉が、簡単に開けられてしまうなら、他の家は泥棒が自由に出入りしている事だろうね...  
さっきまでの浮かれた気分も何処へやら。  
あたしの幸せは瞬く間に吹き飛んだのである。  
 
「...あたし、これから忙しいのよ。帰ってくれない?」  
「あ、お菓子作るんだろ? 雑誌見たよ♥♥」  
テーブルの上に置かれた開きっぱなしの雑誌を指差して、ヒソカはニコニコ笑っている。  
「嬉しいなぁ♥ マチがボクの為に作ってくれるなんて♥ ボク、キミが作ってくれたものなら何でも食べるよ♥」  
「.........」  
怒りの鉄拳を食らわしてやりたい所だが、ヒソカにはきっと通用しないだろう。  
「...帰って。今すぐに」  
「そう言うなよ♥ お菓子が出来るまで、此処で待ってるよ♥」  
しばしの沈黙。  
悔しい事に、結局折れたのはあたしの方だった。  
「もういい。勝手にしな。但し、アンタの分は無いわよ」  
つんとそっぽを向いて、釘を刺す。  
出来上がったお菓子は、パクノダとシズクとクロロにあげるのであって、ヒソカの分など無い。  
だがそんなあたしを見て、ヒソカはくつくつと笑うと、「期待してるね♥」と聞く耳を持たない。  
 
一気に雲行きが怪しくなったお菓子作りに、あたしはイライラしながら取り掛かる事になったのだった。  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇  
 
もう何時間そうしているのか分からない。  
どれだけ頑張ってみても、  
「(上手く作れない...!)」  
あれだけあった材料は、既にドロドロの液体か、黒焦げの炭になって、キッチンの至る所に放置されている。  
甘い香りが其処かしらに漂う予定が、焦げ臭い匂いで部屋中いっぱいだ。  
「(も、もう一回...!)」  
雑誌の特集ページに書かれている作り方通りにしている筈なのに、何故だか上手くいかない。  
クッキーは焦げて石炭の様になり、上手く焼けても歯が折れそうな程硬い。  
チョコレートケーキはなんだか味がおかしいし、生焼けで食べれたモノじゃない。  
チョコパイは生地が上手く膨れずに、やはり失敗だった。  
残った材料はチョコレートの板が5枚と、小麦粉とバターとナッツ類のみだ。  
腕を捲り上げて、お湯とボウルを2つ用意する。  
湯煎したチョコレートを、形に流し込んで固めるぐらいなら失敗しないでしょ。  
細かく砕いたチョコレートをボウルに入れて、力を込めながらゴリゴリとかき混ぜた。  
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
カチャカチャと何かを混ぜる音が聞こえて、ボクはリビングから首を伸ばした。  
今度は上手くいくかな?  
失敗してイライラするマチの顔を見るのは楽しいんだけど、流石に焦げた匂いには耐えられなくて、こっそり窓を開けておいた。  
午前中に始めたお菓子作りは、夜になっても終わる気配を見せない。  
「(...まぁ、お菓子がダメなら別のモノを食べちゃえばいいワケだし...♥)」  
なんて、邪な考えを張り巡らせていると、キッチンから何かが落ちる音や、舌打ちが聞こえてきた。  
気になってボクがキッチンへ向かうと、これ以上ないぐらい苛立ったマチの姿が目に入った。  
「ああっ!もう!」  
勢い余ってチョコレートの入ったボウルをひっくり返してしまったみたいだ。  
...一体どれだけの力を加えればこんな事になるのか。  
彼女の顔にも手にもべったりと、溶けたチョコレートが付いている。  
「あらあら♥」  
 
思った以上の惨劇に、流石のボクも苦笑を隠し切れない。  
マチはそんなボクに、今にも噛み付かんばかりの視線を送る。  
「...何笑ってんのよ。こっちは真剣なんだけど」  
「分かってるよ♥ でも、このチョコレートケーキに使うバター、無塩バターじゃなきゃダメだよ♥ こっちのクッキーは混ぜ過ぎだね♥ パイ生地は...」  
「うるっさいわね!大体何で今言うのよ!」  
 
分かっていたなら、作っている時に教えてくれれば良いものを、何で今更言うのよ!  
もう材料も無くなっちゃったじゃない!  
 
