思ったより軽いマチの身体。  
強く抱きしめてみると、ボクを全身全霊で嫌っているのが、その仕草で良く分かる。  
腕をバンジーガムで使えなくしたとはいえ、足の方は何の細工もしていない。  
バタバタと両の足を動かしながら、マチはボクの腕から逃げようとする。  
昨夜は、あんなにもボクを求めてくれていたのにね。  
そう思うと何だかとってもムズムズしちゃって、自分でも昨夜のアレは夢だったんじゃないかって思っちゃうよ。  
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
「ちょっと! 降ろしなさいよ、この変態!」  
昨夜は聞けなかったマチの毒吐きが、ボクの頭を甘く痺れさせていく。  
キミの視線とそのつれない態度が、どれだけボクを酔わせているか、想像つくかい? マチ。  
「まぁ、そう言うなよ♥ 夜の御礼がしたいだけなんだ♥ 受け取っておくれよ♥」  
そう言ってにっこりと、腕の中のマチを見下ろすと、彼女は酷く怒った顔をしている。  
その顔、凄く可愛いね。  
でも違うんだ。  
ボクが見たいのはそんな顔じゃなくって...こればっかりは、なかなか見れるモノじゃないから、どうやってそれを引き出そうかって考える。  
そしたらホラ、やっぱりこういう事になっちゃうじゃない?  
キミとボクの二人っきりでお風呂に入ってさ、ナニをどうしちゃうってワケ。  
バスルームに向かう途中、何度もマチがボクに罵声を浴びせていたけど、そこに着いた途端、マチはすっかり大人しくなってしまった。  
いや、表情が無くなった。  
凄くすごーく怒ってる。  
ボクはそんなキミを見たら、ちょっと興奮してきちゃったんだけどね。  
ボクはゆっくりとした動作で、彼女をタイルの上に降ろしてやった。  
あ、でももちろん逃げられない様に、膝を立てた状態で、タイルと両足をバンジーガムでくっつけておいたけど。  
マチを見下ろす形で、これ以上無いぐらい優しく(ボク的には)微笑んで見せた。  
 
「キミは昨夜、ボクをとっても可愛がってくれたんだ...だからボクも、マチを可愛がりたい♥」  
「...余計な気を使うんじゃないよ。 昨夜の事は早く忘れろって言っただろ? さっさとバンジーガム解いて、此処から出て行って」  
ボクの裸に照れる事も無く、マチはボクをキッと見上げながらそう言う。  
照れる余裕も無いぐらい、ボクの事嫌ってる?  
...やっぱりマチは、こうでなくちゃいけないね。  
積極的で、エッチな彼女も可愛いくて仕方が無かったんだけど、いつも通りのキミが一番イイ。  
「ククク...ボクさぁ、ヤられっぱなしって言うのは性に合わないんだよね...♥」  
戦闘においてもそう。  
始めは相手に善戦の、甘い甘い夢を見せてやって、その後突き落とすあの快感と言ったらない。  
自分との力量の差を見せつけられて、絶望する時のあの顔。  
でも一番気持ちイイのは、相手がボクに向かって来るときの、決して揺るぐことのない自信に満ちた表情を見た時。  
そして闘志に燃えた瞳で、真っ直ぐに相手に見据えられた時。  
 
ーーーまるで今のマチと同じ。  
 
「...馬鹿でしょ、アンタ。 こんな事して何になるのよ」  
その質問に応える事なく、ボクはジッと彼女を見下ろした。  
表情の無いマチの怒った顔は、ボクの滾る欲望を、更に増加させていく。  
熱を持ち始めたボクの剛直が、ゆっくりと首をもたげ出した。  
それを見たマチが、表情の無かった顔にほんの一瞬だけ、朱を走らせた事をボクは見逃さなかった。  
「ククッ...キミに見られて興奮してきちゃったよ...♥ キミもそうかい? ボクに見られて興奮してる?」  
「...あたしはアンタと違って変態じゃ無いんでね。 そんな事ある訳ないだろ」  
可愛い唇が、ボクにとっては甘い毒を含んだ言葉を紡いで、ますますボクを興奮させる。  
「本当に? そう...じゃあ、確認してみてもイイよね?」  
 
