奥さんには不倫の恋の噂  
旦那が知ったら卒倒して死んでしまうね!  
寝取られた男は世間の笑いもの  
このことがばれたら大変だ!  
不実な奥さんはとんだ罪作り!  
 
ばたん、と大きな音がしてドアが閉められた。作業台の上にソフィーが押し付けられるのと、  
乱暴に掛けられたCLOSEDの看板が揺らいでドアにぶつかるのは殆ど同時だった。  
耳障りな音が静かな室内にこだまし、二人の間の沈黙を埋めていく。  
「閉店の時間には、少し早いわ」  
弱々しい声でソフィーが呟いた。彼女に覆い被さっていたハウルがにこりともせずに口を開く。  
「いや、遅すぎた位だ。奥さんにもうこれ以上馬鹿な真似をさせない為にはね」  
氷のように冷たい声音に、ソフィーが目を伏せた。ぞくぞくと全身を走るそれが  
怖気ではなく、快感である事に彼女はまだ気付いていなかった。  
 
きっちりと閉じられた胸のボタンが一つ一つ外され、胸元がくつろげられる。  
素肌が少しだけ冷たい空気に晒され、ソフィーの肌が粟だった。小さくみじろぐ  
彼女を気にも止めていない様子で、ハウルがその服を剥いでいく。  
夕方、人通りの多い通り、濃い色の、でも確実に外から中の様子が覗けるガラス、  
そして明るい店内で裸にされている自分。  
その全てに追い立てられるようにソフィーが悲鳴をあげた。ハウルがちらりと彼女を一瞥し、  
それから剥ぎ取った下着を放り投げる。その仕草にソフィーが啜り泣きを始めた。  
露になった白い胸元に鬱血したあざを見つけ、ハウルが眉根を寄せた。  
それを指で押さえながらソフィーに問う。  
「誰がつけた物?」  
「……あなたが……」  
ソフィーが震える唇をだましだまし答えた。ハウルがすっと双眸を細め、薄笑いを浮かべる。  
 
「嘘」  
「嘘じゃない、あなた以外誰がいるの?」  
「案山子の王子、アパートに住む若い画家、赤毛の紳士」  
ハウルが何の躊躇いもなく答えた。全員が花屋の常連客でソフィーの知り合いや  
友人だ。彼女の瞳が驚愕に見開かれ、顔中が羞恥と義憤に赤くなる。  
「違う!みんなただの友達よ!そんなのじゃないわ!」  
「だとしたら随分淫らな友人関係だね。身体を共有しあう友情だなんて」  
「信じて…あなただけよ……私が全てを捧げるのは……」  
ほろほろと涙を流しながらソフィーが哀れっぽく囁いた。ハウルはその涙に思い切り  
しかめ面を作るときつく胸を掴んだ。彼女が痛みに思い切り身をよじる。  
「たっ……、やめ…て…」  
苦しそうに喘ぐソフィーの口を唇で塞ぎ、ハウルが彼女の口内を犯す。  
くちゅ、くちゅ、と水音が漏れ、彼女が羞恥に眉根を寄せる。どちらの物ともつかない  
唾液がその白い頬を伝って落ち、溢れてきたソフィーの涙と混じった。  
息苦しさに彼女が気をとられているうちに、ハウルは荒っぽい愛撫を施す。  
華奢な足が宙に踊った。  
 
引きちぎるように胸を揉まれ、ソフィーが痛みに全身を硬直させた。  
彼を引き離そうと手を伸ばすが、その腕も魔法で動かなくされてしまう。  
力の抜けた手がだらりと作業台の腕に散り、それがソフィーの恐怖を掻き立てた。  
「も…う……や、めて……」  
怯えきったソフィーが懇願する。ハウルはうるさそうに彼女をにらみつけると、  
シャツからネクタイを抜いて猿轡のように小さな口にはめた。綺麗な藍色のネクタイは  
いつかソフィーがプレゼントした物だ。まさかこのようなことに使われるなんて、と  
彼女は絶望的な気持ちで涙を流した。  
 
荒々しかった愛撫が、急に優しく繊細な物へと変わった。やわやわと乳房全体が撫でられ、  
先端の突起が赤く充血してそそり立つ。ハウルはそれを目ざとく見つけると、そこを  
指先で挟み、小刻みに刺激を与える。全身を支配していた痛みが甘い快楽へと変わり、  
ソフィーが不明瞭な叫び声を上げた。  
 