そんな、ほぼ八つ当たりに近い事を口にしながら、マチはひっくり返ったボウルを片付け始める。  
「諦めるのかい?」  
「...もう良いわよ。材料無くなったし。アンタもさっさと帰んなよ。見ての通り、あげるものなんて何も無いだろ」  
成功していても、ボクの分は有ったかどうか。  
チョコレートの付いた手をひらひらさせながら、ボクを見る事もなく片付けを進めるマチ。  
なんだかとっても疲れている。  
大人しく既製品を買って食べれば良かったいう後悔と、現実は理想とは程遠いんだな、という思いが、マチの頭をぐるぐる回っているに違いない。  
「...はぁ」  
片付ける手も何処か重そうだ。  
 
しばらく黙ってそんな様子を眺めていたけど、ボクは構う事もせずに、チョコまみれのマチの手を掴んだ。  
「...離せ。片付けられないでしょ」  
手伝いをする訳でも無いんだから、と怪訝そうにボクを睨む。  
「片付けは後にしなよ♥ それよりさ、お菓子もダメだった事だし、別のものをご馳走してくれないかい?」  
「...は?」  
ボクが何を言っているのか、マチは理解出来ていない。  
「...ご馳走って...冷蔵庫の中には何にも入ってないし、あたし何も作れないわよ。それに何で、あたしがアンタにご馳走しないといけないの」  
「いやいや、キミの手料理も良いんだけど、ボクもっと別のものが食べたいんだ♥」  
 
何の事を言っているのか、全く分からないって顔してる。  
気付いて欲しくて、マチの頬をゆっくりと撫で、艶っぽい視線を送ってやると、やっとボクの言っている意味が伝わったみたいだった。  
「もしかしてアンタ、最初からそのつもりで来たワケ? 自分の欲求ぐらい自分でどうにかしな! あたしで処理しようなんて考えてんじゃないわよ!」  
お菓子も上手く作れなかったのに、ボクにまで馬鹿にされて、マチの苛立ちは最高潮に達してしまった。  
「そんなに怒るなよ♥ ほら、チョコ付いてるよ♥」  
ペロリと彼女の手に付いたチョコを舐め取って、ボクはしてやったり顏でマチに笑い掛ける。  
「甘いね♥ キミみたいだ♥」  
しかし、ボクの戯言を軽く受け流せる程の余裕は、今の彼女は持ち合わせていない様だ。  
食い殺さんばかりの視線を向けて、掴まれた腕を引っ込めようとしてるけど、ボクの腕力に敵うはずもなく。  
マチをそのままぐいと引き寄せて、ボクの腕の中に収めた。  
「...良い加減にしな、ヒソカ。本当に怒るよ?」  
釣り上がり気味の瞳がボクを見上げて、ボクの全てを全身で拒否する。  
ボクがココで腕を緩めれば、彼女はきっと逃げたまま、こんな風に腕の中に上手く収まってはくれないだろう。  
 
だから、と思う。  
 
せっかく捕まえた蝶を逃がす程、蜘蛛は馬鹿じゃないんだよ。  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇  
 
「キミにあげたいモノがあるんだ♥ 受け取って欲しいな...♥」  
避ける暇も無く、ヒソカの口付けを受け止める事になって、甘いチョコの味が、口中に広がる。  
胸を叩いて離れようとしても、ヒソカはピクリとも動かない。  
それどころか、深く舌をねじ込んで、あたしの口腔を舐め回していく。  
「ん...ふぅ...んんっ」  
息ができない。  
苦しくて、甘い。  
激しくなる口付けに、どんどんと思考を奪われていって、身体から力が抜けていく。  
「は...ぁっ」  
やっと唇が離れて、あたしたちの口元を糸が引いて光る。  
 
