(良い女で、精を 出したいものだ…)  
今にも、男として枯れそうな市川はそう思っていた。  
彼は老人である。しかしまだ女が言い寄る男前の、本物の無頼だった。  
その彼が男としての最後を飾ろうとした時…彼の思うような女で達したいと思っていた。  
美人でなくても良い、自分の感性が刺激される女であるなら。  
そんな時……麻雀の負け代として、市川に女を差し出して来た対戦相手がいた。  
市川は彼女を頂く前に、その女振りを調べる。  
主に手と耳で判断する。彼の瞳に視力はない。光を感じる事さえ出来ない盲目である。  
女の声は素晴らしかった。艶かしく鳴かせてみたいと…老人で女性経験も多い彼がそう思うほど。  
市川はその指の長い手で…女の体、足の先から首元まで調べ上げて行った。  
その艶かしさと言ったらなかった。市川は勃起する。  
男前の老人に調べ上げられ、しかもその男が自分の体で勃起している様子を見せられ…女の肌が熱く高まっていた。  
その淡く赤く染まった肌を、市川は見る事は出来ないが、手で十分に感じていた。  
女の興奮を感じる。女の欲情を受け入れてやりたいと思った。  
最後に女の顔に触れる。市川が一番拘らないのが顔である。美人であれば少し満足感、充実感が増すだけのものだった。  
 
市川は勃起している。この女に挿入する事も、気持ち的に出来るだろう。  
しかしこれでは、この顔では…  
「運命は…出ないと言っておる!」  
 

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