今回の主導権は、ボクの手にある。  
 
「ばっ...馬鹿! やめろ!」  
しゃがみ込んで、マチの足の間に割り込んだ。  
見ると、昨夜の名残りだろう。  
ボクの精がマチの内腿にべったりとこびりついていて、乾いている。  
彼女のナカにも、今だにボクの精が入ったままである事は間違い無い。  
そう考えると、何だか「マチはボクのモノです」って宣言してるみたいで、自然と顔が綻んでしまった。  
でも確か、マチは、ボクとの情事の跡を洗い流したくてバスルームに行こうとしていたんだったっけ?  
ボクの意地の悪い部分が、とっても悦んでいる。  
なら、それを使わない手はないじゃないかってさ。  
「...汚れてるね♥ 洗ってあげるよ♥♥」  
「!! やめろ!余計な事する...」  
マチが言い終わらないうちに、ボクはシャワーのコックを捻って、温かいお湯をマチに頭からかけてやる。  
「なっ...!?」  
無表情で、人形みたいだったマチの顔が、やっと驚きの表情を見せてくれた。  
 
「ココ、綺麗にしてあげるね♥」  
内腿にシャワーのお湯を当ててやりながら、ボクはこびりついた精の跡を指でなぞった。  
「馬鹿! やめて! 触らないで!」  
自由にならない手足が、もどかしくって仕方ないでしょ、マチ。  
「駄目だろマチ♥ ココは綺麗にしておかなくちゃ...♥」  
ゆっくりゆっくり、ボクは内腿にその指を這わせていく。  
這い回っていた指が辿り着いた先は、ボクの精がまだたっぷりと入っているであろう秘部。  
指先でソコをつぅっとなぞると、とろりと白濁の精が流れ出てきた。  
「さわ...る...なっ!」  
顔を真っ赤にして中断を求めるマチ。  
可愛いね。  
でもまだまだ。  
ボクの見たいマチの表情は、これじゃないんだ。  
 
「こんなにいっぱい...マチがとっても可愛いからさ...ボク、出しちゃったんだよ?」  
にっこりと優しく(またボク的には)笑んで、ボクは秘部に指を這わせつつ、マチの胸に顔を寄せた。  
「う、煩い! 馬鹿な事言ってんじゃないよ!」  
「本当さ♥ でもね、昨夜は少しだけもったいない事したなって思った事もあるんだ♥」  
マチの顔が一体なんの事だと怪訝そうにボクを見る。  
...キミはどんな顔してても、やっぱり可愛いね。  
「昨夜はボク...キミのおっぱいをちっとも触れなかったから...♥ ちょっと惜しい事したって思ってたんだ♥」  
そう言って、何かまた言おうと口を開きかけたマチよりも早く、ボクは彼女の胸の頂を舐め上げた。  
「っ...! ば、馬鹿! 何すんのよ!」  
「...可愛いがってるのさ♥ キミの事をね...♥」  
ボクはそのまま頂きに吸い付いて、舌で頂を転がしながら、秘部をなぞっていた手をソコから一旦離し、片方の胸を揉みしだいた。  
「っ...ゃめ...!」  
身体も昨夜の名残りが残っているのだろうか。  
拒絶の言葉を吐きながらも、マチの身体が、素直にボクの与える快感に流されていっているのが分かる。  
「ぁ...ふっ...ん...!」  
胸の頂を指で弾いて、ちょっぴり引っ張ってみたり、吸い付いたまま甘噛みをしてみたり。  
丁度ボクの掌に収まるキミの胸を、ボクは必要以上に可愛いがる。  
乳輪を舌先でなぞって、赤ん坊の様に強く頂に吸い付いて、貪る。  
やわやわと胸を揉みながら、その感触を愉しむ。  
「気持ちイイかい? マチ♥」  
そう言ってマチを見ると、快感にほんの少し流されかけていたマチが、はっとした様に真っ赤な顔を向けてボクを見た。  
「も、もう止めな! これ以上馬鹿な事するんじゃないよ!」  
「嫌だね♥ 断る♥」  
べ、と舌を出して笑うと、胸を弄っていた手を、また秘部へと伸ばす。  
マチがびくりと身体を震わせたのが分かって、ボクはとっても愉しくなった。  
 
ーーーあ、これって、好きなコは虐めたくなっちゃうってヤツ?  
 