肺に新しい空気を入れて、あたしはほっと息を吐く。  
「ば、ばか...なにするんだッ...!」  
潤んだ瞳で何を言っても効果などなく、ヒソカはへばりついたあのあたしの大嫌いな笑顔で、そっと囁く。  
「ベッドがいい?それとも此処でヤっちゃう...?」  
「...はぁ? 冗談じゃないよ...!早く離れろ...!」  
「イヤだ♥」  
反応する暇も無く、ヒソカはあたしの首筋に舌を這わせ始める。  
身をよじって腕の拘束から逃れ様と試みるが、ヒソカはニヤニヤと笑うばかりで。  
心の何処かで、今日は厄日だと嘆く声が聞こえて来る。  
こんな風に捕まって、ヒソカから逃げれた試しがないんだ。  
きっと一定の距離を保ち、半径数メートル以内にヒソカを入れないという暗黙の掟(あたしの中では)を破った罰だね。  
部屋にこいつが居た時点で、こうなる事は決まっていたんだ。  
力ずくでも叩き出してやれば良かったと後悔しつつ、あたしは抵抗虚しく押し倒されてしまった。  
怒りと後悔と、そして半ば諦めと、何よりヒソカに対する呆れが大多数を占めて、心の中を渦巻く。  
「...良くもまぁ、飽き無いね。アンタさ」  
怒った顔で罵られると思っていたんだろう。  
あたしの呆れ顏を見て、ヒソカは首を傾げている。  
「...? ボクがマチに飽きるって? うーん......今のところその予定は無いから安心しなよ♥」  
「さっさと飽きてくれた方が、あたしは嬉しいよ、馬鹿」  
そう言ってやれば、ヒソカはやけに神妙な顔であたしを見つめている。  
その視線に耐えられ無くなって、あたしはふん、と鼻を鳴らしてそっぽを向く。  
「...変化系は気紛れで嘘吐きだからね♥ キミの存在が今すぐにでも、ボクにとってそこらの石ころと同じ価値になる可能性だってありうるワケだ...♥ だから、今こうやってキミを求める気持ちが存在するうちに、抱いてしまおうって思ってるんだよ♥」  
「...あたしはアンタの気紛れで、ゴミ以下になるって事だね? それも迷惑な話だよ。 アンタは本当に、面倒臭い男だね」  
 
あたしのその言葉に、喉を鳴らしてヒソカは笑うと、「ごめんね♥」なんて謝られた。  
反省なんてして無いんだろ?  
だってアンタはそう言うヤツじゃないか。  
ため息を吐きながら、あたしはこの男の作った流れに身を任す事になった。  
ヒソカを許した訳でも、行為自体を快く受け入れる訳でもない。  
ただ、流れに身を任せるだけ。  
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
ボクの下でマチは喘ぐ。  
キッチンで押し倒すのは、ちょっと失敗だったかなって思ったけど、一度コトを始めてしまえば、そんなのはどうでも良くなる。  
服を剥ぎ取って、なめらかな肌に顔を埋めて、ボクは彼女を貪る。  
「...っ、馬鹿...覚えてなよ...!」  
悪態を吐きながら、彼女はボクの与える快感に酔う。  
「ぁ...っん」  
「ククク...♥ 文句言うワリには、随分と気持ち良さそうだね?」  
彼女の足を大きく広げて、その中心に舌を這わせる。  
まだ濡れていないそこに舌を差し込んで、小刻みに抽出を行えば、ほら、奥から蜜が溢れてきた。  
「ゃ...ぅ...んっ...ぁあっ」  
くちゅくちゅとワザと音を立てて舐めれば舐める程、マチはソコをぐちゃぐちゃに濡らす。  
鼻先を愛芯に押し付けて、ねっとりと舐めてやると、腰を浮かして啜り啼く。  
そんな彼女の反応が面白くて、つい虐めてしまう。  
「イイねぇ...♥ 色っぽくて可愛いよ、マチ♥ もっと喘いでくれると尚イイんだけど...♥」  
「う...るさい! しね!」  
涙で潤んだ瞳は、まるで宝石みたいにキラキラしてて、素直に美しいと思えた。  
秘洞に中指を一本挿れて、上壁を擦りながら、柔らかな胸に顔を寄せる。  
紅く誘う様に震えていた頂に吸い付き、唾液を擦りこむと、身体が仰け反り、突き出す様に胸を差し出す。  
交互にその頂を口に含みながら、今日はちょっぴり趣向を変えて見ようかな、なんて考えていた。  
マチは嫌がるだろうけど、そんな事知らないよ。  
 
