戦争が終結を迎え、街中から兵隊の姿がほぼ消え始めた頃のある天気のとても良い日。  
ソフィーは部屋の片付けをしていて、気付きました。  
この家に戻ってきた時ハウルが色々服を買ってきてくれていたんですが、まだ開けてなかったんです。  
棚の上に追いやっていた箱達を下ろして、ベッドの上に中を開けて行きます。  
 
しばらくすると、色とりどりの帽子やワンピースや靴がベッドの上にそろいました。  
小さな袋類もあったので、ソレを開いて・・・・・中を見て・・・・・・・・・・・・固まりました。  
その少し後、城にはソフィーの叫び声が響きました。  
 
 
その夜、ハウルが仕事から戻ってきました。  
「やぁただいま、みんな!」  
「あ、ハウルさんお帰りなさい!今日はじゃが芋のスープと、白身魚のムニエルですよ!」  
マルクルが嬉しそうに師匠のコートを受け取り、かけに行きます。  
ソフィーはそんな2人に目もくれずに黙々と食べ続けています。  
「お帰りなさい。あら、おばあちゃん、お魚の骨取ろうか?大丈夫?」  
「うん、あたしゃ大丈夫、ヒンのご飯は大丈夫かねぇ」  
「ヒンにあげたのは味薄くしてるし骨抜いてあるから大丈夫よ」  
一応ハウルに『お帰りなさい』を言っただけで、やっぱり目線は合わせません。  
 
「ごちそうさま」  
言って席を立ちます。ハウルはまだ食べているので、目だけでソフィーを追います。  
「マルクル、今日は食器洗い当番あなただったかしら?」  
「うん、今日はボクが当番だからお水つけておいて下さい」  
「えぇ、お願いするわね、マルクル。カルシファー、みんな、おやすみなさい」  
軽く挨拶をすると、ソフィーは部屋にさっさと戻って行ってしまいました。  
 
後に残された3人はヒソヒソと話します。  
「ソフィーは今日は何かあったの?」と、マルクル。  
「今は生理じゃないはずだけどなぁ、この前終わったって言ってたよ」と、シレっとした顔でハウル。マルクルは真っ赤になります。  
「そういう事を男の子の前で言うんじゃないよ、色男。まぁ、昼に何か叫んでたけどそれかねぇ」と、元・荒地の魔女。  
何で叫んだのだろう、と今度はまたヒソヒソと。  
 
「特大のゴキブリでも出たんじゃないんですか?」と、マルクル。  
「そんなので驚くような女じゃないよ、あの子は」と、元・荒地の魔女。  
「太った、とかかなぁ。僕としては大歓迎だけどね、こう・・・もう少し肉付きが」  
「それ以上言ったらヒンに噛んでもらうよ、色男さん」  
「あはは、冗談ですよマダム」  
結局3人で考えても何で機嫌が悪いのか分かりません。  
ハウルが後で様子を見に行く、という事で話が落ち着きました。  
 
夕飯を食べ終わり、お風呂に入り、自分の部屋に一旦戻って身だしなみをチェックして。  
ハウルがソフィーの部屋のドアをノックしたのは、ソフィーが部屋に入ってから3時間はたったかという真夜中でした。  
コンコン。  
ノックの音に、返事が返ってきます。  
「誰・・?こんな時間だからどうせ『すけべ』で『意地悪』なハウルでしょう、何の用?」  
あまりにもな言われように、ハウルはビックリです。  
「ひどいなあソフィーは。今日は何でそんなに機嫌が悪いのか、みんな心配していたんだよ?」  
扉越しに声をかけると、返答がありません。  
「・・・・・・・ソフィー?」  
しばらく待っても声が聞こえないので、もう一度声をかけると、中で軽く衣擦れの音がしてから扉が開きました。  
「入って」  
それだけ言うと、ベッドの上にある何かを布団で隠しています。  
「ソフィー、何で今日は機嫌悪いんだい?それに、いきなり僕をあんな呼び方するなんて、ひどいじゃないか」  
「あたし、今朝まではあなた程ステキな人いないって思ってたわ、でもあなた趣味悪すぎなのよ!」  
「えぇぇぇぇぇ!?何で突然そんな話を!?」  
いきなり大きな声で叫ばれて、ハウルは面食らいました。  
 
