ギッ....ギッ..ギッ..  
 
真っ暗な部屋の中、ソファーの軋む音が冷え乾いた室内にやけに大きく響く様な気がした。  
 
『...ぁ...あ....』  
女の生暖かい息は白く、前後に揺れる肢体を森田鉄雄は後ろから眺めていた。  
『....くん、...もり..たくん....イヤ』  
 
女、田中沙織は動きに身を任せながらも哀願した。  
『お風呂にもはいって...ないのに...ぁはぁっ...いき...なり..ぅうん』  
 
沙織は下着とパンストを脱がされただけの状態でスカートをたくしあげられ、後ろからの森田の動きに次第に快楽を感じて行く。  
動きが早くなるにつれ、ふっ...ふっ..と短い息が漏れる。  
 
 
もう何日目連続だろうか。沙織は看護婦で夜勤から帰ってくる事もしばしばだ。  
森田鉄雄は、深夜に帰宅した同居人の沙織を帰って来るやいなやソファーに押し倒していた。  
 
 
ーーもうどれくらい経った?ーーー  
森田自身も、怠惰なこの一瞬を繰り返して今もここにいる。  
 
 
激しい蠕動の末、森田は自らの欲を放出した。  
森田の欲望は白濁した液体となり、沙織の尻やソファーにねっちゃりとまとわりついた。  
 
 
先程まで渇望していたはずの目の前の柔らかい躰はただの同居人、田中沙織に戻っていた。  
『はぁ....はぁ...』  
『んもぅ!!』  
沙織はソファーの手すりに寄りかかり、ヒクヒクと震える余韻に浸りながら森田を睨み付ける。  
 
『森田くん、何なのよ!最近毎日こうよ!帰って来るなり...乱暴なんだから!!』  
ピンクに上気した顔に苛立ちを見せながら沙織はゆっくり起き上がった。  
『ちょ...やだぁソファーにまで....森田くん?聞いてるの?!森田くん!』  
 
森田は腰のダルさを抱えながらゆっくりと立ち上がり『すまん...』と一言言うと煙草に火をつけた。  
 
 
沙織と森田はいわゆる恋人同士ではない。  
血生臭い神威家相続事件後、重症を追った森田を介抱しながら住所不定無職の彼を何となく一緒に住まわせている、ただの同居人だ。  
とは言っても、森田には普通の成人男性をはるかに上回る資産もあるのだがその事は沙織には言っていない。  
 
金に関してかなり割り切った考え方を持つ沙織の事だから、教えればまた何かと面倒になりそうだからだ。  
 
『ふぁぁ...私お風呂入るからね』  
沙織はそう言うとバスルームの方に消えた。  
 
割り切った性格の彼女は森田と肉体的な関係を持つ事にもさして気にはしていないようだ。  
むしろ楽しんでいる様にも思える。  
 
 
沙織は風呂が長い。  
女はこんなに風呂が長いのかと森田は沙織の居候になって初めて知った。何だかむしゃくしゃしてタバコの火を消してコートを羽織ると、森田は静かに外へ出た。  
 
 
冬の夜のツンとした空気が鼻を刺激する。こんな時、森田は少しずつ自分の五感が戻っていることを自覚する。  
以前は脳の全てがアドレナリンが支配していた。駆け引き、戦略、裏を読み.....  
 
 
思い出してかぶりを降った。もう終わった事だ。自分は金ではなくただの鉄だったのだと、もう何回も何百回も閉じ込めた。なのにこうも後悔に似た想いが自分を蝕む。  
もううんざりだ。  
 
そう言えばあの一件以降も、沙織はまだ看護婦をしている。身から出した錆とは言え、彼女だって拳銃で撃たれ命をなくしかけた程の重症を負ったのにもかかわらず、給料が良いとか何とかで再び働き始めたのだ。  
全く女ってやつは本当に金に正直だ。  
 
騒がしい繁華街の夜、一人でただただ歩いた。  
どこかで一杯飲んで行こうかとそれらしい店を探した。街には水商売の引き込みやら、酔っぱらいの叫び声やらで騒がしく森田は一層イライラしてきた。  
 
 
ふと目の前から歩いてくる若者グループに見知った顔を見つけた。  
『(伊藤美緒)』  
ポーカー勝負の時に依頼を任された大学生だ。  
見た目は清純そうなのだが、最近の大学生は今一つ頭が宙に浮いている  
 