「感じた?おかしいな、犯されてるはずなのに」  
くすくすと笑いながらハウルが言った。ソフィーが大きく首を振り、彼の言葉を  
否定する。しかし、彼は豊かな黒髪を翻すと彼女の胸に顔を近づけ、今まで指で  
弄んでいた部分を口に含んだ。  
「んんっ!んっ……ふぅ…っ……うぅ!!んっ…ぅ……!」  
体中を駆け巡る快感に、ソフィーが足をばたつかせる。ハウルはその脚を押さえつけると、  
ぐいと大胆に開いた。彼女が驚きに目を瞠る。  
「凄い……どうしたの?ここ、すごい濡れてるけど」  
愛液を吐き出す秘部に指を添え、じりじりと輪郭をなぞる。ソフィーが涙を流しながら  
喉を鳴らす。声にならない音が部屋中に響いた。  
「んぅ……んっ………ぅぅん、ふ……ん」  
晒された敏感な核が赤く染まり、存在を主張し始める。ハウルはいやらしく笑うと  
その部分を摘み上げた。ソフィーの腰が跳ね回り、激しく揺らぐ。  
彼は淫核を指で転がしながら彼女の反応を見るように向き合った。ソフィーの表情は  
快楽にどろりと溶け、口の端からだらしなく涎が垂れる。言葉にならない声が漏れ、  
それが一層彼の嗜虐心を煽る。  
「あぁ……なんて厭らしい……こんなになって、ねぇ、どうしたの?」  
 
真っ赤に腫れ上がった淫核を指先で弾くと、ソフィーの身体も大きく跳ねた。  
陰唇が早くも綻び、男を誘うようにひくついている。ハウルはごくりと唾を飲み込むと、  
愛液でべとべとになったそこに指をそっと差し込んだ。  
「んふ……」  
一本だけ差し込まれた指が、くるくると円を書くように動かされる。鼻にかかった  
色っぽい喘ぎがソフィーの口から漏れ、ハウルが少しだけ愛しそうな、慈しむような  
表情を浮かべた。しかし、すぐに顔つきを引き締めると指を抜き、今度は三本いっぺんに  
突き立てる。身体を割り開かれるような感覚に彼女の顔が歪み、唇がわなないた。  
彼は埋め込んだ指をくいと曲げたりばらばらに動かしたりしながら、確実に彼女を  
快楽に溺れさせていく。曲げられた人差し指がある一点に辿り着き、そこを擦り上げた。  
ソフィーの身体がびくりと飛び跳ね、首がのけぞる。彼はそこを執拗に攻めながら  
長いまつげを伏せた。  
 
「随分、淫らになってしまったね……誰かのせいで」  
ぽつりと呟かれた一言は酷く寂しげで、ソフィーが言葉を否定しようと必死で  
首を振る。ハウルは僅かに口元を緩めると、彼女の髪をかき上げた。  
「全部全部、僕のものだったらよかったのに……」  
額に落とされた口付けは暖かく、愛情に満ちていてソフィーは切なさに嗚咽を漏らした。  
 
あぁ、どうして。  
彼は私を信じてくれなかったんだろう。  
私は、全てあなたのものなのに。  
 
その思いを伝えようと、ソフィーはありったけの愛しさを込めて彼の目を覗き込んだ。  
潤んだ瞳に射抜かれ、ハウルが怯んだように唇を噛む。  
「ごめんね……でも、許そうとは思えないし、許さない。だけど、放さない。  
愚かな奥さん、君の行動は少し幼稚すぎた」  
その言葉を裏付けるように、ハウルが人差し指をぐっと内壁に押し付け、それと同時に  
親指で淫核を押しつぶした。力の入らなかった足がぴんと突っ張り、ソフィーは  
悲鳴じみた嬌声を上げながら果てた。ぐったり重い身体がベッドに沈みこむ。  
 
ハウルは薄い笑いを浮かべてその様子を眺めていた。未だに彼の指をくわえ込んでいる  
ソフィーの中心部がかすかに蠢いたのを確認すると、一気にそれを引き抜く。  
「んっ……」  
名残惜しそうにソフィーがうめいたのを確認すると、ハウルが彼女の口に廻していた  
ネクタイを解く。絶頂の余韻に浸りきっている彼女に深く口付けると、彼は腰を  
突き出して愛液でべとべとになった秘部に熱を持った自分自身を押し当てた。  
「……っ!!」  
喉の奥で悲鳴をあげ、ソフィーは侵入してきた異物を拒むように腰を揺らした。  
が、ハウルはその動きを逆手にとって彼女の奥深くまで己を差し入れる。  
弛緩していた細い脚がまた強張り、シーツを踏みしめた。  
 