「先ずは...ココを綺麗にしなくちゃいけないからね♥」  
耳元で低く囁きながら、ボクはマチの秘部をゆるゆるとなぞり、彼女の顔を覗き込んだ。  
マチは顔を赤らめたまま、唇をぐっと噛み締めて、ボクの与える快感を極力感じない様にと、目を瞑って俯いてしまっている。  
思わず声を出して笑っちゃったよ。  
そんな事したって無駄なのに。我慢しないで声出しちゃえば?  
ボクはマチの秘部を指で開いて、愛芯を親指の腹でぐりぐりと押し潰した。  
「...っ! ぁ...ぁん」  
「ココ、気持ちイイだろ? 昨夜のマチは、ココが気持ちイイって、ボクの顔の上で鳴いてヨガってたよ♥」  
 
ねぇ、覚えてるかい?  
 
そう言ってニヤニヤ笑ってマチを見れば、さっきよりも顔が赤い。  
 
覚えて無い...はずが無いよね?  
頭は忘れていても、身体の方は覚えているだろう?  
だって、ほらもう...  
 
「おや? どうしたんだい? 何だかココ、ぬるぬるしたのが溢れてきたけど...♥」  
明らかにボクの精液じゃないモノが、マチの秘部から溢れ出て来ている。  
「も...ゃめて...!」  
マチは浅く息を吐きながら、潤んだ瞳でボクを見た。  
その表情は、ボクの加虐心を駆り立てるだけなんだよなぁ。  
 
......滅茶苦茶に、壊してやりたくなるから困るんだ。  
キミに向けるこの感情を、ボクはいつも持て余す。  
キミに向ける「好き」と、クロロに向ける「好き」と言う感情は、似ている様で全く違う。  
こう言うの、アイシテルって言うんだろ?  
だから壊したくない......でも壊したい...。  
矛盾した感情、ジレンマが、ボクがマチに向ける感情を、どんどん歪んだものにしている。  
分かっていても、もう止められない。  
 
「...そんな顔しても駄目だよマチ♥ 奥にたっぷり入ってるんだから...♥ 掻き出さないと♥」  
ボクは然も当たり前、みたいな顔をして、マチの拒絶の言葉を無視すると、指をそのナカへと挿れた。  
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
とっくの昔に、あたしの足元で、シャワーはお湯を出しっぱなしにされたままタイルに転がされている。  
 
くちゅ...ずっ...ず...  
 
大した抵抗も無く、あたしの秘部はヒソカの長い指を飲み込んでいく。  
骨ばった指が、すっかりナカに挿れられてしまって、あたしはその感覚に怯みを覚える。  
「ああ...マチのココ、ボクの指を美味しそうに咥えてるよ♥」  
ヒソカの愉しそうな声が耳元で聞こえて、くすぐったさと恥ずかしさで居た堪れない気持ちになった。  
「い...いかげんに...しなよ...!」  
何とか声を出して、快感に流されない様にと身体に力を入れる。  
でも、そんな事で止める様な奴じゃ無いのは分かっている。  
案の定ヒソカは、惚けたように笑うばかりで、こちらの話なんて聞きゃしない。  
「そんなに締め付けないでよ...上手く掻き出せないだろ♥」  
「ひぁっ...!」  
指をナカでぐっと折り曲げて、上壁を擦りながら、ヒソカは指の出し入れを始めた。  
とろぉ...と、ナカに溜まっていたヒソカの精が、外に流れ出てきたのが分かる。  
こぽっ、という音と、空気と一緒に泡立った精が出る感覚に引き摺られそうになり、ぎゅっと目を瞑った。  
与えられる快感に、立てられたまま固定された膝が、ガクガクと笑ってしまう。  
「...気持ちイイの...? 」  
上目遣いで、あたしをあのニヤついた嫌な笑みで見据えながら、ヒソカは指の抽出を続けている。  
「あ...んた、なんかに、感じ、るか...!」  
情けなくも、視界がぼやけて見える。  
ヒソカは酷く嬉しそうに、そんなあたしを見て笑う。  
「へん..たい! あんたなんて...大っ嫌い! しね!」  
レベルの低い罵倒しか出てこない程、今のあたしは切羽詰っていた。  
しかも罵れば罵る程、この男は幸せそうに笑うからタチが悪い。  
 