 
『(忘れたい...あの時の自分は...)』  
下を向いて通りすぎようとした。色々面倒くさい。  
が、通りすぎた後数秒してからいきなり袖を引っ張られた。  
 
『森田くん...?!森田くんだよね??』  
 
森田はうんざりと振り替えるしかなかった  
 
 
『おーい!美緒ちゃん何してンの〜?!』  
 
 
遠巻きで美緒の連れらしき団体が声をかける。  
各々出来上がっている様子だ。  
美緒はおどおどと森田に耳打ちした。  
 
『(...あのね、コンパだったんだけど...しつこく言い寄られてて、困ってるの〃)森田くん、適当に話合わせてくれない...?お願い』  
 
お願い、と目の前で手を合わせて森田を上目遣いで見る。  
 
『美緒ちゃ〜ん??!』  
『あっ...やだこっち来ちゃう!!お願い森田くん!』  
『え!??あ....』  
答えるが早いか美緒は森田の腕に自分の腕を回し、声色を変えて近付いて来た男に微笑んだ。  
 
『ごめんなさ〜い彼が迎えに来たみた〜い!私ここで失礼しまぁすフ....行こっ森田くん!!』  
『(え!?おいっ!!ちょっとどこへ!!?)』  
 
引きずられるまま、森田は美緒が止めたタクシーに乗らされてしまった。『え〜?!?美緒ちゃんそんな!!だって彼氏いないって...』  
『ごめんなさぁいフフ』  
 
何が何だか解らないまま混乱する森田を尻目に美緒は自分のマンションを運転手に告げてタクシーは走り出した。  
 
『(おいおい...勘弁してくれよ...)』  
横目で美緒にジロリと視線を送ると彼女はうつ向いて森田と目を合わそうとしない。  
 
はぁー....  
森田は頭を抱えて、もうなすがままに半分やけになった。  
『(面倒くせえよ)』  
 
 
 
数十分走った後、美緒の小さなマンションに到着した。  
 
『美緒さん...じゃあ俺はこれで...』  
『待って』  
森田の言葉を遮り、美緒は森田の袖をギュッとつまんだ。  
潤んだ瞳で森田を見上げ、緊張しながら声を細々と絞り出して呟いた。  
 
『寄っていって...お茶だすから....』  
沈黙が数秒ながれた。  
『お願い』  
『美緒さん...』  
『お願いっ...!!!』  
 
森田は頭を垂れると、美緒と共にタクシーを降りた。  
 
美緒の部屋は小さく、こじんまりとしていた。  
ファンシーな小物やら家具やらが簡素に並んだ大学生の女の子らしい部屋だ。  
 
美緒はあのポーカー勝負の後、少なからず(とは言え大学生にとっては大金)報酬を受け取り、裕福だとは思う。  
沙織の2DKの部屋に比べれば質素な印象を受ける。  
 
『あの時の金は?』  
森田が不躾に質問をすると美緒はキッチンから答えた。  
 
『うん...貯金した。将来の為に..結婚資金とか』貯金など、銀行の裏事情を知っている森田からすれば馬鹿げた回答だが。  
『ほら、私あんまりお金持っててもまた遊びに使っちゃうし...だから真面目に』  
マグカップを手に森田の横にちょこんと座る。  
 
『ありがとう』  
温かいコーヒーは甘かった。  
 
しばらくの沈黙の後、美緒は森田の袖を引っ張り話始めた。  
 
『あの...森田くんは仕事どうなの?忙しいって...』  
 
仕事....  
再び森田の胸がぐっと詰まる。あの時の銀次の顔や安岡や巽や...  
 
『仕事は...辞めた』  
『え...??』  
『辞めたんだ、もう』  
 
 
その瞬間、ぱぁっと美緒の顔が明るくなり色がさしたような気がした。  
何かを期待するような...そんな...  
 
『森田くんっ....あの...あのね、私....』  
美緒が咳を切ったように早口に喋り始めた。  
『あれから私...どんなお金持ちの人も素敵な人も...駄目だったの。森田くんみたいなギラギラした人...他にいなかった...あの...その...忘れられなかったの..!!』  
 
 
森田の頭の中でふいに安岡の言葉が流れた  
 
(女ってのはいざとなりゃ........)  
 