「あぁっ!いやっ!あっ……んっ、ふ、あ、あぁ!!」  
「嫌じゃないだろう?いいんだろう?」  
嫉妬と欲望に瞳をぎらつかせながら、ハウルがはやい動きで腰を打ちつける。  
中を掻き乱し、全てを壊さんと暴れまわる彼に、ソフィーが絶叫した。  
 
全身を蹂躙され、もはや抵抗すら出来ずソフィーは泣きながら快楽を受け入れた。  
まるで自分の身体が自分のものではなく、ハウルのものになったかの様な感覚に陥り、  
唇が震える。彼に属し、ただ彼のものである自分。意思も、体も、快楽も彼に握られた自分。  
それはこの上なく哀しく、情けなく、それでいて甘美だった。  
彼が強者で自分が弱者、彼は自分を支配し、自分は彼に守られる。  
そのシンプルな関係は熱に浮かされた頭の中ではとてつもなくいい事に思え、  
ソフィーはうっとりと微笑を零した。  
 
いきなり幸せそうに微笑んだソフィーに、ハウルは目を瞠った。当たり前だ。  
犯しているはずの少女に笑まれたなら、どんな男だって途惑うに決まっている。  
彼は彼女の本心を探るように、大きな瞳を覗き込んだ。快楽にとろけた目は  
ただ幸せそうで、ハウルは妙な罪悪感を覚え、腰の動きを止めた。  
「……ソフィー?」  
「ハ……ウル……あいしてるわ……」  
まるで毎夜の睦み合いの時となんら変わらない、幸せそうな口調でソフィーが囁いた。  
ハウルが罰の悪さに笑顔を作ろうとし、失敗した。  
「ソフィー……」  
「私は、あなたの物よ。ねぇ、わかるでしょう?」  
怯えた様に引かれたハウルの腰を脚で絡めとり、ソフィーが甘えるように首筋に頬を  
寄せた。こらえられないのかふふ、と笑い声を漏らし、彼女はキスをねだった。  
先ほどとは逆におずおずと唇を合わせ、ハウルは自分のしでかした罪の大きさに  
泣きそうになっていた。ソフィーの内部が知らず知らずのうちに蠢き、彼を離すまいと  
ばかりに絡みついた。  
 
自分の最深部に熱が注ぎ込まれたのを感じ、ソフィーがかすかにうめいた。  
全身から力を抜いたハウルは彼女に身体を預けて目を閉じる。  
彼女はようやく自由になった手を使い、幸せそうに彼の髪を梳いた。  
憔悴しきった彼に比べ、ソフィーは疲れを見せてはいるが生き生きとしていた。  
ハウルは無言で彼女に背を向けると寝息を立て始めた。彼女はその背に手を廻し、  
彼の背中に頬擦りした。  
 
彼の子供っぽい嫉妬も、狡猾さも、信じられないくらいの独占欲も、みんなみんな  
ソフィーに向けられた物だ。そう思うと、笑みがこぼれてくるのをとめられない。  
こんなに素晴らしい人間の宝物でいられる自分の幸福さを感じ、それだけで  
達してしまいそうになる。  
猜疑心、独占欲、嫉妬、束縛。ハウルがソフィーに向けてくる剥き出しの感情は  
信じられないくらいに甘美で、気持ちいい。けれども、実を言うならばそれらを  
振りかざして彼を縛り付けているのはソフィーのほうだったのかもしれない。  
 
案山子の王子が教えてくれる異国の生活や幸福なお伽話、若い画家の見せてくれた  
天使の絵とそれにまつわるエピソード、赤毛の紳士の聞かせてくれた極東の島国に住む  
少女の悲恋を描いた歌劇の道筋。それら全てをソフィーは素敵だな、と思っていたが  
ハウルに乱暴に抱かれる事に比べたらなんとも幼稚で貧弱に思えた。  
「……愚か者、笑わせるわ」  
紳士にいつか聞かせてもらった歌の一節を口ずさみながら、ソフィーも目を閉じた。  
明日から、彼の関心が全て自分に向いてるであろうという確信にうっとりとしながら。  
 
愚か者、あなたは私を笑わせるわ  
そろそろ気付いたらどうなの?  
 
愚か者、あなたは何にも知らない  
もし本当のことを知ったら、  
あなたは二度と私の元を離れていけないでしょうね。  
 

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