ボクは奇術師だからね。  
音もなく取り出したのは、チョコレートの欠片。  
これぐらいならきっと入るだろう。  
...ボクのモノが入るぐらいなんだから、大丈夫。  
指の数を増やして、ソコを解してやった後、すぐに蕩けきった秘洞のナカへ、そのチョコレートの欠片をずぶずぶと押し込んでいく。  
「......ぁ、え!?...なに...!?」  
指とは違うその感覚に、マチは怯えた様な表情でボクを見る。  
んん〜、可愛い。  
「ナカ、熱いからすぐに溶けるよ...♥ 大丈夫♥」  
ボクの言った通り、ナカに挿れたチョコレートは、すぐに溶け始めた様だ。  
マチの蜜とチョコレートが混ざりあって、とろりと秘部から流れ出る。  
「なに...挿れたのよ...!? へん、た、い...っ!」  
「ん? キミの食べたかったものだよ♥」  
ついでにボクが食べに来たものでもあるね、なんて言ってみたりしたら、勘のイイマチはすぐに気付いたみたいだ。  
「ばかっ...!今すぐ出してよ!」  
真っ赤な顔で怒るマチは、上半身だけを起こしてボクを睨む。  
「早く出して...!」  
ニヤニヤ笑ってボクは頷くと、また彼女の秘部へと顔を埋める。  
「ぁ...あぁ、っ...ふ」  
「甘いし、キミの味もするし...美味しいよ♥」  
上目遣いでそう言いながらマチを見れば、目を瞑ってボクの視線を完全に無いものにしてしまっていた。  
「(チェ...♥ つまんないの♥)」  
指でナカのチョコレートを掻き出しながら、指にソレを絡めて彼女の口元に持っていく。  
「ほら...口開けて♥ キミも舐めてごらんよ♥」  
でもなかなか口を開けてくれないから、無理矢理口の中に指を突っ込んで、ボクはマチの舌を堪能する。  
「んんっ...ふ...ぅう」  
この舌でボクのアレを舐めてもらうってのもイイかもしれない。  
 
「甘いだろ?それに、これがキミの味だよ...♥」  
一通り舌の動きとか感触とかを愉しんで、ボクは口から指を引き抜く。  
透明の唾液が糸を引いて、ボクの指に纏わり付く。  
それを見せ付けるようにペロリとなめて、ボクはへらりと笑んだ。  
「どう...?もっといっぱいチョコ、食べたくない?」  
「...た、食べたく、ない!」  
「それは残念♥ でもボクは是非食べてもらいたいな♥」  
手早く自分の服を脱ぎ去ると、既に主張を始めていた剛直を軽く扱く。  
そして何の前触れもなく、またボクはマチを押し倒して、チョコレートと愛液でぬかるんだソコに、己の剛直を突き立てた。  
「ひっ...ああぁっ!」  
ぬちゅりと飲み込むマチのソコは、うねりながらボクを奥へ奥へと引きずり込む。  
溢れた愛液と溶けたチョコレートが、ボクらの接合部を茶色く汚す。  
「あァ...熱いよ♥ ボクも溶けちゃいそうだ...♥」  
「んっ...ぁっ...いゃ...ぁ」  
掌に丁度収まる形のイイ乳房を、ボクは捏ねくりながら、マチの耳を甘噛みしたりして、彼女の性感帯を的確に見つけて攻める。  
「ククッ...♥ 気持ちイイだろ? ほら、動くよ♥」  
「あぁっ...あ、ふっ...!」  
マチの両足を掴んで高く持ち上げると、ボクは彼女のナカに深くソレをねじ込んだ。  
きゅうきゅうと締め付けてくる肉壁の気持ち良さに、思わず大きく息を吐いた。  
始めはゆっくりとした律動で、マチが何処を突かれれば悦ぶのかをじっくり探る。  
様々な角度で突き上げながら、ボクは彼女の反応を見る。  
そして、あるポイントで悲鳴に近い嬌声を上げ、身体を跳ねさせる事に気づく。  
「ココが...イイんだね♥」  
「ん...ぁあああっ!あ、ぁ、ひゃ、うっ」  
ズン、とソコを狙って突くと、マチが啼く。  
大きなストロークで揺さぶりながら、ボクは執拗にソコを突いて、彼女の絶頂を促す。  
甘い香りが鼻腔を突いて、それがマチから香る女の匂いなのか、溶けたチョコレートの匂いなのか、ボクには知る良しもない。  
 