『もし良かったら...私とっ....!!!んん?!』瞬間、森田は美緒の唇を塞いでいた。  
また、一瞬の怠惰にこの苛立ちをぶつけるように  
 
美緒の華奢な体をベッドに押し付けながら、唇を滑らかに擦り合わす。  
 
甘い砂糖の味の柔らかい唇の間に舌をねじ込み、口内に侵入すると美緒は容易くそれに応じた。  
 
『ん...んん..ふぁ...』  
美緒が感じ初めているのを確認してセーターの下に手を滑りこませる。  
小さな膨らみの固い突起に触れた。  
コリコリと指で弄ぶと、美緒が切なく喜ぶ。  
 
『あぁ...森田くん嬉しい...あぁん』  
身を捩りながら森田を求めた。  
そのままベッドに持ち上げると、半場強引にスカートの中に指を差し込んだ。  
ビクッと一瞬身震いしたが、指は簡単にヌルリと中に入った。  
 
そのままクチュクチュとかき回し、クリトリスの方へと滑らせた。  
『ひゃぁっ...あぁん...いゃ森田くん...』  
 
美緒の中はすでにグチュッ...グチュッ...と熟しきってひくひくと痙攣を始めている。男を求めるそこは今にもとろけそうだ。  
 
 
森田は乱暴にズボンのベルトを外し、下着ごと脱ぎ捨てた。  
先程精子を飛ばしたはずの森田のそれは太くいきり立って熱を持った。  
 
『あ....森田くん...すごい』  
美緒の入り口にそれをあてがい、一気に突き上げた。  
『あああぁぁ!!あっあっ..あっ...』  
 
美緒の腰を持ってひたすらかき回した。  
厚い肉の壁が森田を快楽にいざなう。  
 
『うぅっ...はぁ.....』森田の限界が近くなり、美緒も乱れて脚を思い切り広げながら快感の揺れに身を任せた。  
 
 
こんな時....沙織は滅多に声を上げない。  
ただ静かに波を楽しむ。  
美緒は淫らに涎を流して声を上げていた。  
 
沙織なら.....  
 
 
ピピピピピピ  
 
 
暑い空間の中、電子音が響いた。  
 
ピピピピピピッ  
 
『.......!?』  
『....森田くん..?』  
 
思い出した。  
それは沙織から持たされたポケベルだった。  
森田は一度もそれを使った事がないのでポケットに入ったまま忘れていた。  
 
『........』  
沈黙が流れ、熱が一気に退いて行く。森田のモノは美緒の中で使い物にならなくなってしまったのだった。  
『.......すまん』  
 
泣きそうな美緒の顔を、一瞥するとあっと言う間に侘しい現実に戻る。  
しょせん一瞬の瞬きなどこの程度で、脳がアドレナリンを出し続ける事はない。  
 
 
『.....行って』  
美緒が体を丸めて小さく言った。  
『お願い、もう帰ってよ....』  
 
先程の熱が嘘の様に全て無に帰る。  
森田は立ち上がると服をまとめて、美緒を背中に静かに立ち去る。  
 
振り向きなど出来はしない。可哀想とかそんなものではなく、ただ虚無感が襲った。  
後ろで美緒の嗚咽が聞こえた様な気がしたが、気のせいにした。  
どうせ優しさなどはこの期に及んで意識する意味などないから。  
 
 
サキニネル オヤスミ  
 
 
沙織からのメッセージはそれだけだった。  
森田はあと引く悪さに胸がまた塞がれた。美緒とセックスした事よりも自分の行動の安直さにだ。『もうどれぐらい経つ....』独り言はいつも自問自答だった。最も答えなど思いつかないが。  
 
 
沙織のマンションに到着すると合鍵を使い中に入....ろうとしたが、ドアには鍵がかかっていなかった。先程のメッセージから一時間近く経っているはずで、沙織はもう寝ていると思っていたが。ダイニングからは細い光が漏れていた。  
 
 
『...沙織さん?』  
森田が後ろから声をかけると沙織は据わった目を森田に向けた。  
机には缶ビールが数本空いていた。普段はそんなに家で飲んだりしない彼女だけに森田は心配になった。  
 
『ぉそいわねぇ〜..どこ..行ってたのよう』  
『沙織さん...飲み過ぎじゃないか?』  
『あんたが遅いから一人で飲んれんでしょ〜』  
 
 
ふらふらと立ち上がり森田にしなだれかかる。  
 
『いや...だって先に寝るって...』  
『見たんなら返信しなさいよぉ〜酔っぱらっちゃったじゃないのよぅ』  
 
 
細い身体にぴったりと張り付いたシャツ、豊満な胸もその頭に付いてる乳首もくっきりとうつしだしている。  
 
『まさか待ってたとか』  
『待つわよ!バカじゃないのぉ』  
そのまま森田にしなだれかかり気を失ってしまった。  
『おいおい全く...』  
女と言うものは訳がわからない。待てと言ったり、待ってたとか言ったり、利用しているつもりでされていたり...  
 
森田はそのまま沙織をかかえて寝室に運んだ。  
胸の感触を楽しみながら乳首を吸った。泥酔の沙織が起きるはずもなかったが  
 
 

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