今日も待つ。  
きっと来る...美心はカイジ君が大好き。  
パパが連れて来た時から一目見て好きになっちゃった(><)奥手なところ、優しいところ、背が高いところ、頼りないところも全部好き。  
気が付けば、カイジ君の事をいつも考えてるの....。  
 
あぁ神様...  
 
ずっとずーっとカイジ君が家にいてくれますように...  
 
 
 
 
 
*****  
ガチャン...  
キ〜......  
 
時間は真夜中2時を回り、坂崎邸宅は真っ暗になる。  
同じ屋根の下に住む若い男女が二人、夜の逢瀬を重ねる時間。それは秘密の時間。  
 
 
『み...美心さん?』  
声をひそめてカイジは部屋の鍵を閉めた。  
 
『カイジ君...』  
美心はドキドキしながらいつもの様に彼を招き入れる。  
 
『パパは寝た?』  
『あ...うん、寝た寝た』  
 
 
ぎこちなさは何度来てもなおらない。  
そんなカイジを一層愛しく思う美心。  
 
 
『美心、新しい下着買ったんだゾ♪』  
恥ずかしそうにカイジに抱きつく。  
『あ...うん、そうなの?』  
 
 
辿々しくカイジは美心とベッドに向かった。もう何度目かになる。初めて誘ったのは美心の方からだった。  
カイジ自身、別に美心に特別な感情がある訳ではない。  
ただ、一度体をまじ合わせれば癖になってしまったこの夜の伽。二日に一度はカイジはこうして訪れる。怠惰の重ね塗りのような、この秘密の時間は少しばかりは刺激になった。  
 
(おっちゃんにバレたら殺される)  
その自覚の元だが、カイジももて余した性欲に流された。  
 
 
しかし、美心はカイジに抱かれる度にすっかりと心身共にカイジにのめり込んで行く...夢も見る。  
美心の中で、カイジはすっかり恋人の地位を確立させてしまっている。  
 
 
それでも止められなかった...カイジはどんどん堕ちていく。自ら首を占めている事も承知だった  
 
 
美心はカイジの手を引いてベッドに誘導した。  
 
 
『じゃーん♪』  
パジャマを脱ぐと可愛らしいフリルがついた下着が華やかに美心の肢体を覆っていた。  
 
程よく肉付きの良い体。くびれのある腰。白い身体から出る細い足はスタイルが良いと言える、ピチピチとした若さが溢れていた。  
 
カイジは目を丸くして美心をベッドに押し倒した。  
 
『もう♪カイジ君たら><〃焦っちゃダメだゾ☆美心は逃げないんだから』  
 
『み...美心さん...いい?』  
 
 
カイジは急いで自分のズボンとトランクスを一緒に脱ぎ捨ててシャツ一枚になった。  
 
『(カイジ君...いつも上着たまんまなの....ワイルドで素敵☆』  
 
ぞんざいなカイジのセックスにも美心は心踊る。  
 
 
はぁ...はぁ...  
 
カイジは美心のブラジャーを上にたくしあげると、胸を揉みしだきながら自分のものをしごき始めた。  
 
う....う...う  
 
 
カイジはいつも自分で起たせる。  
美心の体を愛撫するような事はあまりない。視界に入るもので興奮させるのだった....正直に言うと、美心の顔はあまり見ない。ただ、昇り来る快楽を促す為に美心の身体を利用する。  
 
 
『(カイジ君の顔...すごく可愛い〃声も切なくて)』  
 
美心...それ見てるとすごくエッチになっちゃうんだゾ...  
 
 
『カイジ君、見て。美心の体。すごくエッチなの...』  
そう言って美心は自分で胸の蕾をいじる。舐めて欲しい...もっと、もっと。カイジ君に触って欲しいよ...カイジ君大好き。大好きだよ。  
 
 
『あっ...』  
 
カイジが美心の足を開いて中心に充分勃起したものをあてがった。  
『ん....んん〜』  
 
ゆっくりと腰を前後にスライドさせて侵入する。  
ぬっちゅ...と粘膜が包み込む感覚がカイジの理性を吹き飛ばす。  
 
『あはっん...カイジくぅん...』  
 
美心はこの瞬間が一番好き...カイジ君と美心が一つになれるこの瞬間が幸せ。  
 
カイジ君の顔は見えない....見たいよ、カイジ君。もっと、もっと....  
 
