「ぁっ…あはぁっ…」  
洞窟の中では僅かな音でも響いてしまう。  
粘液が跳ねるような音、鈴の音のような、甘えたような喘ぎ声。  
歓喜に満ちたその声の主の下腹部には、組み敷いてかれている少年の痛いほど張り詰めた肉棒が埋まっ 
ていた。  
「ッ…ぅ…」  
「っはぁ…きもちイイ…?」  
少年の胸板に小さな手が愛撫するように這う。  
頭についた猫の耳以外、おおまかなところは人間の少女と変わらない、"蟲"。  
その細い体を反らせて、口からだらしなく唾をたらしながら、蟲は性交の快感を味わっている。  
「僕も…ぁぅ…僕も…き、もちぃ…いぃっ!」  
腰の動きがさらにエスカレートしていき、蟲にも、少年にも耐え難い快楽がいきわたる。  
普通の人間となんらかわりない女性器に深く突き刺さった肉棒は、生暖かい柔肉による愛撫に限界が近 
づいていた。  
我慢が行き渡らない男としての自分の身体を恨んだ。  
「く…ぅっ…」  
くちゅっ、と音がして、腰が落とされたままとまる。  
果てたのか、と少年は顔をあげれば、眼前に猫独特の金色の瞳があった。  
見惚れてしまう程綺麗な顔がくすりと笑う。少年は眼がそらせなかった。  
「ぁ…きもちよくならなきゃ、だめだよ…」  
上気した肌が一層の色気をあおり、唇がふさがれることへの抵抗が一瞬遅れる。  
深く甘い口付けに、慣れている筈なのに少年はすぐに酔ってしまった。  
「ん…んん…んふ…ぅ」  
猫のように、僅かにざらついた生暖かい舌が少年の舌に絡んでくる。  
唾液がまるで蜜のような甘さを持ち、口の中に流れ込んでくるものにも舌の動きにも少年は抵抗を示さ 
ず、自分から舌を絡めはじめる。僅かに自分の腰が疼いているのを感じて。  
媚薬作用のあるものなのだろうか、唇が離れると、少年の頭はもやがかかったように虚ろになっている。  
目の前の"蟲"を欲望が突き動かすままに思い切り組み敷いた。  
口許にはまだ、少年と蟲の唾液をたらしたまま、少年は今度は自分から蟲の口にしゃぶりつく。  
「んっ…ふぅ…んむ…」  
 
その猫目を細め、涙に滲ませ、頬を上気させ、その唇を貪るように嬲る蟲。  
唾液を求めるように少年は舌を動かしながら、黒い蟲の上着を開き、その手で小さな胸を揉む。  
「ッん…くぅ…にゃ…ぁふ…っ」  
それに敏感な反応を見せ、桃色の乳首に指が擦られるととりわけ敏感な反応を示す。  
唇を離すと、止まっていた腰を耐え切れないとばかりに少年はぶつけるように動かし始める。  
「ひぁあっ!あぁっ、ンにゃぁあっ…ぁぁあっ」  
快感に気をやってしまったのか、悦に浸った表情で喘ぐ蟲。  
それを見た興奮と身体に渦巻く薬の作用が、腰の動きを強くしていく。  
心の奥では駄目だと叫んでいるのに、少年はからだを動かすことを止めない。  
「―――ぁっ!ぼく…僕ッ…なん、か…ぁぅっ…くるっ」  
その身体を起こして少年に抱きつくと、蟲もひかえめに腰を動かし始めた。  
痛いほど張り詰めた肉棒が強くしめつけられはしめ、少年にも限界が近づく。  
「ッ…ぁ、ん…ぅにゃぁぁあぁっ、あぁっ!」  
甲高い声が洞窟の小部屋に強く鳴り響いて、蟲は達したのかぐったりと少年に身体を預けた。  
絶頂の際に強くしめつけられた肉棒も限界を超え、びくびくと震えながら、少年は蟲の体内に白濁を注 
ぎ込む。  
「はぁ…はぁ…ッ」  
まだ自分の肉棒が脈打ってはいるが、理性が何とか働き始めてきた少年は、動く指先で何かをしようと 
した。  
今、念で撃てばこいつを殺せるだろうか。それとも、あっけなく殺されてしまうのか。  
捕食される側になった自分、何が出来るのかと少年は頭の中でぐるぐると思考を巡らせる。  
だが、身体の中で何かうごめくものがある。それは色を取り戻してきた思考を一気に真っ白に染め上げ 
た。  
「はン…だめ、まだぁ…ぁんっ」  
薬の効果か、もともとそれほどの体力を持っていたのか、達しても衰えない肉棒を突っ込んだままだっ 
た少年は、再びその腰の動きを再開し、胸の頂に唇を寄せた。  
――――――――捕食される側になった、自分。  
「ぁっ…にゃぅ…また、ぁっ…気持ちぃい…ッ」  
目の前で死んでいった仲間。そして希望を託したポンズに。  
謝罪の言葉を投げる事も出来ないまま、ただ夢中に快楽を貪る。  
――――――――捕食される、側に―――――  
 
終  

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