ソフィーとハウルがやっと、夫婦となった一週間後、
マルクルがヒンと遊んでいて、手を怪我してしまった日がありました。
今日は、その日の話をいたしましょう。
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「ソフィー!どうしよー、手ケガしちゃったー」
バタバタと足音を立ててマルクルが入って来るのでソフィーが洗濯の手を休めて振り返ると、マルクルの小さい体がぶつかりました。
「ケガってどこを?手って言ったわね、見せてマルクル」
足元でヒンが鼻を鳴らしてうろつくので踏まないように注意しながら見ると、どこで切ったのか結構切れて血が出ています。
「まぁ大変!こんな怪我しちゃって!とりあえず消毒しなきゃね、こっちいらっしゃいマルクル!ヒン、どいてなさい!」
叱られたヒンはしょんぼりと椅子の下に潜り込みます。
椅子には元・荒地の魔女、現・おばあちゃんが座っていて、この騒動を楽しそうに見ています。
「やれやれ、元気なのはいいけどソフィーを困らせるんじゃないよ坊や」
ソフィーにではなく、おばあちゃんに叱られてマルクルはしょげました。
数分後、マルクルの左手は包帯を巻かれ、後はハウルが帰ってきたら診てもらう事となりました。
「困ったわね、不便じゃない?マルクル」
「え?右手は使えるからそうでもないよ、ソフィー」
夕飯を食べながらマルクルは首をひねりました。
「ううん、お風呂どうしたらいいのかな、って。手を怪我してるでしょ、お湯しみちゃうでしょ?ハウル今日遅いって言ってたし
治せるか、あたしはわかんないし。それまでマルクルにお風呂入るな、なんて言えな・・・・あ!」
ブツブツと言っていたソフィーがパン、と手を鳴らして何か思いつきました。
「あたしが一緒にお風呂入ってあげればいいんだわ、妹小さかった時はよく洗ってやってたし。」
そうソフィーが言った途端、おばあちゃんはスープをこぼし、ヒンは目を丸くしました。
当事者のマルクルは真っ赤です。
「ソソソソソフィー!そんな、お師匠さまがそんなこと許さないよっ!」
「あら、大丈夫よ。ハウル、そんな事じゃ怒らないわ」
(ソレで怒るのがお師匠さまなんだけど・・・ソフィーは気付いてないだけで・・・)
手をケガした自分を軽く呪うマルクル。
でも、結局拒否出来ずにソフィーとお風呂に入る事となりました。
お風呂場を上がって、ソフィーがマルクルの髪を拭いてやっている時、ハウルがやっと戻ってきました。
「ただいま、諸君!今日は何かあったか・・い・・・・?あれ、ソフィーもうお風呂入ったの?」
「えぇ、マルクルが手を怪我しちゃって。ハウル、診てあげてくれない?」
ニコッと笑ってソフィーが返します。
間に挟まれたマルクルはいつハウルに呪われるかとドキドキモノです。
「ふーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・怪我したんだ、マルクル。」
それだけ言うと、包帯を外し、怪我の程度を確認し、軽い治癒術を施し、また包帯を戻しました。
「明日の朝には傷ふさがると思うから、も う 1 人 で お 風 呂 は 入 れ る は ず だ よ 」
妙に後半だけ口調を強め、ハウルは言うとそのまま踵を返して部屋に行ってしまいました。
「明日にはほとんど治るって事ね、良かったじゃないマルクル!」
その口調に気付かないソフィーは笑顔で素直に喜んで声をかけますが、マルクルはそうでもない様子でした。
「あ、うん、そうだねソフィー。ボク、もう部屋に戻って寝るね、おやすみソフィー、おばあちゃん!ヒン、行こうっ!」
早口でまくしたてて部屋に猛ダッシュして行ってしまいました。
「変なマルクル!ねぇ、おばあちゃんそう思わない?」
「ふふ、アンタが気付いてないだけで今すごい大変なのよ〜、アタシもそろそろ寝るわ、おやすみソフィー」
「あら、そう?おやすみなさい、おばあちゃん」
1人暖炉の前にカルシファーと取り残されたソフィーは首をかしげます。
「んー?カルシファー、みんなどうしちゃったんだろ?」
「オオオオイラは知らないよ!知らないってば、ソフィーはなぞ解き出来るんだから考えてごらん!」
変にどもった火の悪魔はそれだけ言うと薪の下に潜り込んでしまいました。
仕方がないので、ソフィーが寝室に戻ってしばらくたち、ウトウトと眠りにつき始めた頃。
「・・・フィー・・・・ソフィー・・・もう、寝ちゃったかい?」
ん、と目をこすって開けると、目の前にハウルの姿。
「あら、ハウル。どうしたの?」
小さく微笑むとハウルはいきなり口付けます。
「むーーっ」
急にだったのでソフィーはビックリです。しかも、そのまま深くキスを続けてきたので、声もかき消されます。
「んーっ、んんんっ」
