小ねた@
遠くの方でマルクルと荒地の魔女の声が聞こえます。ソフィとハウルを探しているようです。
二人の声はハウルとソフィに向かってだんだんと近づいてきます。
マルクルと魔女の声は天然の花の生垣を隔てたすぐそばに隠れている二人に気付く様子もなく、
少しずつ遠ざかっていきます。
「せっかくソフィに花飾りに作ったのに。全く。ソフィも師匠もどこに行っちゃったんだろう」
「こんなに良い天気なんだ。二人でそのあたりを散歩しているのかもしれないよ」
遠ざかる二人の声にソフィがほっと胸を撫で下ろすと、その様子に気がついたハウルがとても意地悪な笑みを浮かべて
するりとソフィの内腿の奥に指を走らせました。全身にぞわりとした震えが走り、ソフィの耳の奥が熱くなります。
「やぁ…ッ!ダメッ、ハウル!こんな場所で…」
ハウルの意地悪に気がついたソフィは慌ててはだけてあらわになった胸を片手で隠し、
もう片方の空いた手でソフィの内股を弄るハウルの手を抑えようとしました。
ところが全身を駆け巡る熱い震えの所為で上手く力が入りません。
そればかりかハウルの長くしなやかな指先は、ソフィの奥にいともたやすく辿り着き、じれったいほど優しい動きで
ソフィのお腹のずっと奥底に燃える様な熱を与えていきます。瞳まで涙が零れ落ちそうなほど熱くなっているのが自分でも判りました。
辺りいっぱいに咲き誇る花のむせ返るような香りと、ハウルの身体から漂う甘い匂いに、気がどうにかなってしまいそうです。
小ねたA
今日のハウルは少し意地悪でした。ソフィの熱を煽るだけ煽っておきながら、決定的なものは何一つ与えてはくれないのです。
行き場のない熱と想いにどうしようもなくなって、泣き声のような吐息がソフィの口から洩れてしまいました。
「シーッ。ソフィ、声を出すとマルクルに見つかる」
ハウルは肩越しにソフィを覗き込むと微笑を浮かべながら、口元に人差し指を当てます。その意地悪な事といったら!
「僕は良いけど、ソフィは嫌でしょう?ね、だから我慢して」
「ひどいわ、ハウル。あなたってなんてひどい人なの?!」
「ひどい?何が?どうしたの、ソフィ?どうして欲しいの?」
ソフィはこの時になってようやくハウルのたくらみに気がつきました。きっとハウルはソフィがその言葉を言うまで、意地悪を止めない事にも。
それにその言葉は今のソフィにとっても正直な気持ちそのものでした。その言葉を口にするのはソフィにとってとっても恥ずかしい事でしたが、
それ以上にハウルの事が好きな気持ちでいっぱいで、今この場所でハウルに全て満たされたいという想いが身体中から溢れていました。
ソフィは消えてしまいそうなほど小さな声でその言葉をハウルに耳打ちしました。
「いい子だ」
ハウルは今まで観た事も無いほどの魅力的な笑みを浮かべるとソフィをぎゅっと抱きしめて、二人はそのまま背の高い花の絨毯の中へと身を沈ませました。
ハウルの肩越しに映った空はとても高く、穏やかな青色をしていました。