倉田組での丁半博奕で負傷したアカギが運び込まれた病院では 田中沙織が働いていた。
午後3時
沙織が病室に入るとアカギはベッドで眠っていた。
肩に刀傷を負って運び込まれた怪しい患者 赤木しげる19才。現住所・職業不明。そういう背景からは想像もできないほど 見た目は普通の青年だし、静かに眠る姿なんかは無垢な少年のように感じるのに。不思議な人・・・。
「清拭して包帯を取り替えますね。」
沙織が眠っているアカギの腕をポニポニ叩くと アカギはゆっくりと目を開けた。
「ん・・・。」
アカギは短く唸ると上半身を起こす。
「気分がすぐれないなら横になったままでもいいわ。」
「いや、大丈夫。」
「それなら・・・ちょっと失礼するわね。」
沙織がそう言って浴衣をはだけさせると アカギはほっそりした手首を掴まえた。
鋭い視線が沙織を射抜く。
「あんた・・・いい女だね。 添い寝してくれよ。」
さらりと言うアカギに沙織は面食らってしまう。
「えっ・・・」
「いいだろ。」
好意を寄せられて悪い気はしない。でも患者だし、なにより仕事中だ。
「ふふっ こらこら、ケガ人が看護婦口説いてどうするの。」
沙織はアカギの手を払うと包帯を解き、てきぱきと身体をぬぐっていった。
肩の傷は痛々しいけれど、伸びやかな骨格に質の良い胸筋がついていて色気がある。
(綺麗な身体 うっとりしちゃうな・・・。)
ついつい男を意識してしまい よこしまな目で見てしまう。
(添い寝・・・うん、こんな状況じゃなければ・・・したいかも)
仕事熱心な沙織はそれでも清拭する手を休めたりしなかった。
その真面目な態度の下に隠れた情欲を、誰が見抜くことができようか。
これ以上は考えては仕事に支障をきたす。沙織は浮ついた心を戒めて真新しい包帯を巻いた。
「はい、巻き終わったわ。」
「じゃ・・・するか、セックス。」
アカギはそう言っておもむろに沙織をベッドに組み倒した。
「キャッ なにするの!」
「え?・・・あんた、俺と寝たいんだろ。」
「ま、まさか! なんでっ・・・!」
「そんな気配がしたからさ。」
アカギの視線に釘付けにされる。身動きがとれない。関わらない方が良いに決まっているのに・・・!危険だわ・・・。
「いい加減なこと言わないでっ 私は仕事中なのよ。」
「関係ねぇな、そんなこと。あんたは欲しいと思わない訳ないのさ。」
「・・・やっ!」
アカギは透明な目つきで沙織を見つめた。
そんな目で私を見ないで欲しい。全て見透かされてしまいそうで目まいがする。
自分を取り繕ったり飾り立てても全て無意味。きっと真実の姿を見抜いてしまう・・・!
「あんたは目をそらそうとしている。生きること、その本質。
生物はただ一つの原理に基づく。
欲望。
生物は欲望のみで生きている。
少しでも豊かに暮らしたい 種を増やしたい。原始よりいつの時代も何かを欲する心が生物を進化させてきた。物言わぬ赤ん坊でも、食べたい 眠りたいなどという欲望はあるのさ。決定的に。」
アカギがゆっくりと沙織の後頭部に手をかけ 引き寄せる。
「つまり 欲望が生物を支配している。
最もシンプルな本能。
生きている以上それを否定することは出来ない。あんたも 俺も。」
アカギの声を聞いているだけで脳の中心から痺れてくる。何が正しくて何が狂っているのか だんだん分からなくなる。くらくらする。
「欲しいよ、俺は。 さぁ欲しいと言えよあんたも。」
「物事はそんなに簡単ではないわ。」
「簡単さ、従うだけだ。・・・俺の声にじゃない。あんたの心の声に・・・従えよ。」
目が危険・・・。心臓が早鐘を打つ。
「認めてやれっ・・・自然な欲求を。」
アカギはそう言ってさらに距離を縮めた。吐息すら感じる距離。こんなに間近で見つめられたら息も出来ない。
「お・・・お願い 近づかないで。」
頭の中は必死で警鐘を鳴らしているのに身体の奥の方ではアカギを欲している。 心が・・・身体が・・・アカギに抱かれたがっている!