美心の中に全て入ると、カイジは下から美心を見上げた。  
 
『カイジ君...』  
 
切なそうな、苦しそうな、それでいて求めるような...  
カイジ君...可愛い  
 
 
『んん...あぁ...』カイジが唸ると美心はカイジの首に腕を回す。間髪入れずカイジは腰をピストンさせる。  
 
はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ....  
美心にとって初めてのセックスは、雑誌や漫画で見るようなものとは違っていた。周りの友達が経験を済ましていく度にすごく羨ましかった。なんだかその子達がキラキラして見えた。  
愛し愛されるセックスに年頃の女の子らしく憧れていた。  
 
美心も...もう大人だもん。  
カイジ君ってすごく大人っぽくて...何だかワイルドなの。  
経験豊富って言うか、でも可愛くて。優しー...カイジ君、美心の事、好きだよね?だからこうしてエッチするんだもん  
 
 
でも、雑誌とかでよく聞くイクって言うの?まだ解んないよ  
 
美心のオマタに擦れて、カイジ君が切ない声を出して...  
 
 
カイジ君はあっと言う間に『うっっ..!!』て言って、美心のお腹に暖かくて白いのを出すの。  
それでおしまい。  
エッチって思ったよりも気持ちよくないな〜て言うのが正直な感想かな。  
 
カイジ君はしばらく放心する。気持ちいいのかな?  
 
『ごめん...美心さんティッシュ』  
 
いつもティッシュで美心のお腹ふいてくれる、優しーカイジ君。  
 
終わったらカイジ君はすぐ部屋を出てく。パパに見つかると大変だもんね><〃悪いことしてるみたいで、ドキドキする...  
 
『ごめん美心さん...ごめん』  
謝らないで。  
何だか美心、寂しい気持ちになっちゃうの。こんなに愛されてるのに...  
 
 
カイジ君、また明日も来てくれるよね?  
 
 
2月×日  
 
今日はカイジ君と久しぶりのお外デートだぞ♪  
美心張り切ってお弁当作っちゃった><〃えへ、実はママにも手伝ってもらったんだけど。  
 
カイジ君っていつも家に閉じこもりがちだからたまには外に行かないと。  
 
 
美心とカイジ君はもう心も身体も(きゃ☆)繋がってるのに、カイジ君はよそよそしい。とっても恥ずかしがり屋さんなんだよね...  
 
 
デートした後、美心思い切ってホテルに誘っちゃった><〃☆『俺初めて入るし金もない』とか言ってたけど  
 
カイジ君可愛いー☆だから美心、頑張って沢山サービスして上げたんだゾ  
 
 
========  
 
『ん...カイジ君、気持ちイイ?』  
 
大きなセミダブルベッドで美心はカイジのものを口に含み愛撫していた。  
カイジの脚の間に入って小さくなって、一生懸命に奉仕する。  
 
 
『(ぅ....ヤバい、ヤバいって!!!)』  
 
カイジは生まれて初めて受ける女からの奉仕に頭が真っ白になった。  
これ以上はヤバい。飛びそうになる意識を必死で抑え込み、言葉にならない声を出した。  
 
『んあ....っあ』  
 
じんわり伝わる熱とざらざらした舌の感謝は、カイジの欲望を限りなく攻め立てる。  
美心はうっとりとその様子を観察した。まるでカイジが自分のものになったように、独占欲が湧く。  
 
『(インターネットでエッチな動画沢山見たんだもん..)』  
 
『カイジ君...ぎゅってして...美心を全部』  
 
起き上がってカイジの正面にまたがり。二人は向かい合わせに座った状態で接合した。  
 
カイジ君の胸、たくましい...。  
こうやって胸に顔を埋めたかった。  
いつもカイジは上の服を着たままで...素肌を合わせる事をなんとなく拒否していた。  
 
『(でも...今日はお家じゃないから大丈夫なんだぞ☆)』  
美心はカイジのシャツの下から手を差し込んでそのまま上に持ち上げた。  
 
 
『あっ!!ちょ...』  
『はい♪ばんざ〜い』  
 
半場力づくでシャツを抜き取ると、カイジの上半身があらわになる。  
 
『(素敵...)』  
美心はうっとりと身体をカイジに委ねた  
 
美心、ちょっとびっくりしちゃった。  
カイジ君の腕に『21』っていう跡がくっきりあったの。  
これ番号?  
まるで馬とか牛みたい。でもそれも何だかワイルドで...ついじっと見ちゃった。何の跡だろう  
 
 
カイジははぁっと溜め息をついた。  
先程まで込み上げた欲望が静かに現実に戻っていった。  
美心は相変わらずうっとりと自分を見ているが...何となく後ろめたくなった。  
『(なにやってんだ、俺...)』  
 
 
『ごめん、美心さん...』  
『え?』  
『帰ろう。おっちゃんが心配するから』  
 
もーー><!!  
いいところだったのに!!カイジ君って優しいけど女ゴコロが解ってない。パパなんて無視しちゃえばいいのに、律儀に心配なんかしちゃって...優しすぎるよ  
 
 
『...じゃあキスして』  
『へ??』  
『キスしてくれたら帰る』  
 
 
カイジは頭を抱えたが、仕方なく軽く口付けた。  
限りなく、軽く一瞬だったがそれでも美心は嬉しそうに顔をキラキラさせた。  
それが一層、カイジの心を重たくさせる。  
 
『ごめん....』  
 
 
また謝った...  
どうしていつも謝るの?美心はこんなに幸せなのに  
 
 
あぁ神様。  
美心はずっとカイジ君と一緒にいたいです。働かなくても、お金がなくても、優しーカイジ君が大好きなんです...  
 