腰に手を当ててソフィーは続けます。  
「今日のお昼、部屋の片付けしてたのよ。あれからバタバタしててまともに部屋の掃除出来てなかったから・・・  
 それで、ハウルがこの家に最初に引っ越してきた時に買ってくれたって言う服をやっと出したのよ!そしたら!」  
「あぁ、服が気に入らなかったかい?そんな趣味悪いのかってきt」  
「服はよかったのよ、服は!」  
ハウルの声を途中でさえぎって、ソフィーはまだまくしたてます。  
「何で、あんなのを買ってきたのか、それがわかんないの!だって、あの時私はおばあちゃんだったのよ!?  
 しかも90歳のおばあちゃん!よぼよぼの皺々の!それなのに、こんなのまで買って!趣味悪いわよ!」  
言いながら、あの小さな袋に入っていたモノを広げます。  
それは、可愛らしいレースをふんだんに使った薄青のベビードール。  
レースが一杯なせいで、持っているソフィーの服が透けて見えてしまいます。  
「ソフィー、何か怒る論点がズレてないかい?」  
「なによ!おばあちゃんにこういうモノ買って来るような、度を越えたスケベな人にアレコレ言われたくないわ!」  
「いや、そうじゃなくて・・・僕にはソフィーが可愛い女の子に見えたから買って来たんだけどなぁ」  
「どうやったらあの時のあたしがそう見えるって・・・んーーっ」  
また大きな声をあげようとしたソフィーの口を、ハウルは自分の口で塞いで声を閉じ込めてしまいました。  
「む・・・・ん・・・・・ん・・・ふ・・・・・・」  
それでも、手はハウルの胸をドンドンと叩いて抗議を続けます。が、だんだんと力が弱くなって行きました。  
「んっ・・・ふ・・」  
口を離すと、『ぷはっ』と大きく息をついて、真っ赤な顔でハウルを睨みます。  
「キスで誤魔化すつもり?」  
「いや、そうじゃないけど。ソフィー、僕が優秀な魔法使いだって知ってるよね?」  
「えぇ、それは当然知ってるわよ」  
「そんな僕が、ソフィーの呪いに気付かなかったと思うのかい?」  
ニッコリと微笑まれ、言葉に詰まるソフィー。  
 
「だ・・だったら、呪い解いてくれれば良かったじゃない・・・」  
「何しろ複雑な呪いだったからね、僕もどうしたらいいかわからなかったんだよ」  
ちゅ、と額にキスを落としてまた一言。  
「それに、君は気付いてないだろうけど時々本当の姿に戻っていたりしたんだよ、綺麗な君にね、僕の奥さん」  
そう言われ、少し考えてみると・・・確かに、サリマンの所に行った時のあの人の言葉や、他にも何度か思い当たる節があります。  
「そ・・・そうだったのね・・・ごめんなさい、趣味悪いとか言っちゃって・・・・」  
真っ赤になって俯くソフィー。  
その顎を指先でとらえ、上を向かせるとそのまま唇にキスを落とします。  
「大丈夫だよ、ソフィーがちょっと口が悪いのはもう分かってる事だしね」  
「でも、あたし言い過ぎちゃったわ、本当にごめんなさいハウル・・・」  
目に涙を溜めて哀しそうに見つめる自分が愛する少女を見て、悪い気分になる人がいるでしょうか。  
「気にしないで僕のソフィー。ほら、よく言うだろう?喧嘩する程仲がいいって。喧嘩になってないけど、僕らが仲がいい証拠だよ」  
「そういう問題じゃないわハウル・・・ごめんなさい、あたしどうしたら・・・」  
涙の溜まった睫毛を伏せ、哀しそうな彼女を見ているうちに、ハウルの中に悪戯な感情が沸き起こってきました。  
 
「じゃあ、僕のお願い聞いてくれる?」  
「えぇ、出来る事なら聞くわ、何?」  
ホッとした顔で言うソフィーに、悪戯っぽく微笑むと指で何かを指します。  
「?」  
不思議そうな顔で、その指の先を見たソフィーの顔が強張りました。  
 
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハウル」  
「うん、なんだいソフィー」  
「前言撤回よ!あなた、やっぱりスケベだわっ!!」  
ハウルが指差した先には、勢いでソフィーがまた布団の上に投げたあのベビードール。  
「僕はソフィーに似合うと思って買って来たんだよ?それを着て欲しいだけって・・・痛い、痛いってばソフィー!」  
言いかけたハウルをポカポカとグーで叩くソフィー。  
「あんな薄物、恥ずかしくて着れないわよバカッ!」  
えー、と口をとがらせて不満そうなハウルです。  
「だって、どうせ僕しか見ないのに恥ずかしいも何もないだろ?それとも、他に何かしてくれるの?」  
そう言われると『お願いを聞いて』という一言に『聞く』と答えた自分が悪い気がしてくるから不思議です。  
 