もうダメ、 キスされちゃう・・・。
口づけの予感に沙織は瞳を閉じた。
しかし、いくら待ってもその瞬間はなかなか訪れない。
「・・・・・・?」
不思議に思い沙織が薄く目を開くと アカギはその様子を見て急に笑い出した。
「クククッ・・・!ははははっ!」
かぁっと頬が熱くなる。
思わせぶりにキスするふりなんかして! 私をからかってたのね!?
沙織は平然と笑うアカギをキッと睨み付けた。
「このっ・・・ 不良患者っ・・・!」
「クククッ 不良で上等だ。」
「大人をからかうなんて良い趣味ねっ・・・!はぁ馬鹿らしい・・・もう仕事に戻るわ。さっさと放して。」
沙織はいらだち紛れにアカギの胸をぐいっと押した。しかしアカギはまるで動じない。
「本当に放して欲しいの?」
「そうよ。 放し・・・・・・んんっ!」
沙織の言葉はアカギの唇でふさがれた。沙織は一瞬抵抗したものの、すぐにアカギのキスに応じるようになっていた。熱い唇を食み、舌を絡ませあう。アカギは沙織の服のボタンを外しブラの中に手を忍ばせた。もったりと白い乳房が顔を出す。アカギは揉みながら唇を押しつけた。
「あん。」
アカギの手は魔法の手。ひとたびその手で撫でられると 簡単に、冷静が狂熱にひっくり返る。
もう引き返せない。そもそも抗うなんて無理な話だったのかもしれない。
沙織は自分の胸元をさらさらとくすぐる白い髪をじっと見ていた。
「あんた・・・初めて?」
「いいえ、残念ながら。やっぱり初めての娘のほうが嬉しい?」
沙織は苦笑いした。
「ふふ・・・いや、そうじゃない。まったくの逆。」
「ん?」
「嫌なんだよ。・・・痛がったり 血が出たりするのは。」
アカギの舌の上で乳首が一層硬くなっていく。
後に神域テクニックと呼ばれるアカギの病室プレイ。しかし、この時まだその片鱗は見えない。平凡な内容。
アカギは手を伸ばして沙織の白いスカートをまくり上げると 太ももから尻を撫で上げた。ストッキング越しにむっちり成熟した女を感じる。柔らかいマンズを指でなぞり上げると沙織の唇から吐息が漏れた。次第に小さく突起してくるイーピンを優しく引っ掻く。
「んっ・・・あっ! そこ!」
「ここがいいの?」
アカギが乳首を舐めながら上目に問う。沙織はうなずいて身をよじった。
「そんなにいいなら・・・。」
アカギは沙織の白いストッキングをひっちゃぶき、ショーツの端から指を滑り込ませた。
「あん!もう 乱暴ねっ・・・あっ あっ!」
アカギはマンズの中に指を差し込む。掻き混ぜると、くちゅくちゅと卑猥な音がアカギの指に絡みついた。
甘い電流が背中を駆け抜け、沙織はアカギの長い指を締め付けた。
この男はただ者じゃない。まるで静かで深い闇・・・底が知れない。関わると向かうは地獄。知りながらその安らかな闇の中に沈みたくなる。破滅を求めてくらくらと吸い込まれてしまう まるで魅入られたように。
快楽という名の地獄への一本道・・・!
