石原は混乱していた。  
 
どうしてこうなったのか。  
気がつけば涯子をさっきまで腰掛けていた病室のベットの上に組みしいていた。  
大きな傷跡の走る顔に光る目はいつものように力強くこちらを見つめていたが、  
押さえ付けた掌の下で肩は大きく上下していた。  
 
人間学園から脱出後、傷の重い涯子と石原は数日入院することになった。  
今はかなり回復し退院も間近だが、退屈した涯子はこっそり石原の病室に入り込み  
二人はたあいのない会話などでふざけていたに過ぎなかったはずだった。  
 
「…いいよ」  
ふと体の力を抜いて涯子は言った。  
石原は目をそらせない。  
 
涯子の背は女子にしては高いほうで石原とも差がなかったが  
ほどよく筋肉のついたひきしまった体は抱きすくめると細い。  
石原は声が震えるのを押さえられない。  
「い、いいのか?ほんとに?」「うん…」  
少し顔を赤らめてうなずいた少女の鼓動が伝わる。  
「嫌ならすぐに殴ってるから…でも」  
 
人間学園で大人相手にも折れることのなかった涯子だが男女のことに関しては  
「よくは知らない」と。  
年のそう変わらぬ石原も少々の経験がある程度でさほど余裕があるわけでもない。  
仲間である以上に想いをよせはじめてた少女との思いがけぬ状況に軽くパニック状態に陥っている。  
そんな石原に抱きしめられたまま涯子は軽く口づけた。  
石原は陥落した。  
 
入院着を脱がせて小ぶりな胸に舌をはわせると  
「くすぐったい…」と涯子は身をよじらせた。  
体力はかなり戻ったとはいえ日に焼けたしなやかな体には  
まだあちこちに傷が残り手首の包帯も痛々しい。  
石原の体にも拷問の傷跡が残っている。涯子も石原をまねるようにその傷跡を指でなぞり口づける。  
涯子の唇が触れるたびに石原はぞくぞくと電流のような刺激を感じた。  
調子づいて石原は涯子の足の間の敏感な部分をなでる。  
涯子は急にびくりと体を固くした。  
「嫌か?」「そうじゃないけど…んっ」  
熱心に指を動かし続けるとやがてその部分は湿り気を帯びてくる。  
触れられるたびに喉の奥で小さく哭く涯子に  
石原は早くも自分が限界まで張り詰めているのを感じていた。  
 
とっくに石原も自分の入院着を脱ぎすてて裸になっていた。  
大きく立ち上がった石原自身を目にした涯子は熱にうかされたような状態で  
自分がされていることと同じことをしようと思い、手をのばしてなにげなく握りしめさすり上げた。  
「あっ、やっやめろって…」  
あっというまに石原は果ててしまった。  
胸にまで飛び散った石原の精を涯子は不思議そうに眺めている。  
慌ててタオルで拭き取りながら石原は情けなくうなだれた。  
「すまない…」  
涯子は上体を起こすと石原の耳元でささやいた。息が熱い。  
「もっと…して」  
石原が回復するのにさほど時間はかからなかった。  
 
しかし石原のものを股間にあてられると涯子は再び体を固くした。  
少し青ざめている。  
「ここに入れるの…?」  
体格のいい石原のものは年齢のわりに立派で、むしろ自慢の元だったが  
それが涯子に忌わしい記憶を思い起こさせることに気がついた。  
反抗を続ける涯子は教育と称されて何度も拷問されていた。  
中にはちょうどこれぐらいの棒で…  
 
「…嫌なら止める。無理するな」  
青ざめながらも涯子は石原を見据える。  
「続けよう。でないと前に進めない…」  
「それに石原とならかまわない…」  
 
時間をかけてゆっくりと石原は涯子に挿入した。  
「痛くないか?」何度も尋ねる石原に  
涯子はただ首を振る。痛みから逃れようとするように。  
かなり潤ってきたとはいえ涯子の中はまだきつくからみつくようで  
石原も歯を食いしばって達してしまうのを耐えた。  
根元まで納まると二人は大きく息を吐く。  
「動くからな…」涯子はうなずくのが精一杯だ。  
 
強まる石原の動きに耐え切れず涯子は声を漏らす。  
声は次第に啜り泣くような調子に変わっていた。  
石原は指をからめて涯子の手を強く握りしめる。  
涯子は息もたえだえになりながら薄く目を空けて微笑む。  
 
突き上げは速度と深度を増し  
二人の呼吸は限界まで高まり  
 
やがて  
涯子は腰を震わせ大きくのけぞり  
その波に石原ものみこまれながら  
気力を振り絞って涯子の腹の上で再び果てた。  
 
手をつないだまま二人は並んで病室の天井を見上げていた。  
涯子はけだるげで眠りに落ちそうになっていたが、石原は胸にわきあがる思いでいっぱいになっていた。  
「…涯子」「…ん?」  
握った指に力をこめて石原は一気に言った。  
「退院したら俺と一緒に暮らさないかっ!」  
少し驚いた顔をしてそれから涯子はククク…と笑う。  
「落ち着き先のこと心配してくれるのか?ありがとう。でも大丈夫」  
「そ、そういうことじゃなくて…」  
石原の一世一代の告白は涯子にはあいにく伝わってないようだ。  
「実は刑事の阿部が身元引受人になってくれることになったから、  
 あのおっさんちにしばらく世話になるんだ」  
「あ、あのスケベそうなオヤジんちにだとぉ!?」  
石原は起き上がって叫ぶ。  
「そう言うなよ、あれで悪い人じゃないし…」  
 
石原はものすごく心配になった。  
 

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