子宮口を叩くスピードは増し、マチの声はそれに比例する様に大きくなる。  
「っは......ぁ...かわいいよ♥ 気持ち、イイかい?」  
「ん、ぁ、あ、ゃ、あん」  
ボクの問い掛けに応える事はなく、彼女は涙を流して弱々しく首を振るばかりだ。  
「イかせてあげる...♥」  
ほっぺに付いたままほったらかしにされていたチョコレートは、もう徐々に乾き始めていて、それをペロリと舐めてマチに囁いた。  
「ぅ、ぁぁああ、ああっ」  
耳を犯す嬌声と卑猥な粘り気のある水音。  
そして肉と肉がぶつかり合い、肌が擦れる音。  
触れ合った場所から発生する、甘く痺れる様な熱。  
マチの視線とボクの視線が絡まる時。  
それ全部が快楽を生み出す要因となって、ボクは獣の如く腰を打ち付ける。  
 
「...だ、だめっ...もぅ...む、り...っ」  
「...!」  
昇り詰めたら、後は堕ちるだけ。  
「ぁ、あああぁあぁああ」  
「っ............ぅ...!」  
一拍置いて、奥深くに突き立てれば、大きな悲鳴と共に身体が仰け反る。  
ナカが何度も収縮して、思わずナカに出してしまいそうになるけど、ボクはそれに何とか耐えて、剛直を引き抜いた。  
 
「は...ぁ...はぁっ...はぁ...」  
身体を丸めて肩で息をするマチは酷く弱々しく見えて、また興奮してしまう。  
強気で靡かない彼女。  
何度も、どんなに滅茶苦茶にしてやっても、ボクを完全には受け入れてはくれない。  
抱けば啼いて悦がるけど、それでも、心までボクの手に堕ちる事はない。  
それがマチであって、ボクが彼女に惹かれる魅力の一つ。  
「良かったかい?」  
「.........は、やく、シャワー、浴びたい...」  
息も絶えだえにそう言って、彼女は身体を起こしてボクを睨む。  
 
そんな仕草でさえ、ボクにとっては興奮する要因になってしまう。  
「そうだね♥ 後で一緒に入ろう♥ それよりさ...マチ、ボクまだイってないんだ...♥ イかせてくれないかい?」  
突っ込み所の多いボクの台詞に、反論しようとしたマチだったけど、ボクのモノを見てギョッとした様な顔になってしまった。  
 
精を吐き出す前に引き抜いたソレは、後ちょっとの刺激を受けただけで爆発する。  
女の子からすれば、勃起した性器なんて大層グロテスクなモノだと思うんだけど。  
いきり立った赤黒いソレは、うん、まぁ自分で言うのもなんだけど、かなり大きい。  
しかも今回は、マチの愛液に加え、溶けたチョコレートでご丁寧にコーティングまで施されている。  
ボクならこんなモノ咥えたくないけど、好きな娘には咥えてもらいたい。  
自分勝手で我儘なんだよ、ボクは。  
「マチのお口で綺麗にしてね♥」  
「...なっ!」  
 
