「ソフィー!!」  
「カ・・いえ、王子様!?」  
いきなりの予期せぬ来客にソフィーはビックリした。  
「王子だなんて水臭い、カブと呼んでください、出会った頃と変わらずに」  
(そ、そんな事言ったって・・・)  
それを許さぬ事情ゆえに、カブの申し出に苦笑いするソフィー。  
 
気分を変え、質問する。  
「今日はどうしてこちらに?」  
「また伺います、と申したでしょう」  
そう言いながらハットを取り会釈する。  
 
「今日ここに参りましたのは、折り入って  
 あなたに相談に乗って頂きたい事があるのです」  
「私に?お役に立てるかしら・・・」  
少し困った顔でカブを見つめる。  
「勿論です!!」  
笑顔で詰め寄り手を取るカブ。  
思わず体を反らし、笑顔でさり気なく手を引く抜くソフィー。  
 
「実を言うと・・・もうずっと、好きな女性がいるのですが報われない恋なのです。  
彼女の事を考えただけで夜は眠れず、昼は空を仰ぎ、朝は食事が喉を通らない始末です・・・」  
そう言いながら、遠くを見つめる。  
「随分惚れ込んでるのね」  
「ええ、とっっっても素敵な方です・・・」  
カブの力説にふふ、と微笑みながら言う。  
「どんな方?」  
ソフィーのその質問に、待ってましたと言わんがばかりに嬉々として答え始めるカブ。  
 
「そうですね・・彼女は庶民の方で、髪はプラチナ、ショートボブで眉は意思が強そうで太く、  
 瞳は凛々しく大きく、身体はほっそりと華奢で小鹿の様な手足、結構小柄ですね。  
 黙っているときつそうな顔に見えますが、笑うととにかく愛らしいんです。器量良しです。  
 その方の連れは生意気な魔法使い(私情入りまくり)とその弟子、不細工な犬とご老人、  
 それと元悪魔の流れ星ですね。以前は帽子屋を営んでいました。  
 今は花屋で生計を立てています。」  
(よし!!全て言い切った!)  
聞かれもしないのに具体的な身体特徴までペラペラと答えてみせるカブ。  
どうやらこの日の為に、家臣も付き合わせて何十回と練習した模様。  
しかしそれは、まさしくソフィーそのものだった。  
「まあ・・・それは、何と返していいのかしら・・」  
全てを聞き終わった後、瞳を伏せ、視線を反らしながらソフィーは言う。  
想いが伝わったと思い、ソフィーの反応を待つ。  
 
「貴方の思い人って・・・その、まさかとは思うんだけど・・」  
少し間を置いて続ける。  
 
「結構ご高齢な方でらっしゃるの?」  
 
「!?」  
 
思ってもみないすっきょんとうな回答にカブは拍子抜けしてしまう。  
カブの反応にソフィーは、  
「え?違うの?プラチナの髪って言ってたし、報われない恋って言ってたからてっきり・・」  
答えている途中で、遠くからソフィーを呼ぶ声が。  
 
「あら、皆が帰って来たみたい。ごめんなさい、もう夕食の時間なので  
 これで失礼させて頂くわ。お役には立てないけど、陰ながら応援してるわ!」  
会釈をしてカブの元からアッサリと走り去って行くソフィー。  
カブの猛烈なアプローチに全くと言っていい程気付かぬソフィーであった。  
(て、手強い・・・。遠回しな表現がいけなかったのか。次こそは・・!!)  
密かな敗北感を味わいつつ、新たな決意に燃えるカブだった。  
当分ソフィーを諦めるつもりなど毛頭無い様子である。  
 
END  
 

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