 
『ごめん...ごめんな美心さん』  
 
 
もう!!それはやめてよ><  
 
それは突然だった。  
 
その夜、帰ってきたらやっぱりパパに叱られた。  
『遅い!!遅すぎる!!』  
 
べ〜だ。美心とカイジ君は二人だけの秘密があるんだぞ><うるさいパパになんか教えてあげないもん。  
でもカイジ君はパパに呼び出されてお説教...ごめんね☆愛に障害はつきものだよね♪  
 
 
 
でもその日、何となく嫌な予感がした。  
家の前に変な人が来て追っ払ってくるって言ったっきり、カイジ君は戻って来ない。心配になって、美心探しにいかなきゃ><て思ったの。なんだか怖そうな人達だったし  
 
 
そ〜っと部屋を出て玄関に向かおうと階段を降りたら.....  
サイアク。パパが仁王立ちで待ってた。  
『どこへ行くんだ、美心』  
『ちょ...ちょっとコンビニに...』  
『駄目だ。こんな時間から外へでるなんて。』  
『まだ9時半じゃない。明るいから平気よ〜』  
『駄目だ!!見ただろう?さっきの怪しい奴らがまだ近くにいるかもしれない.....まさかお前...あいつを探しに行こうとか思ってるんじゃないだろうな』  
 
ぎくっ...でも...そうだもん。心配なんだもん。  
 
『そうよ、カイジ君の事心配だからちょっと見てくる』  
『駄目だ!!!!』  
 
 
なにこれ...パパまじで怒ってるみたいなんだけど。  
 
『美心....カイジ君は駄目だ』  
 
!!!  
 
『な...なによ!!いきなり。パパには関係ないでしょう....美心..カイジ君が好きなんだもん!!!』  
 
『駄目だ。』  
『駄目ってなによ!パパの恩人だって言ってたじゃない!!!』  
『でも駄目だ。』  
 
繰り返される押し問答に美心はイライラした。  
 
『第一、仕事もまともに出来い男なんか論外だぞ。父さんは反対だ』  
 
坂崎は諭すように美心に話始める。  
 
『そりゃあアイツはいい奴だ。男気もあるし情もある。父さんの恩人だ。』  
『じゃあどうしてっ...』  
『アイツに美心を幸せにする力は無い』  
 
キッパリ言い放った坂崎に、美心は憎悪した。解ってない。パパは何にも解ってない。  
 
『パパだって...パパだってフラフラしてたじゃない!!!ママや美心の事を放っといて毎日パチンコばっかり...っ!?!』  
 
パァンっと乾いた音がした。坂崎の平手打ちが美心の頬に直撃した  
 
訳が解らず、美心は目を白黒させた。  
かぁっと熱くなる頬からじんじんと痛みがこもる。  
『パパ...』  
涙がじわっと溢れた。初めて父が自分に手を挙げた。ショックで言葉を失う。  
 
『カイジ君はもう戻って来ない』  
 
え.....?  
『この家には帰らない。俺も連絡はしない。もう終わりなんだ彼とは終わり。勿論美心にも連絡するなと言った』  
 
 
ひどい....  
 
『解ったら部屋に戻りなさい美心。解ったな?』  
 
へにゃり、と美心はその場に崩れた。  
意味が解らない。  
どうして?  
どうして?どうして?  
 
『カイジ..君....』  
ボロ...ボロ..ボロ  
カイジ君...ボロボロ...カイジ君、カイジ君、カイジ君...  
 
そのまま床に突っ伏して泣き叫んだ。  
『うわぁぁん..うわぁぁぁっ..ぐっぐっ...ガイジ、ぐぅん...ふぇぇん』  
 
どうしてなの?  
美心幸せなのに。  
『うっぅっ...カイジくぅん..』  
 
あんなに幸せだったのに。これでいなくなっちゃうの?  
カイジ君、嫌だよう...帰って来てよぉ。  
次は映画行くって言ったじゃない。  
美心の焼いたケーキも食べてくれるっていったじゃない。  
 
優しー...すごく優しー...優しすぎて....痛いよぅ  
 
 
カイジ君、いなくならないで...大好きなのに!!本当に、本当に大好きなのに!!!  
 
