カイジの瞳に・・・戦士の輝き、宿る・・・。
「カイジ・・・君・・・?」
真理亜が思わず『君』と呼ぶのを躊躇ったほど・・・
カイジは精悍な・・・男の顔になっていた・・・。
真理亜の身を起こして、両肩を抱きながら・・・カイジは叫んだ・・・
「生きて・・・くれ・・・頼むから・・・生きてくれ・・・
女として役に立つとか・・・そんなのは・・・必要ないっ・・・!
・・・まだ・・・あんたは生きてるんだ・・・終わりじゃないんだ・・・!
だから・・・絶望するのは・・・やめてくれ・・・!
・・・諦めないでくれ・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・!」
(ぽろ・・・ぽろ・・・)
カイジに抱きつく真理亜・・・
カイジは・・・真理亜をしっかりと抱きしめ・・・タイマーを見ながら・・・待った・・・。
一条の来る・・・その時を・・・!
ガチャッ・・・
きっかり56分にドアが開いた。
一条・・・続いて・・・黒服が入室・・・
「・・・あと・・・3分です・・・。おそとに出る用意はいいかな・・・?」
言い終わった時点で・・・タイマーは57分00秒・・・
(なんで・・・帝愛の連中は・・・どいつもこいつも秒単位で人を追い詰めるんだよ・・・)
真理亜とカイジは、黒服たちによって一度引き剥がされ・・・
カイジは・・・ようやく首輪と枷を外された・・・そして・・・部屋の最奥部のドアが開け放たれ・・・
「あと・・・1分30秒・・・」
(ニヤ・・・ニヤ・・・)
虫唾が走る顔で・・・カウントダウンする一条に向かって・・・
分厚い絨毯に渾身の力で手を叩きつけ・・・
カイジ・・・叫ぶ!
(バニッ!!!)
「待てっ・・・一条・・・!」
「何です・・・?まだ・・・遠吠えが足りないんですか・・・?」
(ジロ・・・)
「真理亜を・・・医者に見せてやってくれっ・・・!
俺の指をくっつけたあの医者だ・・・!請求書は全部・・・俺に回せっ・・・!」
もはや侮蔑を通り越して呆れ顔の一条・・・
「スカンピンの・・・お前に・・・?正真正銘のバカだな・・・そんなことが・・・」
カイジはもう一度・・・全力で床を叩いた・・・!
「できるっ・・・!
俺と医者の間に発生する未払い分の治療費は全て・・・
帝愛への・・・借りになるっ・・・!!!
兵藤は・・・俺の借金が増え・・・俺が苦しみもがくほど・・・喜ぶはずだ・・・!
・・・手を叩いてっ・・・!違うか、一条っ・・・!!」
兵藤の名前を出した瞬間・・・一条の頬がピクリと動いた。
「ふん。
ま・・・コレは修理すれば・・・まだ使えるか・・・
・・・お前達。・・・真理亜を・・・医者へ・・・」
「・・・お前・・・使えるって・・・まだ・・・この人をいたぶり続けるつもりかっ・・・!?」
・・・先ほどまで自分が使っていた道具・・・モノ・・・拷問具と同じ扱い・・・。
「とんでもない・・・。
与えるのは・・・快楽・・・ですよ・・・。
今までと同じようにね・・・クククッ・・・。
ただ・・・躾は・・・もう一度しないと・・・いけませんね・・・。」
有無をいわさず・・・黒服が・・・真理亜を連れて退室・・・。
「カイジ・・・く・・・ん・・・」
カイジと目が合った瞬間・・・真理亜がかすかに・・・微笑んだ・・・。
(待ってろ真理亜さん・・・必ず・・・逃がしてやるから・・・!解放して・・・やるから!)
「で、ゴミはゴミ捨て場へ、と・・・
やれやれ・・・ゴミ捨ては・・・時間厳守が私のポリシーなんですけどねえ・・・。」
「まだ、話は終わっ・・・」
言った瞬間、カイジの即頭部に一条からの回し蹴りが飛んできた。
「いい加減にしろっ・・・!鬱陶しいんだよ粗大ゴミがっ・・・!
これ以上・・・苛立たせるな・・・!」
倒れこんだカイジを、さらに蹴り続ける一条・・・。
だが・・・これは・・・カイジの計算・・・!
カイジ・・・挑発成功っ・・・!
「・・・なんだよ。イライラするのかよ・・・
じゃあ・・・拷問したらどうなんだよ・・・楽しく・・・
でも・・・俺はさっき・・・無銭飲食の代金は払っちまったんだよなあ・・・。
何にもしてないヤツを拷問ってのは・・・いくらなんでもマズイんじゃないの・・・?」
「抜かすなっ・・・!」
この流れならいける・・・カイジは・・・確信した・・・!
「一条・・・勝負だ。 俺と勝負しろ・・・!
お前の得意なモノでいい・・・俺とサシで勝負・・・!
俺が負けたら即、拷問の上・・・地下行き・・・
勝ったら・・・逆にお前が俺と真理亜さんから拷問される・・・
それで・・・どうだっ・・・!?」
一条のこめかみは・・・怒りで引きつっていた・・・。
「・・・いいだろう。受けてやる・・・。
もう一度・・・地獄を見るがいい・・・クククッ・・・!」
男たちの長い夜が・・・始まった・・・。
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次回「祝福」