目を瞑って、唇を噛み締めて声を押し殺しても、身体が跳ねてしまうのはどうする事も出来ない。  
ヒソカはあたしが感じる場所を、指で何度も執拗に擦り上げてくる。  
もうナカに溜まっていた精は、殆ど出てしまっているだろう。  
それでもヒソカの指は、あたしを確実に責めたてる。  
くちゅくちゅとワザと音を大きく立てながら、ヒソカは熱い息を吐いた。  
「声...聞きたいな♥ 出してよ♥」  
「...!!」  
ナカに挿れられた指の数が、明らかに増えている。  
2本の指が、滅茶苦茶にナカを掻き回して、ヒソカがまた胸の頂に唇を寄せる。  
親指が愛芯を捏ねくり回して、あたしを追い込む。  
そしてあたしはとうとう、声を上げてしまった。  
「うっ...あぁっ、あっ...やぁああっ」  
途端、ヒソカの笑みが深くなって、バラバラに動かしていた2本の指を、ピンッと奥まで伸ばした。  
「ぁぁああんっ」  
仰け反り、大量の愛液でヒソカの手を、お湯以外のもので濡らす。  
ヒソカは低く笑いながら、あたしのナカから指を引き抜くと、これ見よがしに、ソレを舐めて見せた。  
「ククク...♥ 潮吹いちゃったね♥ 気持ちヨカッたんだ?」  
何とか座ったままの状態で、あたしは息を整える。  
「...............」  
あたしは応えない。  
何を言っても無駄なら、もう何も言いたくない。  
我ながら、何とも幼稚な抵抗だと思う。  
「黙ってちゃ分からないよ♥ マチ♥」  
分からなくて良い。  
...これ以上何かされたら、自分が自分で無くなってしまう様な、そんな不安感があたしを覆う。  
ヒソカは応えないあたしを見て、やっぱり笑っている。  
出来る事なら、もうこの辺りで止めて欲しいところだけど、  
 
「仕方ないなぁ...じゃあココ、こんなにぬるぬるしてるから、シャワーで流してあげよう♥」  
 
この男にそんな事は通じる訳もない。  
 
「必要...ないっ! 余計なこと、し、ないで...っ!」  
流石にこれは、声を出して制止してしまう。  
何時の間にか、ヒソカはタイルに転がっていたシャワーを手に、水圧の調整をしていた。  
お湯の出る量と勢いが増したシャワーが、もくもくと湯気を上げて、あたしとヒソカの輪郭をぼやけさせた。  
 
「あっ...! あぁぁっ!あぅうっ」  
湯気で良く見えないけど、確実にヒソカは笑っている。  
シャワーのヘッド部分、強い勢いでお湯の出るそこを、あたしの秘部にぐっと押し付けた。  
「はっ...やぁあ...っあ」  
一度イってしまった身体に、この刺激はマズい。  
びくびくと身体を震わせて、腰をくねらせて、シャワーの勢いを殺そうとするけれど、こいつはそんな事を簡単に許す男じゃない。  
「♥」  
シャワーを押し付けながら、鼻歌混じりであたしのそんな痴態を見て愉しんでいる。  
「も...ゃめてぇ...ゆ、るして」  
懇願する。  
もうこれ以上ヤられたら、あたしはあたしじゃ無くなる。  
「...イヤだ♥ もっともっと乱れて見せてよ、マチ♥ ボクを感じて...♥」  
ーーーふざけるな。  
勝手な事ばかり言いやがって。  
羞恥の感情を上塗りするように、ふつふつと怒りが湧き上がる。  
ヒソカに対する怒りが、快感に酔う頭を叩いて、思考をクリアにしようと働く。  
「し、ね! ...ばか! へん、た、い...っ!」  
輪郭のはっきりしないヒソカを睨みつけて、あたしはまた低レベルな罵倒を吐くけど、これもまた逆効果だった。  
ヤツがまるで愛の言葉を囁かれたみたいに、嬉しそうに小さく感嘆の声を上げたから。  
「可愛いマチ...♥ 声、我慢しなくてイイんだよ? 此処にはボクとキミの二人しかいないんだ♥ それにボクはもう、我慢できないしね♥」  
「あっ...!?」  
シャワーをまたタイルの上に転がして、ヒソカは静かにあたしの上半身を押し倒した。  
「ばかばかっ...! 止めろ...!」  
 