パシパシと背中を叩くと、ハウルがやっと唇を離してくれました。
「急にどうしたのよハウル!」
言いながら軽くにらむと、ハウルが頬を膨らませて言います。
「だって、ソフィーがいけないんだよ?僕のソフィーなのに、マルクルと一緒にお風呂入ったりして!」
「え?だって、手を怪我しちゃってるのよ、髪とか体を洗うの大変でしょ?」
「うん、それでも僕は嫌なんだ。弟子にヤキモチなんて馬鹿らしいと思うけど、ソフィーを独り占めしてたいんだもの」
だからって、と言おうとした口はまた塞がれました。
咥内をハウルの舌が蠢きます。その動きに蹂躙されている間に、ハウルはソフィーの寝間着のボタンを外していきました。
ハッ、と気付いた時にはもう寝間着ははだけ、すっかり体は夜気に晒されていました。
「やだ、ハウル」
「僕よりマルクルの方がいい?」
「違ッ!そういう意味じゃな・・んーーっ」
何か言おうとすると、またキスで口を塞がれます。
そうする間にも、ハウルの手はソフィーの首筋をなぞったり、胸を優しくさわったり。ソフィーが弱い所を狙って休み無く動きます。
「んっ、ふ・・・・・っ」
キスをされる唇の間から、甘い吐息が漏れ出して、やっとハウルは口を離しました。
口は離しましたが、手は相変わらず休みなく動いています。
ソフィーが何かを言おうとして唇を開きますが、やめました。
下を見ると、ソフィーの足が微妙に膝を合わせて動いています。
「ソフィー、どうしたの?」
「ハウルのバカ・・・ハウルが、こんな事するから・・・・」
真っ赤になって、また足をすり合わせるとその脚の間から『くちゅ』という音が響きました。
「うん、僕はバカだよ。だって、君が好きで好きでたまんなくって、君がいなかったら何も、仕事する事も出来ないんだから」
「それを言うなら仕事する気もおきない、じゃないの?」
「そうだね」
微笑むとハウルは服を脱ぎました。
脱ぎ終わるとすぐに、自分をソフィーの入り口にあてがって、いきなり入れてしまいます。
「!んっ」
あまりにもいきなりだったので、ソフィーがその感覚に顔をしかめるのも構わず、そのまま腰を動かします。
「あっ、あっ、やっ・・んっ・・・・ハウ・・ルッ・・・きゅ・・に・・・んっ」
「急にするな、って言うんだろ、ソフィー。でもね、可愛い君が悪いんだよ、今日は」
言いながら動けば、2人が繋がる所から水音が響きます。
「やっ、はっ・・・・んっ・・・・・・・・・・・や・ふっ・・ぁ・あっ」
段々とソフィーの声が高くなってきて、限界が近いとハウルは感じ、勢いを更に速めて行きます。
自分もそろそろ苦しい所ですが、我慢して腰をうちつけました。
灯りを消され、暗い暗い部屋の中には、2人の荒い息遣いと淫水の音だけが響きます。
やがて。
「あ・・・あ、ダメ、はうるっ!んーーーっ!」
名前を呼んだ瞬間、ソフィーの中が急にキツく締まりました。限界に近かったハウルも、それを引き金に胎内に熱い精を放ちます。
しばらくしてソフィーが目を開けると、すまなさそうな顔のハウルが添い寝してて。
目を開けたのに気付いて、泣きそうな顔に変わりました。
「ゴメン、ソフィー!僕、僕嫌われてもいい事したね、ゴメン!」
ソフィーが口を開けようとすると先にハウルが謝ってきました。
そんな彼をきょとんとした顔で見た後、思わずプッと吹き出してしまいました。
「うふふ、ハウルってば。ちょっと勢いは確かに良すぎたけど、そんな位であたしあなたを嫌いになんてなれないわ」
「じゃあ、僕を嫌ったりしない?」
「えぇ」
言いながら普段より小さく見える愛しい彼を抱きしめます。
「ヤキモチしてたって気付かないでごめんなさいね、ハウル。でもね、怪我してるのに放置は可哀相だと思わない?」
ハウルの髪をなでながら、子供をあやすように優しく、優しくソフィーは語り掛けます。
「でも・・・」
「でもじゃないわ、最近治ったと思ったらハウルはやっぱり自分ばかりなんだもの、少しは周りを気にかけるようにして頂戴?でないと・・・」
「でないと・・・なに?」
腕の間からハウルが見上げるので、悪戯っぽくソフィーは笑いかけます。
「でないと、あたし、あなたを嫌いにならなくっちゃいけなくなるわよ?」
「!!!!!!ゴメン、本当にごめんなさい!気をつけるから、嫌いになるなんていわないでソフィー!」
クスクスと笑いながらハウルの額にキスを落とし、ソフィーは付け加えました。
「今のままなら、ってことよ。これから一杯気をつけて行けば大丈夫よ、前より今のあなたの方がもっとステキですもの」
うん、わかった。と頷くハウルにもう一度キスをすると、2人は仲良く一緒に眠りました。
ソフィーは明日は朝食何を作ろうかと考え、ハウルは明日はまずマルクルに謝るべきかな、と思いながら。