繰りかえされる指技に沙織は身を強ばらせた。
「・・・ おっ、来たぜ ぬるりと。」
「はっ はっ あ いっ!」
もう イクと言いかけた言いかけたその時、アカギの指がマンズから引き抜かれた。
アカギ、沙織のモーションを把握。絶頂を阻止する。
「まだだ。まだイかせない。」
「っ・・・! 意地悪。」
行き場を失った熱は沙織の身体をのたうち、意識を朦朧とさせた。
「そうね・・・私ばっかり熱くても ね。そのクールな表情の奧の顔・・・覗かなきゃ。」
沙織は息を乱したまま アカギを寝かせ下着をとった。出てきたのはアカギの鬼っ子、ドラのイーソー。腹部を滑り降り、イーソーを手に取ると、唇を押しつけた。
若いアカギの肉体は十分に反応している。興奮するアカギが嬉しくて、柔らかい舌で刺激していった。最初は裏スジ、次に雀頭。次第に唾液をたっぷり浸らせて口をすぼめじゅるじゅるとアカギを追いつめていく。
「こっから見ると、いやらしい看護婦だね。」
胸を揺らしてイーソーにしゃぶりつく沙織の髪を、アカギはそっと耳にかけた。
「誰かさんがいやらしくさせてるのよ。」
時折 舌を尖らせてチロチロと雀頭裏のひきつれをくすぐると髪を撫でるアカギの手に力がこもった。
硬くそそり立つイーソーがピクリと揺れるのを見るだけで、マンズがきゅぅんとうずくのを感じる。限度いっぱいまで高められた快感のエネルギーがはけ口を求めていた。
「もう我慢できない。・・・欲しい」
甘えた訴えに、アカギは体位を入れ替え、沙織の足の間に身体を滑り込ませた。
抱き寄せる腕があまりにも力強くて 沙織はアカギの腕に手をかけた。
「肩大丈夫なの?痛かったら言ってね?」
「大丈夫。 傷は浅いだ・・・」
アカギはマンズの入り口でイーソーをなじませると、ぐっと先端を挿入させた。
「が・・・そいつは俺の台詞だな。」
「ううっ!」
「クククッ・・・!『痛かったら言ってね』」
その圧迫感に沙織は全身から汗が滲むのを感じた。息苦しさからあうあうと喘いだ沙織の頬をアカギは指先でピトピトする。その冷静さは今の沙織にとっては救いだった。
涼しげな瞳に促されて呼吸を開始すると、息を吐くタイミングでズクズクと奧を目指すアカギ。根元まで収めると、感触を確かめるように腰を揺らしだした。
「んっ んんっ!」
アカギのしなやかな躍動に身もだえする。圧迫感は薄らぎ、じわじわと快感が支配した。
アカギは実践の中で少しずつ沙織の性感帯を把握していく。
「ふーん。なるほど。」
アカギは細い腰を掴むと深めに打ち付けだした。
「あっ!・・・ああっ!」
沙織の口からあえぎ声が漏れだした。
アカギのイーソーはマンズの良いところをピンポイントで狙ってくる。
「あぁっ! あぁあん!」
沙織はあまりの快感にあえぎ声をおさえられない。ここが病院であることを考え、これではいけないと腰を捻ってポイントをずらそうとするも、追いかけてきてはポイントを捉えた。
まるで追尾ミサイル。逃げようとしても必ずつかまえられる。
(なんて感性!悪魔じみている!)
「やっ!気持ちよすぎるっ・・・!これ以上されたら死んじゃう!あっ あっ!」
「死ねばいい、何度でも。はっ はっ・・・ 俺が連れて行ってやる。」
まるで死神の誘惑。
「来いっ・・・!」
「いっ・・・イクっ・・・!」
沙織は幾度となく甘美な死を迎えひくひくと恍惚にたゆたった。
享楽っ・・・!快感っ・・・!愉悦っ・・・!狂乱の宴っ・・・!
ほどなくアカギの熱はマンズに溶け 天に昇った。
「・・・すっかり汗だくね。体 拭いてあげようか。」
沙織は重い身体を起こし アカギの額に張り付く前髪を除けてキスを落とした。
「いや、いい。」
アカギはぶっきらぼうに言うと、沙織の頭を引きつけて唇を重ねた。事後のけだるいひとときを口づけで楽しむ。すると、アカギの唇 何か言いたげに力がこもった。
「ん?なあに?」
「・・・あんたのマンズ見せてよ。見たい。」
「プッ!」
アカギの無邪気なお願いに沙織は思わず吹き出した。
「ねぇ、いいじゃない。」
「急に何をいうかと思ったら・・・ふふふ 意外と子どもね。」
「そうかな。」
「そうよ。」
「子どもかどうか・・・試してみるかい?もう一回。」
アカギは震えるマンズに唇を寄せていった。
完