膝を立てて、秘部を曝け出すように横たえられてしまった。  
ヒソカがそこに割り込んできて、あたしに覆い被さりながら、片手で愛芯をまた弄ぶ。  
親指でぐりぐりと押してみたり、軽く引っ掻く様に爪を立てて弾く。  
摘まんで引っ張って、それでも痛みより快感が勝る。  
「んぁっ...あぁっ...ゃだぁあ」  
首を振ってそう言うけれど、あたしの口から出るのは甘ったるい嬌声ばかりで、自分の声とは言え耳を塞ぎたくなった。  
「はぁ...マチ♥ 凄く可愛いよ♥ エッチなキミも可愛いかったけど、こうやって抵抗しながらも、ボクに良い様に弄ばれちゃうキミも...ゾクゾク為る程素敵だ...♥」  
ヒソカはまた意味の分からない事をほざきながら、あたしの身体を好き勝手に弄る。  
「ひっ...ぅん...や、め...て...!」  
「クククッ♥ ...あぁ、ほらもう...キミがあんまりにも可愛いから...ボクのコレ、こんなになっちゃったよ...♥」  
指じゃない、もっとずっと太くて熱いモノが、あたしの秘部を緩く撫で上げた。  
その感覚に、ぞくりと肌が泡立つ。  
「...マチ......♥ 挿れてもイイよね...? キミを...滅茶苦茶にしたいんだ...♥」  
ヒソカが顔を近づけてきた。  
霞んで見えていたヒソカの輪郭がはっきりと見えて、男にしては幾分か綺麗過ぎる程の顔を目で捉えた。  
息が荒いし、目が血走っている様にも見える。  
こんな状態じゃあ、あたしがいくら制止の言葉を投げても、聞く訳がないだろう。  
濡れた、顔に張り付いた髪の毛を、ヒソカが指で梳いてくる。  
もはやその行為だけでも、あたしの身体は卑しくも反応してしまうのだ。  
「イイだろ? ボク、キミの事が好きで好きで仕方ないんだよ♥ 愛してるんだ♥ イイよね?マチ♥...挿れるよ...♥」  
 
あたしの事が好き?  
愛してる??  
ーーーそれって、本当?  
アンタは何時も嘘を付くから、何が本当で嘘なのか、同じ変化系でもちっとも分からないんだよ。  
 
でも悔しい事に、その台詞が虚言であれ、本心だったとしても、今のあたしの理性を崩すのに、そう時間は掛からなかった。  
 
「あっ...はぁぁああっ!」  
「マ、チ...♥」  
散々弄られて、もうどろどろになっていたソコは、ヒソカのモノを易々と飲み込む。  
無意識のうちに、誘う様に腰を緩く動かして、ヒソカを受け入れていく。  
 
ーーーアンタさ、ヒソカの事、本当は好きなの?  
 
頭の何処かで、冷めた自分がぼんやりと問いかけてくる。  
 
昨晩の事だってそう。  
何でヒソカの所に行ったワケ?  
 