マチの頭を掴んで、口元にボクのモノを押し付けて、可愛い小さな唇に、ボクの先走りの液と、マチの蜜と、チョコレートを擦り付ける。  
「舐めて♥」  
拒否権なんてないとばかりに、有無を言わさぬ声音で言えば、マチはおずおずと舌を出して舐め始めた。  
ピンク色の舌が、猫みたいにボクのモノをちろちろと舐める様は、なかなか来るものがある。  
「チョコレート...キミの食べたかったものだろ?美味しいかい?」  
上目遣いでマチはボクを睨む。  
あぁ、そんな目で見るなよ...  
「ボクはアイスクリームじゃないよ♥ ペロペロ舐めるばっかりじゃなくて、咥えて♥」  
一度口を離して、マチは嫌そうな顔をしたけれど、ボクが頭を押さえる手を緩めない事を悟り、ソレを口に含んだ。  
 
「んぅ...む...ちゅ...っ...う」  
必死に舌を動かして、ボクをイかそうとしている彼女が酷くいじらしい。  
さっさとこんなコト終わらせたいんだろう。  
膝を着いてボクの腰を掴み、咥えたまま首を上下に降りながら、ちゅぷちゅぷと音を立てる。  
チョコレートが口の端に付いているし、なんだかとっても苦しそう。  
......他人事だけど。  
カリと裏筋の繋がる部分を唇で扱きながら、時折ボクの顔を見上げて、様子を伺っている。  
ゆっくりと裏筋に舌を這わせ、口いっぱいにボクのモノを頬張り、啜る。  
唾液ともボクの先走りのソレともつかない透明の液が、マチの唇を伝って零れ落ちた。  
「ククク...イイよ♥ 上手だ♥」  
頭を掴んでいた手を緩めて優しく髪を梳いてやると、ちょっと安心したみたいだった。  
 
「ん...ちゅ...ぷ...っはぁ...ちゅう......」  
「はぁ......マチ、そろそろ出すよ? 飲んでね?」  
さっきよりもっとガチガチになった剛直を、深く口のナカに押し入れると、頭を押さえてそのまま軽く腰を前後する。  
マチは目を見開いて、苦し気に悶え、ボクを押し返そうと暴れるけど...力で敵うはず無いだろ。  
 
「んーっ...んんっ...!」  
「あぁ.........イくよ...っ!」  
喉の奥に白濁の精をぶっかけてやると、マチは涙を流して嘔吐く。  
最後の一滴すら残さず、彼女の口に吐き出してから、ボクはゆっくりと引き抜いた。  
マチは喉を押えて咳き込みながら、口から粘っこい精液を垂れ流し、ボクを睨めつける。  
「駄目だよ出しちゃ♥ ちゃんと飲んで♥」  
「..................」  
指で垂れた精液と、口の端に付いたチョコレートを拭って、マチの口元に持って行けば、嫌そうな顔をしながらも、渋々舐めてくれた。  
 
 
「イイコ♥ 美味しかっただろ?」  
「ど、こがだ...!......さい...て...馬鹿...変態っ...!」  
再び床に伏して、身体を丸めてしまったマチの背にキスを落としながら、ボクはとても満足していた。  
後はアレを渡すだけだ。  
「とりあえず、シャワー浴びようか♥ ベタベタしてて気持ち悪いだろ?」  
ボクはマチを抱きかかえて、バスルームへと向かう。  
腕の中のマチは、もういつも通りのつれない彼女で。  
「...もう、シないわよ」  
「♥」  
お風呂入りながら、またマチと遊びたかったんだけど、先手を打たれちゃった。  
残念。  
 
◇ ◇ ◇ ◇ ◇  
 
シャワーを浴びている間、何度もちょっかいを出してくるヒソカが鬱陶しくて仕方なかったけど、あたしはそれを無視し続けた。  
チョコレートでベタベタになった下腹部を洗っていると、ヒソカが背後から腕を回してソコを撫でたり、卑猥な言葉を口にしたりしてきて、やっぱりウザい。  
流れに身を任せたとは言え、今日は良い様にさせ過ぎた。  
これ以上調子に乗られちゃ困る。  
どうやってこいつを黙らせ様かと考えながら、あたしは何とかシャワーを浴び終えた。  
 