10分ばかり悩んで、ソフィーは着る事に承諾しました。  
着る間、恥ずかしいからとハウルは締め出しを食らいます。  
扉に背中を預けていると、中から衣擦れの音が聞こえて・・・・・  
「ハウル〜、鼻の下伸びてるぜー」  
カルシファーにいきなり話しかけられて驚きました。  
「カルシファー、何でお前こんなトコにいるんだよ!」  
「みんな寝た後の定期見回りさ〜、ソフィー達が安心して暮らせるように不審者が潜り込まないかねってさ〜」  
「何言ってるんだ、僕たち2人で作っている結界がそうそう容易く破れると思ってるのか?この出刃亀悪魔が」  
あはは、と浮遊しながら笑うカルシファーのおデコを弾くと、バランスを崩したカルシファーが文句をブツブツ言いながら去って行きました。  
「全く、油断も隙もあったモンじゃない」  
その後ろ姿を見送って、ソフィーの気配に耳をこらします。  
衣擦れの音はもう消えていて、しばらくしてからドアが細く開きました。  
 
すき間に身を滑り込ませ、いつものように施錠の術をかけた後、カルシファーが潜り込まないように結界を更に張ります。  
「ごめんよソフィー、お待たせ!」  
明るく言って後ろを振り返ると、そこには頬を染めて恥ずかしそうに俯くソフィーの姿。  
白い肌が、薄青のレースの下から透けて見えて、更に綺麗肌に見えます。  
レースが品良く散りばめられ、大事な部分はちゃんと見えないようになっているので、余計に色々と想像してしまいます。  
「綺麗だ・・・・想像以上に似合ってるよ、ソフィー」  
思わず口から漏れる一言に、ソフィーの肩がピクリと震えました。  
「恥ずかしいから灯りもう消すわハウル」  
言いながら手を伸ばし、返事を待たずに灯りを消してしまいました。  
 
窓から入る星明りのせいで余計、扇情的に肌が白く浮かび上がります。  
もう、我慢がきかなくなったハウルは何も言わずソフィーを抱きしめました。  
「ハウルってばもうっ」  
「だって、予想以上に似合ってる君が悪いんだ、今のでまた君を倍以上好きになっちゃったじゃないか!」  
頬や額や口や肩口にキスを落としながら抱きしめる手を滑らせて、絹のレースの質感とソフィーの絹のような肌の質感を比べて楽しみます。  
レースの上から胸をさわると、ソフィーの口から甘い声がすぐに漏れました。  
「ソフィー、もしかしていつもより感じちゃってるのかい?」  
「んっ・・・やだ、恥ずかしい事言わないでよハウル・・・」  
そう言うものの、否定はしないソフィーの声。暗くて顔が見えないのをいい事に、ハウルはにやけます。  
「うん、買って正解だったかな、僕としては」  
「え?・・・きゃっ」  
言葉の真意を聞こうとしたソフィーは、胸をレース越しに触られただけで走る不思議な感覚に可愛い悲鳴をあげました。  
 
ハウルの手は、胸だけでなく腰も触ります。ですが、触るときは直接ではなくレース越しにです。  
いつもは直接肌に触れるのに、間に布が1枚入るだけで全く感覚が違うのです。  
「は・・・・ハウ・・・・んっ・・・あ、ダメ・・・・・んっ・・・・」  
立ったままで、もう崩れそうなソフィーの足の震えに気付いたハウルはベッドに腰かけました。  
「ねぇソフィー、僕の肩に手を置いて。そう、いい子だ」  
手を置いただけではもう体を支えきれない様子のソフィーを見て、ハウルはにんまりと笑います。  
まさか、ベビードール越しに触れるだけでこんなに敏感になるなんて。もっと早く着せれば良かったと、心底思いました。  
「立ってるの、辛いかい?」  
もう、ほとんど上半身を自分に預けているソフィーの耳元で囁くと、ソフィーが小さく頷きます。  
「だったら、僕の足をまたいで僕に座っちゃいなよ」  
「ん・・・でも重い・・わ・・・んっ、やんっ!」  
躊躇うソフィーの腰をそっと撫でると、また体が震えて足から力が抜けて行きます。  
「大丈夫、ソフィーは充分軽いんだから、ほらまたいで、そう、そのまま腰をおろしてごらん」  
言われるまま、ぼんやりする頭で腰を下ろしたソフィーはふと気付きました。  
ハウル自身が硬く、熱くなって自分に当たっているのです。  
思わずそれから離れようと身をよじると。  
「僕も、もういい加減我慢してるの辛いんだ・・・ねぇ、ソフィー」  
また耳元で囁かれ、背中に電撃が走ります。  
 