分からないわよ、そんな事。  
他人に嘘を付くヒソカと違って、あたしは自分の心に嘘を付く。  
だから、この問いかけにも、きちんとした答えを出せそうにない。  
それでも、今こうして抱かれている事に、幸福感を感じているのは確か。  
これは、信じられないけど嘘じゃない。  
それが良い事なのか、悪い事なのか、こんな状態じゃ考えていられない。  
...こんなヤツに抱かれて、幸せだなんて感じるんだもの。  
あたしも大概、変態なのかもしれないね。  
 
「やっぱり、イイね...♥ キミを、下から見上げるのも悪くないんだけど...こうして上から見た方が、キミの全てを見る事が出来る...♥」  
「あっ...ん...はぁあ...ひ、そか...」  
思わず名前を呼んで、ヒソカを見る。  
ヒソカは珍しく、ほんの少しだけ驚いた様に目を見開いて、あたしの声に応える。  
「ん? なあに? マチ...♥」  
「ね、ん、解いて...」  
「...イイよ♥」  
まさか解いてくれるとは思わなかったけど、ヤツは両手両足のバンジーガムを解いた。  
自由になった両手を、またまた信じられない事に、あたしはヒソカの首に回したりする。  
「マチ...♥」  
「............っはぁあ...」  
ヒソカの声に応えるのが億劫で、あたしはそれを無視して、ぎゅっとしがみついた。  
「動くよ...♥ キミが可愛い過ぎて...壊しちゃいそうだけど...!」  
ヒソカがゆるゆると出し入れを始める。  
ヒソカのモノは...はっきり言ってかなり大きい。  
...キツくて、熱い。  
「んっ...あ、ぁ、あぁっ」  
そしてそれ以上に感じる快感が、あたしの理性を吹き飛ばそうと、じわじわと這い上がってくる。  
 
「ぁ、あっ、あぁっ、あぅっ」  
「イイ、凄く可愛いよ...♥ マチ、ボクを見て...!」  
大きなストロークで、ヒソカは何度もあたしを揺さぶる。  
上壁を擦るソレは、指なんかとは比べ物に成らないぐらいの、絶大な快感を生み出していく。  
あたしの腰を掴んで、ヒソカはイイ所ばかり突いてくる。  
子宮口を叩かれて、耳元でヒソカがあたしに虚言とも本心ともつかない戯言を吐く。  
「マチ...♥ 好きだ、ボクを、見て?」  
涙が滲んで上手く顔が見れない。  
 
何となく、何だか知らない男に抱かれている様な、妙な錯覚に陥る。  
奇抜なあの髪型とフェイスペイントが無いし、ヒソカのこんなに苦し気な顔は見た事がなかった。  
快楽に酔った男の顔。  
眉を寄せて、あたしをジッと見ている。  
顔に髪の毛が張り付いていて、ヒソカが酷く艶めかしく見える。  
...今日のあたしは少しおかしい。  
まだ酒に酔っているのか...それとも、この目の前の男に酔っているのかーーーー。  
 
「んふ...ぅ...ん...んんっ」  
呼吸が上手く出来なくて、薄く口を開けて息をしていると、ヒソカがそこに口付ける。  
苦しいのに拒めない。  
舌を絡めてお互いの口腔を、夢中で舐め回す。  
唾液が混じり合って、口の端から零れ落ちる。  
何時もなら嫌悪するであろうソレを、あたしは鼻を鳴らして飲んだ。  
「マチ...気持ちイイよ...! はっ...好きだ、マチ...!」  
うわ言みたいに、そればっかりじゃないか、ヒソカ。  
肉と肉の擦れ合う音が、否が応でも興奮を高める。  
「あ、ぁっ、あ、や、ん、っん、も、だ、めぇえっ!」  
強く強く抱きしめられて、胸の突起が擦れる。  
早くなった律動に、置いて行かれそうになるから、あたしも強く抱きしめ返す。  
ヒソカのモノが、欲を吐き出す為により一層大きくなった。  
「ヒソ、カぁ...も、だめ、だめっ、やあぁぁあああっ!!」  
 