 
夕食取るのも怠く、あたしはもうベッドに横になる事を選んだ。  
散々な一日だった。  
もう二度と菓子作りなんてするもんか。  
こんなに反省と後悔の多いものだと思わなかった。  
後片付けも明日でいい。  
ベッドの端っこで丸まっていると、何時の間にかヒソカがベッドに潜り込んできた。  
「...もう帰んなよ。あたしもう寝るから」  
振り返るのも面倒臭く、丸まったままそう告げると、ヒソカが腕を伸ばしてまたあたしを捕まえる。  
 
「...もうシないって言っただろ! 疲れてんだから帰ってよ」  
「分かってる♥ もうエッチな事はしないよ♥ その代わり、キミにあげたいモノがあるんだ♥ こっち向いてくれないかい?」  
「............」  
誰が向くかと動かず黙っていたが、ヒソカの無言の圧力に耐えられず、少しだけ身体をずらしてヒソカを見る。  
ニコニコしながら、ヒソカはハンカチを何処からともなく取り出すと、  
「見ててね♥ 何のタネも仕掛けも無いただのハンカチを、掌に掛けます♥ そして3秒数えると...アラ不思議♥ マチにプレゼントが現れました♥」  
そう言えば、こいつがただの変態じゃなくて奇術師だって事をすっかり忘れていた。  
ハンカチを取り払ったヒソカの掌には、綺麗にラッピングされた大きめの箱が乗っている。  
この茶番といい、どうせまた下らない物だろうと、溜息が出た。  
無表情でヒソカを見ていると、ヤツはあたしの手を取って、その箱を押し付けてきた。  
「あげる♥」  
「何これ...いらない」  
「そう言わず受け取っておくれよ♥ キミの為に作ったチョコレートケーキだよ? 食べたかったんだろ?」  
 
ーーーー何だって?  
 
「.........アンタが作ったの?」  
「うん♥ あ、安心してね♥ 味見もしたし、変な物入れてないし、美味しいよ♥」  
ヒソカは珍しく邪気のない顔で笑いながら、あたしが凄く喜ぶと思っているようだ。  
...冗談じゃない。  
あたしはあれだけの材料と時間を割いたのに、一つも上手くいかなかったんだ。  
ああ、なんかだんだん腹が立ってきた。  
男であるヒソカが上手く作れて、なんで女のあたしが作れないんだ!  
「初めて作ったんだけど、一回目で上手くいってね♥ ほんと良かったよ♥」  
「.........!」  
その台詞で、あたしの女としてのプライドはズタズタになった。  
 
シーツの中に頭まで潜り込ませて、ヒソカの声も姿も完璧にシャットダウン。  
頼むからこれ以上喋らないで。  
「実はボク、これを渡しに来たんだけどさ.........え? どうしたの?...ボクの愛に感動しちゃった?」  
 
ーーーーますますウザい。  
 
「帰って。 プレゼントもいらないから」  
シーツを被ったままそう言って突き放すけど、ヒソカの腕がさっきより強く巻き付いてきて、離す気がないのが分かる。  
「上手く作れなかったから怒ってるの? ケーキならまた作ればいいじゃないか♥ 次はボクも手伝うからさ♥ 期待してるよ♥♥」  
「............」  
こいつに何を言っても無駄だと言う事は、分かり切っている。  
分かってるんだけど.........  
何とか一泡吹かせてやりたい。  
このまま大人しく「料理が出来る男」アピールを聞いているのも癪に障る。  
 
『ーーーボク、キミが作ってくれたものなら何でも食べるよ♥』  
 
そう言えば。  
ヒソカはそんな事を言っていた気がする。  
ーーーーーそれならば。  
 
シーツから目だけ出してヒソカをチラリと見る。  
ニヤニヤ笑っていられるのも今のうちだ、馬鹿め。  
「アンタさぁ...あたしの作ったものなら、何でも喜んで食べるんだろ?」  
「?......もちろんそうだよ♥ あ、何か作ってくれるのかな?」  
「キッチンにある菓子、アンタに全部やるよ。残さず食べなよ」  
 
 
あたしの台詞によって、ヤツの珍しい笑顔が、これまた珍しく引きつった表情に変わったとき、あたしは肩を震わせて笑った。  
 
 
 
 

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