美心はその場にしばらく動けなくなった  
 
まさかの話にカイジは躊躇していた。  
まさかの元45組の三好と前田からの儲け話に少し眉唾ながらも、心臓はすでに脈打っていた。  
 
 
この鼓動、この焦燥...久しぶりだった。ダラダラと毎日を怠惰に過ごす、この無機質な時間で初めて自分を取り戻した気がした...なぜ気付かなかったのか。  
血が体に通う気がした。やはり自分にはこれしかないのだと..やれ。やるんだ。  
覚醒しろ。  
 
 
『300万、なら...』  
 
我ながらなんと下世話な話だ。思い切りつっぱねといたものを、ギャンブルの為に資金を改めて貰いに行くなどと...今まで良くしてくれていた坂崎に。  
でもやるしかない。貰わなきゃ、生きない。俺が俺に息を吹き込んでやる  
 
 
坂崎は玄関で待っていた。呆れたようになにか物悲しく、カイジに300万(おっちゃん曰く美心の手切れ金)を受け渡した。  
 
カイジは上にある美心の部屋を見上げた。虚無に怠惰に、ただ美心をもてあそんだ。優しさなど、それらの罪悪感からだ。  
 
『(ごめん..美心さんごめんな)』  
美心は良い子だ。  
顔は...まぁともかく性格は素直で明るくて。  
 
 
ガラっ!!!  
ふいに美心の部屋の窓が開いた。  
『!!!』  
『.....っ!?』  
美心だ。美心が身を乗り出してこっちを見ている。なにかを訴えるような目で。後ろめたい...とてつもなく。いたたまれない。  
急に美心が窓から体を出した。そのまま何を思ったか、屋根づたいにソロソロと降りてきた。  
 
『(あ?!!馬っ鹿!!あっぶね〜よ何やってんだよ!!!)』  
 
しーっと指を口に手を当てて静かに、と顔で訴えながらゆっくりと屋根を伝う。『....あぁ〜もぅ...くそ!!!』カイジはいてもたってもいられなくなり、塀をつたって家の裏庭に回りこんだ。  
『(美心さん!!)』  
屋根に手を伸ばしたまま足をバタつかせている美心の腰をつかんでそのままドスンと土に倒れこんだ。  
『危ないよっ美心さん...』声を潜ませて美心を助け起こす。『カ..カイジくぅん』美心はそのままカイジに抱き付いた。  
『嘘だよね?..いなくなっちゃうなんて』  
....  
心にズドンとまたしても重りが乗った。せっかく取り戻した感覚なのにまた萎れていく。  
『...本当だよ。俺、消えるから、ごめん。』カイジは溜め息をついた  
 
『おっちゃんから話聞いただろ?俺はここにいちゃいけない』  
『嫌だ..嫌だよぅ』『美心さん』  
カイジは美心を体から離して突き放した。  
 
『終わりなんだ。坂崎家と俺は。終わりにする。だからもう会わない』  
 
美心は再びボロボロと涙をひとしきり流した。そして悟った。カイジは自分とは違う世界で生きていくのだと。この夢の様な毎日は彼にとって上部のゆらゆらした地の無い生活なのだ...きっと。自分の存在も  
 
 
『....て』  
『え??』  
『キスして...最後。本当に最後だから。』  
 
つい数時間前とは違う気持ち。もうカイジには会えない。理解した後の本当の気持ち。  
 
カイジは困った顔でうつむいた後、美心の頭を手で引き寄せて口付けをした。  
少し、長く...  
『さよなら、美心さん』  
美心にとってはそれが訣別の言葉だった。  
 
カイジ君...さよならなんだね。  
美心、フられちゃった。ちゃんとフラれて...美心、嬉しいゾ  
 
さよなら、さよなら。さようなら。  
カイジは振り返らず闇の中に消えて言った。美心は見えなくなるまで背中を見つめていた。  
 
 
部屋に戻ると、ラジオを着けた。化粧を落として、下着だけになってベッドに倒れこんだ。  
初めての経験、初めての失恋....  
 
『(悲しいよぅー...)』とても疲れた。  
何にも考えられない喪失感....  
 
 
『さぁ、続いてのリクエストは1980年代から松任谷由実の『真夏の夜の夢』です.......』  
ラジオから懐かしい曲が流れる。テレビでしか聞いたことないなぁ...ユーミン。美心はそのまま深い眠りについた  
 
=====  
骨まで焼けるようなテキーラみたいなキスをして  
 
最後はもっと抱いて抱いて息もできぬほど  
 
さよならずっと忘れないわ今夜の夢のように.......  
 
 
 
END  
 
 
 

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