ごりごりとナカで動き回るヒソカのモノが、奥の方まで突き刺さって、あたしをあっという間に快楽のどん底に突き堕とすんだ。  
「っくぅ......マ、チ...!」  
その瞬間、一気に目の前が真っ白になって、ヒソカの剛直をありったけの力で締め付けた。  
うねる快感にヒソカも耐えられなかった様で、大きく息を吐きながら、またあたしのナカへとその白濁をぶちまけた。  
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
大きく息を吐いて、吸って。  
ボクは目眩がしそうな程甘ったるい余韻を貪る。  
ボクの見たかったマチの顔とは、頑なに拒み続けた快感の果てに、とうとう押し流されて崩れ堕ちる、蕩けきったあの目と表情だったんだ。  
酒の力じゃ無くって、ボクが引き出してこそ、これは意味があるから、とっても満足。  
ボクは名残惜しかったんだけど、マチのナカから剛直を引き抜いて、お湯を出し続けていたシャワーを手に取った。  
簡単にそれを浴びて、ボクはマチを抱き起こした。  
壁に凭れる様にしてマチを座らせると、ボクは軽く音を立ててキスを落とし、囁く。  
「ボク、先に出てるね♥ マチはゆっくりシャワー浴びなよ♥」  
ぼんやりと見開かれた目が、何処となく非難めいて見えたけど、気にしない。  
クスクスと笑いながら、ボクはバスルームを出た。  
 
身体を拭いて、新しい服に袖を通す。  
何時もの奇術師メイクと髪型で、道化のボクが出来上がる。  
しばらくしてからバスルームの方で、シャワーを使う音が聞こえてきた。  
それを聞きながら、ボクは他の団員の所在が気になり始めていた。  
まぁ、あんまり興味無いんだけど、流石にボクだけじゃ無くてマチまで居なければ、色々と言って来そうなものだし。  
思った以上にアジトは静かで、もしかしたら他の皆はもう各自の居場所に帰ってしまったのかもしれない。  
そんな事を考えながら、ボクはベッドに腰かけて、今日の予定を思い出していた。  
 
確か...もっと楽しい場所と、戦り甲斐のある人を探しに行くつもりだったんだっけ。  
その事をすっかり忘れてしまえる程、ボクはマチに夢中になっていたらしい。  
トランプを弄りながら、もう既に高く日が昇った外を見る。  
 
バスルームの扉が開いて、そこから何時ものつれないキミが出て来た。  
物凄く不機嫌そうに眉間に皺を寄せて、例のリボンで髪を結わえる。  
あの、ボクに縋り付いてきて、甘い声を上げるキミの姿なんて、そこからはちっとも想像出来ないね。  
「...他の皆はもう帰っちゃったみたいだね♥ キミもこれから帰るのかい?」  
さっき迄の行為については一切触れず、ボクは当たり障りの無い話題を振る。  
「...当たり前でしょ。 仕事終ったんだから。 それにこれ以上、アンタと一緒に居たく無いもの」  
マチもその話題には触れたくないのか、何も言わない。  
つん、とそっぽを向いて、マチはボクに近付こうともしない。  
「...キミさえ良ければ、美味しい食事でもご馳走しようかなって思ってたんだけど♥」  
「冗談。 そんな変な格好したヤツと並んで歩きたく無いし。第一あたしは......アンタなんて大っ嫌いなんだから」  
ふん、と鼻を鳴らして、踵を返してしまう。  
そう言い残して、マチは部屋を出て行ってしまった。  
「残念♥」  
 
ーーーーそれでも、  
じゃあ何であの時、ボクの名前を呼んだの?  
ボクに縋り付いたの?  
昨晩、どうしてボクの所へ来たんだい?  
 
「ククク...忘れてた♥ そう言えばキミも変化系だったね♥」  
 
変化系は気紛れで嘘つき。  
もしかして、大っ嫌いって言うのは嘘だったりする?  
でも、昨晩ボクの所へ来たのと、さっき迄の行為は、唯の気紛れだったのかなーーー?  
 
「やっぱりイイよ、キミは♥」  
 
掴めそうで掴めない。  
ふわふわとしたこの不安定さが...何だかとっても心地良いじゃないか。  
 
ねぇ、キミはどう思う? マチ。  
 

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