「みみやだぁ・・・はうる・・・」  
「嫌かい?」  
クス、と笑って軽く耳朶を齧ると、ソフィーが小さな声でうめきました。  
ハウルのズボンの布を通り越して、足に直接感じるくらい、彼女の蜜が垂れています。  
「ねぇ、ソフィーが言ってくれれば僕もソフィーも一緒に気持ち良くなれるんだよ・・・」  
優しく言いながら、人差し指で背中をなぞると、その指の動きに合わせてソフィーの背中がしなります。  
「んっ・・!ハウル、いじわる・・やめ・・ん・・・あ・・・・」  
ハウルの指が動くたび、体が自然と動いてしまい、結果的にハウルの足に自分自身がこすられ、また体が動いてしまい。  
悪循環にソフィーは泣きそうになりました。  
「うん、ゴメンね。じゃあ、ちょっとだけ腰を浮かせてくれるかい?」  
ほとんど力の入らない体に力を込めて腰を浮かせると、ハウルが器用にズボンと下着を下ろします。  
「困ったな、この体勢だし・・・自分で挿れられるかい?ソフィー」  
「え」  
一瞬、躊躇するソフィーですが、この態勢ではそうするしかありません。  
恐る恐る腰を下ろして行きます。  
 
ハウルの先端が、自分の入り口に当たる感覚に、一瞬体が強張りましたが、そのまま体重をかけて一気に挿れました。  
「あぁっ!」  
いつもよりも、深く入るような感覚です。  
まるで、お腹の一番奥まで入ったかのような感覚に、背中を反らせ、硬直してしまいました。  
「動かすよ」  
「え、まっt・・・んっ!あ、あぁっ!やっ、あんっ!」  
ハウルが腰を持って、急に体を動かし始めました。  
中に入ったばかりだと言うのに、2人の間からは淫水の音が響きます。  
その音が、余計に2人に火をつけました。  
「だめ、ハウルだめっ・・・ふぁ・・・あ、ゃっ・・・んっ」  
いつもよりも奥をかき回され、ソフィーは狂ってしまうかと思う程感じてしまいます。  
「ソ・・ソフィー・・・ごめん、今日は何だか・・・んっ、僕もう・・・」  
「んっ・・・あっ、だいじょ・・ぶ・・・んっ!やっ!」  
いつも以上に早く、ハウルに限界が訪れました。そして、ソフィーにも。  
ハウルの熱が自分の中に広がるのを感じながら、彼女も自分の中がそれを絞るように収縮するのを感じます。  
 
そのまま、2人はベッドに倒れこみ、眠りについてしまいました。  
 
日が昇り、窓から入った光で先に目覚めたのはソフィーです。  
起きて、まず自分の格好に気付いて赤くなりました。  
着替えようと布団を抜け出し、ふと後ろを見て、更に赤く。  
「もう、ハウルってば!」  
何しろ、昨晩はあのまま寝たせいで、ハウルは中途半端に脱ぎかけのまま寝ていたんです。  
着替える前にその中途半端な状態のズボンを上げようと手をかけた時。  
「うーん・・・ソフィ・・?おはよ・・・ん・・・?」  
目線の先には太陽の光に照らされるベビードールを着たままのソフィー。  
なぜか、自分のズボンを掴んでいて。自分自身は、朝なので生理現象で元気で。  
「あ・・・お、おはようハウル。コレね、履かせなきゃって思って・・・って・・・きゃぁっ!」  
 
 
その日、ハウルは朝からとってもご機嫌で、ソフィーはその逆で機嫌は悪くはないのですが腰が辛そうだったと言います。  
そんなソフィーを見て、マルクルは心配がって掃除を手伝い、元・荒地の魔女はニヤニヤ笑い、カルシファーはハウルに非難の目を向け。  
ヒンはただ足元をウロウロと走り回るのでした。  
 

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