その時は、まさかそんな事になるなんて思っていなかったんです。
そう、何となくお酒をカルシファーに注いだだけなんです。
「うぃ〜、ソフィーもっと持ってきてくれよぉ〜」
いつも以上に真っ赤に炎を巻き上げながら、カルシファーが言います。
ソフィーは炎に注意を払いながら答えました。
「もう、お城にあるお酒はほとんどカルシファーが飲み切っちゃったわ、もうダメよ」
そう答えた途端、カルシファーが炎を更にカンカンに巻き上げたので彼女の前髪は焦げてしまいました。
「何だよー、だったらオイラこの城動かしてお酒買いに行ってやるよ!」
言うと同時に、建物自体が揺れる感覚。
「カっカルシファー!止めて、止めてちょうだいっ!」
焦ったソフィーが叫ぶのも構わず、カルシファーは城を本当に動かして町に向かい出しました。
「おやおや、何の騒ぎだい?カルシファー、やめろよ」
その時現れたハウルの姿は、まさに救世主に見えたと後にマイケルは言っていました。
ハウルの姿が見えた途端、カルシファーは城を動かすのを止めたので、確かにそれはあながち間違ってはいませんし。
そして、次の日のカルシファーは何も覚えておらず、お酒を味わった事も覚えておらず、ただただ一言
「なぁソフィー、オイラ何でこんなに頭がガンガンするんだろうな?なぁ、何でだろ?悪魔も頭痛あるんだなー、変なの!」
とだけぶつくさ文句を垂れていたそうです。